向日葵
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「じんぐー…ベー?」
「ジングルベール、だよ。エリちゃん」
「じんぐるべーる?」
「うん、そう。ジングルベール、ジングルベール、すずがーなるー♪って歌うの」
サンタ服を着せながらエリちゃんにクリスマスソングを教えてみると、楽しそうにジングルベルを歌い始めた。今日も今日とてエリちゃんは可愛い。日々の癒しだ。
「歌歩さん…サンタさん今日、私の所に来てくれるかな?」
不安気な様子で尋ねて来るエリちゃんに思わずクスッと笑ってしまう。
「もちろん来てくれるよ。エリちゃんすっごく良い子だもの。おまけにとっても可愛いし!」
「可愛いは関係なくないか」
エリちゃんに可愛いというと、話しを聞いていた相澤先生からそうツッコみが飛んできた。「そんなことないですよ!」といったら「そうか…」とやや面倒臭そうに言われた。
「無居今日はC組に顔出すんだったよな」
エリちゃんにサンタ服を着せ終えると相澤先生に聞かれた。
「はい、そうします。1時間くらいパーティに参加させてもらってからA組に戻るつもりです」
「わかった。戻ってくる時は爆豪呼び出すなり、心操に送ってもらうなりしてもらえよ」
学校の敷地内とはいえ、何かあったりしたら大変だからなとエリちゃんの頭を撫でながら言う相澤先生にちょっと大げさなんじゃと思いつつも「わかりました」と返事をする。
「歌歩さん」
私のスカートの裾を軽く引っ張りじっと見つめながら、エリちゃんが話しかけてきた。
「どうしたの、エリちゃん」
目線が合う様にしゃがみながら尋ねてみると
「A組に戻ってきたら、私と一緒にケーキとご飯食べてね」
と、何とも可愛らしいお願いをされた。「もちろん!いっぱい一緒に食べようね!」思い切り抱きしめながら言うと、「うん!」と抱きしめ返しながら元気一杯に返事をしてくれた。そんな私達のことを、相澤先生は呆れつつも微笑ましそうに見つめていた。
◇
「あーっっっ!無居さんだ!!」
クラスに顔を出すと、クラスメイトの1人の絶叫に迎えられた。それを合図に、何人かの子達が駆け寄って来た。
「久しぶりー!具合大丈夫なの?」
「もうクラス戻って来れるのか?」
「A組で嫌な事とかない?」
「勉強とかで困ってることあったら言ってね。私でよかったら教えるから」
と、矢継ぎ早にみんなに話しかけられて頭がパンクしそうになる。みんな心配してくれてたんだ…。嬉しいけどどうしよう、ちょっとどれから答えればいいのかなこれ…!
「お前ら落ち着けって。そんないっぺんに色々と聞かれたら無居困るだろ。とりあえず一旦中入れてやれよ。さみぃし」
どうしたものかと思っていると助け船が出された。この声の主はもちろん…
「あっそうだね、心操の言う通りだわ。ごめんね、無居さんが来るって知らなくてつい…」
心操君だ。謝罪してくるクラスメイト達に大丈夫だと伝え、中へ入れてもらいパーティを開始することになった。
◇
「無居さん、ご飯とかケーキあるけどほんとに食べなくていいの?」
「うん。A組の方でエリちゃんと一緒に食べる約束してるから今食べたらお腹一杯になっちゃいそうだから…。ごめんね、せっかく切り分けてくれたのに…」
そう謝罪すると「気にしなくていいよー!」と言ってくれたのでとりあえずほっとする。
「エリちゃんてあの子でしょ?死穢八齋會の事件の時に保護されたっていう」
「うん。すっごく可愛くて天使みたいな子なんだよー」
と返すと、「無居さん超にやけてる…」と呆れた様に言われた。
「無居はエリちゃんバカだから。大目に見てやってくれ」
隣に座って七面鳥を食べながら言う心操君。バカって酷くない?と抗議すると「ほんとのことだから仕方ねぇだろ」と淡々と返された。頬をムスっと膨らませると、ぷっと吹き出して「小学生かよ」とちょっとバカにしてくる。ムカつく…。
「ちょっとちょっとー、久しぶりに帰って来たと思ったらイチャつかないでよねー 」
私達のやり取りを見ていたクラスメイトの1人が茶々入れをしてくる。それを合図にみんなが一斉に私と心操君のことを弄り始める。どうしたら良いのかわからずおたおたしている私とは対照的に心操君は涼しい顔で対応していてなんだか負けた様な気がして悔しい。この朴念仁め!
◇
「それにしてもほんと、無居さんと久しぶりに会えてよかったよー」
「ね。元気そうで安心した」
ワイワイみんなと盛り上がっていると、そう声を掛けられた。
「私も。久しぶりにC組に帰って来れたって感じして楽しい」
ありがとね、とお礼を言うと「お礼言うようなこと?」と笑われてしまった。
「復学もうすぐなの?」
「うーん…それはまだ先になりそう。1月になったらまた少しの期間入院するかもしれないし」
「えっそうなの?大丈夫?やっぱまだ具合悪いの?」
心配そうに聞いて来るクラスメイトに「どこか悪いって訳ではなくて、検査入院みたいな感じらしいの。だからそこまで心配するようなことはないみたい」と伝えると、なんだ良かったー…と安心したように言われた。
「無居、そろそろA組戻んないとエリちゃんと料理食えなくなるんじゃないか」
と心操君に言われて時計を見てハッとする。
「ごめん、水差しちまって…」
そう謝罪してくる心操君に大丈夫だと伝えて、みんなにお礼を言いつつ帰り支度を急いで済ませ、クラスメイト達に軽く挨拶をして寮を出ようとすると
「送るよ」
と言いながら心操君がドアを開けてくれた。
「えっ、良いよ、寮そんな遠くないし…」
と断ろうとしたが、
「相澤先生に言われてんだよ。お前のことちゃんと送るようにって」
1人で帰らせたりなんてしたら俺があの人に絞め上げられる、と言われた。相澤先生、私が1人で帰ろうとするの見越して心操君に送るように言っておいたのかな…?そんなことを考えつつも、クラスメイト達に手を振り寮を後にした。なんだかみんな、ニヤニヤしていた気がするのは気のせいだろうか。
◇
「俺のコート着るか?」
サンタ服だけだと寒そうだしと聞いてきてくれる心操君に大丈夫、ありがとうと言うと「そうか。寒かったら言えよ」と返って来た。優しい。心操君て良いお父さんや良いお兄ちゃんになりそうだねと言ったら「なんだそりゃ」と呆れた様に言われてしまった。
「そうそう、これ」
と言って、可愛らしくラッピングされたプレゼントを渡された。
「何?これ誰かへのプレゼント?」
「あぁ。エリちゃんにクリスマスプレゼント。今日渡そうと思ってたんだけど会えなかったから渡しといてくれ」
とのこと。A組にいるから直接渡してあげればいいのにと言ったら「A組でパーティしてるとこに入ってくのはなんか気まずい」ということらしい。それは確かにそうか…。
「うん、わかった。渡しておくね」
「頼んだ」
そんな会話をしていると、A組の寮が見えてきた。
「無居」
不意に心操君に名前を呼ばれた。
「何?」
「あの…これ…」
そういいながらコートのポケットからラッピングされた小箱を取り出して渡された。「これもエリちゃんに?」と聞いたら「いや、それは、お前に…」と返された。
「えっ!私に?!」
「おう…」
と、目を逸らしながら返事をされた。どうして逸らすんだろう?
「ありがとう。あの、開けてもいい?」
と聞くと、相変わらず目を逸らしたままこくりと頷かれた。なんだろうな―とわくわくした気持ちで箱を開けてみると
「わっ可愛い!!」
中からハリネズミの腕時計が出て来て思わず声を上げてしまった。
「ハリネズミ…好きって言ってたから、喜んでくれっかなって、思ったんだ。気に入ってくれたら、嬉しい…」
と言っている心操君に「すっごく気に入った!ありがとう。大事にするね。さっそく着けて良い?」と聞いてみると「…おう」と微かに微笑みながら返事をされた。
「あっ…」
「どうした?」
私があっというと心操君が不思議そうな顔で首を傾げている。
「あの…プレゼントくれてすっごく嬉しいんだけどね、私、何も用意してなくて…」
申し訳ないなって…と言ったら「なんだそんなことか」とため息交じりに言われてしまった。
「そんなことじゃないよ大事なことだって!」
というと「そうか…?」と返答された。「そうなの!」と返したら少し何か考えるような素振りを見せた。
「じゃあさ、俺の頼み聞いてくれないか?」
そしてそう問い掛けてきた。頼み?とオウム返しにすると「あぁ」と言われた。私に出来ることなら!と返すと
「1度だけ。1度だけでいいから、どっか。2人キリで出かけてくれねぇか?体調回復してから」
と持ち掛けてきた。2人キリってそれって…
「デート?」
「ま、まぁそんなとこ…」
デートといったら心操君は真っ赤になった。
「…大丈夫?クラスで変な噂流されたりでもしたら心操君困らない?」
「困る様な事だったら言わないって…」
それもそっか。
「とびっきり可愛い服着て、頑張ってお洒落するね!」
というと心操君は驚いたように目を見開き、「良いのか?」と聞いてきた。
「もちろん。私も心操君と2人で出掛けたいし!」
と答えたら「そっか…そう、か…。ありがとう」となぜかお礼を言われた。
「って、あっ…寮、着いたな。じゃあ、俺は戻るよ。じゃ…」
「あっ待って、心操君!」
捲し立てる様に言い、足早に去ろうとする心操君を慌てて呼び止めると、「何?」と立ち止まってくれた。一泊置き、
「ヒーロー科編入決定、おめでとう!」
本当はもっと早く言いたかったのだけど。言うタイミングを逃してしまって伝えられていなかった言葉を伝えた。すると心操君はきょとんとした。そしてすぐに
「ありがとう!」
珍しく満面の笑みでお礼を言ってくれた。
良かった、心操君すごく喜んでくれて。
早く出かけても良い日が来ればいいな。そしたらその時は、心操君に沢山お礼をしたい。プレゼントのことも、それ以外のことも、沢山。そんな思いに馳せながら、足早に去って行く心操君の背中を見送った。
「ジングルベール、だよ。エリちゃん」
「じんぐるべーる?」
「うん、そう。ジングルベール、ジングルベール、すずがーなるー♪って歌うの」
サンタ服を着せながらエリちゃんにクリスマスソングを教えてみると、楽しそうにジングルベルを歌い始めた。今日も今日とてエリちゃんは可愛い。日々の癒しだ。
「歌歩さん…サンタさん今日、私の所に来てくれるかな?」
不安気な様子で尋ねて来るエリちゃんに思わずクスッと笑ってしまう。
「もちろん来てくれるよ。エリちゃんすっごく良い子だもの。おまけにとっても可愛いし!」
「可愛いは関係なくないか」
エリちゃんに可愛いというと、話しを聞いていた相澤先生からそうツッコみが飛んできた。「そんなことないですよ!」といったら「そうか…」とやや面倒臭そうに言われた。
「無居今日はC組に顔出すんだったよな」
エリちゃんにサンタ服を着せ終えると相澤先生に聞かれた。
「はい、そうします。1時間くらいパーティに参加させてもらってからA組に戻るつもりです」
「わかった。戻ってくる時は爆豪呼び出すなり、心操に送ってもらうなりしてもらえよ」
学校の敷地内とはいえ、何かあったりしたら大変だからなとエリちゃんの頭を撫でながら言う相澤先生にちょっと大げさなんじゃと思いつつも「わかりました」と返事をする。
「歌歩さん」
私のスカートの裾を軽く引っ張りじっと見つめながら、エリちゃんが話しかけてきた。
「どうしたの、エリちゃん」
目線が合う様にしゃがみながら尋ねてみると
「A組に戻ってきたら、私と一緒にケーキとご飯食べてね」
と、何とも可愛らしいお願いをされた。「もちろん!いっぱい一緒に食べようね!」思い切り抱きしめながら言うと、「うん!」と抱きしめ返しながら元気一杯に返事をしてくれた。そんな私達のことを、相澤先生は呆れつつも微笑ましそうに見つめていた。
◇
「あーっっっ!無居さんだ!!」
クラスに顔を出すと、クラスメイトの1人の絶叫に迎えられた。それを合図に、何人かの子達が駆け寄って来た。
「久しぶりー!具合大丈夫なの?」
「もうクラス戻って来れるのか?」
「A組で嫌な事とかない?」
「勉強とかで困ってることあったら言ってね。私でよかったら教えるから」
と、矢継ぎ早にみんなに話しかけられて頭がパンクしそうになる。みんな心配してくれてたんだ…。嬉しいけどどうしよう、ちょっとどれから答えればいいのかなこれ…!
「お前ら落ち着けって。そんないっぺんに色々と聞かれたら無居困るだろ。とりあえず一旦中入れてやれよ。さみぃし」
どうしたものかと思っていると助け船が出された。この声の主はもちろん…
「あっそうだね、心操の言う通りだわ。ごめんね、無居さんが来るって知らなくてつい…」
心操君だ。謝罪してくるクラスメイト達に大丈夫だと伝え、中へ入れてもらいパーティを開始することになった。
◇
「無居さん、ご飯とかケーキあるけどほんとに食べなくていいの?」
「うん。A組の方でエリちゃんと一緒に食べる約束してるから今食べたらお腹一杯になっちゃいそうだから…。ごめんね、せっかく切り分けてくれたのに…」
そう謝罪すると「気にしなくていいよー!」と言ってくれたのでとりあえずほっとする。
「エリちゃんてあの子でしょ?死穢八齋會の事件の時に保護されたっていう」
「うん。すっごく可愛くて天使みたいな子なんだよー」
と返すと、「無居さん超にやけてる…」と呆れた様に言われた。
「無居はエリちゃんバカだから。大目に見てやってくれ」
隣に座って七面鳥を食べながら言う心操君。バカって酷くない?と抗議すると「ほんとのことだから仕方ねぇだろ」と淡々と返された。頬をムスっと膨らませると、ぷっと吹き出して「小学生かよ」とちょっとバカにしてくる。ムカつく…。
「ちょっとちょっとー、久しぶりに帰って来たと思ったらイチャつかないでよねー 」
私達のやり取りを見ていたクラスメイトの1人が茶々入れをしてくる。それを合図にみんなが一斉に私と心操君のことを弄り始める。どうしたら良いのかわからずおたおたしている私とは対照的に心操君は涼しい顔で対応していてなんだか負けた様な気がして悔しい。この朴念仁め!
◇
「それにしてもほんと、無居さんと久しぶりに会えてよかったよー」
「ね。元気そうで安心した」
ワイワイみんなと盛り上がっていると、そう声を掛けられた。
「私も。久しぶりにC組に帰って来れたって感じして楽しい」
ありがとね、とお礼を言うと「お礼言うようなこと?」と笑われてしまった。
「復学もうすぐなの?」
「うーん…それはまだ先になりそう。1月になったらまた少しの期間入院するかもしれないし」
「えっそうなの?大丈夫?やっぱまだ具合悪いの?」
心配そうに聞いて来るクラスメイトに「どこか悪いって訳ではなくて、検査入院みたいな感じらしいの。だからそこまで心配するようなことはないみたい」と伝えると、なんだ良かったー…と安心したように言われた。
「無居、そろそろA組戻んないとエリちゃんと料理食えなくなるんじゃないか」
と心操君に言われて時計を見てハッとする。
「ごめん、水差しちまって…」
そう謝罪してくる心操君に大丈夫だと伝えて、みんなにお礼を言いつつ帰り支度を急いで済ませ、クラスメイト達に軽く挨拶をして寮を出ようとすると
「送るよ」
と言いながら心操君がドアを開けてくれた。
「えっ、良いよ、寮そんな遠くないし…」
と断ろうとしたが、
「相澤先生に言われてんだよ。お前のことちゃんと送るようにって」
1人で帰らせたりなんてしたら俺があの人に絞め上げられる、と言われた。相澤先生、私が1人で帰ろうとするの見越して心操君に送るように言っておいたのかな…?そんなことを考えつつも、クラスメイト達に手を振り寮を後にした。なんだかみんな、ニヤニヤしていた気がするのは気のせいだろうか。
◇
「俺のコート着るか?」
サンタ服だけだと寒そうだしと聞いてきてくれる心操君に大丈夫、ありがとうと言うと「そうか。寒かったら言えよ」と返って来た。優しい。心操君て良いお父さんや良いお兄ちゃんになりそうだねと言ったら「なんだそりゃ」と呆れた様に言われてしまった。
「そうそう、これ」
と言って、可愛らしくラッピングされたプレゼントを渡された。
「何?これ誰かへのプレゼント?」
「あぁ。エリちゃんにクリスマスプレゼント。今日渡そうと思ってたんだけど会えなかったから渡しといてくれ」
とのこと。A組にいるから直接渡してあげればいいのにと言ったら「A組でパーティしてるとこに入ってくのはなんか気まずい」ということらしい。それは確かにそうか…。
「うん、わかった。渡しておくね」
「頼んだ」
そんな会話をしていると、A組の寮が見えてきた。
「無居」
不意に心操君に名前を呼ばれた。
「何?」
「あの…これ…」
そういいながらコートのポケットからラッピングされた小箱を取り出して渡された。「これもエリちゃんに?」と聞いたら「いや、それは、お前に…」と返された。
「えっ!私に?!」
「おう…」
と、目を逸らしながら返事をされた。どうして逸らすんだろう?
「ありがとう。あの、開けてもいい?」
と聞くと、相変わらず目を逸らしたままこくりと頷かれた。なんだろうな―とわくわくした気持ちで箱を開けてみると
「わっ可愛い!!」
中からハリネズミの腕時計が出て来て思わず声を上げてしまった。
「ハリネズミ…好きって言ってたから、喜んでくれっかなって、思ったんだ。気に入ってくれたら、嬉しい…」
と言っている心操君に「すっごく気に入った!ありがとう。大事にするね。さっそく着けて良い?」と聞いてみると「…おう」と微かに微笑みながら返事をされた。
「あっ…」
「どうした?」
私があっというと心操君が不思議そうな顔で首を傾げている。
「あの…プレゼントくれてすっごく嬉しいんだけどね、私、何も用意してなくて…」
申し訳ないなって…と言ったら「なんだそんなことか」とため息交じりに言われてしまった。
「そんなことじゃないよ大事なことだって!」
というと「そうか…?」と返答された。「そうなの!」と返したら少し何か考えるような素振りを見せた。
「じゃあさ、俺の頼み聞いてくれないか?」
そしてそう問い掛けてきた。頼み?とオウム返しにすると「あぁ」と言われた。私に出来ることなら!と返すと
「1度だけ。1度だけでいいから、どっか。2人キリで出かけてくれねぇか?体調回復してから」
と持ち掛けてきた。2人キリってそれって…
「デート?」
「ま、まぁそんなとこ…」
デートといったら心操君は真っ赤になった。
「…大丈夫?クラスで変な噂流されたりでもしたら心操君困らない?」
「困る様な事だったら言わないって…」
それもそっか。
「とびっきり可愛い服着て、頑張ってお洒落するね!」
というと心操君は驚いたように目を見開き、「良いのか?」と聞いてきた。
「もちろん。私も心操君と2人で出掛けたいし!」
と答えたら「そっか…そう、か…。ありがとう」となぜかお礼を言われた。
「って、あっ…寮、着いたな。じゃあ、俺は戻るよ。じゃ…」
「あっ待って、心操君!」
捲し立てる様に言い、足早に去ろうとする心操君を慌てて呼び止めると、「何?」と立ち止まってくれた。一泊置き、
「ヒーロー科編入決定、おめでとう!」
本当はもっと早く言いたかったのだけど。言うタイミングを逃してしまって伝えられていなかった言葉を伝えた。すると心操君はきょとんとした。そしてすぐに
「ありがとう!」
珍しく満面の笑みでお礼を言ってくれた。
良かった、心操君すごく喜んでくれて。
早く出かけても良い日が来ればいいな。そしたらその時は、心操君に沢山お礼をしたい。プレゼントのことも、それ以外のことも、沢山。そんな思いに馳せながら、足早に去って行く心操君の背中を見送った。