向日葵
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保健室でリカバリーガールに怪我を治してもらってから観客席へ行くと、クラスメイトが何人か座っていた。
「あっ無居さんお帰りー!こっちで一緒に見ようよー」
私の存在に気が付いた1人が声を掛けてくれた。
「お疲れさまー。今どんな感じ?」
「今ね、轟って子と爆豪が1位争いしてるとこだよ」
保健室に行っている間に大分試合は進んでしまったようだ。モニターの方を見てみると勝己君とさっきのすごい個性を使っていた子が走っていた。勝己君が誰かと互角に戦っているところなんて初めて見た気がする。小学生の頃に上級生と喧嘩してた時くらい?いやそれと比べるのはなんか違う気がする。あの頃とは比べ物にならないくらい、強くなったみたいだ。
「ちょっ、何だアイツ、個性も使わずに飛んだぞ?!」
近くで見てた男子生徒の声を聞きモニターに視線を戻すと、出久君が何かに乗って空を飛んでいた。
「嘘?!出久君?!」
えっ何、何あれ、あれひょっとして出久君の個性…?!いや、今個性も使わずに飛んだって言ってたよな…。
って、嘘、出久君が勝己君と氷の人のことを抜いた…!出久君が1位…?!すごい…すごいよ出久君…。いつの間にこんなに強くなったの…?あの頃の…勝己君にいじめられて泣いていたのが嘘みたいだ。離れていた6年という月日の中で、出久君も勝己君も、こんなにすごくなっていたなんて。元々遠くにいた2人が、更にまた遠くへ行ってしまった気がする。私は昔から、脇目もふらず、ただただまっすぐ先を走っていく2人の後をついて行くことしか出来ない。…いや、もうついて行くことすら出来ていないか。とっくの昔に、2人について行くことなんて出来ていない。
小さい頃、勝己君と出久君が2人だけで山へ行ったことがあった。その時、私も一緒に行きたいと言ったら父と母に『歌歩は女の子で、勝己君と出久君は男の子だから。だから2人とは違うから、危ないことはしちゃいけないんだよ。だから山へは行けないよ』そう言われ、行かせてもらえなかった。
どうして2人と一緒に行けないの?どうして歌歩は女の子なの?歌歩も2人と一緒が良かった!そういって泣き、両親を困らせたことがあった。
あの頃はまだ、ギリギリ2人の後ろをついて行くことは出来ていたような気がする。2人と同じ男の子にはなれなくても、2人の後ろをついて行くことは出来ていた。2人の後ろ姿を見ることは、出来ていた。だけど今はもう、それさえも見えない位遠くになってしまったんだ。寂しい…なんて思うのは、筋違いだ。それはわかっている。わかってはいるけれども、思わずにはいられない。
「雄英体育祭1年ステージ!」
物思いに耽っていると、マイク先生の声が聞こえてきて我に返った。周りの子達がみんな、先程とは比べ物にならない位盛り上がっている。
「序盤の展開から誰が予想できた?!今1番にスタジアムへ帰ってきたその男、緑谷出久の存在を!!」
私がくだらないことを考えている間に、出久君が障害物競走の1位として人々が待つ、スタジアムへ帰って来ていた。
出久君が、勝己君や氷の子を出し抜いて障害物競走の1位…!
出久君、この数年で貴方何があったの…?何があったらそんなに強くなれるの…?もう、驚くことが多すぎて何が何だか分からなくなりそうだよ。
「あの子、泣いてない?」
隣で見ていた子に言われじっと目を凝らしてみると、出久君の目にうっすらと涙が浮かんでいた。…やっぱり、強くはなっても出久君は出久君みたいだ。
おめでとう、この後も頑張ってね、出久君。
「あっ無居さんお帰りー!こっちで一緒に見ようよー」
私の存在に気が付いた1人が声を掛けてくれた。
「お疲れさまー。今どんな感じ?」
「今ね、轟って子と爆豪が1位争いしてるとこだよ」
保健室に行っている間に大分試合は進んでしまったようだ。モニターの方を見てみると勝己君とさっきのすごい個性を使っていた子が走っていた。勝己君が誰かと互角に戦っているところなんて初めて見た気がする。小学生の頃に上級生と喧嘩してた時くらい?いやそれと比べるのはなんか違う気がする。あの頃とは比べ物にならないくらい、強くなったみたいだ。
「ちょっ、何だアイツ、個性も使わずに飛んだぞ?!」
近くで見てた男子生徒の声を聞きモニターに視線を戻すと、出久君が何かに乗って空を飛んでいた。
「嘘?!出久君?!」
えっ何、何あれ、あれひょっとして出久君の個性…?!いや、今個性も使わずに飛んだって言ってたよな…。
って、嘘、出久君が勝己君と氷の人のことを抜いた…!出久君が1位…?!すごい…すごいよ出久君…。いつの間にこんなに強くなったの…?あの頃の…勝己君にいじめられて泣いていたのが嘘みたいだ。離れていた6年という月日の中で、出久君も勝己君も、こんなにすごくなっていたなんて。元々遠くにいた2人が、更にまた遠くへ行ってしまった気がする。私は昔から、脇目もふらず、ただただまっすぐ先を走っていく2人の後をついて行くことしか出来ない。…いや、もうついて行くことすら出来ていないか。とっくの昔に、2人について行くことなんて出来ていない。
小さい頃、勝己君と出久君が2人だけで山へ行ったことがあった。その時、私も一緒に行きたいと言ったら父と母に『歌歩は女の子で、勝己君と出久君は男の子だから。だから2人とは違うから、危ないことはしちゃいけないんだよ。だから山へは行けないよ』そう言われ、行かせてもらえなかった。
どうして2人と一緒に行けないの?どうして歌歩は女の子なの?歌歩も2人と一緒が良かった!そういって泣き、両親を困らせたことがあった。
あの頃はまだ、ギリギリ2人の後ろをついて行くことは出来ていたような気がする。2人と同じ男の子にはなれなくても、2人の後ろをついて行くことは出来ていた。2人の後ろ姿を見ることは、出来ていた。だけど今はもう、それさえも見えない位遠くになってしまったんだ。寂しい…なんて思うのは、筋違いだ。それはわかっている。わかってはいるけれども、思わずにはいられない。
「雄英体育祭1年ステージ!」
物思いに耽っていると、マイク先生の声が聞こえてきて我に返った。周りの子達がみんな、先程とは比べ物にならない位盛り上がっている。
「序盤の展開から誰が予想できた?!今1番にスタジアムへ帰ってきたその男、緑谷出久の存在を!!」
私がくだらないことを考えている間に、出久君が障害物競走の1位として人々が待つ、スタジアムへ帰って来ていた。
出久君が、勝己君や氷の子を出し抜いて障害物競走の1位…!
出久君、この数年で貴方何があったの…?何があったらそんなに強くなれるの…?もう、驚くことが多すぎて何が何だか分からなくなりそうだよ。
「あの子、泣いてない?」
隣で見ていた子に言われじっと目を凝らしてみると、出久君の目にうっすらと涙が浮かんでいた。…やっぱり、強くはなっても出久君は出久君みたいだ。
おめでとう、この後も頑張ってね、出久君。