向日葵
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出久君は無個性だ。ヒーローになんてなれる訳がない。だけど、
「あ、あの、歌歩ちゃん困ってるから、さ…だからその、やめてあげてよ、かっちゃん…!」
誰よりもヒーローみたいな人だと思う。
「デク、テメェ何しに来やがった…」
勝己君の機嫌が更に悪くなった。殺気が凄い。
「いやあの、その、えっと…かっちゃんの家に行ったら歌歩ちゃんのおばあちゃんの家に行ったって言われたからそっちに行ったらもう学校行ったって言われて…だから2人共学校へ行ったんだなって思ってそれであの、えっと…」
勝己君に凄まれて止めに入ってきてくれた人…もとい、出久君はたじたじになっている。
「あ?ゴチャゴチャ何言ってんだテメェうぜぇんだよこのクソナードが!!」
オロオロしながらぶつぶつと言っている出久君に怒鳴り散らしながら近づいていく勝己君。私がやられてるわけじゃないのにとても怖い。出久君も後退りしている。
勝己君に怖がりながらも立ち向かう姿…出久君も子供の頃と変わっていない様だ。自分よりも強い人に立ち向かっていく姿を見ながら、本当にヒーローみたいだなと思う。
出久君に個性があったらきっと素敵なヒーローになれたんだろうな。そう考えると、勿体ないなと思ってしまう。
神様が本当に要るのなら、どうして私みたいな人間に個性を与えて、出久君みたいな人に個性を与えなかったのかと聞きたい。
「あ、あの、歌歩、ちゃん。大丈夫、だった…?」
勝己君との話し合い(というよりも一方的に怒鳴られていただけだけども)を終えたらしい出久君が私の方へとやってきた。
「あ…うん、大丈夫。ありがとね、出久君。勝己君は?」
「怒って先に行っちゃった」
「そっか…」
僕たちも行こうかと言ってくれたので一緒に昇降口まで向かうことにした。
◇
「それにしても歌歩ちゃんも雄英入ったんだね。昨日かっちゃんから聞いてびっくりしたよ!」
「勝己君から聞いたの?」
「うん。昨日歌歩ちゃんのおばあちゃんに偶然会って、聞いたんだって。それで『テメェ歌歩が雄英通ってる事知ってて黙ってやがったな!』って、怒鳴られたよ…」
遠い目をしながら言う出久君を見て、申し訳ない気持ちになった。
「なんかごめんね、いらない苦労掛けたみたいで」
「いやいや、大丈夫だよ僕こそごめんね!あ、そういえばね、お母さんが久しぶりに歌歩ちゃんに会いたいって言ってたよ。だから今度、よかったら暇な時とか会ってあげてよ」
「うん。私もおばさん会いたいな」
「じゃあお母さんに伝えておくね!そういえばおばさんは元気?」
「.....あ、うん。一応、元気だよ。今ちょっと入院してるけど」
「え?!大丈夫なの?!」
出久君が心配そうに私のことを見つめている。これ以上心配させるのはダメだ、早く安心させないと。
「だ、大丈夫だよ心配しないで!まだ退院日とかは決まってないけど、大したことないから!」
ダメ、出久君は優しいから、すぐに人の事ばかり気にして自分のことを後回しにしちゃうから、だからダメ。余計な心配を掛けちゃダメ。笑わなきゃ。笑って、出久君に大丈夫だって思わせないと。
「お母さんここの所忙しかったみたいなんだ。結構な役職に就任してね、それでなんか色々無理しちゃったみたいなの。多分ストレスとかが溜まってたんじゃないかな。仕事ってさ、生きていくためにやることなのに、そのせいで倒れたりしてたら元も子もないよね。もうほんと...」
「歌歩ちゃん」
私の言葉を遮り出久君が名前を呼んで来た。
顔を見ると
「...........歌歩ちゃん。大丈夫?」
私を真っ直ぐと見つめて尋ねてきた。その表情は真顔で、真意を読み取ることは出来ない。だが、とても心配させてしまっているということだけはよく分かる。
「.........うん。大丈夫、大丈夫だよ。大丈夫だから、心配しないで」
だから、笑わないと。笑って、大丈夫だよって、伝えないと。
高校に入学したばかりなのに私の家庭環境の心配させるなんて迷惑かける訳にはいかない。
「.......そっか。何かあったら言ってね。僕じゃ頼りないかもしれないけど、出来ることがあったら協力するね」
「うん、ありがとう。あ、おばさんに挨拶も行かないでごめんなさいって伝えといてね」
「うん、分かった。伝えとくね」
そう言うと出久君はニコリと笑った。良かった、何とかそこまで心配させないで済んだみたいだ。多少はさせてしまっているだろうけど。
.....出久君とはこんな風に話すことが出来るのに、どうして勝己君とは出来ないのだろう。小さい頃はもっとちゃんと普通に話せていたのに。仲良く遊んでいたのに。どうしてこんなに拗れてしまったのだろう。私達の仲はどこで可笑しくなってしまったのだろう。
「じゃあ僕あっちだから行くね。久しぶりに会えてよかったよ。また今度ゆっくり話そうね!」
そう言って出久君はヒーロー科の昇降口へと消えていった。
どうして出久君がヒーロー科の方に行くのだろうか。普通科かサポート科じゃないの?そう聞きたかったが、もう出久君の姿は見えなくなってしまっていた。
「あ、あの、歌歩ちゃん困ってるから、さ…だからその、やめてあげてよ、かっちゃん…!」
誰よりもヒーローみたいな人だと思う。
「デク、テメェ何しに来やがった…」
勝己君の機嫌が更に悪くなった。殺気が凄い。
「いやあの、その、えっと…かっちゃんの家に行ったら歌歩ちゃんのおばあちゃんの家に行ったって言われたからそっちに行ったらもう学校行ったって言われて…だから2人共学校へ行ったんだなって思ってそれであの、えっと…」
勝己君に凄まれて止めに入ってきてくれた人…もとい、出久君はたじたじになっている。
「あ?ゴチャゴチャ何言ってんだテメェうぜぇんだよこのクソナードが!!」
オロオロしながらぶつぶつと言っている出久君に怒鳴り散らしながら近づいていく勝己君。私がやられてるわけじゃないのにとても怖い。出久君も後退りしている。
勝己君に怖がりながらも立ち向かう姿…出久君も子供の頃と変わっていない様だ。自分よりも強い人に立ち向かっていく姿を見ながら、本当にヒーローみたいだなと思う。
出久君に個性があったらきっと素敵なヒーローになれたんだろうな。そう考えると、勿体ないなと思ってしまう。
神様が本当に要るのなら、どうして私みたいな人間に個性を与えて、出久君みたいな人に個性を与えなかったのかと聞きたい。
「あ、あの、歌歩、ちゃん。大丈夫、だった…?」
勝己君との話し合い(というよりも一方的に怒鳴られていただけだけども)を終えたらしい出久君が私の方へとやってきた。
「あ…うん、大丈夫。ありがとね、出久君。勝己君は?」
「怒って先に行っちゃった」
「そっか…」
僕たちも行こうかと言ってくれたので一緒に昇降口まで向かうことにした。
◇
「それにしても歌歩ちゃんも雄英入ったんだね。昨日かっちゃんから聞いてびっくりしたよ!」
「勝己君から聞いたの?」
「うん。昨日歌歩ちゃんのおばあちゃんに偶然会って、聞いたんだって。それで『テメェ歌歩が雄英通ってる事知ってて黙ってやがったな!』って、怒鳴られたよ…」
遠い目をしながら言う出久君を見て、申し訳ない気持ちになった。
「なんかごめんね、いらない苦労掛けたみたいで」
「いやいや、大丈夫だよ僕こそごめんね!あ、そういえばね、お母さんが久しぶりに歌歩ちゃんに会いたいって言ってたよ。だから今度、よかったら暇な時とか会ってあげてよ」
「うん。私もおばさん会いたいな」
「じゃあお母さんに伝えておくね!そういえばおばさんは元気?」
「.....あ、うん。一応、元気だよ。今ちょっと入院してるけど」
「え?!大丈夫なの?!」
出久君が心配そうに私のことを見つめている。これ以上心配させるのはダメだ、早く安心させないと。
「だ、大丈夫だよ心配しないで!まだ退院日とかは決まってないけど、大したことないから!」
ダメ、出久君は優しいから、すぐに人の事ばかり気にして自分のことを後回しにしちゃうから、だからダメ。余計な心配を掛けちゃダメ。笑わなきゃ。笑って、出久君に大丈夫だって思わせないと。
「お母さんここの所忙しかったみたいなんだ。結構な役職に就任してね、それでなんか色々無理しちゃったみたいなの。多分ストレスとかが溜まってたんじゃないかな。仕事ってさ、生きていくためにやることなのに、そのせいで倒れたりしてたら元も子もないよね。もうほんと...」
「歌歩ちゃん」
私の言葉を遮り出久君が名前を呼んで来た。
顔を見ると
「...........歌歩ちゃん。大丈夫?」
私を真っ直ぐと見つめて尋ねてきた。その表情は真顔で、真意を読み取ることは出来ない。だが、とても心配させてしまっているということだけはよく分かる。
「.........うん。大丈夫、大丈夫だよ。大丈夫だから、心配しないで」
だから、笑わないと。笑って、大丈夫だよって、伝えないと。
高校に入学したばかりなのに私の家庭環境の心配させるなんて迷惑かける訳にはいかない。
「.......そっか。何かあったら言ってね。僕じゃ頼りないかもしれないけど、出来ることがあったら協力するね」
「うん、ありがとう。あ、おばさんに挨拶も行かないでごめんなさいって伝えといてね」
「うん、分かった。伝えとくね」
そう言うと出久君はニコリと笑った。良かった、何とかそこまで心配させないで済んだみたいだ。多少はさせてしまっているだろうけど。
.....出久君とはこんな風に話すことが出来るのに、どうして勝己君とは出来ないのだろう。小さい頃はもっとちゃんと普通に話せていたのに。仲良く遊んでいたのに。どうしてこんなに拗れてしまったのだろう。私達の仲はどこで可笑しくなってしまったのだろう。
「じゃあ僕あっちだから行くね。久しぶりに会えてよかったよ。また今度ゆっくり話そうね!」
そう言って出久君はヒーロー科の昇降口へと消えていった。
どうして出久君がヒーロー科の方に行くのだろうか。普通科かサポート科じゃないの?そう聞きたかったが、もう出久君の姿は見えなくなってしまっていた。