君の隣
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新学期が始まり、新生活にも慣れて来た頃のことだった。
黛が、部活を辞めた。
それは私にとって、無冠の3人が入って来た時よりも、赤司くんが入って来た時よりもずっとショックで大きな問題だった。
あまり語ったりはしないけれど、彼はバスケが大好きだ。
始めたきっかけは、ただの体力作りだと言っていた。だからバスケに対する情熱も、チームに思い入れも特にないと言っていた。
それでも3年間ずっとここの学校でバスケを続けて、ずっと練習していたんだ。
放課後1人で残って自主練しているところを何度も見た。
バスケの話題を振ると少しだけ、本当に少しだけだけど、嬉しそうな目をして話してくれる。
その目をする彼を見るのが、私は大好きだ。
「黛!!!」
屋上のドアを力一杯開け放ち、叫ぶ。
走って来たから呼吸が苦しい。
「なんだよ喧しい。用なら後にしてくれないか。今ちょうどいいとこなんだから」
私の方を一切見ようせず、ラノベを読む黛。
いつもだったら文句言いながらも顔くらい上げてくれるのに。
「部活……辞めちゃったの……?」
黛は私を見ようとせずラノベを読み続ける。
「ねぇ!なんで?!」
答えない。このことに関しては何も答えるつもりはないと言うことだろうか。
「ちょっと黛!答えてよ!ねぇ!無視しないでってば!!」
それでもなお、無視され続ける。
「どうして……バスケ大好きなのにどうして辞めちゃうの……?」
「お前に俺の何がわかるんだよ」
ふと漏れた言葉に返事が来た。
えっ?と黛を見ると、無表情で、光も何も宿っていない瞳と目があった。
「どうしてお前にそんなことわかるんだ。前にも言ったろ。バスケ始めたのはただの体力作りの為だ。別にバスケに特別魅力を感じた訳でもないし、部活続けてたのも一軍になりたかったからとか、そう言う思いがあった訳でもない。ただなんとなく、漠然とやってただけだ。多分お前は、俺がバスケのこと大好きで、部活にも真剣に取り組んでたと思ってるんだろ。そんなんじゃねーよ。なんとなくだ。なんとなくやっててそんで、もう限界だと思ったから辞めた。ただ、そんだけだ。それだけのことだ。……答えはこれだ。もういいだろ」
そう言うと、先戻ると言って屋上を出て行ってしまった。
1人取り残された私はどうしたらいいかわからず、その場に呆然と立ち尽くす。
『お前に俺の何がわかるんだよ』
その一言が、胸に深く突き刺さった。
確かに、私は黛の何もかもをわかっている訳ではない。
きっと、わかっていないことの方が多いだろう。
どんなに好きでも、大好きでも、所詮は他人。
他人のことを100%理解するなんて絶対に出来ない。
でも他人だからこそ、本人以上にわかることもある。
ねぇ、黛。知ってる?自分がどんな顔してバスケやってるか。
すごく、楽しそうなの。普段はつまんなそうに毎日過ごして、ラノベばっか読んでるくせに、バスケやってる時はすごく楽しそうな顔してるんだよ。
汗水垂らして、必死にボールを追いかけてそれで、シュートが決まったりスティールが決まったりすると、すごく嬉しそうな顔してるんだよ。
そんな顔、真剣に取り組んでて大好きじゃないと出来ないよ。
どうしたら、そのことを伝えられるのだろう。
どうしたら、彼に自分がどれだけバスケのことを大好きなのか気付かせてあげることが出来るのだろう。
どうしたら、部活を辞めることを止めることが出来たのだろう。
………どうしたら、恩返しが出来るのだろう。
黛が、部活を辞めた。
それは私にとって、無冠の3人が入って来た時よりも、赤司くんが入って来た時よりもずっとショックで大きな問題だった。
あまり語ったりはしないけれど、彼はバスケが大好きだ。
始めたきっかけは、ただの体力作りだと言っていた。だからバスケに対する情熱も、チームに思い入れも特にないと言っていた。
それでも3年間ずっとここの学校でバスケを続けて、ずっと練習していたんだ。
放課後1人で残って自主練しているところを何度も見た。
バスケの話題を振ると少しだけ、本当に少しだけだけど、嬉しそうな目をして話してくれる。
その目をする彼を見るのが、私は大好きだ。
「黛!!!」
屋上のドアを力一杯開け放ち、叫ぶ。
走って来たから呼吸が苦しい。
「なんだよ喧しい。用なら後にしてくれないか。今ちょうどいいとこなんだから」
私の方を一切見ようせず、ラノベを読む黛。
いつもだったら文句言いながらも顔くらい上げてくれるのに。
「部活……辞めちゃったの……?」
黛は私を見ようとせずラノベを読み続ける。
「ねぇ!なんで?!」
答えない。このことに関しては何も答えるつもりはないと言うことだろうか。
「ちょっと黛!答えてよ!ねぇ!無視しないでってば!!」
それでもなお、無視され続ける。
「どうして……バスケ大好きなのにどうして辞めちゃうの……?」
「お前に俺の何がわかるんだよ」
ふと漏れた言葉に返事が来た。
えっ?と黛を見ると、無表情で、光も何も宿っていない瞳と目があった。
「どうしてお前にそんなことわかるんだ。前にも言ったろ。バスケ始めたのはただの体力作りの為だ。別にバスケに特別魅力を感じた訳でもないし、部活続けてたのも一軍になりたかったからとか、そう言う思いがあった訳でもない。ただなんとなく、漠然とやってただけだ。多分お前は、俺がバスケのこと大好きで、部活にも真剣に取り組んでたと思ってるんだろ。そんなんじゃねーよ。なんとなくだ。なんとなくやっててそんで、もう限界だと思ったから辞めた。ただ、そんだけだ。それだけのことだ。……答えはこれだ。もういいだろ」
そう言うと、先戻ると言って屋上を出て行ってしまった。
1人取り残された私はどうしたらいいかわからず、その場に呆然と立ち尽くす。
『お前に俺の何がわかるんだよ』
その一言が、胸に深く突き刺さった。
確かに、私は黛の何もかもをわかっている訳ではない。
きっと、わかっていないことの方が多いだろう。
どんなに好きでも、大好きでも、所詮は他人。
他人のことを100%理解するなんて絶対に出来ない。
でも他人だからこそ、本人以上にわかることもある。
ねぇ、黛。知ってる?自分がどんな顔してバスケやってるか。
すごく、楽しそうなの。普段はつまんなそうに毎日過ごして、ラノベばっか読んでるくせに、バスケやってる時はすごく楽しそうな顔してるんだよ。
汗水垂らして、必死にボールを追いかけてそれで、シュートが決まったりスティールが決まったりすると、すごく嬉しそうな顔してるんだよ。
そんな顔、真剣に取り組んでて大好きじゃないと出来ないよ。
どうしたら、そのことを伝えられるのだろう。
どうしたら、彼に自分がどれだけバスケのことを大好きなのか気付かせてあげることが出来るのだろう。
どうしたら、部活を辞めることを止めることが出来たのだろう。
………どうしたら、恩返しが出来るのだろう。