向日葵
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私にとって勝己君は身近にいるヒーローだった。
泣いていると頭を撫でて励ましてくれて、困っているとすぐに私の所まで来てくれて、誰かに意地悪されていると助けてくれて。そんな勝己君は私にとって、オールマイトやエンデヴァ―よりもヒーローだった。
ヒーローっていうのは強くて、絶対に勝って、どんな時でも絶対に助けてくれる人のことを言うから。だから勝己君は、私にとって、ヒーローだった。今も昔も、私にとってずっとずっと、ずーっとヒーローだ。だから、
「クソ雑魚のテメェが力つけて…!オールマイトに認められて…アイツを…歌歩を助けてやれてんのに…。強くなってんのに…!なのになんで俺はっ!歌歩を助けてやれねぇんだよ!アイツがヒデェ目に遭ってるとき、なんで傍にいてやれねぇんだよ…。俺はもう、アイツのヒーローになれねぇのかよ…。…なんで…なんでっ。なんで俺はっ!俺は、オールマイトを終わらせちまってんだ」
辺り一面に響き渡ってくる勝己君の言葉が、理解できない。
勝己君も出久君も戦うことに夢中で私達に気付いていない。2人の所へ飛び出しそうになったが、オールマイトに軽く肩を掴まれて「もう少し、待とう」と、止められた。でも…というと「もう少しだけ、様子を見させてくれ。頼む」そう真剣な顔で私に訴えかけてくるオールマイトがいた。
その顔を見たら、2人のことを止めるのはいけないような気がして言う通りもう少しだけ戦いの様子を見守ることにした。
勝己君と出久君の関係はとても歪なものだと思う。友達…というほど近くなくてだからって、他人っていうほど遠くはない。
お互いがお互いのことをよく理解しているし、わかってもいるけれども、お互いのことは何も知らない…というのか。
2人共幼稚園の頃からずっと、本音で話をせずに、向き合わずに今日まで来てしまった。
きっとこの戦いは、そんな2人が向き合うために必要な戦い…だからオールマイトは見守るように言ったんだ。正直、2人が戦っている所なんて見たくない。目を逸らしたい。今すぐ声を上げて逃げ出したい。だけど私は、2人のこの戦いを見届けないといけない、そんな気がして。だからしっかりと目を開いて、この光景を目に焼きつけよう、そんな思いで見つめる。見つめ続けていたらだんだん、視界が歪んできた。頬に冷たい何かが伝って来て、漸く自分が泣いていることに気が付いた。
ダメ、泣いちゃ。何泣いてるの?早く泣き止むの。勝己君と出久君の戦いを最後までしっかりと見ないと。泣き止め。
そう思えば思うほど、涙が零れて来て、止まらない。どうしたらいいの。わからない。とまってよ。お願い、止まって。ダメなの泣いちゃ。泣かないでしっかりと2人の戦いを見届けなくちゃいけないんだってば。なんで、止まらないの…?
不意に、頭に温かくて優しい感触がした。見てみるとオールマイトが、優しく私の頭を撫でてくれていた。そのお陰で少し、涙が止まった。
◇
勝己君と出久君の戦いは、勝己君が勝った。
「オールマイトの力、そんな力持ってても俺に負けてんじゃねぇか。なんで負けとんだ」
勝己君が出久君を組み敷きながら絞り出すような声でいう。その声は夜の闇の中、よく響き渡る。
「なんでオールマイトも、歌歩も、テメェを選ぶんだ」
勝己君が出久君に、小さく弱々しい、消え行ってしまいそうな声で問い掛ける。
「かっちゃん…違うよ、歌歩ちゃんは今も、僕じゃなくてかっちゃんのこと頼りにしてるし、ヒーローだと…」
「んな訳ねぇだろ!だったらなんで、アイツはガキの頃みたいに勝己君助けてって言わねぇんだ…?退院した前の日に、何があったのかなんで話さねぇんだよっ…!テメェには訳話してんのに、なんで俺にはなんにも言ってくれねぇんだよ…」
聞こえてくる勝己君の声に、言葉に、息が詰まりそうになる。
小さい頃みたいに、いつまでもいつまでも勝己君に頼ってたらダメだと思ったから、いつも甘えてたら迷惑だと思ったから、勝己君に助けを求めるのは辞めないとと思ったから、だから勝己君に縋らないようにしてたのに。
「俺があの日、出来もしねぇくせに無責任におじさんに会わせてやるなんて言っちまったから、アイツは泣けなくなっちまった…。大丈夫な訳ねぇのに、ブッサイクな笑顔で大丈夫っつって無理するようになっちまった…。俺が、あんなに辛そうな顔で笑う様にしちまった…」
泣いたら勝己君を困らせてしまうと思ったから、泣き虫歌歩のままだったら、勝己君に嫌われちゃうと思ったから。
だからいつも、笑って居ようと思って、笑う様にしていたのに。
「俺は歌歩を守りたいのに、守ってやる所か、追い詰めちまってんじゃねぇか…!なんで、だよ…!なんで、なん、で…っ」
私がしてきた行動は全部、勝己君の負担になってしまってただけだったの…?
泣いていると頭を撫でて励ましてくれて、困っているとすぐに私の所まで来てくれて、誰かに意地悪されていると助けてくれて。そんな勝己君は私にとって、オールマイトやエンデヴァ―よりもヒーローだった。
ヒーローっていうのは強くて、絶対に勝って、どんな時でも絶対に助けてくれる人のことを言うから。だから勝己君は、私にとって、ヒーローだった。今も昔も、私にとってずっとずっと、ずーっとヒーローだ。だから、
「クソ雑魚のテメェが力つけて…!オールマイトに認められて…アイツを…歌歩を助けてやれてんのに…。強くなってんのに…!なのになんで俺はっ!歌歩を助けてやれねぇんだよ!アイツがヒデェ目に遭ってるとき、なんで傍にいてやれねぇんだよ…。俺はもう、アイツのヒーローになれねぇのかよ…。…なんで…なんでっ。なんで俺はっ!俺は、オールマイトを終わらせちまってんだ」
辺り一面に響き渡ってくる勝己君の言葉が、理解できない。
勝己君も出久君も戦うことに夢中で私達に気付いていない。2人の所へ飛び出しそうになったが、オールマイトに軽く肩を掴まれて「もう少し、待とう」と、止められた。でも…というと「もう少しだけ、様子を見させてくれ。頼む」そう真剣な顔で私に訴えかけてくるオールマイトがいた。
その顔を見たら、2人のことを止めるのはいけないような気がして言う通りもう少しだけ戦いの様子を見守ることにした。
勝己君と出久君の関係はとても歪なものだと思う。友達…というほど近くなくてだからって、他人っていうほど遠くはない。
お互いがお互いのことをよく理解しているし、わかってもいるけれども、お互いのことは何も知らない…というのか。
2人共幼稚園の頃からずっと、本音で話をせずに、向き合わずに今日まで来てしまった。
きっとこの戦いは、そんな2人が向き合うために必要な戦い…だからオールマイトは見守るように言ったんだ。正直、2人が戦っている所なんて見たくない。目を逸らしたい。今すぐ声を上げて逃げ出したい。だけど私は、2人のこの戦いを見届けないといけない、そんな気がして。だからしっかりと目を開いて、この光景を目に焼きつけよう、そんな思いで見つめる。見つめ続けていたらだんだん、視界が歪んできた。頬に冷たい何かが伝って来て、漸く自分が泣いていることに気が付いた。
ダメ、泣いちゃ。何泣いてるの?早く泣き止むの。勝己君と出久君の戦いを最後までしっかりと見ないと。泣き止め。
そう思えば思うほど、涙が零れて来て、止まらない。どうしたらいいの。わからない。とまってよ。お願い、止まって。ダメなの泣いちゃ。泣かないでしっかりと2人の戦いを見届けなくちゃいけないんだってば。なんで、止まらないの…?
不意に、頭に温かくて優しい感触がした。見てみるとオールマイトが、優しく私の頭を撫でてくれていた。そのお陰で少し、涙が止まった。
◇
勝己君と出久君の戦いは、勝己君が勝った。
「オールマイトの力、そんな力持ってても俺に負けてんじゃねぇか。なんで負けとんだ」
勝己君が出久君を組み敷きながら絞り出すような声でいう。その声は夜の闇の中、よく響き渡る。
「なんでオールマイトも、歌歩も、テメェを選ぶんだ」
勝己君が出久君に、小さく弱々しい、消え行ってしまいそうな声で問い掛ける。
「かっちゃん…違うよ、歌歩ちゃんは今も、僕じゃなくてかっちゃんのこと頼りにしてるし、ヒーローだと…」
「んな訳ねぇだろ!だったらなんで、アイツはガキの頃みたいに勝己君助けてって言わねぇんだ…?退院した前の日に、何があったのかなんで話さねぇんだよっ…!テメェには訳話してんのに、なんで俺にはなんにも言ってくれねぇんだよ…」
聞こえてくる勝己君の声に、言葉に、息が詰まりそうになる。
小さい頃みたいに、いつまでもいつまでも勝己君に頼ってたらダメだと思ったから、いつも甘えてたら迷惑だと思ったから、勝己君に助けを求めるのは辞めないとと思ったから、だから勝己君に縋らないようにしてたのに。
「俺があの日、出来もしねぇくせに無責任におじさんに会わせてやるなんて言っちまったから、アイツは泣けなくなっちまった…。大丈夫な訳ねぇのに、ブッサイクな笑顔で大丈夫っつって無理するようになっちまった…。俺が、あんなに辛そうな顔で笑う様にしちまった…」
泣いたら勝己君を困らせてしまうと思ったから、泣き虫歌歩のままだったら、勝己君に嫌われちゃうと思ったから。
だからいつも、笑って居ようと思って、笑う様にしていたのに。
「俺は歌歩を守りたいのに、守ってやる所か、追い詰めちまってんじゃねぇか…!なんで、だよ…!なんで、なん、で…っ」
私がしてきた行動は全部、勝己君の負担になってしまってただけだったの…?