向日葵
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勝己君と出久君の私闘は、当然ながら相澤先生に怒られた。そして私も、消灯時間過ぎに寮外へ出ていたことを怒られた。捕縛布で締め上げられて、とても痛かった…。オールマイトが「あ、相澤君待って!私!私が無居少女を呼びだしたんだよ…!だからあまり怒らないでやってくれ…!」と、フォローはしてくれた。すると相澤先生は
「オールマイトさん…この子の置かれている状況わかってますよね?いくらここがセキュリティがしっかりしていてヒーローもいるからと言って、こんな夜中に呼び出すなんてもしも何かあったらどうするんですか」
と、お小言を言われていた。…受け持ちの生徒でもない私のことも、勝己君や出久君、A組のみんなと同じくらい心配してくれているんだと思ったら、怒られているのに少しだけ、嬉しくなった。もちろん担任の先生や他の先生達だって心配してくれているんだということわかってはいるけれども。
「歌歩ちゃん、女子の方のゴミの回収終わった?」
ゴミ袋を抱えた出久君に声を掛けられた。
「うん、終わったよ。今そっちに持って行くね」
そう答えると「ありがとう!」と返事をされた。
私達3人は今、寮内の清掃をしている。相澤先生からの言いつけで。私闘をしたことと、寮外を出歩いたことへのペナルティだ。出久君は3日、勝己君は4日、私は1日の寮内での謹慎を言いつけられた。そしてその間の寮内の清掃と反省文を書くようにとも言われた。ついでに担任にも報告されて、担任からも怒られた。先生に怒られたのなんて何年ぶりだろう…。そんな様子を見ていたオールマイトに、平謝りされた。幼馴染2人の憧れのヒーローで、元No.1ヒーローのオールマイトに平謝りされたよって昔の私に話してみたい。絶対に信じないな。
「はい、女子の方のゴミはこれで全部だよ」
「ありがとう!じゃあ僕収集所に持ってっちゃうね!」
「えっ結構量あるよ、大丈夫?一緒に持って行こうか?」
「これくらい問題ないよ。じゃあ行ってくるね」
そういってゴミ袋を3つも抱えて寮から出て行く出久君の後姿を見つめながら
「出久君逞しくなったなぁ…」
ぼそっと呟いた。
「テメェは誰目線だよ…」
そんな私に、勝己君が呆れたようにつっこむ。
「だって出久君てどうしても私の中で泣き虫ないじめられっ子ってイメージが抜けなくて…。優しくて正義感は強いけど頼りない出久君の姿が目に焼き付いちゃってるっていうかなんていうか…!」
「お前口に出さなかっただけでデクのこと結構ボロクソ思ってたんだな…」
そう呟く勝己君に慌てて弁解するが、あまり信じてくれていなさそうというか、興味なさそうだ。……出久君、本当にいろんな意味で強くなったんだな。
「……ねぇ勝己君。出久君とオールマイトの関係、勝己君は気がついてたんだよね」
「薄々だがな。あそこまで濃い関係性とは思ってなかった」
あの後私と勝己君は、オールマイトと出久君の関係性についてや、オールマイトの個性、ワン・フォー・オールについての秘密など、色々なことを教えて貰った。
「なんとなく事情を分かってた勝己君にはともかく、私まであの話きいて良かったのかな?あまり多くの人に知られたりしない方が良さそうなのに…」
しどろもどろになりながら言うと、勝己君は
「だって聞いちまってたんだろ?俺とデクの話。だったらお前にも話さねぇ訳にはいかねぇだろ。どう頑張っても話さずに誤魔化せる状況じゃねぇし。…つーか恐らく、オールマイトはハナっからお前には話すつもりだったと思うぜ」
どこか確信した様に勝己君が言う。
「えっ…そう、なのかな…?」
「あくまで俺の予想だがな。テメェの個性の事情を考えるに、ワン・フォー・オールの話しはしといた方がいいだろって考えたんじゃねェの。しかも死柄木や連合の奴が接触してきたりしたんだろ?そういうとこも踏まえて考えっと、知っといた方が都合いいかもしれねぇしな。…それから、おじさんの件についてもあるみてぇだしな」
勝己君が少し言いにくそうに言う。
『実は今日、奴…オール・フォー・ワンの所へ行って来たんだ。そして問い質してみたんだ。君の個性についてのことや、お父上についてのことを』
2人の戦いが終わってからオールマイトがポツリポツリと話し出してくれたことを思い出す。
私に付与された個性の身体への影響や、父の行方についてオール・フォー・ワンに問い詰めたが、はぐらかされてしまったということを知らされた。知らせてくれた時の、オールマイトの申し訳なさそうな、悔しそうな顔が頭から離れなくなりそうだ。
「……おばさん、もう大丈夫なのか?」
具合、とか…と少し尋ねづらそうに勝己君が聞いてくる。
「うん、もう大分落ち着いてきたよ。退院するのはまだまだ先になりそうだけど。…この前ね、久しぶりに電話で話したの。それで、個性についてのことやパパがいなくなった理由についてとか、全部聞かされたことを伝えたよ。……そしたらママ、何度も何度も謝って来た」
私の話しを、勝己君は黙って聞いてくれている。だから、良いよね甘えて全部聞いてもらっても。
「歌歩は何も悪くないのに、いつも八つ当たりしてごめん、責め立ててごめん、自殺未遂なんてして、辛い思い沢山させて、気にしなくて良いようなことを気にさせて、沢山重い荷物を背負わせてしまってごめんなさいって、ずっと謝ってた」
電話越しで聞こえてきた、母の嗚咽交じりの声を思い出す。
「久しぶりに話せたのに、ずーっと謝ってるの。謝られ続けるのって、結構辛いね」
勝己君は相変わらず黙り込みながら私のことをじっと見つめている。
「でももう、ママは私のこと、恨んでないってことでいいのかな。許してくれたって思って、良いよね、きっと」
そう言うと、黙り込んでいた勝己君がハァ、とため息を吐き
「バカじゃねェの、お前」
心底呆れたと言いたげな様子で話し出した。バカ…酷いなと思っていると
「おばさんはきっと、お前のこと元々恨んでなんかなかったと思うぞ。ただ、おじさんがいなくなっちまった悲しみをどこにも吐き出せないで、ついお前に当たっちまってたんだろ。…だから、自殺未遂するまで自分を追い詰めちまったんだろ。遺書らしき手紙にも書いてあったんだろ?『歌歩、こんな最低な母親でごめんね』って。恨んでたりなんてしてたら、そんなもん残したりしねぇだろ」
勝己君が俯き気味にそう言った。
「つーかよ。もしおばさんがお前のこと本気で恨んでたなら、本気でお前に憎悪の感情向けたりなんてしてたら、そんな悪意をむき出しにしてるような奴が近くにいたら、俺とデクが気づかねェわけねぇだろ」
俺達がどれだけ見てたと思ってんだよ、お前らのこと。と、ぶっきらぼうに答えた。そんな勝己君に、思わず笑いそうになってしまった。そしたら睨みつけられてしまったので必死に堪えた。
……私、本当にバカだな。こんなに思ってくれている人が、大切に思ってくれる人が、心配してくれる人が、近くに2人もいたのに全く気がつかなかったなんて。
2人に心配させたくないからって思って笑う様にしていたのにそのせいで2人のことを余計心配させていたなんて呆れてしまう。私、2人の何を見ていたんだろう。2人のこと、何もわかっていなかったのか。ごめんね、勝己君、出久君。ありがとう、いつも私のことを思ってくれて。2人共大好き。いつか2人に、恩返しが出来る様に頑張らなくちゃ。
「オールマイトさん…この子の置かれている状況わかってますよね?いくらここがセキュリティがしっかりしていてヒーローもいるからと言って、こんな夜中に呼び出すなんてもしも何かあったらどうするんですか」
と、お小言を言われていた。…受け持ちの生徒でもない私のことも、勝己君や出久君、A組のみんなと同じくらい心配してくれているんだと思ったら、怒られているのに少しだけ、嬉しくなった。もちろん担任の先生や他の先生達だって心配してくれているんだということわかってはいるけれども。
「歌歩ちゃん、女子の方のゴミの回収終わった?」
ゴミ袋を抱えた出久君に声を掛けられた。
「うん、終わったよ。今そっちに持って行くね」
そう答えると「ありがとう!」と返事をされた。
私達3人は今、寮内の清掃をしている。相澤先生からの言いつけで。私闘をしたことと、寮外を出歩いたことへのペナルティだ。出久君は3日、勝己君は4日、私は1日の寮内での謹慎を言いつけられた。そしてその間の寮内の清掃と反省文を書くようにとも言われた。ついでに担任にも報告されて、担任からも怒られた。先生に怒られたのなんて何年ぶりだろう…。そんな様子を見ていたオールマイトに、平謝りされた。幼馴染2人の憧れのヒーローで、元No.1ヒーローのオールマイトに平謝りされたよって昔の私に話してみたい。絶対に信じないな。
「はい、女子の方のゴミはこれで全部だよ」
「ありがとう!じゃあ僕収集所に持ってっちゃうね!」
「えっ結構量あるよ、大丈夫?一緒に持って行こうか?」
「これくらい問題ないよ。じゃあ行ってくるね」
そういってゴミ袋を3つも抱えて寮から出て行く出久君の後姿を見つめながら
「出久君逞しくなったなぁ…」
ぼそっと呟いた。
「テメェは誰目線だよ…」
そんな私に、勝己君が呆れたようにつっこむ。
「だって出久君てどうしても私の中で泣き虫ないじめられっ子ってイメージが抜けなくて…。優しくて正義感は強いけど頼りない出久君の姿が目に焼き付いちゃってるっていうかなんていうか…!」
「お前口に出さなかっただけでデクのこと結構ボロクソ思ってたんだな…」
そう呟く勝己君に慌てて弁解するが、あまり信じてくれていなさそうというか、興味なさそうだ。……出久君、本当にいろんな意味で強くなったんだな。
「……ねぇ勝己君。出久君とオールマイトの関係、勝己君は気がついてたんだよね」
「薄々だがな。あそこまで濃い関係性とは思ってなかった」
あの後私と勝己君は、オールマイトと出久君の関係性についてや、オールマイトの個性、ワン・フォー・オールについての秘密など、色々なことを教えて貰った。
「なんとなく事情を分かってた勝己君にはともかく、私まであの話きいて良かったのかな?あまり多くの人に知られたりしない方が良さそうなのに…」
しどろもどろになりながら言うと、勝己君は
「だって聞いちまってたんだろ?俺とデクの話。だったらお前にも話さねぇ訳にはいかねぇだろ。どう頑張っても話さずに誤魔化せる状況じゃねぇし。…つーか恐らく、オールマイトはハナっからお前には話すつもりだったと思うぜ」
どこか確信した様に勝己君が言う。
「えっ…そう、なのかな…?」
「あくまで俺の予想だがな。テメェの個性の事情を考えるに、ワン・フォー・オールの話しはしといた方がいいだろって考えたんじゃねェの。しかも死柄木や連合の奴が接触してきたりしたんだろ?そういうとこも踏まえて考えっと、知っといた方が都合いいかもしれねぇしな。…それから、おじさんの件についてもあるみてぇだしな」
勝己君が少し言いにくそうに言う。
『実は今日、奴…オール・フォー・ワンの所へ行って来たんだ。そして問い質してみたんだ。君の個性についてのことや、お父上についてのことを』
2人の戦いが終わってからオールマイトがポツリポツリと話し出してくれたことを思い出す。
私に付与された個性の身体への影響や、父の行方についてオール・フォー・ワンに問い詰めたが、はぐらかされてしまったということを知らされた。知らせてくれた時の、オールマイトの申し訳なさそうな、悔しそうな顔が頭から離れなくなりそうだ。
「……おばさん、もう大丈夫なのか?」
具合、とか…と少し尋ねづらそうに勝己君が聞いてくる。
「うん、もう大分落ち着いてきたよ。退院するのはまだまだ先になりそうだけど。…この前ね、久しぶりに電話で話したの。それで、個性についてのことやパパがいなくなった理由についてとか、全部聞かされたことを伝えたよ。……そしたらママ、何度も何度も謝って来た」
私の話しを、勝己君は黙って聞いてくれている。だから、良いよね甘えて全部聞いてもらっても。
「歌歩は何も悪くないのに、いつも八つ当たりしてごめん、責め立ててごめん、自殺未遂なんてして、辛い思い沢山させて、気にしなくて良いようなことを気にさせて、沢山重い荷物を背負わせてしまってごめんなさいって、ずっと謝ってた」
電話越しで聞こえてきた、母の嗚咽交じりの声を思い出す。
「久しぶりに話せたのに、ずーっと謝ってるの。謝られ続けるのって、結構辛いね」
勝己君は相変わらず黙り込みながら私のことをじっと見つめている。
「でももう、ママは私のこと、恨んでないってことでいいのかな。許してくれたって思って、良いよね、きっと」
そう言うと、黙り込んでいた勝己君がハァ、とため息を吐き
「バカじゃねェの、お前」
心底呆れたと言いたげな様子で話し出した。バカ…酷いなと思っていると
「おばさんはきっと、お前のこと元々恨んでなんかなかったと思うぞ。ただ、おじさんがいなくなっちまった悲しみをどこにも吐き出せないで、ついお前に当たっちまってたんだろ。…だから、自殺未遂するまで自分を追い詰めちまったんだろ。遺書らしき手紙にも書いてあったんだろ?『歌歩、こんな最低な母親でごめんね』って。恨んでたりなんてしてたら、そんなもん残したりしねぇだろ」
勝己君が俯き気味にそう言った。
「つーかよ。もしおばさんがお前のこと本気で恨んでたなら、本気でお前に憎悪の感情向けたりなんてしてたら、そんな悪意をむき出しにしてるような奴が近くにいたら、俺とデクが気づかねェわけねぇだろ」
俺達がどれだけ見てたと思ってんだよ、お前らのこと。と、ぶっきらぼうに答えた。そんな勝己君に、思わず笑いそうになってしまった。そしたら睨みつけられてしまったので必死に堪えた。
……私、本当にバカだな。こんなに思ってくれている人が、大切に思ってくれる人が、心配してくれる人が、近くに2人もいたのに全く気がつかなかったなんて。
2人に心配させたくないからって思って笑う様にしていたのにそのせいで2人のことを余計心配させていたなんて呆れてしまう。私、2人の何を見ていたんだろう。2人のこと、何もわかっていなかったのか。ごめんね、勝己君、出久君。ありがとう、いつも私のことを思ってくれて。2人共大好き。いつか2人に、恩返しが出来る様に頑張らなくちゃ。