向日葵
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―――パパの呼ぶ声が聞こえる。お仕事終わって帰って来たんだ!パパ、お帰りなさい!!
『ただいま!歌歩、お誕生日おめでとう!今日はプレゼント買って来たぞー』
―――ホント?!パパありがとう!大好き!!
『パパも歌歩が大好きだ。はい、これ。大切にするんだぞ』
―――うん!うわぁぁ、可愛い、ハリネズミさんだ…!ママ、ママぁ!!パパがお誕生日プレゼントくれた!!
『よかったね。歌歩ハリネズミさん好きだもんね』
―――うん!勝己君そっくりだから大好き!
『ハハ、歌歩は本当に勝己君が好きだね』
―――うん、大好き!!世界で1番大好きなの!!今日ね、勝己君が誕生日だからって言ってお花で冠作ってくれて頭にのせてくれたの。そしたら出久君がね、歌歩ちゃんお姫様みたいで可愛いねって褒めてくれたの
『この子、幼稚園から帰って来てからずっと頭に冠のせたままなのよ』
『ハハ、そっかそっか!よかったなー、歌歩。出久君の言う通り、歌歩お姫様みたいだな。世界で1番可愛いお姫様だ』
―――歌歩お姫様?
『あぁ、パパの大切な可愛い可愛いお姫様だ!』
『貴方、いつまでもそんなこと言ってないで早く家に上がったら?今日はごちそう作ったんだから早く食べましょう。それにほら、今日はお客様も来るんですから』
『あ、そうだったね、早く準備しないと…』
―――誰か来るの?
『あぁ、そうだよ。今日はね……』
◇
ジリジリジリッと、けたたましい音が部屋中に響き渡った。目覚まし時計が鳴っている。朝みたいだ。
なんだか妙にはっきりとした夢を見た気がする。小さい頃の夢…?4歳の私の誕生日の夢…だったのかな。父がハリネズミのヌイバを買って来てくれたことはよく覚えているけれども、それ以外はあんまりよく覚えていないや。なんだかモヤモヤするけど、モヤモヤしていても仕方ない。朝の支度をしなくては。
◇
「あっ無居おはよー!今日は職員室じゃなくてうちのクラスの授業見学するんだって?」
歯を磨くため洗面所へ行くと、先に来ていた芦戸さんに声を掛けられた。
「おはよう。うん、相澤先生に今日の授業はお前の為にもなるだろうからって言われて…」
そういうと「そっかー!じゃあ今日は一緒に教室まで行こー!」キャッキャとはしゃぎながら誘ってくれた。
「三奈ちゃん、歌歩ちゃんおはよー!!」
「あっ透ちゃんおはよう」
芦戸さんとじゃれていると、透ちゃんの明るい声に話し掛けられた。
「教室一緒に行くのー?私も一緒させて―!」
元気に言う透ちゃんに向かって芦戸さんが「もちろん!3人で行こー!!」と同じくらい元気に答えた。
休学という形だけれども、なんだかんだ学生らしい生活を送ることが出来ていて楽しい。そんな風に過ごせているのは、校長先生をはじめとした先生達のお影だろう。感謝してもしきれない。勝己君と出久君と再会できて、心操君やA組のみんなとも友達になれて、母との関係も少しは修復できて、聞かされた時は辛かったけれども、自分の個性についての真相や父についても、少しは知ることが出来て良かった。雄英に入学して、本当に良かった。
◇
それにしても今日は随分とはっきりとした夢を見たな。4歳の誕生日…ということは父がいなくなった年の誕生日だ。オールマイトに父の話を聞いたからかな。だから記憶の奥底に眠っていた思い出が無意識に甦ってきたのかな。
……夢のなかとはいえ、父に会うことが出来て、少しだけ嬉しい。
「無居、どうかしたのか?」
みんなの授業の様子を見学しながら今朝の夢のことを考えていると、少し離れたところで見学していた轟君に話しかけられた。
「何が?」
「なんかぼーっとしてるから、具合でも悪いのかと思って」
心配そうに私のことをじっと見つめる轟君に慌てて「あっごめんね、心配してくれてありがとう。大丈夫だよ!」と言うと「なら良かった。具合悪くなったら言えよ?保健室まで送る」そう言ってくれた。かなり気遣ってくれている様子の轟君にお礼を言った。
強くてイケメンで、お父さんはNo.1ヒーローで、周囲のことをこんなに気に掛けられる優しい人だなんて凄いな。
ふと、体育祭の時に出久君に話していた轟君の家庭環境を思い出す。きっと轟君は、私なんかじゃ想像もつかないような辛く苦しい、悲しい思いを沢山したのだろう。だからこんなに、人に優しく出来るんだろうな。
「そういえば轟君は行かなくて良かったの?通形先輩との戦い」
今日の授業は雄英ビック3と言われている3人の先輩たちが来て、ヒーローインターンというものについての説明をしていた。正直、あまり私には関係ないんじゃないかなと思ったが、そのうちの1人である通形ミリオ先輩という人とA組のみんなと戦うことになった。相澤先生はそれを私に見せたかったみたいだ。
そしてその戦いを私と、何故か轟君も見学している。
「俺は仮免とってないからな」
だから参加するのは違うだろ、と、私の疑問に返答してきた。真面目だなー、轟君。
「……早く、とらねぇと」
そう呟く轟君の目は、とても強い。まるで未来を見つめているみたいだ。
A組の子達や心操君、ヒーローを志しているみんなは、本当に強いな。強くて真っ直ぐと脇目も振らずに進んでいて、かっこいい。
「…………無居。俺、お前に謝らないといけねぇことがあるんだ」
轟君が突然、表情を暗くして口を開いた。
「謝らなくちゃいけないこと?」
私、轟君に謝られる様なこと何かあるだろうか?全く検討もつかない。
「何かあった?私、轟君に謝られるようなこと何も無いと思うんだけど…」
神野の時に助けて貰ったり、それ以降も何かと気にかけてくれて、寧ろこっちが謝らないと行けないんじゃ……。
「連合に誘拐された時……腕、刺されたって言ってたよな?」
言いにくそうに、轟君が私の腕を見つめながら言う。
「あ…うん……」
『歌歩ちゃん色白ですからね…。きっと赤がとーっても似合いますよ。それに今ちょうど着ているお洋服も真っ白だからすごく映えてきっと素敵です』
『やっぱり思った通り、歌歩ちゃん赤がよく似合いますね…。とっても素敵だよぉ、歌歩ちゃん……』
あの時のトガヒミコの言葉と、恍惚とした表情が蘇って来る。思い出すだけで、震えが止まらなくなってしまいそうだ。
「あ…悪い、嫌なこと思い出させちまったか……?」
轟君が申し訳なさそうな顔で私のことを見ている。
「大丈夫だよ、気にしないで。怖かったけど、もう大丈夫……」
そう答えると轟君は少しほっとしたように「良かった……」と呟いた。
「話し、続けさせて貰ってもいいか?」
意を決したように、少し緊張した様に尋ねてくる轟君に頷いた。なんだろう……私も緊張してきた。
「お前が腕刺されちまったの、俺のせいかもしれないんだ……!」
私が刺されたのが、轟君のせい……?
「えっ…なんで…?轟君、あの場にいなかったし、関係ないと思うんだけど……」
そう言うと轟君は少し言いにくそうにしながらも続けた。
「実は俺…ハンドクラッシャーみたいで……!」
「は??????」
大真面目に、とても深刻そうな顔で言っている轟君の言葉の意味が、1ミリたりとも理解できない。何言ってるんだろう、この人。
授業が終わってからそんなことがあったと出久君に報告すると、「あぁ、轟君そういうとこあるから。気にしなくて大丈夫だよ」と、にこやかに返された。轟君て、一体どういう人なの……。
『ただいま!歌歩、お誕生日おめでとう!今日はプレゼント買って来たぞー』
―――ホント?!パパありがとう!大好き!!
『パパも歌歩が大好きだ。はい、これ。大切にするんだぞ』
―――うん!うわぁぁ、可愛い、ハリネズミさんだ…!ママ、ママぁ!!パパがお誕生日プレゼントくれた!!
『よかったね。歌歩ハリネズミさん好きだもんね』
―――うん!勝己君そっくりだから大好き!
『ハハ、歌歩は本当に勝己君が好きだね』
―――うん、大好き!!世界で1番大好きなの!!今日ね、勝己君が誕生日だからって言ってお花で冠作ってくれて頭にのせてくれたの。そしたら出久君がね、歌歩ちゃんお姫様みたいで可愛いねって褒めてくれたの
『この子、幼稚園から帰って来てからずっと頭に冠のせたままなのよ』
『ハハ、そっかそっか!よかったなー、歌歩。出久君の言う通り、歌歩お姫様みたいだな。世界で1番可愛いお姫様だ』
―――歌歩お姫様?
『あぁ、パパの大切な可愛い可愛いお姫様だ!』
『貴方、いつまでもそんなこと言ってないで早く家に上がったら?今日はごちそう作ったんだから早く食べましょう。それにほら、今日はお客様も来るんですから』
『あ、そうだったね、早く準備しないと…』
―――誰か来るの?
『あぁ、そうだよ。今日はね……』
◇
ジリジリジリッと、けたたましい音が部屋中に響き渡った。目覚まし時計が鳴っている。朝みたいだ。
なんだか妙にはっきりとした夢を見た気がする。小さい頃の夢…?4歳の私の誕生日の夢…だったのかな。父がハリネズミのヌイバを買って来てくれたことはよく覚えているけれども、それ以外はあんまりよく覚えていないや。なんだかモヤモヤするけど、モヤモヤしていても仕方ない。朝の支度をしなくては。
◇
「あっ無居おはよー!今日は職員室じゃなくてうちのクラスの授業見学するんだって?」
歯を磨くため洗面所へ行くと、先に来ていた芦戸さんに声を掛けられた。
「おはよう。うん、相澤先生に今日の授業はお前の為にもなるだろうからって言われて…」
そういうと「そっかー!じゃあ今日は一緒に教室まで行こー!」キャッキャとはしゃぎながら誘ってくれた。
「三奈ちゃん、歌歩ちゃんおはよー!!」
「あっ透ちゃんおはよう」
芦戸さんとじゃれていると、透ちゃんの明るい声に話し掛けられた。
「教室一緒に行くのー?私も一緒させて―!」
元気に言う透ちゃんに向かって芦戸さんが「もちろん!3人で行こー!!」と同じくらい元気に答えた。
休学という形だけれども、なんだかんだ学生らしい生活を送ることが出来ていて楽しい。そんな風に過ごせているのは、校長先生をはじめとした先生達のお影だろう。感謝してもしきれない。勝己君と出久君と再会できて、心操君やA組のみんなとも友達になれて、母との関係も少しは修復できて、聞かされた時は辛かったけれども、自分の個性についての真相や父についても、少しは知ることが出来て良かった。雄英に入学して、本当に良かった。
◇
それにしても今日は随分とはっきりとした夢を見たな。4歳の誕生日…ということは父がいなくなった年の誕生日だ。オールマイトに父の話を聞いたからかな。だから記憶の奥底に眠っていた思い出が無意識に甦ってきたのかな。
……夢のなかとはいえ、父に会うことが出来て、少しだけ嬉しい。
「無居、どうかしたのか?」
みんなの授業の様子を見学しながら今朝の夢のことを考えていると、少し離れたところで見学していた轟君に話しかけられた。
「何が?」
「なんかぼーっとしてるから、具合でも悪いのかと思って」
心配そうに私のことをじっと見つめる轟君に慌てて「あっごめんね、心配してくれてありがとう。大丈夫だよ!」と言うと「なら良かった。具合悪くなったら言えよ?保健室まで送る」そう言ってくれた。かなり気遣ってくれている様子の轟君にお礼を言った。
強くてイケメンで、お父さんはNo.1ヒーローで、周囲のことをこんなに気に掛けられる優しい人だなんて凄いな。
ふと、体育祭の時に出久君に話していた轟君の家庭環境を思い出す。きっと轟君は、私なんかじゃ想像もつかないような辛く苦しい、悲しい思いを沢山したのだろう。だからこんなに、人に優しく出来るんだろうな。
「そういえば轟君は行かなくて良かったの?通形先輩との戦い」
今日の授業は雄英ビック3と言われている3人の先輩たちが来て、ヒーローインターンというものについての説明をしていた。正直、あまり私には関係ないんじゃないかなと思ったが、そのうちの1人である通形ミリオ先輩という人とA組のみんなと戦うことになった。相澤先生はそれを私に見せたかったみたいだ。
そしてその戦いを私と、何故か轟君も見学している。
「俺は仮免とってないからな」
だから参加するのは違うだろ、と、私の疑問に返答してきた。真面目だなー、轟君。
「……早く、とらねぇと」
そう呟く轟君の目は、とても強い。まるで未来を見つめているみたいだ。
A組の子達や心操君、ヒーローを志しているみんなは、本当に強いな。強くて真っ直ぐと脇目も振らずに進んでいて、かっこいい。
「…………無居。俺、お前に謝らないといけねぇことがあるんだ」
轟君が突然、表情を暗くして口を開いた。
「謝らなくちゃいけないこと?」
私、轟君に謝られる様なこと何かあるだろうか?全く検討もつかない。
「何かあった?私、轟君に謝られるようなこと何も無いと思うんだけど…」
神野の時に助けて貰ったり、それ以降も何かと気にかけてくれて、寧ろこっちが謝らないと行けないんじゃ……。
「連合に誘拐された時……腕、刺されたって言ってたよな?」
言いにくそうに、轟君が私の腕を見つめながら言う。
「あ…うん……」
『歌歩ちゃん色白ですからね…。きっと赤がとーっても似合いますよ。それに今ちょうど着ているお洋服も真っ白だからすごく映えてきっと素敵です』
『やっぱり思った通り、歌歩ちゃん赤がよく似合いますね…。とっても素敵だよぉ、歌歩ちゃん……』
あの時のトガヒミコの言葉と、恍惚とした表情が蘇って来る。思い出すだけで、震えが止まらなくなってしまいそうだ。
「あ…悪い、嫌なこと思い出させちまったか……?」
轟君が申し訳なさそうな顔で私のことを見ている。
「大丈夫だよ、気にしないで。怖かったけど、もう大丈夫……」
そう答えると轟君は少しほっとしたように「良かった……」と呟いた。
「話し、続けさせて貰ってもいいか?」
意を決したように、少し緊張した様に尋ねてくる轟君に頷いた。なんだろう……私も緊張してきた。
「お前が腕刺されちまったの、俺のせいかもしれないんだ……!」
私が刺されたのが、轟君のせい……?
「えっ…なんで…?轟君、あの場にいなかったし、関係ないと思うんだけど……」
そう言うと轟君は少し言いにくそうにしながらも続けた。
「実は俺…ハンドクラッシャーみたいで……!」
「は??????」
大真面目に、とても深刻そうな顔で言っている轟君の言葉の意味が、1ミリたりとも理解できない。何言ってるんだろう、この人。
授業が終わってからそんなことがあったと出久君に報告すると、「あぁ、轟君そういうとこあるから。気にしなくて大丈夫だよ」と、にこやかに返された。轟君て、一体どういう人なの……。