ターコイズに恋焦がれ
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朝、登校して来たエースちゃんの首にそれはそれは立派な首輪が嵌められていた。
「何その首輪。エースちゃんの趣味?邪魔臭そう」
と笑ったら、「好き好んで着けてねぇよ!!」とキレ気味に言われた。
「それ確か入学式の時にグリムちゃんが先輩に着けられてたやつだよね?着けられると魔法が使えなくなるんだよね?そんなもん着けられるとか今度は何やらかしたの。ウケるー」
とけらけら笑いながら聞くと、「ウケねぇよ!お前に言ったらぜってぇバカにしてくっからぜってぇ言わねぇ」と、またキレ気味に言われた。
「あっそ。わかったよー。ねぇデュースちゃん。エースちゃん今度は何やらかしたの~?」
「冷蔵庫に入ってた寮長のホールケーキを一切れ食べたんだ」
「あっデューステメェ!!!」
えっ人の物勝手に食べたの…?
「うわないわー…普通食べないでしょ…」
ドン引きなんだけどと言ったら「3ホールあったんだぞ!そのうちの一切れくらい貰ったっていいじゃねぇかよ別に!」と逆切れしてきた。
「いや、それでもありえないから。3ホールってことはパーティかなんかの為でしょ?パーティに出て来たケーキが一切れない状態だったら見栄えも悪いし最悪だよ。お店だったら確実にクレーム来ちゃう」
第一、高校生にもなって人の物勝手に食べて反省一切してないとか有り得ない。そう言ったらエースちゃんは「そ、そこまで言うか!?しかも真顔で!」と抗議してきた。
「お店だったらクレーム来るって…まるで店員みたいな物言いだね。ティアナ販売経験でもあるの?」
そんな質問を投げ掛けて来るのは、今日から正式にナイトレイブンカレッジの生徒となったユウちゃんだ。昨日の件で、学園長に認められてグリムちゃんと2人で1人という扱いで入学することを許可されたらしい。なんでも入学早々寮の監督生に任命されたのだとか。グリムちゃんと2人だけの寮らしい。チラッと寮を見てみたら、びっくりするくらいおんぼろの寮だった。あそこで暮らすのは私なら勘弁だなぁ…。
「販売経験があるってわけじゃないよ。ウチのママがリストランテやってんの。ちっちゃい頃からその手伝いとかやらされてたんだー」
と答えたら
「飯屋か!?俺様も行きてぇんだゾ!」
俺様が味の評価してやってもいいんだゾと言ってるグリムちゃんに「モンスターに味なんてわかるのー?グリムちゃん味覚音痴っぽいし」と言ったら「何を―!!俺様の舌を舐めてもらっちゃ困るんだゾ!」と怒り出した。道端に落ちてた真っ黒な怪しい石みたいなのを躊躇いなく食べた挙句に美味いとか言ってたグリムちゃんの舌を信用なんて出来ないって。
◇
ナイトレイブンカレッジの昼食は大食堂で食べることが出来る。凄腕のゴースト達が腕によりをかけて作っているのだとか。そのためかどれもすごく美味しそうだ。昨日の夜はフロイドちゃんの作ってくれたグラタン食べて、朝はクリームパスタとクリームシチュー、パンを食べたからクリーム系以外の物が食べたいな。ハンバーガー…は無さそう。どうしよっかなー…。ラーメンとかオムライスにでもしようかな…。アズールに朝ご飯食べ過ぎだって怒られたから一品でお腹に溜まる物をなるべく選びた…
「いっっっっってぇぇぇぇぇっっっっ!!」
ご飯を選ぶのに夢中になっていたら、近くを通りかかっていた上級生にぶつかってしまった。そんな叫ぶほどか?てか被害者面してるけどぶつかって来たのそっちだろと思いつつも波風立てたくないので「あっ…ごっごめんなさい!!」と申し訳なさそうな顔と態度を取り繕い謝罪する。
「ごめんなさいじゃねぇよ、このクソアマッ!お前がぶつかって来たせいで見ろこれっ!せっかく上手く描いて貰ったオムライスの絵が崩れちまったじゃねぇか!!」
「…は?」
何、オムライスの絵?そんなくだらないことでここまでブチギレてんの?思わず呆れた様なリアクションをしてしまったじゃないか。
「は?はってなんだよ!!」
随分舐めた態度取ってくれんじゃねぇか、やんのかこら!などなど。ギャーギャーと喚き散らされる。よくもまぁオムライスの絵なんてくだらないことでここまでキレ散らかせるものだ。ある意味尊敬する。
「あ、あの…私の態度が不快だったのでしたら謝ります。だからその、もうそろそろ勘弁してもらえませんか?このままですと昼食をする時間も無くなってしまいますし、何よりこんな所で騒いでいたら他の方々にも迷惑になってしまいますし…」
けどこれ以上こんなバカに付き合ってられない。癪だけどもなるべく下手に、そしてこの知能の低いバカでも理解できるように丁寧な言葉を使ってこの場を収め…
「あっ?迷惑?じゃあちょっと来い!」
えっ嘘、腕掴まれた。はっ?食堂から連れ出されてるんだけど。ちょっはっ…わ、私まだお昼食べてないのにッッッ!!
◇
ナイトレイブンカレッジは超の付く名門校だ。私達みたいな一般人だけでなく、セレブや芸能人、王族に、世界で5本の指に入る様な魔法士だっている。入学式の時にあの有名なヴィル・シェーンハイドだって見かけた。そう、そんなすごい人が当たり前の様に通っている、正真正銘の超名門校である。そんな名門校であるこの学校に
「テメェコラなんだその顔は!舐めてんのか!?」
こんなベッタベタな、一昔前に流行った不良漫画にすらギリ出てこなそうなテンプレ不良がいるだなんて誰が想像出来るって言うのよ。
「いやあの、別に舐めてませんてば…」
そう返すと「嘘つけ!今俺のこと呆れたみたいな顔で見たじゃねぇか!」と怒鳴られた。呆れるに決まってるでしょ高校生にもなってオムライスに描かれた絵がズレたと言ってここまでキレたりなんてしたら…。稚魚でもここまで喚かないよ。
こんなのが入学できるなんてここ本当に名門校…?実は同じ名前の違う学校なんじゃないかという気さえしてくる。そんなことを考えながら目の前の人のことを見つめていると
「おい、聞いてんのかよ」
胸倉を掴まれ凄まれる。
「聞いてますよ…」
と答えると「嘘吐くんじゃねぇ!!」と掴んだまままた怒鳴られた。うるっさ…。耳壊れたらどうしてくれんのよ。てか息くさっ。ちゃんと歯磨きしてんのかコイツ。もう無理限界。人間の姿のままでもタコの時と同じ握力出るかな。出たら傷害罪とかで訴えられちゃうかな。まぁいいや、そん時はそん時だ。と、不良先輩の腕を力一杯…
「オフ・ウィズ・ユアヘッド!!」
掴みかかろうとした瞬間、呪文が聞こえて来て不良先輩の首にエースちゃんが着けられていたものと同じ首輪が嵌められた。
「あっ!?こ、これは…!」
そう声を上げて、不良先輩は私の胸倉を離した。そして
「全く。目に余る蛮行だね」
女の子に向かってその態度はないだろ、と言いながら入学式の時にアズールと2人でグリムちゃんを捕まえていた先輩が私と不良先輩の前に立ちはだかった。
「り、リドル・ローズハート…!!」
「随分と楽しそうだね。良かったら僕もご一緒させてもらっても?」
そうニコニコと可愛らしい(でもなんか迫力と威圧感満点な)顔でリドル先輩が笑うと、不良先輩は顔色を真っ青にしながら「いえ結構ですすみません!!!!!!!」絶叫と共に一目散に逃げて行った。
「全く、あんな奴退学にさせてしまえばいいのに。あぁいう生徒を放っておくと風紀が乱れる一方じゃないか」
うんざりだ、とでも言いたげにリドル先輩が呟く。た、助かった…。
「君。大丈夫かい?」
私の方を振り返りながら尋ねて来る。
「あっ、はい。 大丈夫です。ありがとうございました、助けてくれて」
とお礼を言うと「礼には及ばないよ」と返答された。
「確か君、アズールの妹だったね」
「えっあっはい」
上級生にも私のこと伝わってるのか。
「昨日はウチの寮生2人が迷惑をかけたみたいだね。すまなかった。寮長として僕から謝罪させて貰うよ」
この通りだ、と頭を下げて来るリドル先輩に慌てて「大丈夫です!2人にはしっかりお詫びさせる予定なので!」と言ったら、先輩は一瞬目を見開いて驚いたような顔をしたが、すぐにクスッと笑って
「そうかい。さすがアズールの妹。抜かりないね」
と言った。ば、バカにされてる…?
「そうそう、1つ忠告しておくよ。ここは男子校だ。女の子が1人で過ごすのはなるべく避けた方が身のためだよ」
今みたいに素行が悪いのに絡まれた時、誰かが助けてくれるとは限らないんだからね、と言ってくるリドル先輩に「はい…」と苦笑しながら返事をすると「よろしい。では僕はこの辺で失礼させていただくよ」といい、去って行った。
…エースちゃんの話や、入学式の時の様子を見て勝手に怖い先輩なんだと思ってたけど案外そうでもないのかな。
助けてくれた時、ちょっと王子様みたいだなって思ったのは私だけの内緒だ。
「何その首輪。エースちゃんの趣味?邪魔臭そう」
と笑ったら、「好き好んで着けてねぇよ!!」とキレ気味に言われた。
「それ確か入学式の時にグリムちゃんが先輩に着けられてたやつだよね?着けられると魔法が使えなくなるんだよね?そんなもん着けられるとか今度は何やらかしたの。ウケるー」
とけらけら笑いながら聞くと、「ウケねぇよ!お前に言ったらぜってぇバカにしてくっからぜってぇ言わねぇ」と、またキレ気味に言われた。
「あっそ。わかったよー。ねぇデュースちゃん。エースちゃん今度は何やらかしたの~?」
「冷蔵庫に入ってた寮長のホールケーキを一切れ食べたんだ」
「あっデューステメェ!!!」
えっ人の物勝手に食べたの…?
「うわないわー…普通食べないでしょ…」
ドン引きなんだけどと言ったら「3ホールあったんだぞ!そのうちの一切れくらい貰ったっていいじゃねぇかよ別に!」と逆切れしてきた。
「いや、それでもありえないから。3ホールってことはパーティかなんかの為でしょ?パーティに出て来たケーキが一切れない状態だったら見栄えも悪いし最悪だよ。お店だったら確実にクレーム来ちゃう」
第一、高校生にもなって人の物勝手に食べて反省一切してないとか有り得ない。そう言ったらエースちゃんは「そ、そこまで言うか!?しかも真顔で!」と抗議してきた。
「お店だったらクレーム来るって…まるで店員みたいな物言いだね。ティアナ販売経験でもあるの?」
そんな質問を投げ掛けて来るのは、今日から正式にナイトレイブンカレッジの生徒となったユウちゃんだ。昨日の件で、学園長に認められてグリムちゃんと2人で1人という扱いで入学することを許可されたらしい。なんでも入学早々寮の監督生に任命されたのだとか。グリムちゃんと2人だけの寮らしい。チラッと寮を見てみたら、びっくりするくらいおんぼろの寮だった。あそこで暮らすのは私なら勘弁だなぁ…。
「販売経験があるってわけじゃないよ。ウチのママがリストランテやってんの。ちっちゃい頃からその手伝いとかやらされてたんだー」
と答えたら
「飯屋か!?俺様も行きてぇんだゾ!」
俺様が味の評価してやってもいいんだゾと言ってるグリムちゃんに「モンスターに味なんてわかるのー?グリムちゃん味覚音痴っぽいし」と言ったら「何を―!!俺様の舌を舐めてもらっちゃ困るんだゾ!」と怒り出した。道端に落ちてた真っ黒な怪しい石みたいなのを躊躇いなく食べた挙句に美味いとか言ってたグリムちゃんの舌を信用なんて出来ないって。
◇
ナイトレイブンカレッジの昼食は大食堂で食べることが出来る。凄腕のゴースト達が腕によりをかけて作っているのだとか。そのためかどれもすごく美味しそうだ。昨日の夜はフロイドちゃんの作ってくれたグラタン食べて、朝はクリームパスタとクリームシチュー、パンを食べたからクリーム系以外の物が食べたいな。ハンバーガー…は無さそう。どうしよっかなー…。ラーメンとかオムライスにでもしようかな…。アズールに朝ご飯食べ過ぎだって怒られたから一品でお腹に溜まる物をなるべく選びた…
「いっっっっってぇぇぇぇぇっっっっ!!」
ご飯を選ぶのに夢中になっていたら、近くを通りかかっていた上級生にぶつかってしまった。そんな叫ぶほどか?てか被害者面してるけどぶつかって来たのそっちだろと思いつつも波風立てたくないので「あっ…ごっごめんなさい!!」と申し訳なさそうな顔と態度を取り繕い謝罪する。
「ごめんなさいじゃねぇよ、このクソアマッ!お前がぶつかって来たせいで見ろこれっ!せっかく上手く描いて貰ったオムライスの絵が崩れちまったじゃねぇか!!」
「…は?」
何、オムライスの絵?そんなくだらないことでここまでブチギレてんの?思わず呆れた様なリアクションをしてしまったじゃないか。
「は?はってなんだよ!!」
随分舐めた態度取ってくれんじゃねぇか、やんのかこら!などなど。ギャーギャーと喚き散らされる。よくもまぁオムライスの絵なんてくだらないことでここまでキレ散らかせるものだ。ある意味尊敬する。
「あ、あの…私の態度が不快だったのでしたら謝ります。だからその、もうそろそろ勘弁してもらえませんか?このままですと昼食をする時間も無くなってしまいますし、何よりこんな所で騒いでいたら他の方々にも迷惑になってしまいますし…」
けどこれ以上こんなバカに付き合ってられない。癪だけどもなるべく下手に、そしてこの知能の低いバカでも理解できるように丁寧な言葉を使ってこの場を収め…
「あっ?迷惑?じゃあちょっと来い!」
えっ嘘、腕掴まれた。はっ?食堂から連れ出されてるんだけど。ちょっはっ…わ、私まだお昼食べてないのにッッッ!!
◇
ナイトレイブンカレッジは超の付く名門校だ。私達みたいな一般人だけでなく、セレブや芸能人、王族に、世界で5本の指に入る様な魔法士だっている。入学式の時にあの有名なヴィル・シェーンハイドだって見かけた。そう、そんなすごい人が当たり前の様に通っている、正真正銘の超名門校である。そんな名門校であるこの学校に
「テメェコラなんだその顔は!舐めてんのか!?」
こんなベッタベタな、一昔前に流行った不良漫画にすらギリ出てこなそうなテンプレ不良がいるだなんて誰が想像出来るって言うのよ。
「いやあの、別に舐めてませんてば…」
そう返すと「嘘つけ!今俺のこと呆れたみたいな顔で見たじゃねぇか!」と怒鳴られた。呆れるに決まってるでしょ高校生にもなってオムライスに描かれた絵がズレたと言ってここまでキレたりなんてしたら…。稚魚でもここまで喚かないよ。
こんなのが入学できるなんてここ本当に名門校…?実は同じ名前の違う学校なんじゃないかという気さえしてくる。そんなことを考えながら目の前の人のことを見つめていると
「おい、聞いてんのかよ」
胸倉を掴まれ凄まれる。
「聞いてますよ…」
と答えると「嘘吐くんじゃねぇ!!」と掴んだまままた怒鳴られた。うるっさ…。耳壊れたらどうしてくれんのよ。てか息くさっ。ちゃんと歯磨きしてんのかコイツ。もう無理限界。人間の姿のままでもタコの時と同じ握力出るかな。出たら傷害罪とかで訴えられちゃうかな。まぁいいや、そん時はそん時だ。と、不良先輩の腕を力一杯…
「オフ・ウィズ・ユアヘッド!!」
掴みかかろうとした瞬間、呪文が聞こえて来て不良先輩の首にエースちゃんが着けられていたものと同じ首輪が嵌められた。
「あっ!?こ、これは…!」
そう声を上げて、不良先輩は私の胸倉を離した。そして
「全く。目に余る蛮行だね」
女の子に向かってその態度はないだろ、と言いながら入学式の時にアズールと2人でグリムちゃんを捕まえていた先輩が私と不良先輩の前に立ちはだかった。
「り、リドル・ローズハート…!!」
「随分と楽しそうだね。良かったら僕もご一緒させてもらっても?」
そうニコニコと可愛らしい(でもなんか迫力と威圧感満点な)顔でリドル先輩が笑うと、不良先輩は顔色を真っ青にしながら「いえ結構ですすみません!!!!!!!」絶叫と共に一目散に逃げて行った。
「全く、あんな奴退学にさせてしまえばいいのに。あぁいう生徒を放っておくと風紀が乱れる一方じゃないか」
うんざりだ、とでも言いたげにリドル先輩が呟く。た、助かった…。
「君。大丈夫かい?」
私の方を振り返りながら尋ねて来る。
「あっ、はい。 大丈夫です。ありがとうございました、助けてくれて」
とお礼を言うと「礼には及ばないよ」と返答された。
「確か君、アズールの妹だったね」
「えっあっはい」
上級生にも私のこと伝わってるのか。
「昨日はウチの寮生2人が迷惑をかけたみたいだね。すまなかった。寮長として僕から謝罪させて貰うよ」
この通りだ、と頭を下げて来るリドル先輩に慌てて「大丈夫です!2人にはしっかりお詫びさせる予定なので!」と言ったら、先輩は一瞬目を見開いて驚いたような顔をしたが、すぐにクスッと笑って
「そうかい。さすがアズールの妹。抜かりないね」
と言った。ば、バカにされてる…?
「そうそう、1つ忠告しておくよ。ここは男子校だ。女の子が1人で過ごすのはなるべく避けた方が身のためだよ」
今みたいに素行が悪いのに絡まれた時、誰かが助けてくれるとは限らないんだからね、と言ってくるリドル先輩に「はい…」と苦笑しながら返事をすると「よろしい。では僕はこの辺で失礼させていただくよ」といい、去って行った。
…エースちゃんの話や、入学式の時の様子を見て勝手に怖い先輩なんだと思ってたけど案外そうでもないのかな。
助けてくれた時、ちょっと王子様みたいだなって思ったのは私だけの内緒だ。