向日葵
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頭を撫でて来る手が、すごく不気味だ。振り払いたいのに、縛られているせいで払えない。…せめて、何か言い返したい。
「そんなこと、ありません。雄英の先生達も、他のヒーローもみんな、いつも私を守るために色々としてくれました。これからだって、そうです。今にもきっとヒーローがここの病院に乗り込んできて、私は救出されて貴方達はあっという間に…」
「ここの病院?歌歩ちゃん何言っているんですか?ここは病院じゃないよ」
必死に強がって、なんとか大見得を切ろうとしたが出鼻を挫かれた。私の病院という発言に対してトガヒミコがきょとんと首を傾げながら不思議そうな顔で言う。え…
「病院じゃない…?そんな訳、ないじゃないですか…何言って…」
「本当ですよー。そんな噓吐く訳ないじゃないですかぁ。そもそも歌歩ちゃん私と一緒に…あっそっか!そういえば歌歩ちゃんお薬打ってたからすやすやと眠っていましたもんね。寝顔がとってもとーってもかぁいくて頭沢山なでなでしてたの忘れてましたぁ。そうだよね、眠ってたら覚えている訳ないもんねぇ」
ごめんねー、1番最初に言ってあげるべきでしたと、無邪気に笑いながら閉められていたカーテンを開いた。と、見えてきた景色は
「え…は…」
辺り一面、森が広がっていた。
「ここね、山奥にあるお屋敷なんです。自然が沢山ある結構いいとこなんですよ。そうだ、後で2人でお散歩にでも行きましょうか!…あ、でも歌歩ちゃん外に出しちゃダメって言われてるんだった…残念…。一緒にお出かけしたかったなー…」
と、心底残念そうな顔と声音で言う。
「な、なんで…」
なんで病院じゃないの…と呟くと
「そりゃずっと同じとこに居座る訳ねぇだろ。それもヒーローや雄英の奴らが来る可能性あるとこにミスミスお前置いとくなんてことするほど俺らも馬鹿じゃねぇよ」
お前本当に雄英生かよ、信じらんねぇくらい頭足んねぇなと嘲笑いながら言う荼毘に対して「こーら、そんな意地悪言わないでやれよ。希望くらい持ちたいでしょうよ」と、Mr.コンプレスが苦笑気味に諫めている。でもそう言っている彼も、内心私のことをバカにしているんだということが伝わってくる。
「で、でもっ…!雄英から送ってくれたヒーローと、車を運転してくれた運転手さんだっています。だからきっと、あの人達が…」
「あー、うん…庇った矢先に手のひら返すけどごめん。荼毘のいう通り君、その頭でよく雄英入れたね。そこまで察しが悪いとはびっくりだ」
きっと勉強すごく頑張ったんだね、偉い偉いとまた頭を撫でてくる。その目は完全に私のことを見下している。
「そんな察しの悪いお嬢さんにおじさんが教えてあげよう。君のことを送迎してくれた2人…あのヒーローも運転手も、俺らの息がかかった人間だよ」
考えたくもなかった現実で突き刺される。ヒーロー…が…?そ、そんな…!
「びょ、病院…病院から私を連れ出した時、きっと私とトガヒミコを見かけた人がいると思います…その人がきっと、証言してくれて…それで、きっと…」
「トガヒミコ…なんてフルネームで呼ばないでよー。私は歌歩ちゃんってお名前で呼んでるんだから、歌歩ちゃんにも私のことはヒミコちゃんって名前で呼んで欲しいですー」
震える声で話す私に対してトガヒミコは唇を尖らせながら私の頬を突きながら言う。
「よ、呼びません…!友達でもないのに…!」
「じゃあお友達になりましょー!だからヒミコちゃんって呼んでねー!」
と、きつくぎゅーっと抱き締めながら言われる。嫌っ…!と言うと
「私も嫌ですぅ。歌歩ちゃんとお友達になりたいのぉー。ヒミコちゃんって呼ばれたいのぉー。…あっそうそう。病院で人にはあったけども、恐らくだぁれも私達のことなんて気にかけてませんよ」
にこっと可愛らしく私に笑いかけて、地獄に突き落とすようなことを宣言してくる。
「そ、そんなのわからないじゃないですか…!気絶した女子高生を、同い年くらいの女子高生が連れてるとこなんて見かけたら誰でも…」
「女子高生?私、歌歩ちゃんを病院から連れ出した時女子高生の姿なんてしてませんでしたよ」
トガヒミコは私のことを「なんでそんな変なこと言うの?」とでも言いたげな顔で見つめて来る。
「あっ。ひょっとして歌歩ちゃん、私の個性お忘れですか?」
そう尋ねられて、首を傾げながら覚えてると答える。この子の個性は、変身。他人の血を採って、それを飲むことによってその人の姿に変わることが出来る…。でもそれが一体なんだっていうの…?そんな私の思考を読み取ったのか
「荼毘君とミスターの言う通り、歌歩ちゃんはちょーっとだけ頭が足りませんね。そんなところもかぁいい。もっと大好きになっちゃう」
とクスクスと笑いながら、私をまた抱きしめて
「さっき言ったように、あそこの病院には私達に力を貸してくれる人が沢山いるんです。そのうちの1人の看護師さんにね、血を貰ったの。で、歌歩ちゃんにお薬を打って眠らせた後、その看護師さんに変身して歌歩ちゃんを車椅子に乗せて、駐車場まで運んでそこから車に乗ったの」
と話し出した。そして私の耳元に唇を寄せて内緒話でもするように
「歌歩ちゃんは気にしますか?可笑しいなぁって思いますか?看護師さんが、病院で患者さんを車椅子に乗せているところを見かけて」
と聞かれ、言い返す言葉を見つけられない。思わないよね?私も思いません。他の人達もみーんな、思わなかったみたいだよ。だから歌歩ちゃんは今ここにいるの!だから今、私達に捕まっちゃったんだよと、心底嬉しそうに告げられた。
「も、もしかしたら、神野の時のニュース見てて、それで私の顔を覚えている人が…」
「いたとしても、その時車椅子に乗せられて運ばれてたガキがお前だって気付くやつとかいねぇだろ。雄英の制服着てたんならまだしも、私服でしかも寝てて車椅子座ってちゃ顔もよく見えねぇだろうしな」
「か、監視カメラ…!監視カメラに写って…」
「あぁ、あの病院今、監視カメラ全部ぶっ壊れちまってるらしいぜ。なんでだろうな?だから残念。お前のこともこのイカレ野郎も写ってねぇよ」
なんでだろうな…?そんなのこの人達がそれも仕込んだに決まってる…!
「ほ、他の、貴方達の、息のかかっていない、従業員だって…!」
「誰か会ったか?俺らの息がかかってないやつに」
「う、受付のお姉さん…」
「残念だったなー、あいつも俺達のグル」
他には誰か会ったかー?患者とか、看護師とか、誰かいたか?と聞かれて、誰にも会っていないことに気がつく。それも、この人達が仕組んだの…?私を捕まえる……たったそれだけのために……?涙が溢れそうになるのを堪えるため、唇を噛み締める。
そしてハッと気がつく。
「じゃ、蛇腔病院!私は、蛇腔病院に入院してることになってます。だから、蛇腔病院に私が行ってないってなったら雄英に連絡が…」
「あ、そうだね、行っちゃうね大変だどうしよう!!」
Mr.コンプレスが少し焦ったように言う。良かった、まだ希望は…
「なーんちゃって。残念。あの病院も同じ。お偉いさんが死柄木と関わりの深い人で色々と細工してあるよ」
見えかけたと思ったら、どうやらそれは幻だったらしい。
「これで分かったろ、お嬢さん。もう誰も助けに来ねぇよ」
分かったらさっさと諦めた方がお前のためだぜ?俺達は優しいから、言ってやってんだ。無駄な希望抱いて悲しい思いさせたくないからとまた、嘲笑われる。
どんなに必死に頭を動かして希望を見つけ出そうとしても、悉く壊されていく。
「なんで…なんで、そこまでして私を捕まえたの…?」
私みたいな、何の力もないようなただの女子高生1人捕まえるくらいもっと簡単に出来そうなのに…。なのになんでここまで…。
「だってここまでしないと確実に歌歩ちゃんのこと捕まえられないんですもん」
トガヒミコが私に微笑みかけながら語り始めた。
「弔君が歌歩ちゃんの病室へ行ったあの日ね、本当はそのまま歌歩ちゃんを連れてくるつもりだったんですって。だから首絞めて気絶させようとしてたら、そこに出久君が来ちゃって出来なかったって言ってました。弔君、出久君に邪魔されてすっごくすーっごく機嫌悪くて大変でした」
私も、出久君はだーい好きだけれども、歌歩ちゃんを連れて来てもらえなくて残念だなーって、その時ばっかりはちょっと出久君嫌いになっちゃいそうでしたよぉーと、私のことを縛っている縄を撫でながら溜息を吐く。
「よっぽど悔しかったんでしょうね。もう少しのところで邪魔されたのが。それでね、弔君が言ったの」
トガヒミコの冷たい手が、私の頬を包みこむ。
「次、歌歩ちゃんを捕まえに行く時は沢山準備して、100%歌歩ちゃんを捕まえるように、歌歩ちゃんが絶対に逃げられないようにするって」
じっと見つめてくる視線から逃げたいのに、手を離して貰えないので逃げられない。
「だからね、私達沢山準備したんです。絶対に邪魔が入らないように、色んな人に協力してもらって」
そしたらちゃんと、歌歩ちゃんを捕まえれましたと、蕩けるような笑顔で言われる。
「私達、すっごーく頑張ったんですよ。歌歩ちゃんを手に入れるために、綿密に計画を立てて。でも、雄英やヒーローはそれら全部怠った」
……まるで蜘蛛の巣だ。とても大きな、大きな蜘蛛の巣。
「あの人達は歌歩ちゃんを守るためになんにも頑張らなかったし、準備もしなかった」
長くて細くて頑丈な無数の糸が至る所に張り巡らされていて、
「だから歌歩ちゃんを守れなくて、私達に取られちゃいました」
その無数の糸に私はもう、とっくの昔に全身巻き付かれていて……
「歌歩ちゃん。今ね、弔君は少し、眠りについているの」
身動き取れないように、逃げられないように
「だから弔君が起きるまでずっと…ずーっとここにいて待っててね」
がんじがらめに絡め取られて、蜘蛛の巣に捕らわれた哀れな獲物になってしまっていたんだ。
………いつか、この蜘蛛の巣から逃げられる日が来るのかな。あの日の蝶々みたいに、私も自由な世界へ帰れるのかな。
……ねぇ、勝己君。勝己、君。お願い。この蜘蛛の巣から私を、たすけだして………
「そんなこと、ありません。雄英の先生達も、他のヒーローもみんな、いつも私を守るために色々としてくれました。これからだって、そうです。今にもきっとヒーローがここの病院に乗り込んできて、私は救出されて貴方達はあっという間に…」
「ここの病院?歌歩ちゃん何言っているんですか?ここは病院じゃないよ」
必死に強がって、なんとか大見得を切ろうとしたが出鼻を挫かれた。私の病院という発言に対してトガヒミコがきょとんと首を傾げながら不思議そうな顔で言う。え…
「病院じゃない…?そんな訳、ないじゃないですか…何言って…」
「本当ですよー。そんな噓吐く訳ないじゃないですかぁ。そもそも歌歩ちゃん私と一緒に…あっそっか!そういえば歌歩ちゃんお薬打ってたからすやすやと眠っていましたもんね。寝顔がとってもとーってもかぁいくて頭沢山なでなでしてたの忘れてましたぁ。そうだよね、眠ってたら覚えている訳ないもんねぇ」
ごめんねー、1番最初に言ってあげるべきでしたと、無邪気に笑いながら閉められていたカーテンを開いた。と、見えてきた景色は
「え…は…」
辺り一面、森が広がっていた。
「ここね、山奥にあるお屋敷なんです。自然が沢山ある結構いいとこなんですよ。そうだ、後で2人でお散歩にでも行きましょうか!…あ、でも歌歩ちゃん外に出しちゃダメって言われてるんだった…残念…。一緒にお出かけしたかったなー…」
と、心底残念そうな顔と声音で言う。
「な、なんで…」
なんで病院じゃないの…と呟くと
「そりゃずっと同じとこに居座る訳ねぇだろ。それもヒーローや雄英の奴らが来る可能性あるとこにミスミスお前置いとくなんてことするほど俺らも馬鹿じゃねぇよ」
お前本当に雄英生かよ、信じらんねぇくらい頭足んねぇなと嘲笑いながら言う荼毘に対して「こーら、そんな意地悪言わないでやれよ。希望くらい持ちたいでしょうよ」と、Mr.コンプレスが苦笑気味に諫めている。でもそう言っている彼も、内心私のことをバカにしているんだということが伝わってくる。
「で、でもっ…!雄英から送ってくれたヒーローと、車を運転してくれた運転手さんだっています。だからきっと、あの人達が…」
「あー、うん…庇った矢先に手のひら返すけどごめん。荼毘のいう通り君、その頭でよく雄英入れたね。そこまで察しが悪いとはびっくりだ」
きっと勉強すごく頑張ったんだね、偉い偉いとまた頭を撫でてくる。その目は完全に私のことを見下している。
「そんな察しの悪いお嬢さんにおじさんが教えてあげよう。君のことを送迎してくれた2人…あのヒーローも運転手も、俺らの息がかかった人間だよ」
考えたくもなかった現実で突き刺される。ヒーロー…が…?そ、そんな…!
「びょ、病院…病院から私を連れ出した時、きっと私とトガヒミコを見かけた人がいると思います…その人がきっと、証言してくれて…それで、きっと…」
「トガヒミコ…なんてフルネームで呼ばないでよー。私は歌歩ちゃんってお名前で呼んでるんだから、歌歩ちゃんにも私のことはヒミコちゃんって名前で呼んで欲しいですー」
震える声で話す私に対してトガヒミコは唇を尖らせながら私の頬を突きながら言う。
「よ、呼びません…!友達でもないのに…!」
「じゃあお友達になりましょー!だからヒミコちゃんって呼んでねー!」
と、きつくぎゅーっと抱き締めながら言われる。嫌っ…!と言うと
「私も嫌ですぅ。歌歩ちゃんとお友達になりたいのぉー。ヒミコちゃんって呼ばれたいのぉー。…あっそうそう。病院で人にはあったけども、恐らくだぁれも私達のことなんて気にかけてませんよ」
にこっと可愛らしく私に笑いかけて、地獄に突き落とすようなことを宣言してくる。
「そ、そんなのわからないじゃないですか…!気絶した女子高生を、同い年くらいの女子高生が連れてるとこなんて見かけたら誰でも…」
「女子高生?私、歌歩ちゃんを病院から連れ出した時女子高生の姿なんてしてませんでしたよ」
トガヒミコは私のことを「なんでそんな変なこと言うの?」とでも言いたげな顔で見つめて来る。
「あっ。ひょっとして歌歩ちゃん、私の個性お忘れですか?」
そう尋ねられて、首を傾げながら覚えてると答える。この子の個性は、変身。他人の血を採って、それを飲むことによってその人の姿に変わることが出来る…。でもそれが一体なんだっていうの…?そんな私の思考を読み取ったのか
「荼毘君とミスターの言う通り、歌歩ちゃんはちょーっとだけ頭が足りませんね。そんなところもかぁいい。もっと大好きになっちゃう」
とクスクスと笑いながら、私をまた抱きしめて
「さっき言ったように、あそこの病院には私達に力を貸してくれる人が沢山いるんです。そのうちの1人の看護師さんにね、血を貰ったの。で、歌歩ちゃんにお薬を打って眠らせた後、その看護師さんに変身して歌歩ちゃんを車椅子に乗せて、駐車場まで運んでそこから車に乗ったの」
と話し出した。そして私の耳元に唇を寄せて内緒話でもするように
「歌歩ちゃんは気にしますか?可笑しいなぁって思いますか?看護師さんが、病院で患者さんを車椅子に乗せているところを見かけて」
と聞かれ、言い返す言葉を見つけられない。思わないよね?私も思いません。他の人達もみーんな、思わなかったみたいだよ。だから歌歩ちゃんは今ここにいるの!だから今、私達に捕まっちゃったんだよと、心底嬉しそうに告げられた。
「も、もしかしたら、神野の時のニュース見てて、それで私の顔を覚えている人が…」
「いたとしても、その時車椅子に乗せられて運ばれてたガキがお前だって気付くやつとかいねぇだろ。雄英の制服着てたんならまだしも、私服でしかも寝てて車椅子座ってちゃ顔もよく見えねぇだろうしな」
「か、監視カメラ…!監視カメラに写って…」
「あぁ、あの病院今、監視カメラ全部ぶっ壊れちまってるらしいぜ。なんでだろうな?だから残念。お前のこともこのイカレ野郎も写ってねぇよ」
なんでだろうな…?そんなのこの人達がそれも仕込んだに決まってる…!
「ほ、他の、貴方達の、息のかかっていない、従業員だって…!」
「誰か会ったか?俺らの息がかかってないやつに」
「う、受付のお姉さん…」
「残念だったなー、あいつも俺達のグル」
他には誰か会ったかー?患者とか、看護師とか、誰かいたか?と聞かれて、誰にも会っていないことに気がつく。それも、この人達が仕組んだの…?私を捕まえる……たったそれだけのために……?涙が溢れそうになるのを堪えるため、唇を噛み締める。
そしてハッと気がつく。
「じゃ、蛇腔病院!私は、蛇腔病院に入院してることになってます。だから、蛇腔病院に私が行ってないってなったら雄英に連絡が…」
「あ、そうだね、行っちゃうね大変だどうしよう!!」
Mr.コンプレスが少し焦ったように言う。良かった、まだ希望は…
「なーんちゃって。残念。あの病院も同じ。お偉いさんが死柄木と関わりの深い人で色々と細工してあるよ」
見えかけたと思ったら、どうやらそれは幻だったらしい。
「これで分かったろ、お嬢さん。もう誰も助けに来ねぇよ」
分かったらさっさと諦めた方がお前のためだぜ?俺達は優しいから、言ってやってんだ。無駄な希望抱いて悲しい思いさせたくないからとまた、嘲笑われる。
どんなに必死に頭を動かして希望を見つけ出そうとしても、悉く壊されていく。
「なんで…なんで、そこまでして私を捕まえたの…?」
私みたいな、何の力もないようなただの女子高生1人捕まえるくらいもっと簡単に出来そうなのに…。なのになんでここまで…。
「だってここまでしないと確実に歌歩ちゃんのこと捕まえられないんですもん」
トガヒミコが私に微笑みかけながら語り始めた。
「弔君が歌歩ちゃんの病室へ行ったあの日ね、本当はそのまま歌歩ちゃんを連れてくるつもりだったんですって。だから首絞めて気絶させようとしてたら、そこに出久君が来ちゃって出来なかったって言ってました。弔君、出久君に邪魔されてすっごくすーっごく機嫌悪くて大変でした」
私も、出久君はだーい好きだけれども、歌歩ちゃんを連れて来てもらえなくて残念だなーって、その時ばっかりはちょっと出久君嫌いになっちゃいそうでしたよぉーと、私のことを縛っている縄を撫でながら溜息を吐く。
「よっぽど悔しかったんでしょうね。もう少しのところで邪魔されたのが。それでね、弔君が言ったの」
トガヒミコの冷たい手が、私の頬を包みこむ。
「次、歌歩ちゃんを捕まえに行く時は沢山準備して、100%歌歩ちゃんを捕まえるように、歌歩ちゃんが絶対に逃げられないようにするって」
じっと見つめてくる視線から逃げたいのに、手を離して貰えないので逃げられない。
「だからね、私達沢山準備したんです。絶対に邪魔が入らないように、色んな人に協力してもらって」
そしたらちゃんと、歌歩ちゃんを捕まえれましたと、蕩けるような笑顔で言われる。
「私達、すっごーく頑張ったんですよ。歌歩ちゃんを手に入れるために、綿密に計画を立てて。でも、雄英やヒーローはそれら全部怠った」
……まるで蜘蛛の巣だ。とても大きな、大きな蜘蛛の巣。
「あの人達は歌歩ちゃんを守るためになんにも頑張らなかったし、準備もしなかった」
長くて細くて頑丈な無数の糸が至る所に張り巡らされていて、
「だから歌歩ちゃんを守れなくて、私達に取られちゃいました」
その無数の糸に私はもう、とっくの昔に全身巻き付かれていて……
「歌歩ちゃん。今ね、弔君は少し、眠りについているの」
身動き取れないように、逃げられないように
「だから弔君が起きるまでずっと…ずーっとここにいて待っててね」
がんじがらめに絡め取られて、蜘蛛の巣に捕らわれた哀れな獲物になってしまっていたんだ。
………いつか、この蜘蛛の巣から逃げられる日が来るのかな。あの日の蝶々みたいに、私も自由な世界へ帰れるのかな。
……ねぇ、勝己君。勝己、君。お願い。この蜘蛛の巣から私を、たすけだして………
