OrangeDays
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本を読むのに夢中になりすぎてしまった。図書室に前から読んでみたいと思っていた本が入ったと知り、嬉しくて読み耽っていたら下校時刻の15分前となってしまっていた。早く帰らなければと思いながら体育館の前に差し掛かった時、まだ明かりがついていて中からボールをつくような音が聞こえてきていた。こんなギリギリまで活動している部活があるのか、すごいなーと思いながらなんとなく中をのぞいてみると
「あ…」
高尾くんが1人で練習をしていた。他に人はいなさそうだ。自主練をしているのだろうか。立ち止まって見ていると
「あれ、宮前じゃん!今帰りかー?」
私に気がついて練習を止めて近くまで来てくれた。
「あ…うん、今帰り…」
「そっか!って、珍しいな。今日前出は一緒じゃねぇんだな」
前出…あぁ、千代のことか。
「うん、今日は用事があるからって先に帰ったの」
そういうと高尾くんは「そっかー」と言いながら何か考えるようなそぶりを見せてから
「んじゃあ一緒に帰ろうぜ!」
「えっ?!」
「もう遅いしそれに、方向途中まで一緒だし送ってくよ!今日真ちゃんいないからリアカーも漕がなくていいし!」
「リアカー…?」
「あっうん、こっちの話。なっ、一緒に帰ろうぜ!すぐ着替えてくるから、ちょっと待っててくれ」
そういうと高尾くんは体育館の中へと戻っていった。
******
「カバン籠入れるか?」
高尾くんが自転車の籠を指さしながら聞いてきた。徒歩の私を気遣ってくれているのだろう。申し訳ない気がして遠慮したら「別に遠慮しなくてもいいんだぜ?」と言われたので断るのも逆に失礼な気がしたのでお言葉に甘えることにした。
歩いている私に合わせて自転車を引きながら歩いてくれる高尾くんにいろいろな意味を込めてありがとうと言うと
「いえいえ、これくらい気になさんなって!てか、こっちこそありがとな」
「え…?私、何かした…?」
どんなに記憶を探っても、高尾くんにお礼を言われるようなことをした覚えが全くない。考え込んで唸り声をあげる私を見て高尾くんがブフッと吹き出して
「そんな必死に考え込むほど思いつかねーもん?」
と笑われてしまった。そんなに笑わなくても…!
「日曜日。試合、観に来てくれただろ。宮前、入学式の時運動あんま興味ないって言ってたからさ。せっかくの休みに、わざわざ観に来てくれてて嬉しくてさ。だからそのお礼」
と、ニカッと笑う高尾くん。…本当、何度見ても眩しい笑顔。
「楽しめたか?この前の試合」
頷くと高尾くんは嬉しそうな、安心したような笑顔で「ならよかった!」といった。なんだかとても気を遣わせてしまっていた様だ。
「あ、あの…高尾くん、すごくかっこよくて…なんかいつもと違う人みたいで、ドキドキした…」
「へ?ドキドキ?」
あっしまった、余計なことを言ってしまった…!ただのクラスメイトに、突然ドキドキしたなんて言われたらドン引きものなんじゃ…!ヒヤヒヤとしながら高尾くんの方を見ると
「そんな風に言われっと、ちょっとどう反応していいか、わかんねーな…」
照れ臭そうに顔をポリポリと掻いていた。そんな高尾くんを見て、なんだか私まで照れ臭くなって何も言えなくなってしまった。
その日はそれきり、私も高尾くんも何も話さずに家路へとついた。
「あ…」
高尾くんが1人で練習をしていた。他に人はいなさそうだ。自主練をしているのだろうか。立ち止まって見ていると
「あれ、宮前じゃん!今帰りかー?」
私に気がついて練習を止めて近くまで来てくれた。
「あ…うん、今帰り…」
「そっか!って、珍しいな。今日前出は一緒じゃねぇんだな」
前出…あぁ、千代のことか。
「うん、今日は用事があるからって先に帰ったの」
そういうと高尾くんは「そっかー」と言いながら何か考えるようなそぶりを見せてから
「んじゃあ一緒に帰ろうぜ!」
「えっ?!」
「もう遅いしそれに、方向途中まで一緒だし送ってくよ!今日真ちゃんいないからリアカーも漕がなくていいし!」
「リアカー…?」
「あっうん、こっちの話。なっ、一緒に帰ろうぜ!すぐ着替えてくるから、ちょっと待っててくれ」
そういうと高尾くんは体育館の中へと戻っていった。
******
「カバン籠入れるか?」
高尾くんが自転車の籠を指さしながら聞いてきた。徒歩の私を気遣ってくれているのだろう。申し訳ない気がして遠慮したら「別に遠慮しなくてもいいんだぜ?」と言われたので断るのも逆に失礼な気がしたのでお言葉に甘えることにした。
歩いている私に合わせて自転車を引きながら歩いてくれる高尾くんにいろいろな意味を込めてありがとうと言うと
「いえいえ、これくらい気になさんなって!てか、こっちこそありがとな」
「え…?私、何かした…?」
どんなに記憶を探っても、高尾くんにお礼を言われるようなことをした覚えが全くない。考え込んで唸り声をあげる私を見て高尾くんがブフッと吹き出して
「そんな必死に考え込むほど思いつかねーもん?」
と笑われてしまった。そんなに笑わなくても…!
「日曜日。試合、観に来てくれただろ。宮前、入学式の時運動あんま興味ないって言ってたからさ。せっかくの休みに、わざわざ観に来てくれてて嬉しくてさ。だからそのお礼」
と、ニカッと笑う高尾くん。…本当、何度見ても眩しい笑顔。
「楽しめたか?この前の試合」
頷くと高尾くんは嬉しそうな、安心したような笑顔で「ならよかった!」といった。なんだかとても気を遣わせてしまっていた様だ。
「あ、あの…高尾くん、すごくかっこよくて…なんかいつもと違う人みたいで、ドキドキした…」
「へ?ドキドキ?」
あっしまった、余計なことを言ってしまった…!ただのクラスメイトに、突然ドキドキしたなんて言われたらドン引きものなんじゃ…!ヒヤヒヤとしながら高尾くんの方を見ると
「そんな風に言われっと、ちょっとどう反応していいか、わかんねーな…」
照れ臭そうに顔をポリポリと掻いていた。そんな高尾くんを見て、なんだか私まで照れ臭くなって何も言えなくなってしまった。
その日はそれきり、私も高尾くんも何も話さずに家路へとついた。