向日葵
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こんにちは、私は無居歌歩、15歳です。
私は数週間前に、雄英高校という学校の普通科に通い始めました。そんな私は、小学生の頃に別れた幼馴染の男の子と再会しないようにと細心の注意を払いながら過ごしていたのですが…
「おいコラこのブス!テメェ、俺を無視するなんざいい度胸じゃねぇか!」
その努力は、本日をもって無駄に終わることとなったのでした。
◇
高校生活1日目、緑谷出久と爆豪勝己の姿を見つけた瞬間思った。あぁ、私の高校生活はお先真っ暗だ…と。
出久君と勝己君と私は幼馴染だ。
幼稚園から小学校3年生まで一緒に過ごした。特に勝己君とは家も隣同士であったため、長く一緒にいることが多かった。
だけど私は、正直勝己君が苦手だ。すぐ怒鳴るし、乱暴だし、我儘だし、いっつも自分の事ばかりで私の話や都合は聞いてくれないし考えてくれない。おまけに顔だって怖いし。
だから小3の時、引っ越しが決まって少しだけ嬉しかった。勝己君と離れることが出来るのかと。
子供の頃からずっと一緒に過ごした子とお別れするのが寂しくなかったのかと聞かれると、そんなことはない、もちろん寂しかった。
だけどもそれ以上に、毎日のように横暴な態度を取ってくる勝己君と別れられるのはうれしいという気持ちの方が強かった。
引っ越しをすることになったと言ったら、勝己君はどんな反応をするだろうか。きっと怒るだろう。嫌だな、最後まで怒鳴られるのは。そう思った私は、引っ越しするということを出久君にだけ知らせて、勝己君には伝えずに引っ越した。
きっとすごく怒っているだろうな、会ったりしたらきっとまた怒鳴り散らされるだろうな。でもまぁ、早々会うこともなくなるだろうしいいや。大丈夫、私はヒーローになりたいとか思っていないし、この街にだって戻ってくることもないだろうから気にしないでおこう。そう思っていた。
だけどそんな私の甘い考えは、音を立てて崩れ去った。母が入院することになり祖母の家で暮らすためあの街にまた戻る事が決まった時、そして学校で出久君と勝己君が前方を歩いているのを見つけた時の絶望感を思い出すと、泣きたくなる。
勝己君はヒーロー科だろうから頑張れば鉢合わせにならないで済むかもしれないけど出久君は多分普通科だ。ヒーローになりたいと小さい頃から言っていたが、彼は無個性だ。失礼な言い方になるが、無個性の彼がヒーロー科に入れる訳がない。そうなったら私は出久君と再会することになる。
出久君と再会するのは嫌ではない。寧ろ嬉しい。だけど出久君と再会するとなると自ずと勝己君とも再会することになるだろう。そしたら絶対ブチギレられる。あぁ、最悪だ。せっかくの高校生活が…始まってもいないのに終了するだなんて…あんまりだ…出久君には一応勝己君に私が雄英に通っているということは黙っていてもらおう。すぐバレると思うけれども。あぁ、他の学校を受験すればよかったな…と、悲観に暮れながら教室へと向かうと、出久君の姿はどこにもなかった。どうして...と考えて、そういえば普通科は3クラスあるんだということを思い出した。ということはクラスが違ったということか。いずれ再会することになるとは思うが初日にいきなり再会なんてことにはならないで済んだ。これからも2人に気付かれないように気をつけて過ごしてとりあえず1学期を乗り越えられるように頑張らないと。大丈夫、勝己君の性格上、他クラスの生徒の事なんて気にしないはずだ。直接鉢合わせない限り気付かれない。
そう考えた私は、学校にいる時は近くに勝己君の姿がないか注意深く確認したり、昇降口や教室移動の時はA組に近づかないようにしたりと、思いつく限りの策を講じて勝己君に会わない様に出来る限りを尽くして1週間を乗り切った。だけどその努力は、あっけなく無駄に終わるのだった。
「歌歩ちゃん、聞いて。今日お婆ちゃんね、歌歩ちゃんのお友達の勝己君と久しぶりに会ったのよー」
という祖母の一言を合図に。
「えっ…か、勝己君…?」
「そうよ、勝己君!しばらく会わないうちに大きくなったわねー。もう吃驚しちゃった!そうそう、勝己君って今雄英高校に通ってるんですって。すごい偶然ねー」
私の強張っているであろう表情に祖母は全く気が付いていないようだ。お茶をずずっと啜りながらニコニコと嬉しそうに話している。
「だからお婆ちゃんね、勝己君に歌歩ちゃんと仲良くしてあげてねって頼んでおいたの」
……は?今なんつった?
「頼んでおいたって…まさか私が雄英に通ってるってこと勝己君に話したの?!」
私の問いに対してお茶をお代わりしながら呑気にそうよーと答える祖母に、どうしようもない怒りがこみあげてくる。勝己君とあったと聞いた時点でなんとなく予想はしていたが、改めて聞くと絶望感が更に増す気がする。最悪だ。こんなことになるくらいならやっぱり雄英になんて入るんじゃなかった。
そもそも少し考えてみたら容易に想像できたじゃないか、勝己君が雄英に入る可能性が高いなんてこと。小さい頃からずっとオールマイトの様なヒーローになりたいと言い続けていたんだ。そんな人なら高確率で雄英に行くだろう。なんでそんな簡単なことが思いつかなかったんだ中学3年生の時の私は。担任に勧められるがままに進学する学校を決めたが、もっとしっかり考えるべきだった。。どうしてよりにもよって雄英を選んでしまったんだ。後悔先に立たずとは正しくこのことか。私の個性がテレポートではなくて時間を戻したり出来るようなものだったらよかったのに。
明日からの高校生活はどうなってしまうんだ。私が雄英の普通科に通っているということを知ったら、勝己君はクラスに乗り込んできたりするだろうか。
……いや、まてよ。勝己君って、もう私になんて興味ないのではないだろうか。考えてみたら、私と勝己君はかれこれ6年も会っていない。自分以外の人はみんなモブだと思っているような勝己君のことだ。私の事なんてとっくの昔に忘れているかもしれない。うん、そうだ。そうに違いない。絶対にそうだ。そうに決まってる。
だからもう、余計なことを考えるのはやめよう。明日からの学校生活の事だけを考えよう。それが1番だ。よし、早く明日の支度をして今日はもう寝よう。
◇
「おい、話聞いてんのかよ!何ぼさっとしてんだ?!」
昨日の私へ
勝己君は私に興味ないだろうって思ったり、絡んでくることはないだろうと思ってたよね。そう、思いたかったよね。
そんな現実逃避やめて、早く現実を見な。そして今のこの状況の打開策を考えることに専念しな。もう、夢や希望を抱くのは、やめな。
次の日の私より
私は数週間前に、雄英高校という学校の普通科に通い始めました。そんな私は、小学生の頃に別れた幼馴染の男の子と再会しないようにと細心の注意を払いながら過ごしていたのですが…
「おいコラこのブス!テメェ、俺を無視するなんざいい度胸じゃねぇか!」
その努力は、本日をもって無駄に終わることとなったのでした。
◇
高校生活1日目、緑谷出久と爆豪勝己の姿を見つけた瞬間思った。あぁ、私の高校生活はお先真っ暗だ…と。
出久君と勝己君と私は幼馴染だ。
幼稚園から小学校3年生まで一緒に過ごした。特に勝己君とは家も隣同士であったため、長く一緒にいることが多かった。
だけど私は、正直勝己君が苦手だ。すぐ怒鳴るし、乱暴だし、我儘だし、いっつも自分の事ばかりで私の話や都合は聞いてくれないし考えてくれない。おまけに顔だって怖いし。
だから小3の時、引っ越しが決まって少しだけ嬉しかった。勝己君と離れることが出来るのかと。
子供の頃からずっと一緒に過ごした子とお別れするのが寂しくなかったのかと聞かれると、そんなことはない、もちろん寂しかった。
だけどもそれ以上に、毎日のように横暴な態度を取ってくる勝己君と別れられるのはうれしいという気持ちの方が強かった。
引っ越しをすることになったと言ったら、勝己君はどんな反応をするだろうか。きっと怒るだろう。嫌だな、最後まで怒鳴られるのは。そう思った私は、引っ越しするということを出久君にだけ知らせて、勝己君には伝えずに引っ越した。
きっとすごく怒っているだろうな、会ったりしたらきっとまた怒鳴り散らされるだろうな。でもまぁ、早々会うこともなくなるだろうしいいや。大丈夫、私はヒーローになりたいとか思っていないし、この街にだって戻ってくることもないだろうから気にしないでおこう。そう思っていた。
だけどそんな私の甘い考えは、音を立てて崩れ去った。母が入院することになり祖母の家で暮らすためあの街にまた戻る事が決まった時、そして学校で出久君と勝己君が前方を歩いているのを見つけた時の絶望感を思い出すと、泣きたくなる。
勝己君はヒーロー科だろうから頑張れば鉢合わせにならないで済むかもしれないけど出久君は多分普通科だ。ヒーローになりたいと小さい頃から言っていたが、彼は無個性だ。失礼な言い方になるが、無個性の彼がヒーロー科に入れる訳がない。そうなったら私は出久君と再会することになる。
出久君と再会するのは嫌ではない。寧ろ嬉しい。だけど出久君と再会するとなると自ずと勝己君とも再会することになるだろう。そしたら絶対ブチギレられる。あぁ、最悪だ。せっかくの高校生活が…始まってもいないのに終了するだなんて…あんまりだ…出久君には一応勝己君に私が雄英に通っているということは黙っていてもらおう。すぐバレると思うけれども。あぁ、他の学校を受験すればよかったな…と、悲観に暮れながら教室へと向かうと、出久君の姿はどこにもなかった。どうして...と考えて、そういえば普通科は3クラスあるんだということを思い出した。ということはクラスが違ったということか。いずれ再会することになるとは思うが初日にいきなり再会なんてことにはならないで済んだ。これからも2人に気付かれないように気をつけて過ごしてとりあえず1学期を乗り越えられるように頑張らないと。大丈夫、勝己君の性格上、他クラスの生徒の事なんて気にしないはずだ。直接鉢合わせない限り気付かれない。
そう考えた私は、学校にいる時は近くに勝己君の姿がないか注意深く確認したり、昇降口や教室移動の時はA組に近づかないようにしたりと、思いつく限りの策を講じて勝己君に会わない様に出来る限りを尽くして1週間を乗り切った。だけどその努力は、あっけなく無駄に終わるのだった。
「歌歩ちゃん、聞いて。今日お婆ちゃんね、歌歩ちゃんのお友達の勝己君と久しぶりに会ったのよー」
という祖母の一言を合図に。
「えっ…か、勝己君…?」
「そうよ、勝己君!しばらく会わないうちに大きくなったわねー。もう吃驚しちゃった!そうそう、勝己君って今雄英高校に通ってるんですって。すごい偶然ねー」
私の強張っているであろう表情に祖母は全く気が付いていないようだ。お茶をずずっと啜りながらニコニコと嬉しそうに話している。
「だからお婆ちゃんね、勝己君に歌歩ちゃんと仲良くしてあげてねって頼んでおいたの」
……は?今なんつった?
「頼んでおいたって…まさか私が雄英に通ってるってこと勝己君に話したの?!」
私の問いに対してお茶をお代わりしながら呑気にそうよーと答える祖母に、どうしようもない怒りがこみあげてくる。勝己君とあったと聞いた時点でなんとなく予想はしていたが、改めて聞くと絶望感が更に増す気がする。最悪だ。こんなことになるくらいならやっぱり雄英になんて入るんじゃなかった。
そもそも少し考えてみたら容易に想像できたじゃないか、勝己君が雄英に入る可能性が高いなんてこと。小さい頃からずっとオールマイトの様なヒーローになりたいと言い続けていたんだ。そんな人なら高確率で雄英に行くだろう。なんでそんな簡単なことが思いつかなかったんだ中学3年生の時の私は。担任に勧められるがままに進学する学校を決めたが、もっとしっかり考えるべきだった。。どうしてよりにもよって雄英を選んでしまったんだ。後悔先に立たずとは正しくこのことか。私の個性がテレポートではなくて時間を戻したり出来るようなものだったらよかったのに。
明日からの高校生活はどうなってしまうんだ。私が雄英の普通科に通っているということを知ったら、勝己君はクラスに乗り込んできたりするだろうか。
……いや、まてよ。勝己君って、もう私になんて興味ないのではないだろうか。考えてみたら、私と勝己君はかれこれ6年も会っていない。自分以外の人はみんなモブだと思っているような勝己君のことだ。私の事なんてとっくの昔に忘れているかもしれない。うん、そうだ。そうに違いない。絶対にそうだ。そうに決まってる。
だからもう、余計なことを考えるのはやめよう。明日からの学校生活の事だけを考えよう。それが1番だ。よし、早く明日の支度をして今日はもう寝よう。
◇
「おい、話聞いてんのかよ!何ぼさっとしてんだ?!」
昨日の私へ
勝己君は私に興味ないだろうって思ったり、絡んでくることはないだろうと思ってたよね。そう、思いたかったよね。
そんな現実逃避やめて、早く現実を見な。そして今のこの状況の打開策を考えることに専念しな。もう、夢や希望を抱くのは、やめな。
次の日の私より