ターコイズに恋焦がれ〜初めてのクリスマス〜
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ズタ袋の中に押し込まれて、スウィングさんに抱え込まれてからどれくらいの時間が経ったんだろう。息は思うようにできないしずっと同じ体勢に強制されて、苦しい。なんとか体勢だけでも変えられないかと思い身を捩ってみると
「お嬢ちゃん元気だね~。けどももう少し大人しくしててね」
と言ってスウィングさんに締め上げられて余計苦しくなる。私には身を捩る権利すらないらしい。大人しくズタ袋の中に入り、スウィングさんに運ばれるだけの存在になれ、とでも言われてるような気がしてくる。
「うンうン、お利口さんだね。スウィングさんは物分かりのいい子が好きだよ」
身動きとろうとすることを諦めた私に満足したのか、ズタ袋越しに頭を撫でてくる。さっきからずっとそうだ。私が抵抗すると締め上げて来て、諦めると頭を撫でての繰り返し。この人の行動原理が何ひとつ理解できずに、更に恐怖が増してくる。
「ウギー・ブギーさんに特別に許可してもらってお嬢ちゃんと2人きりでお話が出来るように場所を提供してもらったンだ、もう少しで着くから待っててね」
と言い、また頭を撫でてくる。ズタ袋越しからでもわかる彼の大きな手が、怖い。
スウィングさんの声と彼のものであろう足音以外、何も聞こえてこない。ブギーと悪ガキトリオ、それからサンタさんやハロウィン・タウンとクリスマス・タウンの人たちは近くにいないってこと……?
「おお、着いた着いた」
そういったかと思うと、突然大きな物音が鳴り響いた。ドアを開いてるの……?スウィングさんはご機嫌なのか、ずっと鼻歌交じりに歩いていて、ずっと楽し気な様子が伝わってきてすごく不気味だ。
「ここに座ってね」
と言い、椅子に座らされたらしい。そして
「やっと2人になれて嬉しいよ。君とは話したいことがたーくさンあるンだ」
そう言いながらズタ袋が剥ぎ取られた。どれくらいぶりだろう、身体が自由になり思い切り息を吸えるようになったのは。酸素が一気に肺へと届くような感覚がする。勢いよく吸い過ぎたからか、ゲホゲホとむせた。スウィングさんは私の様子を見ながらニヤニヤと笑っている。全身から汗が噴き出してきて、気持ち悪い。身体もガタガタと震えている。止めたいのに、止まらない。まるで自分の身体じゃないみたいだ。
「どうしたンだい、そンなに震えて。寒い?」
スウィングさんが暖かくしてあげようか?このコートでも着る?なんていいながら顔を近づけられる。
「ひっ……!」
思わず小さく悲鳴を上げてしまった。震えつつも、せめてもの抵抗にと思い口をぎゅっと結び、目を逸らす。
「お嬢ちゃん?どうしたンだい?」
目逸らさないでよ、お話しようよ~と言いながらムニムニと頬を触られ不快感に襲われる。眉間に皺を寄せつつも、無視を繰り返す。
「おい、無視するなよ」
スウィングさんの口調が脅すような調子になり、声もワントーン低くなった。肩をビクッと揺らしつつも、無視を決め込む。
「……お嬢ちゃん、自分の立場分かってる?」
頬を掴まれ、無理矢理スウィングさんと目を合わされる。
「さ、触らないで……!」
思わず言い返すと
「ハハハ、やっぱり!わかってないよねえ?」
心底愉快そうに笑ったかと思うと
「イッ……!」
髪を引っ張られて椅子から立たされ、力強く抱きしめられた。
「や、は、離し……」
離して。そう抗議しようとした瞬間、
「ガッ…アッ……!」
内臓を潰されてしまいそうなくらいの、骨を砕かれてしまいそうなくらいの力で締め上げられて、息が、出来ない。意識が、遠のきそ……
「ッ!ゲホッゴホッゴホッ……!」
不意に腕の力が緩められて、酸素が一気に肺へと流れ込んできてむせる。そんな私のことを見て
「お嬢ちゃん、あのね、お嬢ちゃんの命は今、スウィングさんが握ってるンだよ」
頬を撫でながら耳元で囁くようにして語り出す。
「賢いお嬢ちゃんならば、ちゃあンと分かったよね?」
そう言いながら私を抱き上げて膝に座らせ、本人は椅子に座り私の頭を撫でながらまるで父親が子供に絵本を読み聞かせるような調子で語り続ける。
「スウィングさんの匙加減次第で、お嬢ちゃんの人生を終わらせることだって出来るンだ」
「ッ!!」
首元に何かが這いまわるような感触がする。な、何…。気持ち悪い…!恐る恐る首へと目を向けてみると
「あっやッ!イヤッイヤアッ!!!」
スウィングさんのボディペイントのムカデが、まるで本当に生きてるかのように蠢いている。
「やだっ!やめてやめてやめてええええ!!!!」
泣き叫びながら暴れると、ムカデが今度は腕の方に這ってきた。不快感と嫌悪感で、おかしくなりそうだ。泣き叫んでじたばたと暴れる私のことを押さえつけながら大声を上げ笑い、
「そンなに泣くことないだろ」
驚かせちゃったかなあ、ごめンねえなんて心にも思っていないであろう謝罪の言葉を口にしながらまた、頭を撫でてくる。その手は怖いくらい、優しい。いつの間にかムカデのボディペイントは、スウィングさんの首元に戻っていた。震えと涙と鳥肌が止まらない。ゼエゼエと息を切らしてる私に
「怖かったね〜ごめンね〜」
なんて優しく声をかけながら背中を摩ってくるスウィングさんへの恐怖が増幅してくる。離れようとすると笑顔のまま引き寄せて離してくれない。顔をスウィングさんの胸ぐらに押し付けられて、視界も酸素も奪われる。もぞもぞと動こうとすればするほど、抵抗をあざ笑うかのように深く深く押し付けられた。……苦しい。死んじゃ……
「オエッ…ゲホッゲホゲホッ……」
「あ、ごめンごめン。落ち着かせてあげようと思ったンだけど力加減ミスっちまった」
ケラケラ笑いながらまた背中を摩ってくる。全身が悲鳴をあげてるみたいだ。涙と震えが止まらない。声が、掠れてきている。絶対、今のはわざとだ。私が本気で苦しんでると、わかってやってた。私が死なない、ギリギリのところを狙って甚振ってるんだ。小さな子供が、虫を甚振って遊んでるのと同じ。
「あ、涎でせっかくの可愛いお顔が汚れちゃってるよ。拭いてあげるね」
そう言ってコートの袖で私の口元を拭いてくる。触らないで。そういいたいのに、優しく拭ってくる手を払いのけたいのに、もうそんな気力すら湧いてこない。
「スウィングさんはね、お嬢ちゃんにとっても優しくしたいんだ」
また、優しく宥めるようにして語りかけてくる。
「でも、さっきみたいに反抗されてしまうと優しく出来なくなってしまうンだ。だからお利口さんで居てくれ。出来るよね?」
と、私の頭を撫でる手に、少し力を加えてくる。
「っ……」
頭が、潰されそうだ。
「答えろよ」
いつの間にか私の首元に、彼の大きな手が置かれていた。
「あっ…やっ……」
何か、何か言わないと。頭では分かってるのに、あまりの恐怖にうまく言葉が紡げない。視界が滲んできた。
「ッ!うっ…あっ……」
「泣いてないで答えろ」
何も言わずにいると、首を軽く絞められる。腕を解こうと抵抗しようとしてみるが、ビクともしない。スウィングさんが無表情で見つめてくる。
「も、もうッ反抗、しませんッ……。だ、だから、だから、もう……」
許して……そう消え入りそうな声で懇願する。
「うン、いいよ。許してあげる」
私の懇願を聞くと、パッと手を離して数秒前の無表情が嘘みたいに笑顔に戻っている。
「何度も言ってるけど、スウィングさんはお嬢ちゃんとゆっくりお話がしたいンだ。だからお話しようよ」
私のことを膝に座りなおさせてにこにこと話しかけてくる。お腹に食い込んでくるゴツゴツとした大きな浅黒い肌色の手が、たまらなく恐ろしい。
「返事は?」
笑顔を張り付けたまま、髪を引っ掴んで問い掛けてくる。
「は、い……」
震えながら答えるとスウィングさんは満足げな表情で
「わかってくれたンなら良かったよ」
と言って、私の頭を撫でてくる。心なしか、楽しそうだ。鼻歌を歌っている。……怖い。自分が壊れてしまいそうだ。
「スウィングさんに何か聞きたいことはあるかな?今、スウィングさんはとても気分がいいからね。なンだって答えてあげるよ」
聞きたいこと……確かに聞きたいことはあるけども……
「何か聞けよ」
「ッ」
お腹に回された腕で圧迫されて命令口調で言われる。
「な、なんで、私をここへ連れて来たんですか……?人質なら、サンタさんやサリーさん、ハロウィン・タウンとクリスマス・タウンの人たちがいるはずなのに、なんで私まで……?」
恐る恐る、疑問だったことを問いかけてみた。
「えっ君、自分のこと人質だと思ってたの?」
きょとんと、本気ですごく不思議そうな顔で尋ねられる。そして
「アァッハッハッハッハッ!!面白いこと言うね!!」
とても愉快そうに大声で笑い出した。
「人質?違うよ!君はただ、スウィングさんが欲しいと思ったから連れてきたんだ!」
「ヒッ……!」
抱き寄せられて、そのまま締め上げられる。
「は、はな、して……!」
というが無視される。なんとかして離れようとしてみるが、当然の如く無駄に終わる。
「誰かが必死こいて守ろうとしてるものとか、特別大切にしてるものってなンでかとても魅力的に見えるンだよ」
じたばたともがく私のことなんてものともせずに続ける。
「ハロウィンの時は確かえーっと…アズールって言ったか。あの子とそれからジェイド君て言う子が。そして今回はフロイド君が。君のことをとても大切にしていた」
必死に守ろうとしてて、かっこよかったねと、私の頬を両の手で包み込んでくる。大きな手に包まれて、顔ごと潰されてしまうんじゃないかという恐怖に襲われる。
「そんな必死に守っていた、いわば宝物であろう君をさ、奪い去ってやりたくなったンだよ」
スウィングさんが歯を剥き出しにして笑っている。反射的に後ずさろうとした瞬間
「だから、お前は絶対に逃さない」
腕を引かれて引き寄せられて、耳元でそう囁かれた。鳥肌が止まらない。
「そうそう。君を貰うと言った時のフロイド君のあの顔!すごくいい顔してたよ。ズタ袋の中に仕舞っていたから、お嬢ちゃんには見せてあげることが出来なかったのが少し残念だったなあ〜」
あの時お嬢ちゃんの顔だけでも袋から出しておけば良かったかな〜と笑いながら言われてまた、恐怖に襲われる。
「スウィング!!いつまで遊んでんだ!!早く来い!!」
突然スウィングさんのことを呼ぶ大声が聞こえてきた。この声はブギー……?怒り狂ってるみたいだ。
「チッ…せっかく面白くなってきたってのに」
スウィングさんの舌打ちと苛立ってるような声が響く。
「仕方ない。お嬢ちゃん少し待っててね。ウギー・ブギーさんとお話して来ないと」
そう言って私を膝の上から下ろした。……なんだかすごく久しぶりに地面に足を下ろしたような気がする。
「しばらく1人でお利口さんにしてて……ねッ!」
「ッ……!イッ…たく、な…なっ、何、これ……」
スウィングさんに壁に向かって力一杯投げつけられた。背中を打ったはずなのに、痛みは来ない。代わりに、全身にまとわりつくような不気味なベタつきを感じる。
「スウィングさんが戻ってくるまで、そこで大人しく待っててね。……ティアナちゃん」
ニコニコと笑って言うスウィングさんに、寒気がする。恐る恐る背後を見てみると
「ヒッ…!いやっ!!」
巨大な蜘蛛の巣が張り巡らされていて、その中心に張り付けられていた。なんとか逃れようと暴れてみるが、暴れれば暴れるほど、もがけばもがくほど、糸が身体に纏わりついてくる。
「あンまり動かない方がいいと思うよ?それ以上苦しい思いをしたくないンならね」
ま、それでもいいなら好きにしな。そう言い残し、スウィングさんは部屋から出て行った。
「お嬢ちゃん元気だね~。けどももう少し大人しくしててね」
と言ってスウィングさんに締め上げられて余計苦しくなる。私には身を捩る権利すらないらしい。大人しくズタ袋の中に入り、スウィングさんに運ばれるだけの存在になれ、とでも言われてるような気がしてくる。
「うンうン、お利口さんだね。スウィングさんは物分かりのいい子が好きだよ」
身動きとろうとすることを諦めた私に満足したのか、ズタ袋越しに頭を撫でてくる。さっきからずっとそうだ。私が抵抗すると締め上げて来て、諦めると頭を撫でての繰り返し。この人の行動原理が何ひとつ理解できずに、更に恐怖が増してくる。
「ウギー・ブギーさんに特別に許可してもらってお嬢ちゃんと2人きりでお話が出来るように場所を提供してもらったンだ、もう少しで着くから待っててね」
と言い、また頭を撫でてくる。ズタ袋越しからでもわかる彼の大きな手が、怖い。
スウィングさんの声と彼のものであろう足音以外、何も聞こえてこない。ブギーと悪ガキトリオ、それからサンタさんやハロウィン・タウンとクリスマス・タウンの人たちは近くにいないってこと……?
「おお、着いた着いた」
そういったかと思うと、突然大きな物音が鳴り響いた。ドアを開いてるの……?スウィングさんはご機嫌なのか、ずっと鼻歌交じりに歩いていて、ずっと楽し気な様子が伝わってきてすごく不気味だ。
「ここに座ってね」
と言い、椅子に座らされたらしい。そして
「やっと2人になれて嬉しいよ。君とは話したいことがたーくさンあるンだ」
そう言いながらズタ袋が剥ぎ取られた。どれくらいぶりだろう、身体が自由になり思い切り息を吸えるようになったのは。酸素が一気に肺へと届くような感覚がする。勢いよく吸い過ぎたからか、ゲホゲホとむせた。スウィングさんは私の様子を見ながらニヤニヤと笑っている。全身から汗が噴き出してきて、気持ち悪い。身体もガタガタと震えている。止めたいのに、止まらない。まるで自分の身体じゃないみたいだ。
「どうしたンだい、そンなに震えて。寒い?」
スウィングさんが暖かくしてあげようか?このコートでも着る?なんていいながら顔を近づけられる。
「ひっ……!」
思わず小さく悲鳴を上げてしまった。震えつつも、せめてもの抵抗にと思い口をぎゅっと結び、目を逸らす。
「お嬢ちゃん?どうしたンだい?」
目逸らさないでよ、お話しようよ~と言いながらムニムニと頬を触られ不快感に襲われる。眉間に皺を寄せつつも、無視を繰り返す。
「おい、無視するなよ」
スウィングさんの口調が脅すような調子になり、声もワントーン低くなった。肩をビクッと揺らしつつも、無視を決め込む。
「……お嬢ちゃん、自分の立場分かってる?」
頬を掴まれ、無理矢理スウィングさんと目を合わされる。
「さ、触らないで……!」
思わず言い返すと
「ハハハ、やっぱり!わかってないよねえ?」
心底愉快そうに笑ったかと思うと
「イッ……!」
髪を引っ張られて椅子から立たされ、力強く抱きしめられた。
「や、は、離し……」
離して。そう抗議しようとした瞬間、
「ガッ…アッ……!」
内臓を潰されてしまいそうなくらいの、骨を砕かれてしまいそうなくらいの力で締め上げられて、息が、出来ない。意識が、遠のきそ……
「ッ!ゲホッゴホッゴホッ……!」
不意に腕の力が緩められて、酸素が一気に肺へと流れ込んできてむせる。そんな私のことを見て
「お嬢ちゃん、あのね、お嬢ちゃんの命は今、スウィングさんが握ってるンだよ」
頬を撫でながら耳元で囁くようにして語り出す。
「賢いお嬢ちゃんならば、ちゃあンと分かったよね?」
そう言いながら私を抱き上げて膝に座らせ、本人は椅子に座り私の頭を撫でながらまるで父親が子供に絵本を読み聞かせるような調子で語り続ける。
「スウィングさんの匙加減次第で、お嬢ちゃんの人生を終わらせることだって出来るンだ」
「ッ!!」
首元に何かが這いまわるような感触がする。な、何…。気持ち悪い…!恐る恐る首へと目を向けてみると
「あっやッ!イヤッイヤアッ!!!」
スウィングさんのボディペイントのムカデが、まるで本当に生きてるかのように蠢いている。
「やだっ!やめてやめてやめてええええ!!!!」
泣き叫びながら暴れると、ムカデが今度は腕の方に這ってきた。不快感と嫌悪感で、おかしくなりそうだ。泣き叫んでじたばたと暴れる私のことを押さえつけながら大声を上げ笑い、
「そンなに泣くことないだろ」
驚かせちゃったかなあ、ごめンねえなんて心にも思っていないであろう謝罪の言葉を口にしながらまた、頭を撫でてくる。その手は怖いくらい、優しい。いつの間にかムカデのボディペイントは、スウィングさんの首元に戻っていた。震えと涙と鳥肌が止まらない。ゼエゼエと息を切らしてる私に
「怖かったね〜ごめンね〜」
なんて優しく声をかけながら背中を摩ってくるスウィングさんへの恐怖が増幅してくる。離れようとすると笑顔のまま引き寄せて離してくれない。顔をスウィングさんの胸ぐらに押し付けられて、視界も酸素も奪われる。もぞもぞと動こうとすればするほど、抵抗をあざ笑うかのように深く深く押し付けられた。……苦しい。死んじゃ……
「オエッ…ゲホッゲホゲホッ……」
「あ、ごめンごめン。落ち着かせてあげようと思ったンだけど力加減ミスっちまった」
ケラケラ笑いながらまた背中を摩ってくる。全身が悲鳴をあげてるみたいだ。涙と震えが止まらない。声が、掠れてきている。絶対、今のはわざとだ。私が本気で苦しんでると、わかってやってた。私が死なない、ギリギリのところを狙って甚振ってるんだ。小さな子供が、虫を甚振って遊んでるのと同じ。
「あ、涎でせっかくの可愛いお顔が汚れちゃってるよ。拭いてあげるね」
そう言ってコートの袖で私の口元を拭いてくる。触らないで。そういいたいのに、優しく拭ってくる手を払いのけたいのに、もうそんな気力すら湧いてこない。
「スウィングさんはね、お嬢ちゃんにとっても優しくしたいんだ」
また、優しく宥めるようにして語りかけてくる。
「でも、さっきみたいに反抗されてしまうと優しく出来なくなってしまうンだ。だからお利口さんで居てくれ。出来るよね?」
と、私の頭を撫でる手に、少し力を加えてくる。
「っ……」
頭が、潰されそうだ。
「答えろよ」
いつの間にか私の首元に、彼の大きな手が置かれていた。
「あっ…やっ……」
何か、何か言わないと。頭では分かってるのに、あまりの恐怖にうまく言葉が紡げない。視界が滲んできた。
「ッ!うっ…あっ……」
「泣いてないで答えろ」
何も言わずにいると、首を軽く絞められる。腕を解こうと抵抗しようとしてみるが、ビクともしない。スウィングさんが無表情で見つめてくる。
「も、もうッ反抗、しませんッ……。だ、だから、だから、もう……」
許して……そう消え入りそうな声で懇願する。
「うン、いいよ。許してあげる」
私の懇願を聞くと、パッと手を離して数秒前の無表情が嘘みたいに笑顔に戻っている。
「何度も言ってるけど、スウィングさんはお嬢ちゃんとゆっくりお話がしたいンだ。だからお話しようよ」
私のことを膝に座りなおさせてにこにこと話しかけてくる。お腹に食い込んでくるゴツゴツとした大きな浅黒い肌色の手が、たまらなく恐ろしい。
「返事は?」
笑顔を張り付けたまま、髪を引っ掴んで問い掛けてくる。
「は、い……」
震えながら答えるとスウィングさんは満足げな表情で
「わかってくれたンなら良かったよ」
と言って、私の頭を撫でてくる。心なしか、楽しそうだ。鼻歌を歌っている。……怖い。自分が壊れてしまいそうだ。
「スウィングさんに何か聞きたいことはあるかな?今、スウィングさんはとても気分がいいからね。なンだって答えてあげるよ」
聞きたいこと……確かに聞きたいことはあるけども……
「何か聞けよ」
「ッ」
お腹に回された腕で圧迫されて命令口調で言われる。
「な、なんで、私をここへ連れて来たんですか……?人質なら、サンタさんやサリーさん、ハロウィン・タウンとクリスマス・タウンの人たちがいるはずなのに、なんで私まで……?」
恐る恐る、疑問だったことを問いかけてみた。
「えっ君、自分のこと人質だと思ってたの?」
きょとんと、本気ですごく不思議そうな顔で尋ねられる。そして
「アァッハッハッハッハッ!!面白いこと言うね!!」
とても愉快そうに大声で笑い出した。
「人質?違うよ!君はただ、スウィングさんが欲しいと思ったから連れてきたんだ!」
「ヒッ……!」
抱き寄せられて、そのまま締め上げられる。
「は、はな、して……!」
というが無視される。なんとかして離れようとしてみるが、当然の如く無駄に終わる。
「誰かが必死こいて守ろうとしてるものとか、特別大切にしてるものってなンでかとても魅力的に見えるンだよ」
じたばたともがく私のことなんてものともせずに続ける。
「ハロウィンの時は確かえーっと…アズールって言ったか。あの子とそれからジェイド君て言う子が。そして今回はフロイド君が。君のことをとても大切にしていた」
必死に守ろうとしてて、かっこよかったねと、私の頬を両の手で包み込んでくる。大きな手に包まれて、顔ごと潰されてしまうんじゃないかという恐怖に襲われる。
「そんな必死に守っていた、いわば宝物であろう君をさ、奪い去ってやりたくなったンだよ」
スウィングさんが歯を剥き出しにして笑っている。反射的に後ずさろうとした瞬間
「だから、お前は絶対に逃さない」
腕を引かれて引き寄せられて、耳元でそう囁かれた。鳥肌が止まらない。
「そうそう。君を貰うと言った時のフロイド君のあの顔!すごくいい顔してたよ。ズタ袋の中に仕舞っていたから、お嬢ちゃんには見せてあげることが出来なかったのが少し残念だったなあ〜」
あの時お嬢ちゃんの顔だけでも袋から出しておけば良かったかな〜と笑いながら言われてまた、恐怖に襲われる。
「スウィング!!いつまで遊んでんだ!!早く来い!!」
突然スウィングさんのことを呼ぶ大声が聞こえてきた。この声はブギー……?怒り狂ってるみたいだ。
「チッ…せっかく面白くなってきたってのに」
スウィングさんの舌打ちと苛立ってるような声が響く。
「仕方ない。お嬢ちゃん少し待っててね。ウギー・ブギーさんとお話して来ないと」
そう言って私を膝の上から下ろした。……なんだかすごく久しぶりに地面に足を下ろしたような気がする。
「しばらく1人でお利口さんにしてて……ねッ!」
「ッ……!イッ…たく、な…なっ、何、これ……」
スウィングさんに壁に向かって力一杯投げつけられた。背中を打ったはずなのに、痛みは来ない。代わりに、全身にまとわりつくような不気味なベタつきを感じる。
「スウィングさんが戻ってくるまで、そこで大人しく待っててね。……ティアナちゃん」
ニコニコと笑って言うスウィングさんに、寒気がする。恐る恐る背後を見てみると
「ヒッ…!いやっ!!」
巨大な蜘蛛の巣が張り巡らされていて、その中心に張り付けられていた。なんとか逃れようと暴れてみるが、暴れれば暴れるほど、もがけばもがくほど、糸が身体に纏わりついてくる。
「あンまり動かない方がいいと思うよ?それ以上苦しい思いをしたくないンならね」
ま、それでもいいなら好きにしな。そう言い残し、スウィングさんは部屋から出て行った。
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