向日葵
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「直で会うのは病院で話した時以来だな」
口角をつり上げて、心底楽しそうに話しかけてくる死柄木に、震えが止まらない。首を絞められているワケでもないのに、息が苦しい。
「なァ、元気だったかって聞いてんじゃん。答えてくれよ、歌歩ちゃん」
「ッ…!」
掴まれていた腕を引っ張られて、死柄木との距離がほぼなくなった。苛立っているようなセリフとは裏腹に、表情と声音はすごく楽しそうだ。振りほどこうとしてみるが
「イッ…!」
ギリギリと音が鳴りそうな勢いで絞められる。
「い、いやっ……は、はな、離して……」
やっとの思いで搾り出した声は、掠れているし震えている。
「釣れないこと言うなよ。トガ達に聞いたんじゃねぇの?俺らがお前を捕まえるためにどれだけ頑張ったか。こう見えても俺、お前に会えるのすげぇ楽しみにしてたんだぜ?」
ケラケラと笑う姿に、恐怖が増幅してくる。
「相変わらず、ちっさくて柔らかくて華奢で、少し力入れただけで壊れちまいそうな手だな」
「ギッ……!」
手が…!痛いッ……!骨が、折られそう……!
「お前自体、俺が少し力入れて握っただけで、個性なんて使わなくてもぶっ壊せそうだけどな」
と、また笑う。視界が歪んできた。
「なんだよ、泣いてんのかよ」
より一層愉快そうに笑う顔が、恐ろしくて恐ろしくて堪らない。
「泣くなよー。俺、ずーっとお前に会いたくて会いたくて堪らなかったんだぜ?なのにさー、そんな顔されちまったら悲しくなるぜ」
そう言って笑う死柄木は、虫を甚振って笑う、無邪気な子供そのものだ。
「ほら、笑えよ。初めて会った時みたいにさ!」
腕が、引きちぎられてしまうんじゃないかという錯覚に陥るくらい痛い。思わず眉間に皺を寄せつつも
「は、初めて……?」
死柄木の発言が引っ掛かり反復する。
「笑ってたじゃん、初めて会った時。すげぇ嬉しそうに」
嬉しそうに……?何を言ってるのこの人。初めて会った時に、笑っている余裕なんてある訳ないじゃないか。寧ろあの時は、いつ殺されるのかわからないという恐怖に押しつぶされそうだったのに。
「あの日からずっと、お前が嫌いで嫌いで、仕方なかった」
死柄木の手が、私の首に置かれた。
「ひっ…あっ……」
怖すぎて、声が出せない。全身から嫌な汗が、滝のように流れてくる。
「けど、なんでかわかんなかった。どうしてここまで、お前のことが嫌いなのか」
首を軽く撫でながら、穏やかな口調で
「なんでここまで、お前のことが胸糞悪いと感じるのか」
おとぎ話でも語るような口調で、言葉を紡ぐ死柄木から、目を逸らすことができない。
「何日も、何か月も、何年も考えて、ようやくわかったんだ」
逸らしたいのに、まるで金縛りにでもあったかのように顔を動かせない。死柄木から、目を離せない。
「俺とお前は、似てる」
「ッ!」
首が、じわじわと圧迫感に襲われる。
「似てるのに、真逆だ。それがすごく腹が立つんだって、やっとわかった」
首を撫でていた手に、少しずつ絞められているようだ。
「俺とお前のそんな関係を見て、先生は『友達になれるかもしれない』と、そう言ったんだろうな」
徐々に酸素が奪われていく。
「けどなァ、友達?そんなもんなれるワケねぇだろ。だって俺、お前のことだァいっ嫌いだからさァ……」
抵抗したいのに、しないといけないハズなのに、そんな気力すら湧いてこない。それよりもどうして……
「こんなにぶっ壊してやりたいって思ってるやつと友達になんてなれるワケがない」
どうして、気が付かなかったんだろう。
『お兄ちゃん目の色真っ赤!勝己君とお揃いだ』
幼い頃の自分が、はっきりとそう言っていたのに。
「何俺の目見つめてんだよ。ひょっとしてまた、だーい好きな勝己君のことでも思い出してんのか?」
神野のあのバーに連れていかれ、この人の目を初めて見たとき確かに、赤い2つの……勝己君と同じ色の目。そう認識したはずなのに。
「安心しろよ。最期に1回くらい、勝己君にも、出久君にも、会わせてやるからさァ……」
どうして今の今までずっと……
「だから。少しの間寝てろよ」
夢に出てきた、あのお兄さんの正体が死柄木弔だ……ということに、気が付かなかったんだろう……。
「お前のことは、勝己君と出久君の目の前で殺してやるから」
薄れ行く意識の中、無邪気な子供のような調子で、凶悪な言葉が紡がれる中、私の意識は闇の底へと沈んだ。
口角をつり上げて、心底楽しそうに話しかけてくる死柄木に、震えが止まらない。首を絞められているワケでもないのに、息が苦しい。
「なァ、元気だったかって聞いてんじゃん。答えてくれよ、歌歩ちゃん」
「ッ…!」
掴まれていた腕を引っ張られて、死柄木との距離がほぼなくなった。苛立っているようなセリフとは裏腹に、表情と声音はすごく楽しそうだ。振りほどこうとしてみるが
「イッ…!」
ギリギリと音が鳴りそうな勢いで絞められる。
「い、いやっ……は、はな、離して……」
やっとの思いで搾り出した声は、掠れているし震えている。
「釣れないこと言うなよ。トガ達に聞いたんじゃねぇの?俺らがお前を捕まえるためにどれだけ頑張ったか。こう見えても俺、お前に会えるのすげぇ楽しみにしてたんだぜ?」
ケラケラと笑う姿に、恐怖が増幅してくる。
「相変わらず、ちっさくて柔らかくて華奢で、少し力入れただけで壊れちまいそうな手だな」
「ギッ……!」
手が…!痛いッ……!骨が、折られそう……!
「お前自体、俺が少し力入れて握っただけで、個性なんて使わなくてもぶっ壊せそうだけどな」
と、また笑う。視界が歪んできた。
「なんだよ、泣いてんのかよ」
より一層愉快そうに笑う顔が、恐ろしくて恐ろしくて堪らない。
「泣くなよー。俺、ずーっとお前に会いたくて会いたくて堪らなかったんだぜ?なのにさー、そんな顔されちまったら悲しくなるぜ」
そう言って笑う死柄木は、虫を甚振って笑う、無邪気な子供そのものだ。
「ほら、笑えよ。初めて会った時みたいにさ!」
腕が、引きちぎられてしまうんじゃないかという錯覚に陥るくらい痛い。思わず眉間に皺を寄せつつも
「は、初めて……?」
死柄木の発言が引っ掛かり反復する。
「笑ってたじゃん、初めて会った時。すげぇ嬉しそうに」
嬉しそうに……?何を言ってるのこの人。初めて会った時に、笑っている余裕なんてある訳ないじゃないか。寧ろあの時は、いつ殺されるのかわからないという恐怖に押しつぶされそうだったのに。
「あの日からずっと、お前が嫌いで嫌いで、仕方なかった」
死柄木の手が、私の首に置かれた。
「ひっ…あっ……」
怖すぎて、声が出せない。全身から嫌な汗が、滝のように流れてくる。
「けど、なんでかわかんなかった。どうしてここまで、お前のことが嫌いなのか」
首を軽く撫でながら、穏やかな口調で
「なんでここまで、お前のことが胸糞悪いと感じるのか」
おとぎ話でも語るような口調で、言葉を紡ぐ死柄木から、目を逸らすことができない。
「何日も、何か月も、何年も考えて、ようやくわかったんだ」
逸らしたいのに、まるで金縛りにでもあったかのように顔を動かせない。死柄木から、目を離せない。
「俺とお前は、似てる」
「ッ!」
首が、じわじわと圧迫感に襲われる。
「似てるのに、真逆だ。それがすごく腹が立つんだって、やっとわかった」
首を撫でていた手に、少しずつ絞められているようだ。
「俺とお前のそんな関係を見て、先生は『友達になれるかもしれない』と、そう言ったんだろうな」
徐々に酸素が奪われていく。
「けどなァ、友達?そんなもんなれるワケねぇだろ。だって俺、お前のことだァいっ嫌いだからさァ……」
抵抗したいのに、しないといけないハズなのに、そんな気力すら湧いてこない。それよりもどうして……
「こんなにぶっ壊してやりたいって思ってるやつと友達になんてなれるワケがない」
どうして、気が付かなかったんだろう。
『お兄ちゃん目の色真っ赤!勝己君とお揃いだ』
幼い頃の自分が、はっきりとそう言っていたのに。
「何俺の目見つめてんだよ。ひょっとしてまた、だーい好きな勝己君のことでも思い出してんのか?」
神野のあのバーに連れていかれ、この人の目を初めて見たとき確かに、赤い2つの……勝己君と同じ色の目。そう認識したはずなのに。
「安心しろよ。最期に1回くらい、勝己君にも、出久君にも、会わせてやるからさァ……」
どうして今の今までずっと……
「だから。少しの間寝てろよ」
夢に出てきた、あのお兄さんの正体が死柄木弔だ……ということに、気が付かなかったんだろう……。
「お前のことは、勝己君と出久君の目の前で殺してやるから」
薄れ行く意識の中、無邪気な子供のような調子で、凶悪な言葉が紡がれる中、私の意識は闇の底へと沈んだ。
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