向日葵
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歌歩ちゃんが入院してから数日以上が過ぎた。実際に会うことは出来ていないけど、毎日メッセージや電話のやり取りはしていた。病院での出来事を聞かせて貰ったり、入院中にやるようにと出された課題が難しくて解くのに苦労したとか、早く退院して僕やかっちゃん、エリちゃんやみんなに会いたいとか、そんな他愛もないやり取りを毎日していた。だから元気に過ごしてるんだなと思っていた。だから…
「緑谷、爆豪。お前達には事前に言っておく。どうか冷静に落ち着いて聞いてくれ。無居が、敵連合に捕まっているという情報が入って来た」
相澤先生の発した言葉の意味が、理解出来なかった。いや、理解することを拒んだ…そう言った方が正しいかもしれない。
「は…?何言ってんだよ、んなこと、あるわけねぇだろ…!」
それはどうやらかっちゃんも同じらしい。相澤先生のことを見つめている顔は驚きと困惑と…色々な感情が入り混じっていそうだ。
「蛇腔病院へ行くって言われてたが、実際はあの日蛇腔には行かずにいつも通院していた病院へ行ったらしい。そこでトガヒミコに襲われ連れ去られた…とのことだ」
相澤先生は淡々と話しているが、怒りを必死に抑えている様に見える。
「行ったらしい?雄英はいつも通院してる病院に行ったって知らなかったってことかよ」
「あぁ…。無居の送迎を頼んだヒーローと運転手…あいつらが敵連合と繋がっていたらしくて手を回していたそうだ。そもそもあの病院自体、連合と繋がっている人間が沢山いたと報告された」
そいつらに結託されて、無居はまんまと攫われてしまったんだろう…そういう相澤先生の話を聞きながら
「歌歩の安否は確認出来てんのか?殺されてたりとかしてねぇだろうな…?」
そう言うかっちゃんの声は少し焦っている様に聞こえる。
「それは大丈夫だとスパイとして潜入しているヒーローから確認は取れている。広い屋敷の一室に監禁されていて、ほとんど連合の誰かが見張りをしているため直接会って話をすることは出来ていないが、姿の確認は毎日できている…とのことだ」
そもそもかなり手間をかけて連れ去ったみたいだから、殺すとは考え辛いだろうというのが俺や他のヒーロー達の考えだ、という答えを聞くと少しほっとした様子だ。
「あの、先生…でも僕、歌歩ちゃんと電話やメッセージのやり取りを毎日のようにしてます。他のみんなも、してるみたいだし…。それはいったいどうやっていたんでしょうか…?」
なんとなく、方法は思いついてしまった。けど、その方法は違うと、絶対にないと、全身全霊で否定したいという思いから必死に目を逸らし、相澤先生に問い掛けた。だけど、
「……恐らく、敵連合が無居のフリをしていたんだろう。蛇腔病院でも無居の病室が用意されている上に、実際にあの子が入院している姿も目撃されているそうだ。トゥワイスの個性で無居の分身を作り出したか、……もしくは、トガヒミコの個性で無居の姿に変身して成りすましている可能性が高いんじゃないか」
僕のそんな願いは、虚しくも打ち砕かれた。
トガヒミコが変身している…それはつまり、歌歩ちゃんから血を取ったってこと…!神野の時に続いてまた…!怒りで頭が変になりそうだ。
「歌歩を助ける方法や作戦はあんのか」
かっちゃんの声は震えている。怒りを必死に抑え込もうとしている様に見える。
「あぁ。作戦決行の日も決まっている。その日は全国からヒーローを集め、一斉に襲撃する予定だ。その時はインターン中であるお前達生徒にも話がいくだろう」
校長やオールマイトさんやエンデヴァー、何人かのヒーローと話し合った結果お前達2人には無居のことを先に伝えておこうということになったため今話させてもらった、とのことらしい。
「このことについてはいずれ、他の生徒達にも知らせる。だからまだ、内密にしておいてくれ」
それぞれのインターン先でヒーロー達から説明があるはずだから、そのつもりで居てくれと、釘を刺される。
「その作戦、俺も…!」
「悪い、それは無理だ。当日は選出された数人を除き、学生組には後方支援に回ってもらうことになっている。お前達2人にも、そうしてもらう予定だ」
かっちゃんの言葉を遮り、相澤先生は淡々と伝えてくる。
「お前達2人の無居を助けたいという気持ちはよくわかる。だがそれは、俺達も同じだ。俺達ヒーローは、無居を無事に救出し保護する義務がある。それと同時に、お前達を始めとした生徒達を守る義務がある。頼む、わかってくれ」
その言葉に僕もかっちゃんも何も言えなくなってしまう。
先生はきっと、僕とかっちゃんに歌歩ちゃんのことを伝えるのとても迷ったんじゃないだろうか。でも、みんなと同じタイミングで聞いたら、僕たちが動揺してしまったり先走った行動を取るかもしれないと考えに考え抜いて、僕ら2人に話すという結論を出してくれたんだろう。だから…
「約束する。俺達が絶対に無居を助ける。信じてくれ」
だから、相澤先生の言葉に無言で頷くことしか出来ない。
◇
相澤先生の話を聞き終わり、僕もかっちゃんも何も言わずに廊下を歩く。話したいことは沢山あるけれども、何からどう話せば良いのかわからない。それはきっとかっちゃんも一緒なんだろう。何か言いたそうにしているが、何も言ってこない様子を見てそう思う。
「あっいた。あの、かっちゃんさん!」
不意に高くて可愛らしい声が聞こえて来た。エリちゃんがかっちゃんのことを呼びながらちょこちょこと駆け寄って来ていた。
「あっ?んだよ」
ぶっきらぼうに返事をしつつも、しっかりとエリちゃんの目線に合うようにしゃがみながら話している。エリちゃんがかっちゃんに話し掛けるの珍しいななんて思いつつ2人のやりとりを眺める。
「あのね、ちょっと一緒に来て欲しいの!」
そう言っているエリちゃんは少し焦っている様子だ。何か困り事だろうか。その様子を見てかっちゃんも僕と同じことを思ったのか「わかった。どこ行くんだ?」と尋ねている。すると「こっち!」とエリちゃんが言い、かっちゃんの手を繋いで走り出した。慌てて僕も2人のことを追いかける。
◇
「あそこ!ちょうちょさんがね、クモさんに捕まっちゃってるの!」
目的地に着いたらしくエリちゃんがそう言いながら天上を指差している。その先には大きな蜘蛛の巣が張っていて、そこに蝶が引っ掛かっていた。あの子を助けてあげてほしいの?と聞くと「うん…」と、泣きそうな顔で返事をしている。その姿が、いつの日かの幼馴染の姿と重なったような気がした。
「ったく、仕方ねぇな」
泣きそうなエリちゃんを見るとかっちゃんはぶっきらぼうに言い、踏み台替わりになりそうな物を持ってきて登り、蜘蛛の巣に手を伸ばして蝶を巣から解放して窓からそっと逃がした。
「おら、助けたぞ」
これで良いか?と尋ねるかっちゃんに対してエリちゃんは目をキラキラと輝かせながら
「うん!ありがとう、かっちゃんさん!!」
と満面の笑顔を浮かべてお礼を言った。
「あっ?べ、別にそんな礼言うほどのことじゃねぇだろ…」
そういうかっちゃんは耳まで真っ赤になっている。めちゃくちゃ照れてるんだ。思わずクスッと笑ってしまって、すごい形相で睨みつけられた。ごっごめんなさいッ!!と謝罪するとまた舌打ちされたが睨むのはやめてくれた。
「つーかなんでわざわざ俺に頼んだんだ?蝶助けるんだったら俺じゃなくても誰でも良かったんじゃねぇの」
言われてみれば確かに。通形先輩とか相澤先生とか、エリちゃんにとって頼みやすそうな人は沢山いそうなのにな。
「歌歩さんがね、前に言ってたの。小さい頃、クモさんにちょうちょさんが捕まっちゃってたけど、かっちゃんさんが助けてくれたって」
エリちゃんの回答を聞くと、かっちゃんは「えっ」と言いながら少し目を見開いた。
「すっごくかっこよかったんだよってね、とっても嬉しそうに笑いながらお話してくれたの」
歌歩ちゃんから預けられたハリネズミさんのことを撫でて
「だからね、ちょうちょさん助けてもらうならかっちゃんさんだなって思ったの!」
無邪気に笑いながらエリちゃんが言う。
……その姿がまた、いつの日かの幼馴染…歌歩ちゃんの姿と重なって見えた。あぁ。そういえば
『出久君、出久君!あのねあのね、勝己君がね、蜘蛛の巣に捕まっちゃってた蝶々さんのこと助けてくれたの!それでね、もしも歌歩が蝶々さんみたいに蜘蛛の巣に捕まっちゃったら俺が助けてやるって約束してくれたの』
笑顔でそう言ってたな。すごく、嬉しそうに笑いながら。その笑顔は、かっちゃんのお嫁さんになりたいんだってこっそりと僕にだけ教えてくれた時と同じくらい可愛かったなぁ…。
「ハハッ…」
不意にかっちゃんが笑い声を上げた。どうしたのかと思っていると、そっとしゃがみ、エリちゃんの頭を撫でながら
「あいつ、お前にもんなこと話してんのかよ」
バッカじゃねぇのなんて呆れたように言っているが、その表情は少しだけ嬉しそうだ。かっちゃんのそんな様子に、エリちゃんは不思議そうな顔で首を傾げて眺めている。が、かっちゃんは気にせず頭を撫で続けながら
「ありがとな、お前のお影ですげぇ大切な約束思い出せた」
エリちゃんのことを真っ直ぐ見つめて言う。
「大切な約束?」
「あぁ」
「そっか…。良かったね、思い出せて!」
花が咲いたような顔でエリちゃんが笑うと、珍しくかっちゃんも穏やかな顔で笑いながら「あぁ」と返事をした。…小さい頃、よく歌歩ちゃんにもあの顔見せてたなぁ。歌歩ちゃんは気づいてなさそうだったけど。
不意にかっちゃんと目が合った。そして
「ぜってぇ助けんぞ」
僕のことをじっと見据えながら言い切った。
「うん」
それに対して僕も、力強く返事をした。
絶対に歌歩ちゃんを、敵連合から取り返すんだ。
「緑谷、爆豪。お前達には事前に言っておく。どうか冷静に落ち着いて聞いてくれ。無居が、敵連合に捕まっているという情報が入って来た」
相澤先生の発した言葉の意味が、理解出来なかった。いや、理解することを拒んだ…そう言った方が正しいかもしれない。
「は…?何言ってんだよ、んなこと、あるわけねぇだろ…!」
それはどうやらかっちゃんも同じらしい。相澤先生のことを見つめている顔は驚きと困惑と…色々な感情が入り混じっていそうだ。
「蛇腔病院へ行くって言われてたが、実際はあの日蛇腔には行かずにいつも通院していた病院へ行ったらしい。そこでトガヒミコに襲われ連れ去られた…とのことだ」
相澤先生は淡々と話しているが、怒りを必死に抑えている様に見える。
「行ったらしい?雄英はいつも通院してる病院に行ったって知らなかったってことかよ」
「あぁ…。無居の送迎を頼んだヒーローと運転手…あいつらが敵連合と繋がっていたらしくて手を回していたそうだ。そもそもあの病院自体、連合と繋がっている人間が沢山いたと報告された」
そいつらに結託されて、無居はまんまと攫われてしまったんだろう…そういう相澤先生の話を聞きながら
「歌歩の安否は確認出来てんのか?殺されてたりとかしてねぇだろうな…?」
そう言うかっちゃんの声は少し焦っている様に聞こえる。
「それは大丈夫だとスパイとして潜入しているヒーローから確認は取れている。広い屋敷の一室に監禁されていて、ほとんど連合の誰かが見張りをしているため直接会って話をすることは出来ていないが、姿の確認は毎日できている…とのことだ」
そもそもかなり手間をかけて連れ去ったみたいだから、殺すとは考え辛いだろうというのが俺や他のヒーロー達の考えだ、という答えを聞くと少しほっとした様子だ。
「あの、先生…でも僕、歌歩ちゃんと電話やメッセージのやり取りを毎日のようにしてます。他のみんなも、してるみたいだし…。それはいったいどうやっていたんでしょうか…?」
なんとなく、方法は思いついてしまった。けど、その方法は違うと、絶対にないと、全身全霊で否定したいという思いから必死に目を逸らし、相澤先生に問い掛けた。だけど、
「……恐らく、敵連合が無居のフリをしていたんだろう。蛇腔病院でも無居の病室が用意されている上に、実際にあの子が入院している姿も目撃されているそうだ。トゥワイスの個性で無居の分身を作り出したか、……もしくは、トガヒミコの個性で無居の姿に変身して成りすましている可能性が高いんじゃないか」
僕のそんな願いは、虚しくも打ち砕かれた。
トガヒミコが変身している…それはつまり、歌歩ちゃんから血を取ったってこと…!神野の時に続いてまた…!怒りで頭が変になりそうだ。
「歌歩を助ける方法や作戦はあんのか」
かっちゃんの声は震えている。怒りを必死に抑え込もうとしている様に見える。
「あぁ。作戦決行の日も決まっている。その日は全国からヒーローを集め、一斉に襲撃する予定だ。その時はインターン中であるお前達生徒にも話がいくだろう」
校長やオールマイトさんやエンデヴァー、何人かのヒーローと話し合った結果お前達2人には無居のことを先に伝えておこうということになったため今話させてもらった、とのことらしい。
「このことについてはいずれ、他の生徒達にも知らせる。だからまだ、内密にしておいてくれ」
それぞれのインターン先でヒーロー達から説明があるはずだから、そのつもりで居てくれと、釘を刺される。
「その作戦、俺も…!」
「悪い、それは無理だ。当日は選出された数人を除き、学生組には後方支援に回ってもらうことになっている。お前達2人にも、そうしてもらう予定だ」
かっちゃんの言葉を遮り、相澤先生は淡々と伝えてくる。
「お前達2人の無居を助けたいという気持ちはよくわかる。だがそれは、俺達も同じだ。俺達ヒーローは、無居を無事に救出し保護する義務がある。それと同時に、お前達を始めとした生徒達を守る義務がある。頼む、わかってくれ」
その言葉に僕もかっちゃんも何も言えなくなってしまう。
先生はきっと、僕とかっちゃんに歌歩ちゃんのことを伝えるのとても迷ったんじゃないだろうか。でも、みんなと同じタイミングで聞いたら、僕たちが動揺してしまったり先走った行動を取るかもしれないと考えに考え抜いて、僕ら2人に話すという結論を出してくれたんだろう。だから…
「約束する。俺達が絶対に無居を助ける。信じてくれ」
だから、相澤先生の言葉に無言で頷くことしか出来ない。
◇
相澤先生の話を聞き終わり、僕もかっちゃんも何も言わずに廊下を歩く。話したいことは沢山あるけれども、何からどう話せば良いのかわからない。それはきっとかっちゃんも一緒なんだろう。何か言いたそうにしているが、何も言ってこない様子を見てそう思う。
「あっいた。あの、かっちゃんさん!」
不意に高くて可愛らしい声が聞こえて来た。エリちゃんがかっちゃんのことを呼びながらちょこちょこと駆け寄って来ていた。
「あっ?んだよ」
ぶっきらぼうに返事をしつつも、しっかりとエリちゃんの目線に合うようにしゃがみながら話している。エリちゃんがかっちゃんに話し掛けるの珍しいななんて思いつつ2人のやりとりを眺める。
「あのね、ちょっと一緒に来て欲しいの!」
そう言っているエリちゃんは少し焦っている様子だ。何か困り事だろうか。その様子を見てかっちゃんも僕と同じことを思ったのか「わかった。どこ行くんだ?」と尋ねている。すると「こっち!」とエリちゃんが言い、かっちゃんの手を繋いで走り出した。慌てて僕も2人のことを追いかける。
◇
「あそこ!ちょうちょさんがね、クモさんに捕まっちゃってるの!」
目的地に着いたらしくエリちゃんがそう言いながら天上を指差している。その先には大きな蜘蛛の巣が張っていて、そこに蝶が引っ掛かっていた。あの子を助けてあげてほしいの?と聞くと「うん…」と、泣きそうな顔で返事をしている。その姿が、いつの日かの幼馴染の姿と重なったような気がした。
「ったく、仕方ねぇな」
泣きそうなエリちゃんを見るとかっちゃんはぶっきらぼうに言い、踏み台替わりになりそうな物を持ってきて登り、蜘蛛の巣に手を伸ばして蝶を巣から解放して窓からそっと逃がした。
「おら、助けたぞ」
これで良いか?と尋ねるかっちゃんに対してエリちゃんは目をキラキラと輝かせながら
「うん!ありがとう、かっちゃんさん!!」
と満面の笑顔を浮かべてお礼を言った。
「あっ?べ、別にそんな礼言うほどのことじゃねぇだろ…」
そういうかっちゃんは耳まで真っ赤になっている。めちゃくちゃ照れてるんだ。思わずクスッと笑ってしまって、すごい形相で睨みつけられた。ごっごめんなさいッ!!と謝罪するとまた舌打ちされたが睨むのはやめてくれた。
「つーかなんでわざわざ俺に頼んだんだ?蝶助けるんだったら俺じゃなくても誰でも良かったんじゃねぇの」
言われてみれば確かに。通形先輩とか相澤先生とか、エリちゃんにとって頼みやすそうな人は沢山いそうなのにな。
「歌歩さんがね、前に言ってたの。小さい頃、クモさんにちょうちょさんが捕まっちゃってたけど、かっちゃんさんが助けてくれたって」
エリちゃんの回答を聞くと、かっちゃんは「えっ」と言いながら少し目を見開いた。
「すっごくかっこよかったんだよってね、とっても嬉しそうに笑いながらお話してくれたの」
歌歩ちゃんから預けられたハリネズミさんのことを撫でて
「だからね、ちょうちょさん助けてもらうならかっちゃんさんだなって思ったの!」
無邪気に笑いながらエリちゃんが言う。
……その姿がまた、いつの日かの幼馴染…歌歩ちゃんの姿と重なって見えた。あぁ。そういえば
『出久君、出久君!あのねあのね、勝己君がね、蜘蛛の巣に捕まっちゃってた蝶々さんのこと助けてくれたの!それでね、もしも歌歩が蝶々さんみたいに蜘蛛の巣に捕まっちゃったら俺が助けてやるって約束してくれたの』
笑顔でそう言ってたな。すごく、嬉しそうに笑いながら。その笑顔は、かっちゃんのお嫁さんになりたいんだってこっそりと僕にだけ教えてくれた時と同じくらい可愛かったなぁ…。
「ハハッ…」
不意にかっちゃんが笑い声を上げた。どうしたのかと思っていると、そっとしゃがみ、エリちゃんの頭を撫でながら
「あいつ、お前にもんなこと話してんのかよ」
バッカじゃねぇのなんて呆れたように言っているが、その表情は少しだけ嬉しそうだ。かっちゃんのそんな様子に、エリちゃんは不思議そうな顔で首を傾げて眺めている。が、かっちゃんは気にせず頭を撫で続けながら
「ありがとな、お前のお影ですげぇ大切な約束思い出せた」
エリちゃんのことを真っ直ぐ見つめて言う。
「大切な約束?」
「あぁ」
「そっか…。良かったね、思い出せて!」
花が咲いたような顔でエリちゃんが笑うと、珍しくかっちゃんも穏やかな顔で笑いながら「あぁ」と返事をした。…小さい頃、よく歌歩ちゃんにもあの顔見せてたなぁ。歌歩ちゃんは気づいてなさそうだったけど。
不意にかっちゃんと目が合った。そして
「ぜってぇ助けんぞ」
僕のことをじっと見据えながら言い切った。
「うん」
それに対して僕も、力強く返事をした。
絶対に歌歩ちゃんを、敵連合から取り返すんだ。
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