向日葵
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―――インターフォンが鳴ってる。誰か来たのかな?
『歌歩、お客さんだよ。おいでー』
―――パパぁ…このおじちゃん誰?
『パパの友達…みたいな人だよ。ほら、ちゃんと挨拶しようね』
―――こ、こんにちは…
『こんにちは。ちゃんと挨拶できて偉いね。君が歌歩ちゃんか。可愛らしい娘さんだね』
―――パパ抱っこ…
『抱っこ?しょうがないな、歌歩は甘えん坊で。すみません、この子人見知りで…』
『大丈夫ですよ、気にしないで。あぁそうだ、今日は僕も子供を連れて来ているんだよ。ほら×××。お前も挨拶して』
◇
ふと目が覚めた。今何時だろう。目覚ましはまだ鳴っていない。…明け方の4時だ。まだ全然早い。もっと寝てたかった。もったいないことした様な気分になる。2度寝…はする気になれないな。どうしよう。
…なんかまた、小さい頃の夢を見た気がする。でもなんだかよくわからない夢だったな。出てきた場所は間違いなく、小学校3年生まで住んでいた家だった。調度品とか壁の色とかドアとか、私の記憶に残っているものだった。この前見た夢の続き?なんとなく、夢の中の私と父の格好がこの前の時の夢と一緒だった気がする。
けどあの男の人は誰だろう。夢の中にだけ出てきた人?×××ってなんて言ったんだろう。聞き取れなかったな。
…それにしても最近、よく夢に父が出て来てくれるな。夢で会えて、嬉しい。でも、
「夢じゃなくて現実で会いたいよ、パパ…」
そんなこと言ったって何にもならないなんてよくわかっているけどでも、思わず呟いてしまう。
◇
なんだか暗い気持ちになってしまったので、気分転換のためにまだ誰もいないだろうけれども共有スペースへ行こうと思い立ち行くと、
「あっ」
「あっ?」
そこには見慣れた幼馴染の姿があった。
「歌歩。もう起きたのか?」
私のことを見ながら勝己君が言う。
「うん。目覚めちゃって」
勝己君も?と聞くと、「俺は今から走り込み行くんだよ」と返って来た。こんなに朝方から走り込みなんてしてるんだ。
「……なんかあったか?」
じっと見つめながら尋ねられた。何か…あったかと言われると、別にそういう訳ではない。
「ううん、何にもないよ。ただ目が覚めただけ」
そう言うと勝己君が眉間に皺を寄せ、青筋立てながらズイズイっと近付いて来た。えっな、何?なんで勝己君怒ってるの?!
「テメェはほんっと…!!いい加減にしろや…!!!」
まだ寝ているみんなに配慮してか、いつもよりも小声で怒り、私の両頬を思い切り抓っている。
「い、いひゃいいひゃい…!いひゃいひょ、ひゃひゅひぃひゅん…!」
上手く喋れない。ちゃんと伝わったのだろうか。
「痛くしてっからな。テメェいい加減にしろよな、何度言わせる気だ?!」
あっ伝わってたっぽい。良かった。いや、良くはないや。痛くしてっからって酷くない?あんまりだよ。勝己君やっぱり顔怖い。子供の頃も怖かったけど最近磨きがかかって余計怖くなった気がする。ていうかなった。気のせいじゃなくて確実に迫力増した。ていうか私なんで怒られてるの。わからない。怖い。なんなのこの幼馴染。
「そのブッサイクな作り笑い。それして嘘吐いて無理すんのやめろっつってんだろ」
ぎぎぎっと、私の頬を引っ張りながら勝己君が続ける。
ブッサイクな作り笑い…したつもり、なかったんだけどな。
「それ完全に悪癖だよな、テメェの」
頬を離されて、ハァ…と深々と溜息を吐かれた。
「ご、ごめん…。でもね、本当に何かあったって訳じゃないんだよ?ただちょっと、夢を見ただけで…」
そう答えると「夢?どんなだ」と質問が返って来た。
「小さい頃のね、夢みたいだったの。小3まで住んでた家に、小さい頃の私とパパと男の人が出てきたの。この前もね、夢にパパが出て来たんだ。…夢の中だけども、パパと会うことが出来て嬉しいなって思ったの。けど、でも、だけどそれ以上に、現実でパパに会いたいって思っちゃって。寂しいなって、思っちゃったんだ。無理してるように見えたのはそのせいかな。でも、本当にただ寂しくなっちゃったってだけで、無理なんてしてないの。本当だよ?」
そういうと勝己君は少しバツの悪そうな顔をして、「そうかよ…」と呟いた。……気にさせちゃったかな。申し訳ないな。そんなことを思っていると、「ちょっと待ってろ」といってどこかへ行ってしまった。どうしたのかなと思いつつも座って勝己君を待つことにした。
◇
勝己君を待っていると、なんだかとても美味しそうな匂いがしてきた。どこからしているんだろうと思っていると、「おい」と声を掛けられた。顔を上げてみると、卵粥を持った勝己君がいた。首を傾げていると、「腹、減っただろ。食えや」と言いながらテーブルの上に置いた。…そう言われると確かにお腹空いてきた気がする。お礼を言って、食べることにした。
「!!この味…」
パパが作ってくれてた卵粥と同じ味…!
「勝己君、なんでパパと同じ味…」
「昔、おじさんに教わったんだよ。テメェの好きな卵粥の味付けの仕方を。遠い記憶を頼りに作ったから丸っきり全部一緒とは行ってねぇだろうけどな」
目を逸らしながら言う勝己君。なんだか照れてるみたい。耳赤い気がする。
「勝己君、パパと一緒にご飯作ったことなんてあったんだね」
「1度だけな。お前がおばさんと出掛けてた時に。その日ウチの親両方親戚の結婚式かなんかで出掛けてたからお前ん家に預けられてたんだよ。そん時おじさんに作り方教わった」
パパとそんなことしたことあったんだ。全然知らなかった。…勝己君、わざわざ思い出しながら作ってくれたのかな。
「勝己君」
名前を呼ぶと「あ?」と言いながら私のことを見てきた。
「勝己君、ありがとう!」
見つめ返して笑顔でお礼を言うと、「別に」と言って目を逸らされた。そして「走り込み行ってくる」と言ってそそくさと出て行ってしまった。……勝己君てやっぱり、優しいな。
『歌歩、お客さんだよ。おいでー』
―――パパぁ…このおじちゃん誰?
『パパの友達…みたいな人だよ。ほら、ちゃんと挨拶しようね』
―――こ、こんにちは…
『こんにちは。ちゃんと挨拶できて偉いね。君が歌歩ちゃんか。可愛らしい娘さんだね』
―――パパ抱っこ…
『抱っこ?しょうがないな、歌歩は甘えん坊で。すみません、この子人見知りで…』
『大丈夫ですよ、気にしないで。あぁそうだ、今日は僕も子供を連れて来ているんだよ。ほら×××。お前も挨拶して』
◇
ふと目が覚めた。今何時だろう。目覚ましはまだ鳴っていない。…明け方の4時だ。まだ全然早い。もっと寝てたかった。もったいないことした様な気分になる。2度寝…はする気になれないな。どうしよう。
…なんかまた、小さい頃の夢を見た気がする。でもなんだかよくわからない夢だったな。出てきた場所は間違いなく、小学校3年生まで住んでいた家だった。調度品とか壁の色とかドアとか、私の記憶に残っているものだった。この前見た夢の続き?なんとなく、夢の中の私と父の格好がこの前の時の夢と一緒だった気がする。
けどあの男の人は誰だろう。夢の中にだけ出てきた人?×××ってなんて言ったんだろう。聞き取れなかったな。
…それにしても最近、よく夢に父が出て来てくれるな。夢で会えて、嬉しい。でも、
「夢じゃなくて現実で会いたいよ、パパ…」
そんなこと言ったって何にもならないなんてよくわかっているけどでも、思わず呟いてしまう。
◇
なんだか暗い気持ちになってしまったので、気分転換のためにまだ誰もいないだろうけれども共有スペースへ行こうと思い立ち行くと、
「あっ」
「あっ?」
そこには見慣れた幼馴染の姿があった。
「歌歩。もう起きたのか?」
私のことを見ながら勝己君が言う。
「うん。目覚めちゃって」
勝己君も?と聞くと、「俺は今から走り込み行くんだよ」と返って来た。こんなに朝方から走り込みなんてしてるんだ。
「……なんかあったか?」
じっと見つめながら尋ねられた。何か…あったかと言われると、別にそういう訳ではない。
「ううん、何にもないよ。ただ目が覚めただけ」
そう言うと勝己君が眉間に皺を寄せ、青筋立てながらズイズイっと近付いて来た。えっな、何?なんで勝己君怒ってるの?!
「テメェはほんっと…!!いい加減にしろや…!!!」
まだ寝ているみんなに配慮してか、いつもよりも小声で怒り、私の両頬を思い切り抓っている。
「い、いひゃいいひゃい…!いひゃいひょ、ひゃひゅひぃひゅん…!」
上手く喋れない。ちゃんと伝わったのだろうか。
「痛くしてっからな。テメェいい加減にしろよな、何度言わせる気だ?!」
あっ伝わってたっぽい。良かった。いや、良くはないや。痛くしてっからって酷くない?あんまりだよ。勝己君やっぱり顔怖い。子供の頃も怖かったけど最近磨きがかかって余計怖くなった気がする。ていうかなった。気のせいじゃなくて確実に迫力増した。ていうか私なんで怒られてるの。わからない。怖い。なんなのこの幼馴染。
「そのブッサイクな作り笑い。それして嘘吐いて無理すんのやめろっつってんだろ」
ぎぎぎっと、私の頬を引っ張りながら勝己君が続ける。
ブッサイクな作り笑い…したつもり、なかったんだけどな。
「それ完全に悪癖だよな、テメェの」
頬を離されて、ハァ…と深々と溜息を吐かれた。
「ご、ごめん…。でもね、本当に何かあったって訳じゃないんだよ?ただちょっと、夢を見ただけで…」
そう答えると「夢?どんなだ」と質問が返って来た。
「小さい頃のね、夢みたいだったの。小3まで住んでた家に、小さい頃の私とパパと男の人が出てきたの。この前もね、夢にパパが出て来たんだ。…夢の中だけども、パパと会うことが出来て嬉しいなって思ったの。けど、でも、だけどそれ以上に、現実でパパに会いたいって思っちゃって。寂しいなって、思っちゃったんだ。無理してるように見えたのはそのせいかな。でも、本当にただ寂しくなっちゃったってだけで、無理なんてしてないの。本当だよ?」
そういうと勝己君は少しバツの悪そうな顔をして、「そうかよ…」と呟いた。……気にさせちゃったかな。申し訳ないな。そんなことを思っていると、「ちょっと待ってろ」といってどこかへ行ってしまった。どうしたのかなと思いつつも座って勝己君を待つことにした。
◇
勝己君を待っていると、なんだかとても美味しそうな匂いがしてきた。どこからしているんだろうと思っていると、「おい」と声を掛けられた。顔を上げてみると、卵粥を持った勝己君がいた。首を傾げていると、「腹、減っただろ。食えや」と言いながらテーブルの上に置いた。…そう言われると確かにお腹空いてきた気がする。お礼を言って、食べることにした。
「!!この味…」
パパが作ってくれてた卵粥と同じ味…!
「勝己君、なんでパパと同じ味…」
「昔、おじさんに教わったんだよ。テメェの好きな卵粥の味付けの仕方を。遠い記憶を頼りに作ったから丸っきり全部一緒とは行ってねぇだろうけどな」
目を逸らしながら言う勝己君。なんだか照れてるみたい。耳赤い気がする。
「勝己君、パパと一緒にご飯作ったことなんてあったんだね」
「1度だけな。お前がおばさんと出掛けてた時に。その日ウチの親両方親戚の結婚式かなんかで出掛けてたからお前ん家に預けられてたんだよ。そん時おじさんに作り方教わった」
パパとそんなことしたことあったんだ。全然知らなかった。…勝己君、わざわざ思い出しながら作ってくれたのかな。
「勝己君」
名前を呼ぶと「あ?」と言いながら私のことを見てきた。
「勝己君、ありがとう!」
見つめ返して笑顔でお礼を言うと、「別に」と言って目を逸らされた。そして「走り込み行ってくる」と言ってそそくさと出て行ってしまった。……勝己君てやっぱり、優しいな。