向日葵
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━━ねぇお兄ちゃん
『......何』
━━あのおじちゃん、お兄ちゃんのパパ?
『違う。あの人は俺の先生』
━━先生?ふーん...。じゃあお兄ちゃんのパパはどこにいるの?
『...知らない』
━━知らないの?なんで?
『知らないもんは知らない。いちいち騒ぐな、うるせぇガキだな』
━━歌歩うるせぇガキじゃないもん!お兄ちゃん意地悪...
『あっおい泣くなよめんどくせぇな...。ティッシュ...あった。ほら、涙拭けよ』
━━ありがとう...お兄ちゃん意地悪だけども優しいね。勝己君みたい!
『勝己君勝己君ってそればっかだな......。お前勝己君しか友達いねぇの』
━━そんなことないもん!出久君とか、他にも仲良しな友達いっぱいいるもん!......勝己君と出久君がいてくれたら充分だけど
『何。お前その2人以外の友達嫌いなの』
━━ううん、好き。ミカちゃんもツバサ君達もみんな大好き。でも出久君はもっと大好き。それで、勝己君はもっともっともーっと大好き!だから歌歩、2人とずーっと一緒にいたいの
『ずっと一緒に?』
━━うん!
『ふーん。...じゃあさ、もしも......』
━━
━━━
━━━━
またあのお兄さんの夢を見た。やっぱりお兄さんの顔は見えない。けどやっぱり、なぜかあの人には会ったことがある気がする。でもどこで?小さい頃…パパがいなくなった年の誕生日?でも何度あの日を思い出せる限り思い出して振り返ってみても、そんな記憶どこにもない。そりゃ幼稚園の頃のことなんて全て覚えている訳ない。忘れてることだって沢山ある。寧ろ忘れてることの方が多いと思う。だから忘れているだけであのお兄さんとおじさんが私の誕生日に家に来たっていうのが現実の可能性だってある。でも、ここまで何も覚えていないものなの…?
『もうすぐだ』
ぞわっと、背後に何やら寒いものが走るような感覚がした。耳元で誰かに囁かれたような気がして思わず振り返るが当然そこには誰もいない。だけども今確かに、誰かに耳元で囁かれた感覚がした。ぞわぞわする。気持ち悪い。1人でいるの嫌だな。今の時間ならみんな共有スペースにいるよね。早くそっちに行こう。
◇
「あっ歌歩ちゃんやっと起きて来た。あんまりにも起きてこないから今から起こしに行こうかって話してたんだよー」
共有スペースへ行くと、私にすぐに気が付いたらしくお茶子ちゃんが近くまでやって来た。
「ってか、歌歩ちゃん大丈夫?なんかまた顔色悪いよ」
ぎょっとしたような顔で言われた。
「具合でも悪いの?もう少し寝ていた方が良いんじゃないかしら」
お茶子ちゃんの隣にやって来た梅雨ちゃんが言う。
「大丈夫だよ、またちょっと、怖い夢見ちゃって…」
「怖い夢って…この前の合同演習の時に見たって言っていた?」
「う、うん、そんな感じ…」
正確にはちょっと違う気がするけど。でもあの声のこと、どう説明したらいいかわからない。だから今は、黙っておこう。
「歌歩ちゃん」
突然声を掛けられて、思わず肩を揺らしてしまう。
「何?出久君」
返事をしつつ出久君の方へと振り向く。
「ちょっと話したいことがあるんだ。だからその…少しだけ付き合ってもらえない…かな」
遠慮がちに言ってくる出久君に「うん、良いよ」と返事をすると「ありがとう、じゃあ僕の部屋で話そう」という出久君の後に続く。
◇
出久君の部屋に入るの、何年振りかな。幼稚園の頃とかはよく入れてもらったりしてたけど高校生になってからは初めてだな。…それにしても
「出久君の部屋、相変わらずオールマイト尽くしだね」
思わずそんな言葉を漏らすと「つ、つい良いな!って思ったグッズを見つけると買っちゃって…」と気まずそうに言う。あれ…
「でもあのヒーローチップスのおまけのカードは飾ってないんだね。小学生の時に勝己君と一緒に当ててたやつ」
「あれは家に大切に飾ってあるよ」
そうなんだ。すっごく喜んでたもんな、2人共。勝己君は飛び跳ねて喜んでたし、出久君は嬉しさのあまり泣いてたし。…私は、そんな風に喜んでる2人を少し離れた所から見つめてたっけ。2人共嬉しそうで良かったなっていう思いと、2人の中に入っていけなくて少しだけ寂しいなって思いを抱えながら。
「…ねぇ歌歩ちゃん。合同演習の時に見たって言ってた夢に、僕出て来た?」
突然意を決したように出久君が質問を投げ掛けてきた。
「えっ…なんでわかったの…?」
驚いて質問し返すと、出久君は少し考えるようなそぶりを見せたかと思うと、ぽつりぽつりとワン・フォー・オールについての説明を始めた。私の見た夢を知ってるのと何の関係があるんだろうと思いつつも聞いていると。なんでもワン・フォー・オールが進化?しているらしい。その進化の影響なのか、ワン・フォー・オールの何代か前の継承者が出久君の前に現れたらしい。その目の前に現れた人、というのが
「スキンヘッドのガタイのいい男の人…うん、そうだった!その人と出久君が話してるのを見たよ」
私が見た男の人と同じだった。
「でもどうして私がその様子を見てたって知ってるの?ひょっとして出久君も私が見えてたの?」
そう尋ねてみると「ううん、見えてはいなかったよ」との返答が。
「けどなんとなく。歌歩ちゃんに出久君って呼ばれた気がしたんだ。そしたらみんなに僕の個性が暴発した時に歌歩ちゃんの様子が可笑しくなったって聞いてたから、もしかしてって思ったんだ」
それで心配してくれてたんだ。なんか、嬉しいな。でも…
「でもなんで、私にもワン・フォー・オールの継承者の人の姿が見えたんだろう…」
「そこ、だよねやっぱ…。オールマイトにもね、もしかしたら歌歩ちゃんにも見えてたかもしれないって言ったんだけど、よくわからないって…」
そもそも、今回みたいなこと自体僕が初めてみたいで…とのこと。
「じゃああれは夢だったのかな…」
「どう、なんだろうね…」
2人で考えてみるが、答えは導き出すことは出来そうにない。
「もしも、夢じゃなかったら本当に触られてたってことなのかな…」
「触られてた?」
考えていたことを口に出してしまっていたらしい。出久君が不思議そうに首を傾げている。なんでもないというが、私のことを不満げに見つめている。言えよ、話せよと、無言の圧を感じる。そっと目を逸らしてみる。じーっと見続けられる。こ、これは私が白状?するまで目を離してくれなさそうだ。出久君て結構しつこいというかなんというか…。結局根負けして、話すことにした。
「出久君と男の人を見つけた時ね、2人に近づいて声を掛けようとしたの。そしたらなぜかその場から動けなくて。で、動けないって気づいたら何だか全身に違和感を覚えたの。なんだろうって思って自分の身体を見てみたら無数の腕が辺り一面から生えて来てて、私の全身を掴んでたの。恐くて逃げようと藻掻いたりしたら、身体を引き千切られてしまうんじゃないかってくらいの力で絞め上げられて…。その感触がね、すごく嫌なくらいリアルで…。しかもあの日、病院行ったでしょ?道中の車内でも夢を見たんだけど、その夢では小さい男の子に首を絞められて、それで起きたら首元になんだか小さい子の手の痕みたいなのがついてて…それはすぐに消えてたから病院でも上手く説明できなかったし…」
相手が出久君だからかな。ここまで話すつもりなかったのに、言葉が止まりそうにならない。どんどん、誰にも話すつもりのなかった本音を言ってしまう。
「なんか、なんかね、あの腕に掴まれた時、そのままどこかに連れて行かれちゃうんじゃないかって、闇に呑み込まれちゃうんじゃないかって、気がして…怖くて…」
こんなこと話されたって、出久君は困るだけだろう。こんな支離滅裂に言われてたって、迷惑なだけだろう。なのに、言葉を止めることが出来ない。
「じゃあその時は僕が歌歩ちゃんを助けるよ」
「えっ…」
出久君安心させるように優しい笑顔で、力強い目で私のことをじっと見つめながら言う。…いつの間に、こんなに強い目をするようになったんだろう。
「って、ごめん、僕にこんなこと言われてもって感じだよね、僕じゃなくてかっちゃんなら心強いし嬉しいだろうけど…」
あわあわとしながらいう出久君に思わず吹き出してしまった。
「そんなことないよ。すっごく嬉しいし、出久君すっごいかっこよかった。ありがとう!じゃあもしも、私がどこかへ連れて行かれたりしちゃったら、出久君助けに来てね。約束だよ?」
そう言うと出久君は少し驚きつつも笑った「うん!約束だね!」と答えてくれた。
「うん!指切りげんまん、約束だよ」
そう言いながら小指を差し出すと、また笑った。そして私の小指に出久君の小指を絡めて2人で「ゆーびきーりげんまん うーそついたらはりせんぼんのーます ゆびきった!」と歌った。
「…なんか幼稚園の頃みたいだね」
「そうだね。ついでにこのまま幼稚園の頃みたいに手つないで中庭辺りお散歩でもする?」
「そ、それはちょっと…。みんなにからかわれるし、僕がかっちゃんにぶっ殺される…」
そういう出久君の顔色は心なしか青い気がする。勝己君にぶっ殺される?前まではまだしも、今ならそれくらいじゃ怒られないと思うんだけど…と言ったら「歌歩ちゃんわかってない!」と少し強めの口調で言われた。何が…と聞こうとした瞬間、スマホの通知が鳴った。なんだろうと思いながら確認してみると、連絡を入れてきたのは今しがた話題に上がった人物。少しどきどきとしながら内容を確認するとその報告に嬉しくなって出久君の顔を見ると、出久君も私と同じく嬉しそうな顔をしていて。あぁ、今同じことを思ってるんだと更に嬉しくなった。
…勝己君、轟君。仮免試験合格、おめでとう。
『......何』
━━あのおじちゃん、お兄ちゃんのパパ?
『違う。あの人は俺の先生』
━━先生?ふーん...。じゃあお兄ちゃんのパパはどこにいるの?
『...知らない』
━━知らないの?なんで?
『知らないもんは知らない。いちいち騒ぐな、うるせぇガキだな』
━━歌歩うるせぇガキじゃないもん!お兄ちゃん意地悪...
『あっおい泣くなよめんどくせぇな...。ティッシュ...あった。ほら、涙拭けよ』
━━ありがとう...お兄ちゃん意地悪だけども優しいね。勝己君みたい!
『勝己君勝己君ってそればっかだな......。お前勝己君しか友達いねぇの』
━━そんなことないもん!出久君とか、他にも仲良しな友達いっぱいいるもん!......勝己君と出久君がいてくれたら充分だけど
『何。お前その2人以外の友達嫌いなの』
━━ううん、好き。ミカちゃんもツバサ君達もみんな大好き。でも出久君はもっと大好き。それで、勝己君はもっともっともーっと大好き!だから歌歩、2人とずーっと一緒にいたいの
『ずっと一緒に?』
━━うん!
『ふーん。...じゃあさ、もしも......』
━━
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━━━━
またあのお兄さんの夢を見た。やっぱりお兄さんの顔は見えない。けどやっぱり、なぜかあの人には会ったことがある気がする。でもどこで?小さい頃…パパがいなくなった年の誕生日?でも何度あの日を思い出せる限り思い出して振り返ってみても、そんな記憶どこにもない。そりゃ幼稚園の頃のことなんて全て覚えている訳ない。忘れてることだって沢山ある。寧ろ忘れてることの方が多いと思う。だから忘れているだけであのお兄さんとおじさんが私の誕生日に家に来たっていうのが現実の可能性だってある。でも、ここまで何も覚えていないものなの…?
『もうすぐだ』
ぞわっと、背後に何やら寒いものが走るような感覚がした。耳元で誰かに囁かれたような気がして思わず振り返るが当然そこには誰もいない。だけども今確かに、誰かに耳元で囁かれた感覚がした。ぞわぞわする。気持ち悪い。1人でいるの嫌だな。今の時間ならみんな共有スペースにいるよね。早くそっちに行こう。
◇
「あっ歌歩ちゃんやっと起きて来た。あんまりにも起きてこないから今から起こしに行こうかって話してたんだよー」
共有スペースへ行くと、私にすぐに気が付いたらしくお茶子ちゃんが近くまでやって来た。
「ってか、歌歩ちゃん大丈夫?なんかまた顔色悪いよ」
ぎょっとしたような顔で言われた。
「具合でも悪いの?もう少し寝ていた方が良いんじゃないかしら」
お茶子ちゃんの隣にやって来た梅雨ちゃんが言う。
「大丈夫だよ、またちょっと、怖い夢見ちゃって…」
「怖い夢って…この前の合同演習の時に見たって言っていた?」
「う、うん、そんな感じ…」
正確にはちょっと違う気がするけど。でもあの声のこと、どう説明したらいいかわからない。だから今は、黙っておこう。
「歌歩ちゃん」
突然声を掛けられて、思わず肩を揺らしてしまう。
「何?出久君」
返事をしつつ出久君の方へと振り向く。
「ちょっと話したいことがあるんだ。だからその…少しだけ付き合ってもらえない…かな」
遠慮がちに言ってくる出久君に「うん、良いよ」と返事をすると「ありがとう、じゃあ僕の部屋で話そう」という出久君の後に続く。
◇
出久君の部屋に入るの、何年振りかな。幼稚園の頃とかはよく入れてもらったりしてたけど高校生になってからは初めてだな。…それにしても
「出久君の部屋、相変わらずオールマイト尽くしだね」
思わずそんな言葉を漏らすと「つ、つい良いな!って思ったグッズを見つけると買っちゃって…」と気まずそうに言う。あれ…
「でもあのヒーローチップスのおまけのカードは飾ってないんだね。小学生の時に勝己君と一緒に当ててたやつ」
「あれは家に大切に飾ってあるよ」
そうなんだ。すっごく喜んでたもんな、2人共。勝己君は飛び跳ねて喜んでたし、出久君は嬉しさのあまり泣いてたし。…私は、そんな風に喜んでる2人を少し離れた所から見つめてたっけ。2人共嬉しそうで良かったなっていう思いと、2人の中に入っていけなくて少しだけ寂しいなって思いを抱えながら。
「…ねぇ歌歩ちゃん。合同演習の時に見たって言ってた夢に、僕出て来た?」
突然意を決したように出久君が質問を投げ掛けてきた。
「えっ…なんでわかったの…?」
驚いて質問し返すと、出久君は少し考えるようなそぶりを見せたかと思うと、ぽつりぽつりとワン・フォー・オールについての説明を始めた。私の見た夢を知ってるのと何の関係があるんだろうと思いつつも聞いていると。なんでもワン・フォー・オールが進化?しているらしい。その進化の影響なのか、ワン・フォー・オールの何代か前の継承者が出久君の前に現れたらしい。その目の前に現れた人、というのが
「スキンヘッドのガタイのいい男の人…うん、そうだった!その人と出久君が話してるのを見たよ」
私が見た男の人と同じだった。
「でもどうして私がその様子を見てたって知ってるの?ひょっとして出久君も私が見えてたの?」
そう尋ねてみると「ううん、見えてはいなかったよ」との返答が。
「けどなんとなく。歌歩ちゃんに出久君って呼ばれた気がしたんだ。そしたらみんなに僕の個性が暴発した時に歌歩ちゃんの様子が可笑しくなったって聞いてたから、もしかしてって思ったんだ」
それで心配してくれてたんだ。なんか、嬉しいな。でも…
「でもなんで、私にもワン・フォー・オールの継承者の人の姿が見えたんだろう…」
「そこ、だよねやっぱ…。オールマイトにもね、もしかしたら歌歩ちゃんにも見えてたかもしれないって言ったんだけど、よくわからないって…」
そもそも、今回みたいなこと自体僕が初めてみたいで…とのこと。
「じゃああれは夢だったのかな…」
「どう、なんだろうね…」
2人で考えてみるが、答えは導き出すことは出来そうにない。
「もしも、夢じゃなかったら本当に触られてたってことなのかな…」
「触られてた?」
考えていたことを口に出してしまっていたらしい。出久君が不思議そうに首を傾げている。なんでもないというが、私のことを不満げに見つめている。言えよ、話せよと、無言の圧を感じる。そっと目を逸らしてみる。じーっと見続けられる。こ、これは私が白状?するまで目を離してくれなさそうだ。出久君て結構しつこいというかなんというか…。結局根負けして、話すことにした。
「出久君と男の人を見つけた時ね、2人に近づいて声を掛けようとしたの。そしたらなぜかその場から動けなくて。で、動けないって気づいたら何だか全身に違和感を覚えたの。なんだろうって思って自分の身体を見てみたら無数の腕が辺り一面から生えて来てて、私の全身を掴んでたの。恐くて逃げようと藻掻いたりしたら、身体を引き千切られてしまうんじゃないかってくらいの力で絞め上げられて…。その感触がね、すごく嫌なくらいリアルで…。しかもあの日、病院行ったでしょ?道中の車内でも夢を見たんだけど、その夢では小さい男の子に首を絞められて、それで起きたら首元になんだか小さい子の手の痕みたいなのがついてて…それはすぐに消えてたから病院でも上手く説明できなかったし…」
相手が出久君だからかな。ここまで話すつもりなかったのに、言葉が止まりそうにならない。どんどん、誰にも話すつもりのなかった本音を言ってしまう。
「なんか、なんかね、あの腕に掴まれた時、そのままどこかに連れて行かれちゃうんじゃないかって、闇に呑み込まれちゃうんじゃないかって、気がして…怖くて…」
こんなこと話されたって、出久君は困るだけだろう。こんな支離滅裂に言われてたって、迷惑なだけだろう。なのに、言葉を止めることが出来ない。
「じゃあその時は僕が歌歩ちゃんを助けるよ」
「えっ…」
出久君安心させるように優しい笑顔で、力強い目で私のことをじっと見つめながら言う。…いつの間に、こんなに強い目をするようになったんだろう。
「って、ごめん、僕にこんなこと言われてもって感じだよね、僕じゃなくてかっちゃんなら心強いし嬉しいだろうけど…」
あわあわとしながらいう出久君に思わず吹き出してしまった。
「そんなことないよ。すっごく嬉しいし、出久君すっごいかっこよかった。ありがとう!じゃあもしも、私がどこかへ連れて行かれたりしちゃったら、出久君助けに来てね。約束だよ?」
そう言うと出久君は少し驚きつつも笑った「うん!約束だね!」と答えてくれた。
「うん!指切りげんまん、約束だよ」
そう言いながら小指を差し出すと、また笑った。そして私の小指に出久君の小指を絡めて2人で「ゆーびきーりげんまん うーそついたらはりせんぼんのーます ゆびきった!」と歌った。
「…なんか幼稚園の頃みたいだね」
「そうだね。ついでにこのまま幼稚園の頃みたいに手つないで中庭辺りお散歩でもする?」
「そ、それはちょっと…。みんなにからかわれるし、僕がかっちゃんにぶっ殺される…」
そういう出久君の顔色は心なしか青い気がする。勝己君にぶっ殺される?前まではまだしも、今ならそれくらいじゃ怒られないと思うんだけど…と言ったら「歌歩ちゃんわかってない!」と少し強めの口調で言われた。何が…と聞こうとした瞬間、スマホの通知が鳴った。なんだろうと思いながら確認してみると、連絡を入れてきたのは今しがた話題に上がった人物。少しどきどきとしながら内容を確認するとその報告に嬉しくなって出久君の顔を見ると、出久君も私と同じく嬉しそうな顔をしていて。あぁ、今同じことを思ってるんだと更に嬉しくなった。
…勝己君、轟君。仮免試験合格、おめでとう。