向日葵
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久しぶりになんだかぐっすりとよく眠れた気がする。勝己君の部屋で寝たお陰かな。自分の部屋でよりも安眠出来た。それは本当に良かった。の、だけども
「無居どういうこと?!なんで爆豪の部屋から出て来たの?!」
「連れ込んだの?!連れ込んだの爆豪君?!」
「おまっそれはダメだろいくら幼馴染でも!!」
「いつもそんなん一切興味ねぇって顔してる癖によ…クソがよ…おめぇ設定盛りすぎなんだよ!少しはオイラに譲れや!!」
とんでもないことをやらかしてしまったのだということに、今更気が付いた。
私が勝己君の部屋から出て来たところを、隣室の切島君に見られてしまい、あっという間にA組のみんなに知れ渡ってしまい、そして今、みんなに詰め寄られてしまっている。
「お…お赤飯、お食べになります…?」
「ヤオモモ。違う、そうじゃない」
創造で作り出したらしいお赤飯を困惑したような顔で差し出してくる八百万さんに耳郎さんがツッコんでいる。
「2人で枕投げでもしてたのか?」
「なんで数ある選択肢の中から枕投げをチョイスしたの轟」
首を傾げながら尋ねて来る轟君と、呆れたように瀬呂君がツッコむ。……A組の子達ってボケとツッコミがバランスいいなー。さすがヒーロー科。ヒーローにはユーモアも必要だってオールマイトも言ってたもんね。だからそういうのも求められてるんだね、大変だ。なんて、現実逃避をしたくなる。
「テメェらうるっせェ!おめぇらが勘繰ってる様なことなんざなんもねぇよ!!」
みんなに詰められて、勝己君がついに爆発してしまったみたいだ。ブチギレながら怒鳴り散らしてる。
「例え俺達の想像している様なことがなかったとしても!朝方から異性同士が互いの部屋を行き来しあっていることが問題だろう!規律を乱すじゃないか!何より校則違反ではないか!!」
そしてそんな勝己君に飯田君がお説教を始める。
「あ、あの、飯田君ごめん私が悪いの!!私がその、勝己君の部屋に押しかけちゃって…!」
そう言いながら勝己君と飯田君の間に入り込むと、「えっ何、無居から行ったの?!大胆!!」芦戸さんが目をキラキラと輝かせながら割り込んで来た。どうしよう、状況悪化させちゃった…!勝己君が凄い形相で睨んでくる。めっちゃ怖い……!どうしよう……助けて……!と思いながら出久君の方に視線を向けると、スっと目を逸らされた。出久君見放さないで……!
「朝からみんな賑やかねー。元気があってよろしい!けど盛り上がってるとこ悪いんだけどさ、無居さんそろそろ出発するってマイクが言ってるわよ。大丈夫?もう行ける?」
ワーワーと騒ぐ私達を遮るように、ミッドナイト先生の声がした。
「あっはい、すみませんもう行けます!」
急いで返事をして、内心先生にお礼を言いつつ駆け寄ると、「急かしてごめんねー」と謝罪された。
「無居いってらっしゃーい!気をつけてねー!!」
「うん、ありがとう!B組との授業頑張ってね!」
見送りの言葉を掛けてくれた芦戸さんに手を振りながらそう言うと、嬉しそうに「任しといて!」そう元気に返ってきた。
今日A組のみんなは午後からB組と合同で訓練があるらしい。私は午前中に病院だ。もしかしたら病院が終わって帰って来て時間があったら見学させてもらえるかもしれないらしい。見れたら見たいなー。みんなの応援したい。そんなことを考えつつ、ミッドナイト先生に連れられマイク先生の元へと向かう。
◇
「ヘイヘイ、遅いぜ無居ー!病院予約時間過ぎちまうぜー!」
私達を見つけると、マイク先生がテンション高く話し掛けてきた。
「もう、マイクったら急かさないの。女の子は準備が大変なんだから!」
ねっ、無居さん!と私にウィンクしながら話しかけてくるミッドナイト先生。美人だな…。そして胸大きい…。私もいつか…!ここまではいかなくてもいいからせめて…!せめて耳郎さんくらいまでにはなって欲しい…!
「無居さん?どうしたの?」
ミッドナイト先生が不思議そうな顔で尋ねてきた。慌てて何でもないですというと、「そう?ならいいけど…何かあるならすぐに言うのよ?」と、注意された。とりあえず苦笑いして誤魔化した。
それにしても高校生になってからこんなに病院のお世話になるようになるなんて考えもしなかった。健康が取り柄みたいなとこあったのにな、私。早く病院のお世話から卒業したい。
———
————
—————
——————
音が、何もしない。真っ暗で何も見えない。ここは、どこ…?辺りを見渡してみても、何も見えない。自分の姿すらも見えない。どうして私はこんなところにいるの…?
『転弧!!!』
突然男の人の怒声が辺り一面に響き渡った。驚き狼狽えていると、どこからともなく泣いている幼い男の子と、男の子に向かって怒鳴っている男の人が目の前に現れた。
『また言いつけを破ったな?!何度言ったらわかるんだ?!』
『うわぁぁぁぁぁん、ごめんなさい、ごめんなさいお父さん!!!』
どうやら2人は親子の様だ。恐ろしい形相で怒鳴ると男の人は、泣き喚く男の子のことを一切の容赦せずに勢いよく叩いた。
「ちょっと!何してるんですか!やめてください、泣いてるじゃないですか!!」
あまりのことに思わず男の人を止めなくてはと思い、腕を掴——もうとしたがそれは叶わず。私の手は虚しく空を切り、すり抜けた。どうやら私は男の人にも男の子にも干渉することが出来ないらしい。それどころか、声すら聞こえていないらしい。先程上げた声にも、2人は気が付かない。
何もすることが出来ず、2人のやり取りをただただ見続けることしか出来ない。男の人の話によると、男の子は5歳になるのに未だに個性が発現していないという。けれどもヒーローに憧れているらしい。5歳で未だに個性が発現しない…ということはほぼ確実にこの子は無個性…。なのにヒーローに憧れているだなんて、心配なのはわかる。憧れるのを止めさせたいという気持ちも、わかる。でも、だからって…!こんな風に怒鳴りつけて叩くなんて、あんまりだよ…!無理矢理押さえつけられたりなんてしたら、逆効果だよ…。そもそも、自分の子供のことを叩くなんて…!もっと他にも、やり方ってものが…!
『お前はいいよな』
………えっ?
『お前はいいよな。お前のことを否定せず、幸せを願い祈り、目一杯愛してくれる両親。気にかけてくれて、優しくしてくれて、喜びも悲しみも分かち合ってくれて、守ってくれて大切にしてくれる友人。そんな連中に囲まれて』
気が付くと、男の人は消えていた。男の子が暗闇の中、真っ暗な光も何も宿っていない、凍てつくような鋭く冷たい目で、真っ直ぐ私のことを見据えながら話しかけてきた。なんで、話しかけてくるの…?私は、この子に見えていないんじゃないの…?私は干渉することが出来ないんじゃないの…?
男の子の近くにいるのがなんだか不安になり、後退りして離れようとしたが、すぐに何かにぶつかってしまい身動きが取れなくなってしまった。足の力が抜けて、へたり込む。
いつの間にか男の子が私の目の前にいて、私の首元に手を置いていた。
『なぁ。お前と俺の何が違うんだ』
じっと見つめてくる目が恐くて。逸らしたいのに、逸らすことが出来ない。心臓の鼓動が早くなる。ドクドクと、音が喧しい。
男の子は相変わらず、冷たい氷の様な目で見つめてくる。この目、知ってる気がする…どこかで見たことがある…。どこで見たの…?
『答えろよ、歌歩』
私の名前知ってるの…?誰、この子。怖い、恐い、こわい…。
◇
「おい、無居大丈夫か?!」
肩を揺さぶられ、声を掛けられて意識が浮上した。目を開くと、マイク先生が心配そうな顔で私の顔を覗き込んでいた。
「先生…?」
「良かった、起きたか…大丈夫か?すげぇ魘されてたぞ」
いつの間にか私また寝てしまったのか。
「心配かけてしまってすみません。なんかちょっと、怖い夢見ちゃったみたいで…」
「そうか?具合悪いとかだったら遠慮せず言えよ?」
気遣ってくれているマイク先生にお礼を言いつつ、さっきの夢を思い出す。
あの男の子…転弧君って呼ばれてたな。お父さんと一緒にいた時は確かに私に気付いていなかった。触れることだって出来なかった。
なのにお父さんがいなくなってからあの子は私に話しかけてきたし、首に触れてきた。そして私の名前を呼んできた。私のことを知っているの?なんで?誰なのあの子。転弧なんて名前の子、私の知り合いにはいない。
…でも、あの目。あの氷の様に冷たく、光の宿らない、狂気じみた目。あの目。どこかで見たことがある気がする。でもどこで?どこで見たの?わからない。
どんなに記憶を手繰り寄せ巡っても、答えは見つからない。見つからないまま、病院についてしまった。
ふと、首元に違和感を覚えた。お手洗いへ行きネクタイを緩めてシャツの1番上のボタンを外して鏡を確認してみると、
「えっ……?」
うっすらと小さな手形の様な痕が出来ていた。
「無居どういうこと?!なんで爆豪の部屋から出て来たの?!」
「連れ込んだの?!連れ込んだの爆豪君?!」
「おまっそれはダメだろいくら幼馴染でも!!」
「いつもそんなん一切興味ねぇって顔してる癖によ…クソがよ…おめぇ設定盛りすぎなんだよ!少しはオイラに譲れや!!」
とんでもないことをやらかしてしまったのだということに、今更気が付いた。
私が勝己君の部屋から出て来たところを、隣室の切島君に見られてしまい、あっという間にA組のみんなに知れ渡ってしまい、そして今、みんなに詰め寄られてしまっている。
「お…お赤飯、お食べになります…?」
「ヤオモモ。違う、そうじゃない」
創造で作り出したらしいお赤飯を困惑したような顔で差し出してくる八百万さんに耳郎さんがツッコんでいる。
「2人で枕投げでもしてたのか?」
「なんで数ある選択肢の中から枕投げをチョイスしたの轟」
首を傾げながら尋ねて来る轟君と、呆れたように瀬呂君がツッコむ。……A組の子達ってボケとツッコミがバランスいいなー。さすがヒーロー科。ヒーローにはユーモアも必要だってオールマイトも言ってたもんね。だからそういうのも求められてるんだね、大変だ。なんて、現実逃避をしたくなる。
「テメェらうるっせェ!おめぇらが勘繰ってる様なことなんざなんもねぇよ!!」
みんなに詰められて、勝己君がついに爆発してしまったみたいだ。ブチギレながら怒鳴り散らしてる。
「例え俺達の想像している様なことがなかったとしても!朝方から異性同士が互いの部屋を行き来しあっていることが問題だろう!規律を乱すじゃないか!何より校則違反ではないか!!」
そしてそんな勝己君に飯田君がお説教を始める。
「あ、あの、飯田君ごめん私が悪いの!!私がその、勝己君の部屋に押しかけちゃって…!」
そう言いながら勝己君と飯田君の間に入り込むと、「えっ何、無居から行ったの?!大胆!!」芦戸さんが目をキラキラと輝かせながら割り込んで来た。どうしよう、状況悪化させちゃった…!勝己君が凄い形相で睨んでくる。めっちゃ怖い……!どうしよう……助けて……!と思いながら出久君の方に視線を向けると、スっと目を逸らされた。出久君見放さないで……!
「朝からみんな賑やかねー。元気があってよろしい!けど盛り上がってるとこ悪いんだけどさ、無居さんそろそろ出発するってマイクが言ってるわよ。大丈夫?もう行ける?」
ワーワーと騒ぐ私達を遮るように、ミッドナイト先生の声がした。
「あっはい、すみませんもう行けます!」
急いで返事をして、内心先生にお礼を言いつつ駆け寄ると、「急かしてごめんねー」と謝罪された。
「無居いってらっしゃーい!気をつけてねー!!」
「うん、ありがとう!B組との授業頑張ってね!」
見送りの言葉を掛けてくれた芦戸さんに手を振りながらそう言うと、嬉しそうに「任しといて!」そう元気に返ってきた。
今日A組のみんなは午後からB組と合同で訓練があるらしい。私は午前中に病院だ。もしかしたら病院が終わって帰って来て時間があったら見学させてもらえるかもしれないらしい。見れたら見たいなー。みんなの応援したい。そんなことを考えつつ、ミッドナイト先生に連れられマイク先生の元へと向かう。
◇
「ヘイヘイ、遅いぜ無居ー!病院予約時間過ぎちまうぜー!」
私達を見つけると、マイク先生がテンション高く話し掛けてきた。
「もう、マイクったら急かさないの。女の子は準備が大変なんだから!」
ねっ、無居さん!と私にウィンクしながら話しかけてくるミッドナイト先生。美人だな…。そして胸大きい…。私もいつか…!ここまではいかなくてもいいからせめて…!せめて耳郎さんくらいまでにはなって欲しい…!
「無居さん?どうしたの?」
ミッドナイト先生が不思議そうな顔で尋ねてきた。慌てて何でもないですというと、「そう?ならいいけど…何かあるならすぐに言うのよ?」と、注意された。とりあえず苦笑いして誤魔化した。
それにしても高校生になってからこんなに病院のお世話になるようになるなんて考えもしなかった。健康が取り柄みたいなとこあったのにな、私。早く病院のお世話から卒業したい。
———
————
—————
——————
音が、何もしない。真っ暗で何も見えない。ここは、どこ…?辺りを見渡してみても、何も見えない。自分の姿すらも見えない。どうして私はこんなところにいるの…?
『転弧!!!』
突然男の人の怒声が辺り一面に響き渡った。驚き狼狽えていると、どこからともなく泣いている幼い男の子と、男の子に向かって怒鳴っている男の人が目の前に現れた。
『また言いつけを破ったな?!何度言ったらわかるんだ?!』
『うわぁぁぁぁぁん、ごめんなさい、ごめんなさいお父さん!!!』
どうやら2人は親子の様だ。恐ろしい形相で怒鳴ると男の人は、泣き喚く男の子のことを一切の容赦せずに勢いよく叩いた。
「ちょっと!何してるんですか!やめてください、泣いてるじゃないですか!!」
あまりのことに思わず男の人を止めなくてはと思い、腕を掴——もうとしたがそれは叶わず。私の手は虚しく空を切り、すり抜けた。どうやら私は男の人にも男の子にも干渉することが出来ないらしい。それどころか、声すら聞こえていないらしい。先程上げた声にも、2人は気が付かない。
何もすることが出来ず、2人のやり取りをただただ見続けることしか出来ない。男の人の話によると、男の子は5歳になるのに未だに個性が発現していないという。けれどもヒーローに憧れているらしい。5歳で未だに個性が発現しない…ということはほぼ確実にこの子は無個性…。なのにヒーローに憧れているだなんて、心配なのはわかる。憧れるのを止めさせたいという気持ちも、わかる。でも、だからって…!こんな風に怒鳴りつけて叩くなんて、あんまりだよ…!無理矢理押さえつけられたりなんてしたら、逆効果だよ…。そもそも、自分の子供のことを叩くなんて…!もっと他にも、やり方ってものが…!
『お前はいいよな』
………えっ?
『お前はいいよな。お前のことを否定せず、幸せを願い祈り、目一杯愛してくれる両親。気にかけてくれて、優しくしてくれて、喜びも悲しみも分かち合ってくれて、守ってくれて大切にしてくれる友人。そんな連中に囲まれて』
気が付くと、男の人は消えていた。男の子が暗闇の中、真っ暗な光も何も宿っていない、凍てつくような鋭く冷たい目で、真っ直ぐ私のことを見据えながら話しかけてきた。なんで、話しかけてくるの…?私は、この子に見えていないんじゃないの…?私は干渉することが出来ないんじゃないの…?
男の子の近くにいるのがなんだか不安になり、後退りして離れようとしたが、すぐに何かにぶつかってしまい身動きが取れなくなってしまった。足の力が抜けて、へたり込む。
いつの間にか男の子が私の目の前にいて、私の首元に手を置いていた。
『なぁ。お前と俺の何が違うんだ』
じっと見つめてくる目が恐くて。逸らしたいのに、逸らすことが出来ない。心臓の鼓動が早くなる。ドクドクと、音が喧しい。
男の子は相変わらず、冷たい氷の様な目で見つめてくる。この目、知ってる気がする…どこかで見たことがある…。どこで見たの…?
『答えろよ、歌歩』
私の名前知ってるの…?誰、この子。怖い、恐い、こわい…。
◇
「おい、無居大丈夫か?!」
肩を揺さぶられ、声を掛けられて意識が浮上した。目を開くと、マイク先生が心配そうな顔で私の顔を覗き込んでいた。
「先生…?」
「良かった、起きたか…大丈夫か?すげぇ魘されてたぞ」
いつの間にか私また寝てしまったのか。
「心配かけてしまってすみません。なんかちょっと、怖い夢見ちゃったみたいで…」
「そうか?具合悪いとかだったら遠慮せず言えよ?」
気遣ってくれているマイク先生にお礼を言いつつ、さっきの夢を思い出す。
あの男の子…転弧君って呼ばれてたな。お父さんと一緒にいた時は確かに私に気付いていなかった。触れることだって出来なかった。
なのにお父さんがいなくなってからあの子は私に話しかけてきたし、首に触れてきた。そして私の名前を呼んできた。私のことを知っているの?なんで?誰なのあの子。転弧なんて名前の子、私の知り合いにはいない。
…でも、あの目。あの氷の様に冷たく、光の宿らない、狂気じみた目。あの目。どこかで見たことがある気がする。でもどこで?どこで見たの?わからない。
どんなに記憶を手繰り寄せ巡っても、答えは見つからない。見つからないまま、病院についてしまった。
ふと、首元に違和感を覚えた。お手洗いへ行きネクタイを緩めてシャツの1番上のボタンを外して鏡を確認してみると、
「えっ……?」
うっすらと小さな手形の様な痕が出来ていた。