向日葵
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
歌歩ちゃんは優しくて可愛い、自慢の幼馴染だ。
泣き虫過ぎてびっくりすることは多かったけど。僕の中にいる歌歩ちゃんは泣いていることが1番多い。それは多分、もう1人の幼馴染のかっちゃんの中にいる歌歩ちゃんもきっと、泣いていることが1番多いと思う。歌歩ちゃんは本当に泣き虫で、いつもいつも泣いていたからみんなに泣き虫歌歩と呼ばれていた。だけど僕はそんな泣き虫な歌歩ちゃんが好きだった。だって、歌歩ちゃんが泣く理由はいつも、いつも友達や大切な人のことを思って泣いているんだって伝わってくるから・だから僕はそんな優しい歌歩ちゃんが大好きだった。きっとそれはほかのみんなも、かっちゃんも同じだったんだと思う。だから歌歩ちゃんの周りにはいつも人が沢山いたんだろう。だからみんな、歌歩ちゃんのことを泣き虫と言いながらも一緒にいたんだろう。
だけど歌歩ちゃんは、ある日を境に泣かなくなった。泣かなくなった代わりに沢山笑うようになった。...とても、辛そうに笑うようになった。
「出久?どうしたのぼーっとして」
考え事をしていると心配そうにお母さんが顔をのぞきこんできていた。
「あっ...う、ううん、なんでもないよ!ちょっとあの、今日の授業でのこと考えてただけ!」
そう言うとお母さんはなら良かったと言って夕飯の支度を始めた。
「.......ねぇお母さん。小さい頃さ、僕とかっちゃんと歌歩ちゃんが3人で電車に乗って出かけちゃった時のこと覚えてる?」
「んー?あー覚えてる覚えてる!3人で幼稚園から勝手に抜け出して大騒ぎになったのよね!もうほんと、あの時はすっごいびっくりしたわ。3人共子供だし、何かあったらどうしようって気が気じゃなかったわ。勝己くんのお父さんとお母さんや歌歩ちゃんのお母さんに先生達、それから警察まで一緒になって大騒ぎして探したのよね。だけどみんなで手分けして探しても見つからなくて、大変だったわね。でも、近所中探しても見つからないハズよね。3人共6つも離れた街で見つかったんだもの。まさかそんなとこにいるなんて誰も予想してなくて、びっくりしたわよ。電車に乗ったなんて考えもつかなかったわ」
そう、僕達3人は幼稚園の頃に1度、園から脱走して出かけたことがあった。どうしてそんなことをしたのかーそれは歌歩ちゃんのお父さんを探しに行くためにだった。歌歩ちゃんのお父さんはある日突然どこかへ行き、そのまま帰ってこなくなってしまった。お父さんがいなくなってしまってから、歌歩ちゃんはずっと泣いていた。みんなと遊ぶ時も、おやつを食べてる時も、家に帰る時もずっと、ずーっと泣いていた。そんな歌歩ちゃんを見るのはとても辛くて、悲しかった。
そんな日が続いたある日の事だった。かっちゃんが
『泣くなよ歌歩!大丈夫だ、俺がお前の父ちゃん見つけてやる!そんで1発ぶん殴ってやるんだ!だからもう泣くなよ。な?一緒に父ちゃん探しに行こうぜ』
そう言って、歌歩ちゃんの頭を撫でていた。その光景を今でも鮮明に覚えている。
『本当?本当に?パパのこと見つけてくれるの?』
『あぁ、任せとけ!明日、先生達には内緒でこっそり幼稚園出て探しに行こうぜ!』
2人がこっそり話している様子を見ていたら、思わず僕も2人の間に割って入って
『僕も!僕も一緒に行く!』
と言った。そしたらかっちゃんは
『デクなんか来たって邪魔なだけだぜ。お前はここで待ってろよ』
と言って、しっしっ!と手を振ってきた。
『そ、そんなことないよ!邪魔になんてならない!僕も一緒におじちゃん探しに行く!!』
そう言い駄々をこねるとかっちゃんは深くため息をついて
『わかったよったく仕方ねーな!じゃあお前も連れてってやるよ。その代わり、ぜってー邪魔すんなよ?』
そう言って僕が着いていくことを了承した。
そして次の日、前日の約束通り僕達は先生達の目を盗み園を脱走して電車に乗り込み歌歩ちゃんのお父さんを探しに行った。
「本当に良かったわよ、3人共怪我とか何も無くて...。今となっては思い出のひとつってとこかな。出久達にとってはちょっとした冒険気分だったんじゃない?」
フフ、と笑いながら言うお母さんに苦笑した。
「.....ねぇお母さん」
「んー?」
「あの時ね、僕達歌歩ちゃんのお父さんを探しに行ったんだ」
「あぁ、えぇ、そうだったわね。そう言っていたわね。.....歌歩ちゃんも歌歩ちゃんのお母さんも大変だったわね、お父さんが突然いなくなって...。結局お父さんには会えなかったって言ってたわね.....」
「.....うん」
お父さんを探しに言ったが、結局は会うことが出来なかった。今考えれば当然だ。だって僕達は歌歩ちゃんのお父さんがどこに行ったかなんて知らなかったし、手がかりだってなかったんだから。それなのに幼稚園から抜け出して電車に乗って行ったなんて今考えるとなんて無謀なことをしたのだろうと頭を抱えたくなる。
「歌歩ちゃんのお父さんがどこに行ったのか、お母さんは知ってるの?」
「いいえ、知らないわ。歌歩ちゃんのお母さんは知ってたみたいだけど、とても聞けるような雰囲気じゃなくてね。ママ友関では色々噂はあったらしいけどお母さんはそういうのはあまり好きじゃないから聞かなかったしね。...そういえばあれから少ししてから、出久歌歩ちゃんと前ほど遊ばなくなっちゃったわね。あの日喧嘩でもしちゃったの?」
「.....ううん、喧嘩なんかしてないよ。ただ、ちょっと、あの.....」
「...そっか。喧嘩したわけじゃないなら良かったわ。...また、あの頃みたいに一緒に遊んだり出来るといいわね」
「...........うん、そうだね」
喧嘩なんか、していない。電車に乗っている時や、知らない駅に着いた時とか、楽しかった。目に入ってくるもの何もかもが新鮮で、楽しくて、とてもいい思い出だった。途中までは。
当然ながらあの日、大人たちに見つかるとこっぴどく叱られた。お母さんたちのあまりの剣幕に僕もかっちゃんも思わず泣いてしまった。.....恐らくは、それが原因だったんだ。僕とかっちゃんの泣き顔を見た事により、歌歩ちゃんは責任を感じてしまったみたいだった。
だからなのか、その日以来歌歩ちゃんはなかなくなった。その代わりに、とても辛そうに笑うようになった。辛いのを隠して、無理に自分の感情を押し殺して笑うようになった。本当は大丈夫じゃないのに大丈夫だと、そう言う様になってしまった。
僕は歌歩ちゃんをお父さんに会わせてあげて、歌歩ちゃんに元気を取り戻して欲しかった。なのに、歌歩ちゃんは余計元気じゃなくなった。すごく無理をするようになってしまった。それは僕のせいだ。かっちゃんもきっと、そう思ってる。無理するな、子供の頃みたいに泣け、辛いなら自分のことを頼れ、作り笑いなんかするんじゃねぇ、大丈夫じゃないくせに大丈夫だなんて嘘つくんじゃねぇよ。きっとそう思っているんだ。
だけどつい、素直に言えなくて歌歩ちゃんに辛く当たってしまうのだと思う。あんな風に笑う歌歩ちゃんを見るのが辛くて苦しくて、またそんな笑顔をさせるきっかけを作ってしまった自分のことを許せなくてでもその感情をどこにぶつけていいのか分からなくて、つい歌歩ちゃんにぶつけてしまうんじゃないかと僕は考えている。
だってかっちゃんは、誰よりも歌歩ちゃんのことが大好きで、誰よりも大切に思っているから。
泣き虫過ぎてびっくりすることは多かったけど。僕の中にいる歌歩ちゃんは泣いていることが1番多い。それは多分、もう1人の幼馴染のかっちゃんの中にいる歌歩ちゃんもきっと、泣いていることが1番多いと思う。歌歩ちゃんは本当に泣き虫で、いつもいつも泣いていたからみんなに泣き虫歌歩と呼ばれていた。だけど僕はそんな泣き虫な歌歩ちゃんが好きだった。だって、歌歩ちゃんが泣く理由はいつも、いつも友達や大切な人のことを思って泣いているんだって伝わってくるから・だから僕はそんな優しい歌歩ちゃんが大好きだった。きっとそれはほかのみんなも、かっちゃんも同じだったんだと思う。だから歌歩ちゃんの周りにはいつも人が沢山いたんだろう。だからみんな、歌歩ちゃんのことを泣き虫と言いながらも一緒にいたんだろう。
だけど歌歩ちゃんは、ある日を境に泣かなくなった。泣かなくなった代わりに沢山笑うようになった。...とても、辛そうに笑うようになった。
「出久?どうしたのぼーっとして」
考え事をしていると心配そうにお母さんが顔をのぞきこんできていた。
「あっ...う、ううん、なんでもないよ!ちょっとあの、今日の授業でのこと考えてただけ!」
そう言うとお母さんはなら良かったと言って夕飯の支度を始めた。
「.......ねぇお母さん。小さい頃さ、僕とかっちゃんと歌歩ちゃんが3人で電車に乗って出かけちゃった時のこと覚えてる?」
「んー?あー覚えてる覚えてる!3人で幼稚園から勝手に抜け出して大騒ぎになったのよね!もうほんと、あの時はすっごいびっくりしたわ。3人共子供だし、何かあったらどうしようって気が気じゃなかったわ。勝己くんのお父さんとお母さんや歌歩ちゃんのお母さんに先生達、それから警察まで一緒になって大騒ぎして探したのよね。だけどみんなで手分けして探しても見つからなくて、大変だったわね。でも、近所中探しても見つからないハズよね。3人共6つも離れた街で見つかったんだもの。まさかそんなとこにいるなんて誰も予想してなくて、びっくりしたわよ。電車に乗ったなんて考えもつかなかったわ」
そう、僕達3人は幼稚園の頃に1度、園から脱走して出かけたことがあった。どうしてそんなことをしたのかーそれは歌歩ちゃんのお父さんを探しに行くためにだった。歌歩ちゃんのお父さんはある日突然どこかへ行き、そのまま帰ってこなくなってしまった。お父さんがいなくなってしまってから、歌歩ちゃんはずっと泣いていた。みんなと遊ぶ時も、おやつを食べてる時も、家に帰る時もずっと、ずーっと泣いていた。そんな歌歩ちゃんを見るのはとても辛くて、悲しかった。
そんな日が続いたある日の事だった。かっちゃんが
『泣くなよ歌歩!大丈夫だ、俺がお前の父ちゃん見つけてやる!そんで1発ぶん殴ってやるんだ!だからもう泣くなよ。な?一緒に父ちゃん探しに行こうぜ』
そう言って、歌歩ちゃんの頭を撫でていた。その光景を今でも鮮明に覚えている。
『本当?本当に?パパのこと見つけてくれるの?』
『あぁ、任せとけ!明日、先生達には内緒でこっそり幼稚園出て探しに行こうぜ!』
2人がこっそり話している様子を見ていたら、思わず僕も2人の間に割って入って
『僕も!僕も一緒に行く!』
と言った。そしたらかっちゃんは
『デクなんか来たって邪魔なだけだぜ。お前はここで待ってろよ』
と言って、しっしっ!と手を振ってきた。
『そ、そんなことないよ!邪魔になんてならない!僕も一緒におじちゃん探しに行く!!』
そう言い駄々をこねるとかっちゃんは深くため息をついて
『わかったよったく仕方ねーな!じゃあお前も連れてってやるよ。その代わり、ぜってー邪魔すんなよ?』
そう言って僕が着いていくことを了承した。
そして次の日、前日の約束通り僕達は先生達の目を盗み園を脱走して電車に乗り込み歌歩ちゃんのお父さんを探しに行った。
「本当に良かったわよ、3人共怪我とか何も無くて...。今となっては思い出のひとつってとこかな。出久達にとってはちょっとした冒険気分だったんじゃない?」
フフ、と笑いながら言うお母さんに苦笑した。
「.....ねぇお母さん」
「んー?」
「あの時ね、僕達歌歩ちゃんのお父さんを探しに行ったんだ」
「あぁ、えぇ、そうだったわね。そう言っていたわね。.....歌歩ちゃんも歌歩ちゃんのお母さんも大変だったわね、お父さんが突然いなくなって...。結局お父さんには会えなかったって言ってたわね.....」
「.....うん」
お父さんを探しに言ったが、結局は会うことが出来なかった。今考えれば当然だ。だって僕達は歌歩ちゃんのお父さんがどこに行ったかなんて知らなかったし、手がかりだってなかったんだから。それなのに幼稚園から抜け出して電車に乗って行ったなんて今考えるとなんて無謀なことをしたのだろうと頭を抱えたくなる。
「歌歩ちゃんのお父さんがどこに行ったのか、お母さんは知ってるの?」
「いいえ、知らないわ。歌歩ちゃんのお母さんは知ってたみたいだけど、とても聞けるような雰囲気じゃなくてね。ママ友関では色々噂はあったらしいけどお母さんはそういうのはあまり好きじゃないから聞かなかったしね。...そういえばあれから少ししてから、出久歌歩ちゃんと前ほど遊ばなくなっちゃったわね。あの日喧嘩でもしちゃったの?」
「.....ううん、喧嘩なんかしてないよ。ただ、ちょっと、あの.....」
「...そっか。喧嘩したわけじゃないなら良かったわ。...また、あの頃みたいに一緒に遊んだり出来るといいわね」
「...........うん、そうだね」
喧嘩なんか、していない。電車に乗っている時や、知らない駅に着いた時とか、楽しかった。目に入ってくるもの何もかもが新鮮で、楽しくて、とてもいい思い出だった。途中までは。
当然ながらあの日、大人たちに見つかるとこっぴどく叱られた。お母さんたちのあまりの剣幕に僕もかっちゃんも思わず泣いてしまった。.....恐らくは、それが原因だったんだ。僕とかっちゃんの泣き顔を見た事により、歌歩ちゃんは責任を感じてしまったみたいだった。
だからなのか、その日以来歌歩ちゃんはなかなくなった。その代わりに、とても辛そうに笑うようになった。辛いのを隠して、無理に自分の感情を押し殺して笑うようになった。本当は大丈夫じゃないのに大丈夫だと、そう言う様になってしまった。
僕は歌歩ちゃんをお父さんに会わせてあげて、歌歩ちゃんに元気を取り戻して欲しかった。なのに、歌歩ちゃんは余計元気じゃなくなった。すごく無理をするようになってしまった。それは僕のせいだ。かっちゃんもきっと、そう思ってる。無理するな、子供の頃みたいに泣け、辛いなら自分のことを頼れ、作り笑いなんかするんじゃねぇ、大丈夫じゃないくせに大丈夫だなんて嘘つくんじゃねぇよ。きっとそう思っているんだ。
だけどつい、素直に言えなくて歌歩ちゃんに辛く当たってしまうのだと思う。あんな風に笑う歌歩ちゃんを見るのが辛くて苦しくて、またそんな笑顔をさせるきっかけを作ってしまった自分のことを許せなくてでもその感情をどこにぶつけていいのか分からなくて、つい歌歩ちゃんにぶつけてしまうんじゃないかと僕は考えている。
だってかっちゃんは、誰よりも歌歩ちゃんのことが大好きで、誰よりも大切に思っているから。