向日葵
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オールマイトが「君もこっちへ来て話をしないか?」と言って見た視線の先には、僕とかっちゃんにとってとても身近な人物━━歌歩ちゃんの姿があった。僕らの話を、オールマイトと一緒に聞いていたのだろうか。
「この際だ。君達は1度ゆっくり話しをした方がいいんじゃないかな」
ね、おいで。と優しく言うオールマイトの声に答える様にゆっくりと僕らの傍にやって来た。
僕達の話、歌歩ちゃんはどこまで聞いていたのだろう。もしかしたら、全て聞いていたのかもしれない。かっちゃんからしたら不本意であり、すごく嫌だろうけどでも、それでも、もしかしたらこれがきっかけで2人の関係が元通り......とまではいかないかもしれないけどでも、少しは修復するきっかけになるんじゃないかそう期待してしまう僕がいる。
「全部……聞いてたのか」
かっちゃんの声が、静寂の中響き渡る。その問いに歌歩ちゃんが無言で頷いた。それを見たかっちゃんは小さく舌打ちをし、「情けねぇとこ見てんじゃねぇよ……」と呟いた。
「情けなくなんかないよ。勝己君は、昔も今もすごくカッコよくて頼りになる人だよ」
そう俯いたまま言う歌歩ちゃんの事を、かっちゃんは唇を噛み締めてワナワナと震えながら見つめて
「どこがだよ?!カッコイイとこなんてどこもなかっただろ?!口を開けば情けねぇ呆れるような泣き言しか出て来なくて!!頼れる要素なんて、どっこもねぇだろ……!」
そう叫んでいる声は震えていて、今まで聞いたこともないような声音だった。
そんなかっちゃんの話を、歌歩ちゃんは相変わらず俯いたまま聞いている。
そのためどんな顔をして話しを聞いているのか確かめることは出来ない。
不意に歌歩ちゃんが口を開き、ポツリポツリと話し始めた。
「パパがいなくなった時、私いつもいつも泣いてたでしょ?泣き続けてたある日、ママに言われたの。『歌歩、泣かないでよ。ママを困らせないで。歌歩が泣いてばっかりいるから、そのせいでパパいなくなっちゃったの。だからそのうち、そんなに泣いてたらパパみたいに勝己君と出久君までいなくなっちゃうよ?そんなの嫌でしょ?だからもう泣かないで』って」
震えているかっちゃんの声とは対象的に、歌歩ちゃんの声はとても淡々としていて。なんだか感情が削ぎ落とされてしまっているみたいだ。
「そう言われたけどでも、それでもやっぱり私は泣くことをやめれなかったの。やめる所か逆に、益々泣くようになっちゃって。私が泣けば泣くほど、ママとの関係悪くなっていたの」
神野で、オール・フォー・ワンが言っていたことを思い出す。おばさんがいつも、歌歩ちゃんのことを責めたてていたというのは本当の事だったんだ…。信じたく、なかった。
「…それから少ししてからだったの。3人でパパのことを探しに行ったあの日が来たのは」
歌歩ちゃんが俯いたままやはり淡々と続ける。
「あの日、楽しかったよね。生まれて初めて3人だけで電車に乗って、3人だけで出掛けて。あの日ね、すごく嬉しかったの。2人が私のためにパパを探しに行こうって言ってくれたこと」
僕とかっちゃんが2人であの日の話をすることは時々…本当に時々だけどもあった。だけど歌歩ちゃんの口からあの日の話が出るのは初めてだ。
「だけどそのせいで、勝己君のお母さんや出久君のお母さん、幼稚園の先生達にすごく怒られちゃって。2人に迷惑かけちゃったって思った。そしたらね、クラスメイトに美佳ちゃんて子がいたでしょ?あの子にね、言われたの。『歌歩ちゃんていつもかっちゃんと出久君に甘えてるね。そんなに甘えてばっかりだと、2人共歌歩ちゃんのこと嫌いになっちゃうよ。だから2人に、かっちゃんに甘えるのやめなよ』って。そう言われたの」
淡々としていた歌歩ちゃんの声が少し、震えた。何か、堪え切れなかった様な感じだ。
「そう言われてね、その通りだと思ったの。泣いてばっかりだったら2人を困らせちゃう。私の前からいなくなっちゃう。甘えてばっかりだったら2人に嫌われちゃう。2人を困らせるなんて嫌。2人がいなくなっちゃうなんて嫌。2人に…勝己君に嫌われるなんて絶対に嫌。だから笑わないと。笑ってたら2人共、困らないと思ってた。2人に…勝己君に安心してもらえると思ってた」
そう言ったかと思うと歌歩ちゃんが顔を上げた。その顔は涙でぐしゃぐしゃだ。
「だけどそのせいで、勝己君に余計な心配掛けてたなんて、思わなかった。こんなに思い詰めてたなんて、思わなかった。こんなに追い詰めてたなんて、夢にも思ってなかった…!」
僕もかっちゃんも、そう言って泣く歌歩ちゃんから目を離せなくなる。
「ごめん…ごめんなさい…!気が付かなくて、わかってなくて、ごめん、なさい…」
そういって膝から崩れ落ちてしまった。
…何年振りだろうか。こんな風に泣く歌歩ちゃんを見るのは。
「…んだよ、それ…」
かっちゃんは力なく呟くと、脱力したようにその場にしゃがみ込んでしまった。
「泣かなくなっちまったのも、無理するようになったのもやっぱ、俺のせいじゃねぇか」
そういうかっちゃんに歌歩ちゃんが「ちが…」と言いかけたがかっちゃんは「違わねぇよ」と遮った。
「もっとちゃんと、話すべきだったんだな、お前と。ちゃんと言うべきだった。作り笑いすんじゃねぇって、声に出して伝えるべきだった。簡単なことだったんだ」
かっちゃんの力なく呟く声が、よく響き渡っている。
「そんな簡単なこともわかんねぇとか、呆れるしかねぇ。なんで出来なかったんだろうな、少し考えりゃわかりそうなもんなのによ」
かっちゃんの声は、心底呆れていると言いたげだ。
「泣いて迷惑だ、なんて思ってたらハナッからあんな世話焼く訳ねぇだろ。泣いてる時頭撫でたりなんてする訳ねぇだろ。いつも一緒にいようとする訳、ねぇだろ」
かっちゃんの声は相変わらず呆れている様だけどそれでも、すごく優しげだ。そんなかっちゃんのことを、歌歩ちゃんは涙を浮かべたままじっと見つめている。
「俺はお前が、大切なんだよ。昔も今も、ずっと。他の奴らとは比べ物にならないくらい、大切なんだ」
かっちゃんの言葉を聞くと、歌歩ちゃんの目から涙が更に溢れだした。
「だから無理なんてしてほしくねぇ。辛いなら辛いって言ってほしい。泣きてぇなら気が済むまで泣いてそんで、気が済むまで泣いてそんで、その後はまた、心から笑ってほしいんだよ」
そう言ってかっちゃんが歌歩ちゃんの頬を撫でて涙を拭う。
「……なんて、1度もまともに助けれても守れてもねぇ奴に言われても説得力ないだろうけどよ」
かっちゃんが自嘲気味にそういうと、歌歩ちゃんが
「そんなことない!!」
と声を上げた。その声はとても大きくて、僕もかっちゃんも驚いてしまった。
「勝己君はいつも私のこと、助けてくれてるし守ってくれてるよ。幼稚園の頃はいつも、泣いてると頭撫でてくれたし誰かに意地悪されてると助けに来てくれた。怖い夢を見ると優しく起こしてくれた。雄英に入ったばっかりの時、マスコミに囲まれて困ってたら腕を引いて助けてくれた。風邪引いて倒れて階段から落ちちゃった時、地面に叩きつけられる寸前に抱き上げてくれたって出久君と心操君が教えてくれた。しかもその日、おばあちゃんと連絡取れなかったからって言って学校早退してまでおぶって家まで送ってくれて、おばあちゃん帰ってくるまでずっと家にいてくれてそれで、卵粥作ってくれて食べさせてくれた……。やっぱり勝己君は私の事沢山助けてくれてるし守ってくれてるよ……」
嗚咽交じりにか歌歩ちゃんが続ける。
「敵連合に誘拐された時、怖くて心細くて、不安で堪らなかった…。捕まってる間ずっと、勝己君の事ずっと考えてた。勝己君がいてくれたら心強いのに、って。だからトガヒミコに刺されて気を失って目を覚ました時、勝己君に抱きかかえられてて、すごく安心した。勝己君が、助けに来てくれたんだって、嬉しかった」
歌歩ちゃんの言葉は、泣きながら言っているため途切れ途切れだが、それでもしっかりとかっちゃんに思いを伝えようとしているらしく、必至に紡がれている。
「オール・フォー・ワンに、個性についての真相や、パパがいなくなった理由を聞かされた時、私自暴自棄になっちゃってもう、何もかもがどうでもいい、どうなってもいいって、本気でそう思ってた。そんな私のことを、肩に担いで守りながら、戦ってくれた。そんな私に向かって、必死に声を掛けてくれた。そのお陰で、立ち直れた。もちろんオールマイトや出久君、切島君に轟君や飯田君と八百万さんにも助けてもらったと思ってる。でも、私が今こうしてここにいられるのは、おばあちゃんやみんなの所に帰って来られたのは、全部、勝己君のお陰だよ。あの時勝己君がいてくれなかったら私、諦めちゃってた。きっと今頃、殺されてたか敵連合に捕われたままだった。そうならずに済んだのは、勝己君のお陰」
言い終わると歌歩ちゃんはかっちゃんに抱き着いた。そして
「勝己君、助けてくれて、守ってくれて、ありがとう。勝己君はいつも、歌歩のこと守ってくれて助けてくれるから、歌歩のヒーローだね。勝己君、だーい好き……!」
小さい頃、口癖の様に言っていた言葉を口にした。
歌歩ちゃんのその言葉を聞いたかっちゃんの目にうっすらと、涙が浮かんだように見えた。
「この際だ。君達は1度ゆっくり話しをした方がいいんじゃないかな」
ね、おいで。と優しく言うオールマイトの声に答える様にゆっくりと僕らの傍にやって来た。
僕達の話、歌歩ちゃんはどこまで聞いていたのだろう。もしかしたら、全て聞いていたのかもしれない。かっちゃんからしたら不本意であり、すごく嫌だろうけどでも、それでも、もしかしたらこれがきっかけで2人の関係が元通り......とまではいかないかもしれないけどでも、少しは修復するきっかけになるんじゃないかそう期待してしまう僕がいる。
「全部……聞いてたのか」
かっちゃんの声が、静寂の中響き渡る。その問いに歌歩ちゃんが無言で頷いた。それを見たかっちゃんは小さく舌打ちをし、「情けねぇとこ見てんじゃねぇよ……」と呟いた。
「情けなくなんかないよ。勝己君は、昔も今もすごくカッコよくて頼りになる人だよ」
そう俯いたまま言う歌歩ちゃんの事を、かっちゃんは唇を噛み締めてワナワナと震えながら見つめて
「どこがだよ?!カッコイイとこなんてどこもなかっただろ?!口を開けば情けねぇ呆れるような泣き言しか出て来なくて!!頼れる要素なんて、どっこもねぇだろ……!」
そう叫んでいる声は震えていて、今まで聞いたこともないような声音だった。
そんなかっちゃんの話を、歌歩ちゃんは相変わらず俯いたまま聞いている。
そのためどんな顔をして話しを聞いているのか確かめることは出来ない。
不意に歌歩ちゃんが口を開き、ポツリポツリと話し始めた。
「パパがいなくなった時、私いつもいつも泣いてたでしょ?泣き続けてたある日、ママに言われたの。『歌歩、泣かないでよ。ママを困らせないで。歌歩が泣いてばっかりいるから、そのせいでパパいなくなっちゃったの。だからそのうち、そんなに泣いてたらパパみたいに勝己君と出久君までいなくなっちゃうよ?そんなの嫌でしょ?だからもう泣かないで』って」
震えているかっちゃんの声とは対象的に、歌歩ちゃんの声はとても淡々としていて。なんだか感情が削ぎ落とされてしまっているみたいだ。
「そう言われたけどでも、それでもやっぱり私は泣くことをやめれなかったの。やめる所か逆に、益々泣くようになっちゃって。私が泣けば泣くほど、ママとの関係悪くなっていたの」
神野で、オール・フォー・ワンが言っていたことを思い出す。おばさんがいつも、歌歩ちゃんのことを責めたてていたというのは本当の事だったんだ…。信じたく、なかった。
「…それから少ししてからだったの。3人でパパのことを探しに行ったあの日が来たのは」
歌歩ちゃんが俯いたままやはり淡々と続ける。
「あの日、楽しかったよね。生まれて初めて3人だけで電車に乗って、3人だけで出掛けて。あの日ね、すごく嬉しかったの。2人が私のためにパパを探しに行こうって言ってくれたこと」
僕とかっちゃんが2人であの日の話をすることは時々…本当に時々だけどもあった。だけど歌歩ちゃんの口からあの日の話が出るのは初めてだ。
「だけどそのせいで、勝己君のお母さんや出久君のお母さん、幼稚園の先生達にすごく怒られちゃって。2人に迷惑かけちゃったって思った。そしたらね、クラスメイトに美佳ちゃんて子がいたでしょ?あの子にね、言われたの。『歌歩ちゃんていつもかっちゃんと出久君に甘えてるね。そんなに甘えてばっかりだと、2人共歌歩ちゃんのこと嫌いになっちゃうよ。だから2人に、かっちゃんに甘えるのやめなよ』って。そう言われたの」
淡々としていた歌歩ちゃんの声が少し、震えた。何か、堪え切れなかった様な感じだ。
「そう言われてね、その通りだと思ったの。泣いてばっかりだったら2人を困らせちゃう。私の前からいなくなっちゃう。甘えてばっかりだったら2人に嫌われちゃう。2人を困らせるなんて嫌。2人がいなくなっちゃうなんて嫌。2人に…勝己君に嫌われるなんて絶対に嫌。だから笑わないと。笑ってたら2人共、困らないと思ってた。2人に…勝己君に安心してもらえると思ってた」
そう言ったかと思うと歌歩ちゃんが顔を上げた。その顔は涙でぐしゃぐしゃだ。
「だけどそのせいで、勝己君に余計な心配掛けてたなんて、思わなかった。こんなに思い詰めてたなんて、思わなかった。こんなに追い詰めてたなんて、夢にも思ってなかった…!」
僕もかっちゃんも、そう言って泣く歌歩ちゃんから目を離せなくなる。
「ごめん…ごめんなさい…!気が付かなくて、わかってなくて、ごめん、なさい…」
そういって膝から崩れ落ちてしまった。
…何年振りだろうか。こんな風に泣く歌歩ちゃんを見るのは。
「…んだよ、それ…」
かっちゃんは力なく呟くと、脱力したようにその場にしゃがみ込んでしまった。
「泣かなくなっちまったのも、無理するようになったのもやっぱ、俺のせいじゃねぇか」
そういうかっちゃんに歌歩ちゃんが「ちが…」と言いかけたがかっちゃんは「違わねぇよ」と遮った。
「もっとちゃんと、話すべきだったんだな、お前と。ちゃんと言うべきだった。作り笑いすんじゃねぇって、声に出して伝えるべきだった。簡単なことだったんだ」
かっちゃんの力なく呟く声が、よく響き渡っている。
「そんな簡単なこともわかんねぇとか、呆れるしかねぇ。なんで出来なかったんだろうな、少し考えりゃわかりそうなもんなのによ」
かっちゃんの声は、心底呆れていると言いたげだ。
「泣いて迷惑だ、なんて思ってたらハナッからあんな世話焼く訳ねぇだろ。泣いてる時頭撫でたりなんてする訳ねぇだろ。いつも一緒にいようとする訳、ねぇだろ」
かっちゃんの声は相変わらず呆れている様だけどそれでも、すごく優しげだ。そんなかっちゃんのことを、歌歩ちゃんは涙を浮かべたままじっと見つめている。
「俺はお前が、大切なんだよ。昔も今も、ずっと。他の奴らとは比べ物にならないくらい、大切なんだ」
かっちゃんの言葉を聞くと、歌歩ちゃんの目から涙が更に溢れだした。
「だから無理なんてしてほしくねぇ。辛いなら辛いって言ってほしい。泣きてぇなら気が済むまで泣いてそんで、気が済むまで泣いてそんで、その後はまた、心から笑ってほしいんだよ」
そう言ってかっちゃんが歌歩ちゃんの頬を撫でて涙を拭う。
「……なんて、1度もまともに助けれても守れてもねぇ奴に言われても説得力ないだろうけどよ」
かっちゃんが自嘲気味にそういうと、歌歩ちゃんが
「そんなことない!!」
と声を上げた。その声はとても大きくて、僕もかっちゃんも驚いてしまった。
「勝己君はいつも私のこと、助けてくれてるし守ってくれてるよ。幼稚園の頃はいつも、泣いてると頭撫でてくれたし誰かに意地悪されてると助けに来てくれた。怖い夢を見ると優しく起こしてくれた。雄英に入ったばっかりの時、マスコミに囲まれて困ってたら腕を引いて助けてくれた。風邪引いて倒れて階段から落ちちゃった時、地面に叩きつけられる寸前に抱き上げてくれたって出久君と心操君が教えてくれた。しかもその日、おばあちゃんと連絡取れなかったからって言って学校早退してまでおぶって家まで送ってくれて、おばあちゃん帰ってくるまでずっと家にいてくれてそれで、卵粥作ってくれて食べさせてくれた……。やっぱり勝己君は私の事沢山助けてくれてるし守ってくれてるよ……」
嗚咽交じりにか歌歩ちゃんが続ける。
「敵連合に誘拐された時、怖くて心細くて、不安で堪らなかった…。捕まってる間ずっと、勝己君の事ずっと考えてた。勝己君がいてくれたら心強いのに、って。だからトガヒミコに刺されて気を失って目を覚ました時、勝己君に抱きかかえられてて、すごく安心した。勝己君が、助けに来てくれたんだって、嬉しかった」
歌歩ちゃんの言葉は、泣きながら言っているため途切れ途切れだが、それでもしっかりとかっちゃんに思いを伝えようとしているらしく、必至に紡がれている。
「オール・フォー・ワンに、個性についての真相や、パパがいなくなった理由を聞かされた時、私自暴自棄になっちゃってもう、何もかもがどうでもいい、どうなってもいいって、本気でそう思ってた。そんな私のことを、肩に担いで守りながら、戦ってくれた。そんな私に向かって、必死に声を掛けてくれた。そのお陰で、立ち直れた。もちろんオールマイトや出久君、切島君に轟君や飯田君と八百万さんにも助けてもらったと思ってる。でも、私が今こうしてここにいられるのは、おばあちゃんやみんなの所に帰って来られたのは、全部、勝己君のお陰だよ。あの時勝己君がいてくれなかったら私、諦めちゃってた。きっと今頃、殺されてたか敵連合に捕われたままだった。そうならずに済んだのは、勝己君のお陰」
言い終わると歌歩ちゃんはかっちゃんに抱き着いた。そして
「勝己君、助けてくれて、守ってくれて、ありがとう。勝己君はいつも、歌歩のこと守ってくれて助けてくれるから、歌歩のヒーローだね。勝己君、だーい好き……!」
小さい頃、口癖の様に言っていた言葉を口にした。
歌歩ちゃんのその言葉を聞いたかっちゃんの目にうっすらと、涙が浮かんだように見えた。