向日葵
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父がいなくなった時に母は言った。
『歌歩、泣かないでよ。ママを困らせないで。歌歩が泣いてばっかりいるから、そのせいでパパいなくなっちゃったの。だからそのうち、そんなに泣いてたらパパみたいに勝己君と出久君までいなくなっちゃうよ?そんなの嫌でしょ?だからもう泣かないでよ』
と。
勝己君と出久君と一緒に父を探すため幼稚園から脱走して大人に怒られた時に、クラスメイトの女の子に言われた。
『歌歩ちゃんていつもかっちゃんとデクに甘えてるよね。そんなに甘えてばっかりだと、2人共歌歩ちゃんのこと嫌いになっちゃうよ?だからもう2人に、かっちゃんに甘えるのやめなよ。嫌われたくないでしょ?』
と。
…2人がいなくなっちゃうなんて嫌。2人に嫌われるなんて…勝己君に嫌われるなんて絶対に嫌!!泣かないようにしないと。甘えないようにしないと。笑わないと。泣いたらママみたいに勝己君も出久君も困っちゃう。私のこと、嫌いになっちゃう。大好きな人に嫌われたら悲しい。大好きな人が自分の前からいなくなってしまったら辛い。悲しい思いも辛い思いももうしたくない。だから笑おう。沢山笑おう。そしたら勝己君も出久君も困らないよね。私の前からいなくならないよね。2人と、勝己君とずっと一緒にいられるよね。……でもどうして?そう思って泣くのを我慢すれば我慢するほど、2人が私から離れて行ってしまう気がするの。笑えば笑うほど、勝己君に嫌われてしまう気がするの。ねぇ、どうして?誰か教えてよ。
◇
苦しい…。身体を圧迫されているみたい…。あれ、私何をしていたんだっけ…。勝己君が誕生日に買ってくれたワンピースを着て、久しぶりに幼馴染と遊びに行ってすごく楽しくて…。遊ぶのに夢中になっちゃって帰りが遅くなって…だから早く帰るために裏路地を━━…!!男の人が、人を殺してた…!それで、その人に気付かれて、首を絞められて…!
「あっ歌歩ちゃん起きましたか?」
意識がはっきりすると、目の前にショッピングモールで話しかけてきた女の子がいた。驚いて後退りしようとしたが、身動きが取れない。どうして動けないの……?そう思い自分の身体を見てみると、椅子に拘束されていることに気が付いた。手も足も身体も頑丈に縛り付けられてしまっていて、動かすことが出来ない。なに、この状況……!必死に拘束から逃れようと暴れてみるが、なんの意味もなさない。余計に苦しいだけだ。
「弔くーん!歌歩ちゃん起きた!起きましたよ!!」
暴れる私の事なんて気にも留めずに女の子は嬉しそうに誰かに声を掛けている。
「うるさい…見りゃわかる…いちいち騒ぐな…」
男の人の低く、気だるげな声が聞こえてきた。暴れるのをやめて声の方に目を向けてみると、白髪で顔や全身に手の装飾を付けた異様な風貌をした男の人がいた。
「ったく…おい、このガキ連れてくるのはもっと後だっつっといたよな?何今連れて来てんだよ」
面倒事増やしやがって…と、不機嫌な様子を隠そうともせずに言う。
「仕方ねぇだろ、ゴミ掃除してっとこ見られちまったんだから。殺さずちゃんと持って帰って来てやっただけでもありがたいと思えよ」
その不機嫌そうな声に応える声に、身体がびくりと反応してしまった。その声は紛れもなく、私の首を絞めてきた人の声だ。あの光景と恐怖が蘇ってくる。
「歌歩ちゃん?どうしたんですか、そんなに震えて」
寒いですか?そういいながら女の子が私の顔を覗き込んでくる。
「寒いんじゃなくて怖いんだろ、こんなどこかもわかんねぇとこに連れてこられて…」
「殺人現場目撃するわ、こんなおっかない奴に追い掛け回されて首絞められるわ、挙句の果てに目覚ましたら拘束されてこんなよくわからない集団に取り囲まれてるなんてそりゃ怖いよね。ごめんねぇ、お嬢さん。まぁ取って食うような真似しないからさ。そこまで身構えないでくれ」
ドアの近くにいたヤモリみたいな人と、変わった仮面をつけたマジシャンみたいな恰好をした人が言う。身構えるなって…無理に決まってるじゃないか…!どうしてこんな目に遭わないといけないの…。
「死柄木弔。彼女に説明した方がよろしいのではないですか?何故この場へ連れて来られたのか」
私の気持ちを知ってか知らずか、そんな言葉が聞こえてきた。黒い霧の様な見た目の、人?の言葉にさっきの手を付けた死柄木と呼ばれた人が少し考えるようなそぶりを見せ、私に近付いてきた。逃げたいけれども縛られているせいで逃げられない。
「鬱陶しいな、そんな怖がんなって。さっきこの仮面着けた奴も言ってたろ。別に取って食うような真似しない。大人しくしてれば殺したりもしない。だからいちいちビビるな」
私のことを冷めた目で見降ろしながら言う。赤い、2つの…勝己君と同じ色の目…。勝己君の目も、怖い時があるけれどもこの人の目は、それとはまた違う恐ろしさがある。その目に見られるのが何だか耐えられなくて、俯いてしまった。そんな私の様子を気にも留めず男の人が続ける。
「お前をここに連れてきた理由は、どうしてもお前に用があるって先生が言ったからだ。だから少なくとも、その用ってのが終わるまでは殺さないからまぁ安心しとけよ」
誘拐されて、安心なんかできる訳ないじゃないか。先生?用がある?全く理解できない。
「あ、でも忘れんなよ。逃げようとしたり、騒いだりしたら殺してやってもいいんだからな。それが嫌なら無駄な抵抗はやめとけよ、ガキ」
その人はそれ以上説明する気はないらしく、一方的に話し終えると他の人達の引き留めようとする声を無視してバーから出て行ってしまった。
『歌歩、泣かないでよ。ママを困らせないで。歌歩が泣いてばっかりいるから、そのせいでパパいなくなっちゃったの。だからそのうち、そんなに泣いてたらパパみたいに勝己君と出久君までいなくなっちゃうよ?そんなの嫌でしょ?だからもう泣かないでよ』
と。
勝己君と出久君と一緒に父を探すため幼稚園から脱走して大人に怒られた時に、クラスメイトの女の子に言われた。
『歌歩ちゃんていつもかっちゃんとデクに甘えてるよね。そんなに甘えてばっかりだと、2人共歌歩ちゃんのこと嫌いになっちゃうよ?だからもう2人に、かっちゃんに甘えるのやめなよ。嫌われたくないでしょ?』
と。
…2人がいなくなっちゃうなんて嫌。2人に嫌われるなんて…勝己君に嫌われるなんて絶対に嫌!!泣かないようにしないと。甘えないようにしないと。笑わないと。泣いたらママみたいに勝己君も出久君も困っちゃう。私のこと、嫌いになっちゃう。大好きな人に嫌われたら悲しい。大好きな人が自分の前からいなくなってしまったら辛い。悲しい思いも辛い思いももうしたくない。だから笑おう。沢山笑おう。そしたら勝己君も出久君も困らないよね。私の前からいなくならないよね。2人と、勝己君とずっと一緒にいられるよね。……でもどうして?そう思って泣くのを我慢すれば我慢するほど、2人が私から離れて行ってしまう気がするの。笑えば笑うほど、勝己君に嫌われてしまう気がするの。ねぇ、どうして?誰か教えてよ。
◇
苦しい…。身体を圧迫されているみたい…。あれ、私何をしていたんだっけ…。勝己君が誕生日に買ってくれたワンピースを着て、久しぶりに幼馴染と遊びに行ってすごく楽しくて…。遊ぶのに夢中になっちゃって帰りが遅くなって…だから早く帰るために裏路地を━━…!!男の人が、人を殺してた…!それで、その人に気付かれて、首を絞められて…!
「あっ歌歩ちゃん起きましたか?」
意識がはっきりすると、目の前にショッピングモールで話しかけてきた女の子がいた。驚いて後退りしようとしたが、身動きが取れない。どうして動けないの……?そう思い自分の身体を見てみると、椅子に拘束されていることに気が付いた。手も足も身体も頑丈に縛り付けられてしまっていて、動かすことが出来ない。なに、この状況……!必死に拘束から逃れようと暴れてみるが、なんの意味もなさない。余計に苦しいだけだ。
「弔くーん!歌歩ちゃん起きた!起きましたよ!!」
暴れる私の事なんて気にも留めずに女の子は嬉しそうに誰かに声を掛けている。
「うるさい…見りゃわかる…いちいち騒ぐな…」
男の人の低く、気だるげな声が聞こえてきた。暴れるのをやめて声の方に目を向けてみると、白髪で顔や全身に手の装飾を付けた異様な風貌をした男の人がいた。
「ったく…おい、このガキ連れてくるのはもっと後だっつっといたよな?何今連れて来てんだよ」
面倒事増やしやがって…と、不機嫌な様子を隠そうともせずに言う。
「仕方ねぇだろ、ゴミ掃除してっとこ見られちまったんだから。殺さずちゃんと持って帰って来てやっただけでもありがたいと思えよ」
その不機嫌そうな声に応える声に、身体がびくりと反応してしまった。その声は紛れもなく、私の首を絞めてきた人の声だ。あの光景と恐怖が蘇ってくる。
「歌歩ちゃん?どうしたんですか、そんなに震えて」
寒いですか?そういいながら女の子が私の顔を覗き込んでくる。
「寒いんじゃなくて怖いんだろ、こんなどこかもわかんねぇとこに連れてこられて…」
「殺人現場目撃するわ、こんなおっかない奴に追い掛け回されて首絞められるわ、挙句の果てに目覚ましたら拘束されてこんなよくわからない集団に取り囲まれてるなんてそりゃ怖いよね。ごめんねぇ、お嬢さん。まぁ取って食うような真似しないからさ。そこまで身構えないでくれ」
ドアの近くにいたヤモリみたいな人と、変わった仮面をつけたマジシャンみたいな恰好をした人が言う。身構えるなって…無理に決まってるじゃないか…!どうしてこんな目に遭わないといけないの…。
「死柄木弔。彼女に説明した方がよろしいのではないですか?何故この場へ連れて来られたのか」
私の気持ちを知ってか知らずか、そんな言葉が聞こえてきた。黒い霧の様な見た目の、人?の言葉にさっきの手を付けた死柄木と呼ばれた人が少し考えるようなそぶりを見せ、私に近付いてきた。逃げたいけれども縛られているせいで逃げられない。
「鬱陶しいな、そんな怖がんなって。さっきこの仮面着けた奴も言ってたろ。別に取って食うような真似しない。大人しくしてれば殺したりもしない。だからいちいちビビるな」
私のことを冷めた目で見降ろしながら言う。赤い、2つの…勝己君と同じ色の目…。勝己君の目も、怖い時があるけれどもこの人の目は、それとはまた違う恐ろしさがある。その目に見られるのが何だか耐えられなくて、俯いてしまった。そんな私の様子を気にも留めず男の人が続ける。
「お前をここに連れてきた理由は、どうしてもお前に用があるって先生が言ったからだ。だから少なくとも、その用ってのが終わるまでは殺さないからまぁ安心しとけよ」
誘拐されて、安心なんかできる訳ないじゃないか。先生?用がある?全く理解できない。
「あ、でも忘れんなよ。逃げようとしたり、騒いだりしたら殺してやってもいいんだからな。それが嫌なら無駄な抵抗はやめとけよ、ガキ」
その人はそれ以上説明する気はないらしく、一方的に話し終えると他の人達の引き留めようとする声を無視してバーから出て行ってしまった。