ターコイズに恋焦がれ
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ドワーフ鉱山にはやはり人はいなかった。そう、人は。だけども
「イジ…イシハ…ワタサナイ…!」
とんでもないバケモノならいた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」
思わず5人で大絶叫する。逃げたいけれどもそのバケモノのいる場所に魔法石があるみたいだ。は…?これを倒せって…?無理でしょ何考えてんの学園長!こんなの1年生に…ていうか学生にどうにか出来る訳ないじゃん!
当然の如く私達の攻撃は全く通らない。なのでやむ追えず逃げることにした。
◇
「あんなバケモノいるとか聞いてねぇよ…」
死に物狂いでなんとか逃げ終えて、息を整えながらエースちゃんが呟く。同感でしかない。
「ただのゴーストじゃなさそうだったな…」
デュースちゃんの言うように、私達の前に現れたあのバケモノはゴーストとはなんだか様子が違った気がする。モンスターとも違ったような気がするしあれはなんなんだろう?…まぁでもどうでもいいや。
「もう最悪。私帰る」
そう言って学園へ踵を返そうとすると「えっ!学園長に自分達のことを見張るようにと命令されたのに良いのかい?放棄したりして」と、ユウちゃんが驚いたように言う。
「知らないわよ。あんなバケモノの相手したりなんてしたら怪我じゃ済まないでしょ。学園長の命令なんかよりも命の方が大切だもの。魔法石持ち帰れなかったところで私は困ることなんて何もないしね」
じゃ、そう言うわけでお先に失礼。と言って4人を置いて帰路へと歩みを進め始める。と、
「んじゃあ俺も一緒に帰るわ」
エースちゃんが私の隣を歩き始める。
「はっ!?いや、お前はダメだろ!魔法石持って帰らないと退学だぞ!!」
するとすかさずデュースちゃんが止めに入った。退学ねぇ…。確かに退学なんてみっともないって思われるかもしれないけど…
「あんなバケモノどうやって倒すんだよ。あんなのと戦うくらいなら退学でいいじゃん」
エースちゃんも私と同じ意見みたいだ。やっぱそう思うよね。エースちゃんの言ってることのが正しいと思うんだけど。でも、
「なっ!?ざっけんな!退学になるくらいなら死んだ方がマシだ!」
デュースちゃんは違うらしい。
「魔法石が目の前にあるのに、諦めて帰れるかよ!」
そう怒りを露わにし怒鳴っている。てかデュースちゃんなんかキャラ変わってない?言葉使いが急に荒くなった気が。そんなデュースちゃんのことをエースちゃんが煽り散らかす。ったく、さっきからガキかっての。呆れながら見ていると
「お、おいティアナ!おめぇ見てるだけじゃなくて止めるんだゾ!」
グリムちゃんが焦りながら声を掛けて来たが知らないわよ、と一蹴した。そしたら「薄情者ーーー!!!」と文句を言われたが知るかそんなの。
「とにかく、僕はなんとかあいつを倒して魔法石を持ち帰る」
デュースちゃんはそういうけど何か作戦はあるのだろうか。……多分ないな。この子、海で育ってたら早死にしてそう。
そしてまたエースちゃんがデュースちゃんのことを煽り、案の定喧嘩が始まる。ダメだコイツら…。そんな2人の様子に「また始まったんだぞ」とさすがにグリムちゃんも呆れた様子。よくもまぁ飽きずにここまで続けられるものだ。最早尊敬…
「2人共いい加減にしなさい!!」
突然ユウちゃんが声を上げた。思わずびくっと肩を揺らしてしまった。他の3人も驚いている様子だ。私達の驚いている様子なんて気にも留めず
「そんなだから2人共歯が立たないんだよ」
はっきりと、そして2人にかなりダメージが入りそうな言葉を叩きつける。こ、この子大人しそうに見えて実はかなり毒舌…?エースちゃんもデュースちゃんもかなり面食らっている様子。
「し、しかし……一体どうしろっていうんだ」
デュースちゃんがそう投げ掛けると
「みんなで力を合わせよう」
と真顔で、びっくりするくらい真っ直ぐな目で言う。みんなで力を合わせるって…
「力合わせるって…何それ…寒っ。よくそんなダセェこと真顔で言えるね」
「同感だ。こいつと協力なんか出来る訳ない」
エースちゃんもデュースちゃんも私も初めて意見があったらしい。みんなで力をあわせて~なんて今時青春ドラマやスポコン漫画でも聞かないよ。
「でもぉ…入学初日で退学なんてもっとダセェ気がするのだ…」
グリムちゃんがそう言うと、2人共苦虫を噛んだみたいな顔をする。この子も意外と的確にイタイとこ突くみたいだ。ペットは飼い主に似るって本当なんだな…。
エースちゃんとデュースちゃんはそんな2人に心を動かされたのか、バケモノに挑みに行く覚悟を決めたらしい。作戦があるというユウちゃんの話を聞いている。…あぁ、もう!
「ねぇ、私にも作戦教えて」
と言いながら4人の会話へ入ると、びっくりされた。
「お前帰るんじゃねぇのかよ?」
そう言ってくるエースちゃんに
「そう思ったけど気分が変わったの。ここで協力してあんた達に恩売っておくのも良いと思ってね」
と笑いながら言い返すと「ハッ…ホンットに可愛げねぇ奴!」と笑い返された。
◇
「行くぜ、特大突風!!」
「アーンド・グリム様スペシャル!!ふな~~~!!」
エースちゃんの風でグリムちゃんの炎を煽り、バーナー並みに強化させてバケモノにぶつけるとバケモノは怯んだ。その隙に私が氷で、デュースちゃんが巨大な大釜を召喚して重石の様にして身動きを取れないようにした。ユウちゃんの的確な指示のお陰で正確に攻撃出来た。すごいな、この状況であんなに冷静に指示出来るなんて。
そしてバケモノが動けなくなっている間に急いで魔法石のあった洞窟の中へと入って行く。
◇
「あったぞ!魔法石だ!!」
デュースちゃんが指さす場所には美しい魔法石がある。早く取らないと!
「おいヤベェ!アイツもう重し押しのけそうだぞ!」
エースちゃんの言うように、私の氷もデュースちゃんの大釜もすぐにどかされてしまいそうだ。噓でしょ…!
「オイ、ティアナ!!氷!!氷アイツにぶつけるんだゾ!!」
そう命令してくるグリムちゃんにわかってるっての、命令しないで!と言いながら氷をバケモノにぶつけ…
「ちょっ、どわぁっ!?どこに氷投げてんだこの魔法音痴!!」
ようとして、エースちゃんに向かって投げてしまった。
「わっご、ごめん!こっちだ!!」
「ギャースッ!!俺様の方になげてどうすんだゾ!!」
今度こそ!と思いバケモノにぶつけようとしたが、今度はグリムちゃんの方へやってしまった。ひぃ、どうしよう…!
「デュース!なんか重いもんであいつの動きを止めるんだゾ!!」
「お、重い物!?えっと、えーっと…あっ!いでよ、大釜!!」
と、デュースちゃんがひたすら大釜を出し続けてバケモノにぶつけまくる。大釜以外出すもんないのか…!って、そんなこと言ってる場合じゃない…!魔法石も手に入ったことだ。早く逃げないと。
◇
「嘘だろ!?あんだけの重石を全部押しのけて追っかけて来た!」
エースちゃんの言うようにバケモノが私達の方へと迫って来ている。ヤバイヤバイヤバイ!!追いつかれたらおしまいじゃん!!といったら
「でも、大分弱ってるみたいだよ?」
だからあと一息で倒せるんじゃないか!?とユウちゃんが答える。こ、この子大人しそうな顔して無鉄砲なタイプ…?
「あーっもぉ!やったろーじゃん!チビんじゃねーぞ、真面目クン!今度は俺ら攻撃すんなよ、魔法音痴!!」
というエースちゃんの言葉を合図に私とデュースちゃん、グリムちゃんもバケモノに向かって攻撃を仕掛ける。
今度はちゃんと当てることが出来た。私以外の3人の攻撃もちゃんと当たったみたいで、バケモノはユウちゃんの読み通り弱っていたこともあったのか消えた。なんとか倒すことが出来たみたいだ。安心して、思わずその場に崩れ落ちてしまった。そんな私とは対照的に、エースちゃん達はハイタッチしたり笑いあったりしている。げ、元気すぎるでしょ…。ほんと、男の子って子供みたい。そういうとこ、ちょっとだけ羨ましいなって、思ったりする。
…てかエースちゃん、魔法音痴って酷くない?確かに魔法苦手だけどさ!これでも一応ユニーク魔法使えるんですけど。って言い返してやりたいけどまぁ、どうせ信じてもらえないだろうしいっか。そんな無駄話してる暇あるなら早く帰りたい。
◇
「ティアナー!!!今何時だと思ってるんだ!!!」
寮へ戻ると、アズールの怒鳴り声に迎えられた。あまりのうるささに耳を塞ぐが、それでも聞こえてくる。どんだけ馬鹿デカい声出してんだコイツ…。
「帰る前に電話しろといったのになぜしなかった!」
おまけにこっちが掛けても出ないし!と怒鳴り続ける。
「あぁもううっさいなぁ!ちゃんとメッセ入れたでしょ?見てないの?あ、ひょっとして目悪すぎて見えなかった?そのメガネは飾りなわけ?」
「見えてるに決まってるだろ!そうじゃなくて、僕は電話をしろと言ったんだ。だからそこはメールではなく電話で返すべきだろ!!」
言い合っている私達のことを、何事かという様子で他の寮生達がざわざわとしながら遠巻きに見ている。が、そんなことはどうでもいい。
「アズール鬱陶しい。なんで逐一あんたに電話しなきゃいけないのよ!」
「鬱陶しいとはなんだその言い草は!僕は…」
「2人共。兄妹喧嘩はそこまでにしてください」
私達の間に入り込んできて、みっともないですよとジェイドちゃんが止めてきた。咎めているように言ってるけどその顔はめちゃくちゃ笑顔だ。このウツボ、絶対面白がってたな…。
「お説教は十分でしょう。もう夜も遅いですし、このお話はおしまいにしましょう」
そういって私達の喧嘩を半ば強引に終了させた。アズールは「全く…。次はちゃんと電話するんですよ」と言い、部屋へと戻って行った。…ぜってぇ電話しねぇ。それどころかメッセすら入れるもんか。
「あぁそうだティアナ。フロイドが食事を作っていましたよ。今日はとても調子が良かったようで美味しかったです。食べてきたらいいんじゃないですか」
そう言われると、私のお腹が大きな音を立てて鳴った。そ、そういえば学校終わってからなんも食べてないじゃん…!
「うん、食べる。ありがと、ジェイドちゃん。フロイドちゃんは?」
「もう寝ましたよ。今日は早く寝たい気分だと言っておりました」
そっか…じゃあもう今日は会えないのか残念。明日の朝お礼言わないとなー。
にしても初日から色々と濃い1日だったなぁ。なんかどっと疲れが出た気がする。早くフロイドちゃんが作ってくれたご飯食べて寝よ。
明日は何も問題起きず、平和な1日を過ごしたい。
「イジ…イシハ…ワタサナイ…!」
とんでもないバケモノならいた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」
思わず5人で大絶叫する。逃げたいけれどもそのバケモノのいる場所に魔法石があるみたいだ。は…?これを倒せって…?無理でしょ何考えてんの学園長!こんなの1年生に…ていうか学生にどうにか出来る訳ないじゃん!
当然の如く私達の攻撃は全く通らない。なのでやむ追えず逃げることにした。
◇
「あんなバケモノいるとか聞いてねぇよ…」
死に物狂いでなんとか逃げ終えて、息を整えながらエースちゃんが呟く。同感でしかない。
「ただのゴーストじゃなさそうだったな…」
デュースちゃんの言うように、私達の前に現れたあのバケモノはゴーストとはなんだか様子が違った気がする。モンスターとも違ったような気がするしあれはなんなんだろう?…まぁでもどうでもいいや。
「もう最悪。私帰る」
そう言って学園へ踵を返そうとすると「えっ!学園長に自分達のことを見張るようにと命令されたのに良いのかい?放棄したりして」と、ユウちゃんが驚いたように言う。
「知らないわよ。あんなバケモノの相手したりなんてしたら怪我じゃ済まないでしょ。学園長の命令なんかよりも命の方が大切だもの。魔法石持ち帰れなかったところで私は困ることなんて何もないしね」
じゃ、そう言うわけでお先に失礼。と言って4人を置いて帰路へと歩みを進め始める。と、
「んじゃあ俺も一緒に帰るわ」
エースちゃんが私の隣を歩き始める。
「はっ!?いや、お前はダメだろ!魔法石持って帰らないと退学だぞ!!」
するとすかさずデュースちゃんが止めに入った。退学ねぇ…。確かに退学なんてみっともないって思われるかもしれないけど…
「あんなバケモノどうやって倒すんだよ。あんなのと戦うくらいなら退学でいいじゃん」
エースちゃんも私と同じ意見みたいだ。やっぱそう思うよね。エースちゃんの言ってることのが正しいと思うんだけど。でも、
「なっ!?ざっけんな!退学になるくらいなら死んだ方がマシだ!」
デュースちゃんは違うらしい。
「魔法石が目の前にあるのに、諦めて帰れるかよ!」
そう怒りを露わにし怒鳴っている。てかデュースちゃんなんかキャラ変わってない?言葉使いが急に荒くなった気が。そんなデュースちゃんのことをエースちゃんが煽り散らかす。ったく、さっきからガキかっての。呆れながら見ていると
「お、おいティアナ!おめぇ見てるだけじゃなくて止めるんだゾ!」
グリムちゃんが焦りながら声を掛けて来たが知らないわよ、と一蹴した。そしたら「薄情者ーーー!!!」と文句を言われたが知るかそんなの。
「とにかく、僕はなんとかあいつを倒して魔法石を持ち帰る」
デュースちゃんはそういうけど何か作戦はあるのだろうか。……多分ないな。この子、海で育ってたら早死にしてそう。
そしてまたエースちゃんがデュースちゃんのことを煽り、案の定喧嘩が始まる。ダメだコイツら…。そんな2人の様子に「また始まったんだぞ」とさすがにグリムちゃんも呆れた様子。よくもまぁ飽きずにここまで続けられるものだ。最早尊敬…
「2人共いい加減にしなさい!!」
突然ユウちゃんが声を上げた。思わずびくっと肩を揺らしてしまった。他の3人も驚いている様子だ。私達の驚いている様子なんて気にも留めず
「そんなだから2人共歯が立たないんだよ」
はっきりと、そして2人にかなりダメージが入りそうな言葉を叩きつける。こ、この子大人しそうに見えて実はかなり毒舌…?エースちゃんもデュースちゃんもかなり面食らっている様子。
「し、しかし……一体どうしろっていうんだ」
デュースちゃんがそう投げ掛けると
「みんなで力を合わせよう」
と真顔で、びっくりするくらい真っ直ぐな目で言う。みんなで力を合わせるって…
「力合わせるって…何それ…寒っ。よくそんなダセェこと真顔で言えるね」
「同感だ。こいつと協力なんか出来る訳ない」
エースちゃんもデュースちゃんも私も初めて意見があったらしい。みんなで力をあわせて~なんて今時青春ドラマやスポコン漫画でも聞かないよ。
「でもぉ…入学初日で退学なんてもっとダセェ気がするのだ…」
グリムちゃんがそう言うと、2人共苦虫を噛んだみたいな顔をする。この子も意外と的確にイタイとこ突くみたいだ。ペットは飼い主に似るって本当なんだな…。
エースちゃんとデュースちゃんはそんな2人に心を動かされたのか、バケモノに挑みに行く覚悟を決めたらしい。作戦があるというユウちゃんの話を聞いている。…あぁ、もう!
「ねぇ、私にも作戦教えて」
と言いながら4人の会話へ入ると、びっくりされた。
「お前帰るんじゃねぇのかよ?」
そう言ってくるエースちゃんに
「そう思ったけど気分が変わったの。ここで協力してあんた達に恩売っておくのも良いと思ってね」
と笑いながら言い返すと「ハッ…ホンットに可愛げねぇ奴!」と笑い返された。
◇
「行くぜ、特大突風!!」
「アーンド・グリム様スペシャル!!ふな~~~!!」
エースちゃんの風でグリムちゃんの炎を煽り、バーナー並みに強化させてバケモノにぶつけるとバケモノは怯んだ。その隙に私が氷で、デュースちゃんが巨大な大釜を召喚して重石の様にして身動きを取れないようにした。ユウちゃんの的確な指示のお陰で正確に攻撃出来た。すごいな、この状況であんなに冷静に指示出来るなんて。
そしてバケモノが動けなくなっている間に急いで魔法石のあった洞窟の中へと入って行く。
◇
「あったぞ!魔法石だ!!」
デュースちゃんが指さす場所には美しい魔法石がある。早く取らないと!
「おいヤベェ!アイツもう重し押しのけそうだぞ!」
エースちゃんの言うように、私の氷もデュースちゃんの大釜もすぐにどかされてしまいそうだ。噓でしょ…!
「オイ、ティアナ!!氷!!氷アイツにぶつけるんだゾ!!」
そう命令してくるグリムちゃんにわかってるっての、命令しないで!と言いながら氷をバケモノにぶつけ…
「ちょっ、どわぁっ!?どこに氷投げてんだこの魔法音痴!!」
ようとして、エースちゃんに向かって投げてしまった。
「わっご、ごめん!こっちだ!!」
「ギャースッ!!俺様の方になげてどうすんだゾ!!」
今度こそ!と思いバケモノにぶつけようとしたが、今度はグリムちゃんの方へやってしまった。ひぃ、どうしよう…!
「デュース!なんか重いもんであいつの動きを止めるんだゾ!!」
「お、重い物!?えっと、えーっと…あっ!いでよ、大釜!!」
と、デュースちゃんがひたすら大釜を出し続けてバケモノにぶつけまくる。大釜以外出すもんないのか…!って、そんなこと言ってる場合じゃない…!魔法石も手に入ったことだ。早く逃げないと。
◇
「嘘だろ!?あんだけの重石を全部押しのけて追っかけて来た!」
エースちゃんの言うようにバケモノが私達の方へと迫って来ている。ヤバイヤバイヤバイ!!追いつかれたらおしまいじゃん!!といったら
「でも、大分弱ってるみたいだよ?」
だからあと一息で倒せるんじゃないか!?とユウちゃんが答える。こ、この子大人しそうな顔して無鉄砲なタイプ…?
「あーっもぉ!やったろーじゃん!チビんじゃねーぞ、真面目クン!今度は俺ら攻撃すんなよ、魔法音痴!!」
というエースちゃんの言葉を合図に私とデュースちゃん、グリムちゃんもバケモノに向かって攻撃を仕掛ける。
今度はちゃんと当てることが出来た。私以外の3人の攻撃もちゃんと当たったみたいで、バケモノはユウちゃんの読み通り弱っていたこともあったのか消えた。なんとか倒すことが出来たみたいだ。安心して、思わずその場に崩れ落ちてしまった。そんな私とは対照的に、エースちゃん達はハイタッチしたり笑いあったりしている。げ、元気すぎるでしょ…。ほんと、男の子って子供みたい。そういうとこ、ちょっとだけ羨ましいなって、思ったりする。
…てかエースちゃん、魔法音痴って酷くない?確かに魔法苦手だけどさ!これでも一応ユニーク魔法使えるんですけど。って言い返してやりたいけどまぁ、どうせ信じてもらえないだろうしいっか。そんな無駄話してる暇あるなら早く帰りたい。
◇
「ティアナー!!!今何時だと思ってるんだ!!!」
寮へ戻ると、アズールの怒鳴り声に迎えられた。あまりのうるささに耳を塞ぐが、それでも聞こえてくる。どんだけ馬鹿デカい声出してんだコイツ…。
「帰る前に電話しろといったのになぜしなかった!」
おまけにこっちが掛けても出ないし!と怒鳴り続ける。
「あぁもううっさいなぁ!ちゃんとメッセ入れたでしょ?見てないの?あ、ひょっとして目悪すぎて見えなかった?そのメガネは飾りなわけ?」
「見えてるに決まってるだろ!そうじゃなくて、僕は電話をしろと言ったんだ。だからそこはメールではなく電話で返すべきだろ!!」
言い合っている私達のことを、何事かという様子で他の寮生達がざわざわとしながら遠巻きに見ている。が、そんなことはどうでもいい。
「アズール鬱陶しい。なんで逐一あんたに電話しなきゃいけないのよ!」
「鬱陶しいとはなんだその言い草は!僕は…」
「2人共。兄妹喧嘩はそこまでにしてください」
私達の間に入り込んできて、みっともないですよとジェイドちゃんが止めてきた。咎めているように言ってるけどその顔はめちゃくちゃ笑顔だ。このウツボ、絶対面白がってたな…。
「お説教は十分でしょう。もう夜も遅いですし、このお話はおしまいにしましょう」
そういって私達の喧嘩を半ば強引に終了させた。アズールは「全く…。次はちゃんと電話するんですよ」と言い、部屋へと戻って行った。…ぜってぇ電話しねぇ。それどころかメッセすら入れるもんか。
「あぁそうだティアナ。フロイドが食事を作っていましたよ。今日はとても調子が良かったようで美味しかったです。食べてきたらいいんじゃないですか」
そう言われると、私のお腹が大きな音を立てて鳴った。そ、そういえば学校終わってからなんも食べてないじゃん…!
「うん、食べる。ありがと、ジェイドちゃん。フロイドちゃんは?」
「もう寝ましたよ。今日は早く寝たい気分だと言っておりました」
そっか…じゃあもう今日は会えないのか残念。明日の朝お礼言わないとなー。
にしても初日から色々と濃い1日だったなぁ。なんかどっと疲れが出た気がする。早くフロイドちゃんが作ってくれたご飯食べて寝よ。
明日は何も問題起きず、平和な1日を過ごしたい。