向日葵
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「歌歩さん、この字はなんて読むの?」
私の膝の上に座って一生懸命絵本を読んでいるエリちゃんが、くりくりとした大きな愛らしい目で私のことを見つめながら首を傾げて尋ねてきた。
「んー?どれがわからないの?」
「これ…」
遠慮がちに絵本に書いてある字を指差している。
「これはね、犬って読むんだよ」
「犬?ありがとう!」
笑顔でお礼を言ってくるエリちゃんがもう可愛くて可愛くて堪らない。妹がいたらこんな感じなのかな。思わず頭を撫でてしまう。そしたらエリちゃんはとても嬉しそうに笑ってくれた。
どうして私がエリちゃんと一緒に居るのかというと、今日は通形先輩がどうしても用事があり来れないのだという。相澤先生もいるとはいえ、先生も色々とやらなくてはいけない仕事が沢山あるため常にエリちゃんを見ていることは出来ない。その為先輩によかったら一緒に遊んであげてくれないかと頼まれたので、2つ返事で引き受けた。
嬉しいことに、文化祭以降エリちゃんととても仲良くなることが出来て、今ではとてもよく懐いてくれている。会うたびに手を振ってくれて、それで『歌歩さんこんにちは!』と嬉しそうに言ってくれるようになった。その度いつも癒されている。こんな妹が欲しかったなー…。
「読み終わった!」
エリちゃんが少し誇らしげに報告してくれた。
「おめでとう!エリちゃん1人で絵本読めたね、偉い!」
そう言うと嬉しそうに笑った。もう本当に可愛い。天使みたい。
「次は何して遊ぼうか?」
と尋ねると「うーん…」と一生懸命考え込み始めた。やりたいこと沢山あるのかな?
「あっ。あのね、この前ね。デクさんと、ルミリオンさんと、私の3人で中庭にお散歩へいったの。すごくね、楽しかったの。だから、歌歩さんとも、一緒にお散歩したいな…!」
「お散歩?」
聞き返すと「うん…!」と、期待に満ちた目を向けられた。うっ…とても眩しい…!エリちゃんと中庭の散歩なんてそんなの絶対に楽しいに決まってる。ぜひ行きたい。だけど良いのかな?学校の敷地内とは言え、私が1人で出歩くのはあまりよくない気がする。相澤先生について来てもらう?でも今仕事してるし…。
「良いんじゃないか?たまには。学校から出さえしなければ問題ないよ」
資料から私に視線を移しながら、先生がそう言ってくれた。
「ありがとうございます!じゃあエリちゃん、今からお散歩行こっか!」
「うん!!」
エリちゃんが嬉しそうに元気一杯に返事をしてくれた。
「…あぁそうだ。一緒に行けそうな奴に心当たりあるから呼んでくる。先昇降口行って待っててくれ」
そう言って相澤先生は出て行った。一緒に行けそうな人って誰だろう。A組の子かな?そんなことを思いつつも、エリちゃんと外へ行く支度をして昇降口まで向かった。
◇
昇降口でエリちゃんと遊びながら相澤先生を待っていると、10分くらいして「待たせて悪かったな」と言ってやって来た。「大丈夫ですよ」と声を掛けて先生の方を見ると、
「あれ…心操君?!」
先生と一緒に心操君が私たちの所へやって来た。
「おう。久しぶりだな」
私の呼び声を聞くと、手を軽く振ってくれた。
「あ…この前、先生と一緒に遊んだ…!」
「うん、そうだね。この前は遊んでくれてありがとな」
心操君がエリちゃんと目が合う様にしゃがんで軽く頭を撫でながら優しく笑って話している。
「心操君とエリちゃんて面識あったんだ」
「まぁな」
エリちゃんの頭を撫でたまま心操君が答えた。心操君に頭を撫でられて、エリちゃんはとても嬉しそうに笑っている。ズルい…私もあんな風にエリちゃんを笑顔にしたい…!
「じゃあ俺は仕事に戻るから。2人共エリちゃん頼んだ」
そう言い残して相澤先生は去って行った。
◇
「エリちゃん、寒くない?」
「うん、大丈夫。歌歩さんがくれたマフラーがあるから温かいよ…!」
そうこの前編んであげたマフラーを嬉しそうに触りながら答えてくれた。
「あのマフラーお前があげたのか」
「うん。おばあちゃんに頼んで毛糸送って貰ったからそれで編んでみたの」
「ふーん。器用なんだな」
褒めてくれた。嬉しいな。なんだか照れてしまいそう。
「最近、具合大丈夫か?」
心配そうに私のことを見つめながら言う。
「あ、うん。体調はね、もう大丈夫だよ。ただちょっとまだ休学は解けなさそうだけど」
「そっか。でも具合はもう大丈夫なら良かった」
微かに笑いながら言われた。
「ごめんね、心配掛けちゃって…」
「なんで謝んの。別に謝るようなことじゃないだろ」
お前って変なとこ気ィ遣うよな、と失笑気味に言われてしまった。
「そんなつもりはないんだけどな…。クラスのみんなは元気?」
「まぁな。みんなは変わらずって感じだよ。お前が復学して来るのみんな待ってるよ」
もちろん俺もな、という心操君。なんだか口説かれている気分。
…早く、クラスに戻れる日が来るといいな。
「あのっ…!」
私達よりも少し先を歩いていたエリちゃんがこっちに来て、意を決した様に話しかけてきた。
「どうしたの?」
「あの、ね。この前、先生とお出かけしたの。そしたらその時ね、私と同じくらいの年の女の子がお父さんとお母さんとお出かけしててね、それで、3人で手を繋いでてね、とても幸せそうだったの…!だから、あの、私も…私も、あんな風に手を繋いで歩きたいなって、思ったの。だから、ね…だから…心操さんと歌歩さんと、3人で手を繋ぎたいの…。ダメ、かな…?」
恐る恐る私と心操君に尋ねてくるエリちゃんに、思わず笑ってしまった。
「いいよ、じゃあ3人で手繋いでお散歩しよっか」
そう言うとエリちゃんは本当に嬉しそうに笑って「うん!!」と返事をしてくれた。
「じゃあ、エリちゃん真ん中においで。俺と無居が端歩くな」
心操君に従ってエリちゃんが真ん中に来た。
誰かと手を繋いで歩くのなんて何年ぶりだろう。幼稚園の頃はよく、勝己君と出久君と私の3人で手を繋いだな。2人に挟まれて歩くあの時間が、大好きだったな。それから、父と母ともよく繋いだな。懐かしい。誰かと手を繋いで歩くのって、こんなにも温かい気持ちになれるものだったんだ。大きくなるにつれ、どんどん忘れて行ってしまってたんだ。思い出せて良かった。またこんな風に誰かと手を繋ぎたいな。
私の膝の上に座って一生懸命絵本を読んでいるエリちゃんが、くりくりとした大きな愛らしい目で私のことを見つめながら首を傾げて尋ねてきた。
「んー?どれがわからないの?」
「これ…」
遠慮がちに絵本に書いてある字を指差している。
「これはね、犬って読むんだよ」
「犬?ありがとう!」
笑顔でお礼を言ってくるエリちゃんがもう可愛くて可愛くて堪らない。妹がいたらこんな感じなのかな。思わず頭を撫でてしまう。そしたらエリちゃんはとても嬉しそうに笑ってくれた。
どうして私がエリちゃんと一緒に居るのかというと、今日は通形先輩がどうしても用事があり来れないのだという。相澤先生もいるとはいえ、先生も色々とやらなくてはいけない仕事が沢山あるため常にエリちゃんを見ていることは出来ない。その為先輩によかったら一緒に遊んであげてくれないかと頼まれたので、2つ返事で引き受けた。
嬉しいことに、文化祭以降エリちゃんととても仲良くなることが出来て、今ではとてもよく懐いてくれている。会うたびに手を振ってくれて、それで『歌歩さんこんにちは!』と嬉しそうに言ってくれるようになった。その度いつも癒されている。こんな妹が欲しかったなー…。
「読み終わった!」
エリちゃんが少し誇らしげに報告してくれた。
「おめでとう!エリちゃん1人で絵本読めたね、偉い!」
そう言うと嬉しそうに笑った。もう本当に可愛い。天使みたい。
「次は何して遊ぼうか?」
と尋ねると「うーん…」と一生懸命考え込み始めた。やりたいこと沢山あるのかな?
「あっ。あのね、この前ね。デクさんと、ルミリオンさんと、私の3人で中庭にお散歩へいったの。すごくね、楽しかったの。だから、歌歩さんとも、一緒にお散歩したいな…!」
「お散歩?」
聞き返すと「うん…!」と、期待に満ちた目を向けられた。うっ…とても眩しい…!エリちゃんと中庭の散歩なんてそんなの絶対に楽しいに決まってる。ぜひ行きたい。だけど良いのかな?学校の敷地内とは言え、私が1人で出歩くのはあまりよくない気がする。相澤先生について来てもらう?でも今仕事してるし…。
「良いんじゃないか?たまには。学校から出さえしなければ問題ないよ」
資料から私に視線を移しながら、先生がそう言ってくれた。
「ありがとうございます!じゃあエリちゃん、今からお散歩行こっか!」
「うん!!」
エリちゃんが嬉しそうに元気一杯に返事をしてくれた。
「…あぁそうだ。一緒に行けそうな奴に心当たりあるから呼んでくる。先昇降口行って待っててくれ」
そう言って相澤先生は出て行った。一緒に行けそうな人って誰だろう。A組の子かな?そんなことを思いつつも、エリちゃんと外へ行く支度をして昇降口まで向かった。
◇
昇降口でエリちゃんと遊びながら相澤先生を待っていると、10分くらいして「待たせて悪かったな」と言ってやって来た。「大丈夫ですよ」と声を掛けて先生の方を見ると、
「あれ…心操君?!」
先生と一緒に心操君が私たちの所へやって来た。
「おう。久しぶりだな」
私の呼び声を聞くと、手を軽く振ってくれた。
「あ…この前、先生と一緒に遊んだ…!」
「うん、そうだね。この前は遊んでくれてありがとな」
心操君がエリちゃんと目が合う様にしゃがんで軽く頭を撫でながら優しく笑って話している。
「心操君とエリちゃんて面識あったんだ」
「まぁな」
エリちゃんの頭を撫でたまま心操君が答えた。心操君に頭を撫でられて、エリちゃんはとても嬉しそうに笑っている。ズルい…私もあんな風にエリちゃんを笑顔にしたい…!
「じゃあ俺は仕事に戻るから。2人共エリちゃん頼んだ」
そう言い残して相澤先生は去って行った。
◇
「エリちゃん、寒くない?」
「うん、大丈夫。歌歩さんがくれたマフラーがあるから温かいよ…!」
そうこの前編んであげたマフラーを嬉しそうに触りながら答えてくれた。
「あのマフラーお前があげたのか」
「うん。おばあちゃんに頼んで毛糸送って貰ったからそれで編んでみたの」
「ふーん。器用なんだな」
褒めてくれた。嬉しいな。なんだか照れてしまいそう。
「最近、具合大丈夫か?」
心配そうに私のことを見つめながら言う。
「あ、うん。体調はね、もう大丈夫だよ。ただちょっとまだ休学は解けなさそうだけど」
「そっか。でも具合はもう大丈夫なら良かった」
微かに笑いながら言われた。
「ごめんね、心配掛けちゃって…」
「なんで謝んの。別に謝るようなことじゃないだろ」
お前って変なとこ気ィ遣うよな、と失笑気味に言われてしまった。
「そんなつもりはないんだけどな…。クラスのみんなは元気?」
「まぁな。みんなは変わらずって感じだよ。お前が復学して来るのみんな待ってるよ」
もちろん俺もな、という心操君。なんだか口説かれている気分。
…早く、クラスに戻れる日が来るといいな。
「あのっ…!」
私達よりも少し先を歩いていたエリちゃんがこっちに来て、意を決した様に話しかけてきた。
「どうしたの?」
「あの、ね。この前、先生とお出かけしたの。そしたらその時ね、私と同じくらいの年の女の子がお父さんとお母さんとお出かけしててね、それで、3人で手を繋いでてね、とても幸せそうだったの…!だから、あの、私も…私も、あんな風に手を繋いで歩きたいなって、思ったの。だから、ね…だから…心操さんと歌歩さんと、3人で手を繋ぎたいの…。ダメ、かな…?」
恐る恐る私と心操君に尋ねてくるエリちゃんに、思わず笑ってしまった。
「いいよ、じゃあ3人で手繋いでお散歩しよっか」
そう言うとエリちゃんは本当に嬉しそうに笑って「うん!!」と返事をしてくれた。
「じゃあ、エリちゃん真ん中においで。俺と無居が端歩くな」
心操君に従ってエリちゃんが真ん中に来た。
誰かと手を繋いで歩くのなんて何年ぶりだろう。幼稚園の頃はよく、勝己君と出久君と私の3人で手を繋いだな。2人に挟まれて歩くあの時間が、大好きだったな。それから、父と母ともよく繋いだな。懐かしい。誰かと手を繋いで歩くのって、こんなにも温かい気持ちになれるものだったんだ。大きくなるにつれ、どんどん忘れて行ってしまってたんだ。思い出せて良かった。またこんな風に誰かと手を繋ぎたいな。