「歌歩ちゃん！」

体育祭が終わり、帰宅するために校門へ向かっていると出久君と麗日さんに会った。

「出久君…！怪我…」
「あっうん、大丈夫だったよ！ごめんね、すごい心配してたって、みんなから聞いたよ…。ほんとごめん…僕、強くなるよ。みんなに心配されない様に」

私のことを真っ直ぐ見つめていう出久君の目は、とても強くて。子供の頃から、意志の強さは変わらないんだなと思った。

「…うん、応援してる。がんばってね」

……私はちゃんと、笑えているだろうか。出久君を応援したいという気持ちは本気だ。けど、やっぱり不安だ。あんな大怪我をするのに、応援していいのか、分からない。でも、私に出来る事なんて何もない。ならせめて、せめて笑って出久君を応援しないと。

「……ありがとう。本当に、ごめんね」

俯きながら言う出久君に大丈夫だよ、もう謝らないでというが、それでも出久君は暗い顔のままだ。

「…あ、あの、そろそろ駅まで行かない？いつまでも校門の前でずっと話し込むのもあれだしさ！」

私たちの様子を見兼ねてか、麗日さんがいう。暗い私たちのことを気遣ってくれているのか、明るい声で。
そのおかげで、私も出久君も暗い顔を辞めることが出来た。

「そういえば、ちゃんと話すの初めてだね。今更感あるけど自己紹介するね。私、麗日お茶子。デク君と爆豪君のクラスメイト！よろしくね」

と、花が咲いたような笑顔で言う。すごく眩しい…。

「あっうん、よろしくね。私は無居歌歩…出久君と勝己君の、幼馴染、です…！」
「歌歩ちゃんて可愛い名前だね。ねぇ、私もデク君みたいに歌歩ちゃんて呼んでもいい？」

やはり眩しい笑顔でいう麗日さんに頷くと、嬉しそうに笑いながら「ありがとう！じゃあ私のことはお茶子って呼んでくれたら嬉しいな」と言った。
体育祭の帰りに、可愛くて強くて優しい、素敵な友人が出来た。