ターコイズに恋焦がれ〜初めてのクリスマス〜
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はーあー…ヒマだなー……。フロイドちゃんとジャックちゃん、リリア先輩とケイト先輩はさっきからずーっとスケートをしている。4人がスケート始めてから何分くらい経ったのかな。いい加減飽きないのかなー。……飽きる気配はない、か。ハァ……。
「ティアナー?何溜息なんか吐いてんだよ」
不意に名前を呼ばれた。視線を向けてみると、エースちゃんとオルトちゃんがいた。
「それがさー。フロイドちゃん達さっきからずーっとスケートやってて。ずっと見てるだけでヒマなんだー」
そういうと
「ティアナさんはスケートやらないの?君も運動は嫌いじゃないと思ってたんだけど」
と、オルトちゃんが聞いてきた。
「あー…うん、確かに運動は嫌いじゃないって言うか割と好きなんだけどさー…。スケートって靴履き替えないとじゃん?それがちょっとめんどそうだなって思ってさー…」
というと2人共「あー……」と納得したような声を上げる。
「そのブーツ、履いたり脱いだりすんの大変そうだもんな」
「そうなんだよー」
他のみんなのはそうでもなさそうなのにさーと、思わず愚痴る。
「あっなら良かったらティアナさんも僕達と一緒に列車がどこまで続いてるか調べに行かない?」
列車?
「あの走ってるおもちゃみたいなやつのこと?」
「うん。あの列車、人が乗ってる気配もないのに動いてて不思議だねっどこまで続いてるのか調べようってことになったの!」
なるほど…。言われてみればどうしてか気になってきた。
「うん。私も一緒に行く!」
そう返事をすると2人共
「なら早く行こうぜ」
「パーティに仲間が加わったね!」
歓迎してくれる様子。と、黙って行ったら心配させちゃうか。そう思って未だにスケートに夢中になっているフロイドちゃんに行ってくると伝え、エースちゃんとオルトちゃんと一緒に列車を追い駆ける旅(?)に出発した。
◇
3人で列車をひたすら追い駆けた。ひたすら歩いて歩いて……何分も経ったような気がする。というか……
「ヤバイ……ここって多分クリスマス・タウンじゃないよな?」
そう、エースちゃんの言うように、どこからどう見てもクリスマス・タウンとは違う場所に辿り着いてしまっている。
「うん。この景色……ハロウィン・タウンやクリスマス・タウンへ繋がる扉がある場所だと思う」
オルトちゃんの言う通り、1番最初にいた森の中みたいだ。
「早く戻らないと、だよね」
「ああ……万が一俺ら3人だけでスウィング達に出くわしたらヤバイ!」
「でも、来た道を戻ろうにも方向が分からないよ。この森、不思議な力が働いているみたい」
不思議な力……?何その不穏な言葉……。
「来た道は分かんなくてもさ、いつもみたいにパパっと地図アプリで町のある方角を調べられたりしねえの?」
エースちゃんが冷や汗を掻きながら言う。
「現在地を把握出来る地図機能は搭載されてるよ」
よかった。それならすぐにクリスマス・タウンへの戻り方がわかる……
「でもそれを調べるためのネットに繋がらないんだ」
えっ…
「だめじゃん!」
オルトちゃんのその言葉に、思わず嘆きの声を上げてしまった。そしたらエースちゃんと綺麗にハモった。この状況、思った以上に詰んでるんじゃ……。
「こうなったら早くあの扉のついた木を探そう。そんでまた扉に入ってみんなのところに戻ろうぜ!」
「そうだね。絶対にスウィングさんに見つからないようにしよう」
そう言いながら2人は足早に歩き出す。はぐれたら大変。急いで追い駆けなきゃ。ああ、もう!このブーツマジで歩きにくい!なんで私だけこんな機能性が絶望的なものなのよと思いつつも歩く。
「って、あっ…わっ…!」
最悪。転んじゃった。見上げてみると、エースちゃんとオルトちゃんは黙々と進んでいる。少しは私のこと気に掛けてくれてもよくない?ったく、薄情なんだか…
「大丈夫、お嬢ちゃん?転ンじゃったのかな」
「ッ!?」
不意に耳元で声が聞こえて来たと同時に口を塞がれた。全身から嫌な汗が噴き出してくる。……浅黒い肌、そしてこの声……
「スウィングさんが手当てしてあげようか?」
「んんーーーーーー!」
出たーーーーーー!と声を上げたいが、口を塞がれているせいで出来ない。や、ヤバイ、逃げないととスウィングさんの手を振り解こうとしたが
「おお、元気だねー。いいね、女の子は元気が1番だ。ああ、立つのを手伝ってあげるよ」
振り解けないどころかそのまま抱き上げられてしまった。じたばたと暴れる私のことなんてものともせずにつかつかとエースちゃん達の方へ向かい
「やあ、可愛い坊や達!」
明るい調子で2人に声を掛けた。
「出たーーーーーー!」
スウィングさんに声を掛けられると、2人共私が発しようとした言葉と同じ言葉を絶叫した。
「って、ティアナ……!」
私が捕まっていることに気が付くと2人共目を見開いた。
「いやー、また会えて嬉しいよ。やっぱりスウィングさんはツイてるな」
ニヤニヤと笑いながら、私の口を塞いでいた腕を首の方へ回してきた。
「君達には聞きたいことがたくさンあるンだ」
だからゆっくりお話ししよう、そう言いながら2人に近付いていく。
「あ……あははー、すみません!俺達ちょっと野暮用があって~」
そう言いながらエースちゃんはオルトちゃんのことを背後に庇いつつ
「聞きたい事ってなんですか?俺らの名前とか?趣味とか?てかあの、ティアナのこと離してもらえませんかねー……」
と、スウィングさんとの距離を取る。
「お話が終わったら離してあげるよ」
そう言って笑い、私の首元に回している腕の力が少し強くなった気がする。
「君達の名前や趣味も興味があるけど、まずは……ジャック・スケリントンはどこにいる?」
!!やっぱり、目的はジャックさんなんだ。
「彼がどうしているか、ウギー・ブギーさんがとっても気にしていてね。どうだい?スウィングさんに教えてくれないか」
「無理ですよ。私達、ジャックさんがどこにいるか知らないし」
クリスマス・タウンにいる……なんてことがバレたら大変だ。ジャックさんだけじゃなくて私達の居場所までバレちゃう。そう思ったら咄嗟に嘘を吐いてしまった。
「そーそ……俺ら、ハロウィン・タウンで別れてからずっと別行動だし」
エースちゃんも同じことを思ったらしく、即座に私の嘘に同調してくれた。
「本当に?嘘なンて吐いたら、ろくな大人にならないぞ」
年頃の女の子とっ捕まえてるおっさんにんなこと言われたくないっての。
「知ってたって、お前なんかに教えるもんか!」
オルトちゃんが強めに言うと
「おいおい、どうしてそンなに反抗的なンだ?坊や達とは仲良くしたいのに。スウィングさんは悲しいよ……」
心底残念だ、とでも言いたげな顔をした。
「そンなンじゃ……」
「ッ!?ちょっ、ちょっ…とッ……!」
「そンなンじゃ、無理矢理にでも口を割らせるしかなくなるよなあ~!?」
首を腕に、絞め上げられる。
「やめろ、離せよ!!」
「ティアナさん!!」
エースちゃんとオルトちゃんが血相変えて走り寄って来たが
「おお、2人共勇敢だねー。感心しちゃうよー」
スウィングさんは相変わらず余裕綽々という感じだ。
「けど、2人共隙だらけだよー」
「ぐっ!」
「うっ!」
「エースちゃん!オルトちゃん!」
スウィングさんは2人のことを軽々と蹴り飛ばした。2人に駆け寄ろうとスウィングさんの腕から逃れようと暴れるがそんな私のことを愉快そうに見て笑っている。
「おっと……暴れないでくれるかな、お嬢ちゃん」
落としちゃうかもよ~?なんて笑われる。ああ、もう!
「うるっさいなあ!離して、よッ!!」
こうなったらなりふり構ってられない。スウィングさんの腕を力一杯絞め上げる。折れたって文句言うなよ。
「おお、すごいね。お嬢ちゃん力強いねえ。そんな細い腕でこんなに力があるなんて~」
ウッソでしょ、全くびくともしない。私、本気で絞め上げてるハズなんだけど…!
「ガッ…!」
首が…!圧迫される…!
「スウィングさんと力比べしよう。楽しいだろ?」
楽しいワケあるかってのッ…!じたばたと足を動かしたりスウィングさんの腕を引っ掻いたりしてみるが、やっぱりびくともしない。
「お嬢ちゃん頑張るねー。これだけ絞め上げてもまだ力出るんだー」
びっくりだよ、なんて一切心にも思ってないように言う。
「……君、人間じゃないよね。人間がこんなに握力あるワケないもンね」
ケラケラと笑い声が響く。
「ひょっとして人魚かな?こんなに握力あるあたり、タコとかだったりして」
私のことをじっと眺めながら問い掛けてくる。
「……だったら、なんだって言うんですか」
なんだかすごく嫌な予感がする。
「ああ、やっぱ人魚なのか!」
スウィングさん冴えてる~なんて言ったかと思うと
「ひっ……!」
私の首に回している方とは逆の手が、太腿辺りを撫でて来て思わず悲鳴を上げてしまった。虫に這われているような感覚に襲われる。
「お嬢ちゃん、こんな昔話を知ってるか?」
スウィングさんがまるで子供に物語を語り聞かせるように問い掛けてくる。
「昔、人魚の肉を食べた人間がいた。するとその人は、不老不死となり何百年も若い姿のまま生き続けたそうなんだ」
未だに私の太腿に触れたまま、語り続ける。背中に嫌な汗が流れる。
「そ、その話がなんだって言うんですか」
何か言わないと。そう思って必死に頭を働かせ言葉を絞り出したが、いい言葉を見つけることが出来ない。声が震えている。そのうち身体も震えだしてしまいそうだ。そんな私のことを見ると、ニヤッと口角を釣り上げて笑いながら
「お嬢ちゃんの肉を剥いで、そこのエースって坊やに食べさせたら、あの坊やも不老不死となって何百年も生きることになるのかな~?気になるな。試してみてもいい?」
肉を…剥ぐ……?私の……?
「な、何言ってんだよ!?」
エースちゃんが怒鳴り声を上げる。怒ってるようだけども同時に、スウィングさんのことを怖がってもいるように見える。
「やだな、冗談だよ。そんなムキになるなよ」
ケラケラと笑いながら言うが、全く冗談になんて聞こえない。
「と、そろそろ本題に戻そう。ジャック・スケリントンはどこにいる」
スウィングさんの放っている威圧感が、強くなった気がする。
「だ、だから、知らねえっつってんじゃん……。しつこいっすよ?もういいでしょ?俺ら急いでんで、いい加減ティアナ離してください」
エースちゃんが平静を装うように言っているが、声が少し震えている。
「そうだよ!それにさっきも言ったけど、仮に知ってたとしてもお前になんて教えるもんか!」
オルトちゃんもいつもの調子で言い返してるように見えるけど、やっぱり焦ってるみたいだ。
「おやおや、まだ反抗的な態度をとるのかい?」
強情だな~……と大きなため息を吐いた。そして
「やっぱり、無理矢理にでも口を割らせるしかないか~!」
スウィングさんが2人目掛けて魔法を放った。
「2人共…!」
「こ、このままじゃヤバイ……!」
エースちゃんがオルトちゃんを庇ったまま声を上げる。その間にも、スウィングさんの放った魔法が2人のことを襲っている。どうしよう、このままじゃ2人共大変なことになっちゃう!!なんとかしたいけど、どうすることも出来ない。無力感にさいなまれながら、思わずぎゅっと目を瞑った。その瞬間
「危ない!」
と言う声と
「ティアナ!!!」
と言う私の名前を呼ぶ声が聞こえたと同時に腕を力一杯引かれて、ふわりと宙に浮く感覚がした。恐る恐る目を開くと、私のことを抱きかかえているカリム先輩と、マジカルペンを構えてスウィングさんを険しい顔で睨んでいるルーク先輩の姿が目に入って来た。
「ティアナー?何溜息なんか吐いてんだよ」
不意に名前を呼ばれた。視線を向けてみると、エースちゃんとオルトちゃんがいた。
「それがさー。フロイドちゃん達さっきからずーっとスケートやってて。ずっと見てるだけでヒマなんだー」
そういうと
「ティアナさんはスケートやらないの?君も運動は嫌いじゃないと思ってたんだけど」
と、オルトちゃんが聞いてきた。
「あー…うん、確かに運動は嫌いじゃないって言うか割と好きなんだけどさー…。スケートって靴履き替えないとじゃん?それがちょっとめんどそうだなって思ってさー…」
というと2人共「あー……」と納得したような声を上げる。
「そのブーツ、履いたり脱いだりすんの大変そうだもんな」
「そうなんだよー」
他のみんなのはそうでもなさそうなのにさーと、思わず愚痴る。
「あっなら良かったらティアナさんも僕達と一緒に列車がどこまで続いてるか調べに行かない?」
列車?
「あの走ってるおもちゃみたいなやつのこと?」
「うん。あの列車、人が乗ってる気配もないのに動いてて不思議だねっどこまで続いてるのか調べようってことになったの!」
なるほど…。言われてみればどうしてか気になってきた。
「うん。私も一緒に行く!」
そう返事をすると2人共
「なら早く行こうぜ」
「パーティに仲間が加わったね!」
歓迎してくれる様子。と、黙って行ったら心配させちゃうか。そう思って未だにスケートに夢中になっているフロイドちゃんに行ってくると伝え、エースちゃんとオルトちゃんと一緒に列車を追い駆ける旅(?)に出発した。
◇
3人で列車をひたすら追い駆けた。ひたすら歩いて歩いて……何分も経ったような気がする。というか……
「ヤバイ……ここって多分クリスマス・タウンじゃないよな?」
そう、エースちゃんの言うように、どこからどう見てもクリスマス・タウンとは違う場所に辿り着いてしまっている。
「うん。この景色……ハロウィン・タウンやクリスマス・タウンへ繋がる扉がある場所だと思う」
オルトちゃんの言う通り、1番最初にいた森の中みたいだ。
「早く戻らないと、だよね」
「ああ……万が一俺ら3人だけでスウィング達に出くわしたらヤバイ!」
「でも、来た道を戻ろうにも方向が分からないよ。この森、不思議な力が働いているみたい」
不思議な力……?何その不穏な言葉……。
「来た道は分かんなくてもさ、いつもみたいにパパっと地図アプリで町のある方角を調べられたりしねえの?」
エースちゃんが冷や汗を掻きながら言う。
「現在地を把握出来る地図機能は搭載されてるよ」
よかった。それならすぐにクリスマス・タウンへの戻り方がわかる……
「でもそれを調べるためのネットに繋がらないんだ」
えっ…
「だめじゃん!」
オルトちゃんのその言葉に、思わず嘆きの声を上げてしまった。そしたらエースちゃんと綺麗にハモった。この状況、思った以上に詰んでるんじゃ……。
「こうなったら早くあの扉のついた木を探そう。そんでまた扉に入ってみんなのところに戻ろうぜ!」
「そうだね。絶対にスウィングさんに見つからないようにしよう」
そう言いながら2人は足早に歩き出す。はぐれたら大変。急いで追い駆けなきゃ。ああ、もう!このブーツマジで歩きにくい!なんで私だけこんな機能性が絶望的なものなのよと思いつつも歩く。
「って、あっ…わっ…!」
最悪。転んじゃった。見上げてみると、エースちゃんとオルトちゃんは黙々と進んでいる。少しは私のこと気に掛けてくれてもよくない?ったく、薄情なんだか…
「大丈夫、お嬢ちゃん?転ンじゃったのかな」
「ッ!?」
不意に耳元で声が聞こえて来たと同時に口を塞がれた。全身から嫌な汗が噴き出してくる。……浅黒い肌、そしてこの声……
「スウィングさんが手当てしてあげようか?」
「んんーーーーーー!」
出たーーーーーー!と声を上げたいが、口を塞がれているせいで出来ない。や、ヤバイ、逃げないととスウィングさんの手を振り解こうとしたが
「おお、元気だねー。いいね、女の子は元気が1番だ。ああ、立つのを手伝ってあげるよ」
振り解けないどころかそのまま抱き上げられてしまった。じたばたと暴れる私のことなんてものともせずにつかつかとエースちゃん達の方へ向かい
「やあ、可愛い坊や達!」
明るい調子で2人に声を掛けた。
「出たーーーーーー!」
スウィングさんに声を掛けられると、2人共私が発しようとした言葉と同じ言葉を絶叫した。
「って、ティアナ……!」
私が捕まっていることに気が付くと2人共目を見開いた。
「いやー、また会えて嬉しいよ。やっぱりスウィングさんはツイてるな」
ニヤニヤと笑いながら、私の口を塞いでいた腕を首の方へ回してきた。
「君達には聞きたいことがたくさンあるンだ」
だからゆっくりお話ししよう、そう言いながら2人に近付いていく。
「あ……あははー、すみません!俺達ちょっと野暮用があって~」
そう言いながらエースちゃんはオルトちゃんのことを背後に庇いつつ
「聞きたい事ってなんですか?俺らの名前とか?趣味とか?てかあの、ティアナのこと離してもらえませんかねー……」
と、スウィングさんとの距離を取る。
「お話が終わったら離してあげるよ」
そう言って笑い、私の首元に回している腕の力が少し強くなった気がする。
「君達の名前や趣味も興味があるけど、まずは……ジャック・スケリントンはどこにいる?」
!!やっぱり、目的はジャックさんなんだ。
「彼がどうしているか、ウギー・ブギーさんがとっても気にしていてね。どうだい?スウィングさんに教えてくれないか」
「無理ですよ。私達、ジャックさんがどこにいるか知らないし」
クリスマス・タウンにいる……なんてことがバレたら大変だ。ジャックさんだけじゃなくて私達の居場所までバレちゃう。そう思ったら咄嗟に嘘を吐いてしまった。
「そーそ……俺ら、ハロウィン・タウンで別れてからずっと別行動だし」
エースちゃんも同じことを思ったらしく、即座に私の嘘に同調してくれた。
「本当に?嘘なンて吐いたら、ろくな大人にならないぞ」
年頃の女の子とっ捕まえてるおっさんにんなこと言われたくないっての。
「知ってたって、お前なんかに教えるもんか!」
オルトちゃんが強めに言うと
「おいおい、どうしてそンなに反抗的なンだ?坊や達とは仲良くしたいのに。スウィングさんは悲しいよ……」
心底残念だ、とでも言いたげな顔をした。
「そンなンじゃ……」
「ッ!?ちょっ、ちょっ…とッ……!」
「そンなンじゃ、無理矢理にでも口を割らせるしかなくなるよなあ~!?」
首を腕に、絞め上げられる。
「やめろ、離せよ!!」
「ティアナさん!!」
エースちゃんとオルトちゃんが血相変えて走り寄って来たが
「おお、2人共勇敢だねー。感心しちゃうよー」
スウィングさんは相変わらず余裕綽々という感じだ。
「けど、2人共隙だらけだよー」
「ぐっ!」
「うっ!」
「エースちゃん!オルトちゃん!」
スウィングさんは2人のことを軽々と蹴り飛ばした。2人に駆け寄ろうとスウィングさんの腕から逃れようと暴れるがそんな私のことを愉快そうに見て笑っている。
「おっと……暴れないでくれるかな、お嬢ちゃん」
落としちゃうかもよ~?なんて笑われる。ああ、もう!
「うるっさいなあ!離して、よッ!!」
こうなったらなりふり構ってられない。スウィングさんの腕を力一杯絞め上げる。折れたって文句言うなよ。
「おお、すごいね。お嬢ちゃん力強いねえ。そんな細い腕でこんなに力があるなんて~」
ウッソでしょ、全くびくともしない。私、本気で絞め上げてるハズなんだけど…!
「ガッ…!」
首が…!圧迫される…!
「スウィングさんと力比べしよう。楽しいだろ?」
楽しいワケあるかってのッ…!じたばたと足を動かしたりスウィングさんの腕を引っ掻いたりしてみるが、やっぱりびくともしない。
「お嬢ちゃん頑張るねー。これだけ絞め上げてもまだ力出るんだー」
びっくりだよ、なんて一切心にも思ってないように言う。
「……君、人間じゃないよね。人間がこんなに握力あるワケないもンね」
ケラケラと笑い声が響く。
「ひょっとして人魚かな?こんなに握力あるあたり、タコとかだったりして」
私のことをじっと眺めながら問い掛けてくる。
「……だったら、なんだって言うんですか」
なんだかすごく嫌な予感がする。
「ああ、やっぱ人魚なのか!」
スウィングさん冴えてる~なんて言ったかと思うと
「ひっ……!」
私の首に回している方とは逆の手が、太腿辺りを撫でて来て思わず悲鳴を上げてしまった。虫に這われているような感覚に襲われる。
「お嬢ちゃん、こんな昔話を知ってるか?」
スウィングさんがまるで子供に物語を語り聞かせるように問い掛けてくる。
「昔、人魚の肉を食べた人間がいた。するとその人は、不老不死となり何百年も若い姿のまま生き続けたそうなんだ」
未だに私の太腿に触れたまま、語り続ける。背中に嫌な汗が流れる。
「そ、その話がなんだって言うんですか」
何か言わないと。そう思って必死に頭を働かせ言葉を絞り出したが、いい言葉を見つけることが出来ない。声が震えている。そのうち身体も震えだしてしまいそうだ。そんな私のことを見ると、ニヤッと口角を釣り上げて笑いながら
「お嬢ちゃんの肉を剥いで、そこのエースって坊やに食べさせたら、あの坊やも不老不死となって何百年も生きることになるのかな~?気になるな。試してみてもいい?」
肉を…剥ぐ……?私の……?
「な、何言ってんだよ!?」
エースちゃんが怒鳴り声を上げる。怒ってるようだけども同時に、スウィングさんのことを怖がってもいるように見える。
「やだな、冗談だよ。そんなムキになるなよ」
ケラケラと笑いながら言うが、全く冗談になんて聞こえない。
「と、そろそろ本題に戻そう。ジャック・スケリントンはどこにいる」
スウィングさんの放っている威圧感が、強くなった気がする。
「だ、だから、知らねえっつってんじゃん……。しつこいっすよ?もういいでしょ?俺ら急いでんで、いい加減ティアナ離してください」
エースちゃんが平静を装うように言っているが、声が少し震えている。
「そうだよ!それにさっきも言ったけど、仮に知ってたとしてもお前になんて教えるもんか!」
オルトちゃんもいつもの調子で言い返してるように見えるけど、やっぱり焦ってるみたいだ。
「おやおや、まだ反抗的な態度をとるのかい?」
強情だな~……と大きなため息を吐いた。そして
「やっぱり、無理矢理にでも口を割らせるしかないか~!」
スウィングさんが2人目掛けて魔法を放った。
「2人共…!」
「こ、このままじゃヤバイ……!」
エースちゃんがオルトちゃんを庇ったまま声を上げる。その間にも、スウィングさんの放った魔法が2人のことを襲っている。どうしよう、このままじゃ2人共大変なことになっちゃう!!なんとかしたいけど、どうすることも出来ない。無力感にさいなまれながら、思わずぎゅっと目を瞑った。その瞬間
「危ない!」
と言う声と
「ティアナ!!!」
と言う私の名前を呼ぶ声が聞こえたと同時に腕を力一杯引かれて、ふわりと宙に浮く感覚がした。恐る恐る目を開くと、私のことを抱きかかえているカリム先輩と、マジカルペンを構えてスウィングさんを険しい顔で睨んでいるルーク先輩の姿が目に入って来た。
