ターコイズに恋焦がれ
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すごい勢いで吹き飛ばされて、全員成す術なく叫び声を上げながら移り行く景色を眺めることしか出来ない。箒とかを使いもせずにこんなに飛ぶことが出来るなんて…!知りたくなかった事実…てか、これ地面にぶつかったりなんてしたら全員お陀仏なんじゃ。なんて思っていたらとてつもない音を響かせながら全員地面に叩きつけられた。
「イッタ…く、ない…?あれ……」
なんでだろ、あれだけの勢いで地面に叩きつけられたら痛みが絶対来るはず…
「あの…ティアナ…お、降りて貰っていい、かな……?内臓が潰れそう…もしくは胃の中身が全部出そう……」
「へ?」
下からユウちゃんの苦しそうな声が聞こえてくる。なんでだろうと思いながら声の方を見てみると、ユウちゃんが私の下敷きになっている。…………。って!!
「わぁぁぁ!!!ごめん、ユウちゃん!!!
どうやら着地の拍子にユウちゃんを下に敷いてしまっていたらしい。慌てて退きながら平謝りする。
「だ、大丈夫…。色んな身体機能がダメになるかと思ったけど、辛うじて生きてる……。ティアナも、ケガしてないみたいで良かったよ…」
地面に叩きつけられても痛くなかったのは、ユウちゃんがクッションになってくれたからだったのね…。あんなに偉そうに守るみたいなこと言ってたくせに申し訳なさすぎる。ごめんね!!ともう1度謝罪しつつユウちゃんに手を貸して立つのを手伝う。アズールもジェイドちゃんもフロイドちゃんもグリムちゃんもカリム先輩もみんななんとか無事らしい。
それにしても寒い。人魚である私達や毛むくじゃらなグリムちゃんはまだしも、ただの人間であるユウちゃんとカリム先輩はまずいだろうというアズールの言葉にヒヤッとする。チラッとユウちゃんのことを見てみると顔と唇を真っ青にして、歯もガチガチと音をさせている。って、これヤバイ…!
「ユウちゃんこれ!私の上着着ときな!」
焦りながら自分の寮服の上着を渡す。私の上着だとユウちゃんには小さいかもしれないけど着ないよりはマシだろう。
「えっ…いやいや、大丈夫大丈夫…ま、まだイケるよ~……」
ア、アハハハハハハ………なんて焦点の合わない目で言うユウちゃんは誰がどう見たって大丈夫じゃない。良いから着て!!と声を荒げつつ半ば強制的に上着を着せる。
「た、対価……」
払えるもの、何も、ない……と言ってくる。
「なんにもいらないから!あっじゃあそれさっき下敷きにしちゃったお詫びだと思って着といて」
そう言い返して無理矢理納得させて着させる。
「こ、こういうのって普通逆なんじゃ……」
「?何が?」
ユウちゃんがボソッと何か言ってて意味が分からなくて首を傾げると「なんでもない……」と返ってくる。なんか落ち込んでる?まぁ、いっか。ていうかそんなことより…
「どこここ…一体どこまで吹っ飛ばされたの…」
「スカラビアのある次元の果てまで飛ばされたっぽいー」
ヤベェよね、とフロイドちゃんが言う。次元の果て……?な、なにそれ…こわ……。にしても
「フロイドちゃんのその声落ち着かない……」
アズールと契約してユニーク魔法を渡し、その対価として声を交換したらしいけど、その声がなんか、おじさんみたいにめちゃくちゃ低くなってて気になりすぎる。
「そうですね…契約書を破いて破棄しましょう」
「えぇー…結構気に入ってたのにぃ……」
き、気に入ってたんだ…。フロイドちゃん、どちらかというと声高いほうだから低い声に憧れてる…のかな…?けどやっぱ私は普段通りの声の方が好きだなぁ。
「う、うぅ……っ。うう、ジャミル……信じてたのに……」
不意にカリム先輩の声が響く。
「あれ。ラッコちゃん泣いてんの?涙凍るよ」
忠告するフロイドちゃんをよそにカリム先輩は泣き続ける。
「俺のせいだ……!知らないうちに、ジャミルのことを追い詰めちまってた。ジャミルは、本当はあんなことするようなヤツじゃない!いつも俺を助けてくれて、頼りになるいいヤツで……ッ」
……こんなとこまで飛ばされておいてもなお、まだそんなこと言うのかこの人。お人好しもここまでくると……
「カリム先輩のそういうところが、ジャミル先輩のことを追い詰めたんじゃないですか?」
ユウちゃんがそう言うと、カリム先輩は驚いたようで
「え……?」
と、涙を浮かべたままきょとんとした顔で固まる。が、そんな先輩の様子なんて気にせず
「そもそも。いいヤツは友達のことをこんなところに飛ばさないし、人を操ってハメようともしないし貶めて学園から追い出そうともしません」
先輩、もう少し現実を見つめてしっかりと考えるべきだと思いますよ?と、先輩のことをじっと見つめながら淡々と自分の意見を述べた。わっわー……
「で、でた。ユウのキツイツッコミ」
今のはキツイとかのレベル軽く超えてた気がするよ。
「あー、でも俺も小エビちゃんと同意見。ラッコちゃん、イイコ過ぎるっていうか……。なんつーか、ウザイ」
あっこっちにもキツイのいた。
「そうですねぇ。もし僕があんな裏切り方をされたら……持ちゆる限りの語彙の限りに罵って精神的に追い詰め、縛って海に沈めますよ」
こっちはキツイ…どころか物騒!
「それを自分のせいだなんて、いいヤツを通り越してちょっと気持ち悪いです」
だ、大丈夫……?カリム先輩、余計泣かない………?
「気持ち悪……いや、でも。ジャミルは絶対に俺を裏切ったりしないはず……」
あっ大丈夫そうだ。てかこの人もこの人でまだ言うか。
「いや、めっちゃ裏切ってるじゃん。しかもラッコちゃんに罪を擦り付けて追い出そうとしてたとか、マジでサイテーじゃん」
フロイドちゃんがいつもの調子でニヤニヤしながら言う。
「卑劣さのレベルで言えば、アズールと比べても見劣りしません。自信を持って『裏切者!』と罵っていいと思いますよ」
同じくジェイドちゃんもにこにこと続ける。どんな自信よ。
「カリムさんの他人を信じ切った良い子ちゃん発言は、僕やジャミルさんのようにひねくれた……いえ、計算で生きてる人種からすればチクチクと嫌味を言われている気にすらなります。小さい頃からずっとそうやってジャミルさんを追い詰めてきたんですね、貴方」
アズール……自分で言っちゃったよ、計算で生きてるって……。それ、認めていいの……?なんて思いつつ、アズールとジェイドちゃんがカリム先輩に話す様子を眺める。
「……そうか。ジャミルは、悪いヤツ……なのか」
2人の話を聞いて、考えを改めたらしいカリム先輩が私達に確認するように尋ねると、
「めちゃくちゃ悪いヤツです」
とユウちゃんが答えた。
「それなら、早く帰らなくちゃ。アイツを殴って、「裏切者!」って言ってやらないと」
するとどうやらカリム先輩に届いたらしい。声高々に、ジャミル先輩を殴ると宣言した。
「一発じゃ足りねぇんだゾ!更にオアシスまで10往復行進させてやるんだゾ」
グリムちゃんも随分怒りが溜まっているらしい。まぁそりゃ、当然と言えば当然か。
「そうですね。それに、早くジャミルさんを正気に戻さければ、彼自身の命も危ない。彼の魔力が尽きる前に戻らなければ」
アズールが真剣な顔で言う。でも、早く帰る方法なんてないじゃん。箒だってないし……てか、仮にあったとしても私もアズールもジェイドちゃんもフロイドちゃんも揃って飛行術大の苦手だし、ユウちゃんは飛べないからどっちにしても無理だけど…。フロイドちゃんが早歩きでもするのとか言ってるが、そんなの帰るまでに何日かかるかわかったもんじゃない。着くころにはジャミル先輩どころか学園そのものが跡形もなくなってしまっているかもしれない。
「せめて川とかあったらよかったのに…」
「ええ、そうだったら泳いで戻れたのですがね……。周辺の川はどこも干上がってるようですね」
私が嘆くとジェイドちゃんも同調してきた。
「川?水が欲しいのか?」
カリム先輩が首を傾げながら尋ねてくる。
「ええ。フロイドとジェイドが本来の姿に戻れば箒以上に速度が出るはずです。しかし、乾いた川を元に戻すなんて僕らには不可能……」
アズールが不可能だって言うなんて……。この状況ひょっとして私が考えている以上にヤバイ?一体どうすれば……
「俺、出来るぞ」
えっ
「えええええええええええ!?」
あまりにもあっさりと、あっけらかんとしながら笑って言い切るカリム先輩に思わず驚き声を上げると、アズールとジェイドちゃんとフロイドちゃんも同時に声を上げた。
「そういえば、ユニーク魔法!」
その手があったか!とでも言いたそうな顔で言うユウちゃんに「おう!」と返事をし、
「俺のユニーク魔法『枯れない恵(オアシス・メイカー)』は少しの魔力でいくらでも水が出せるんだ。川が作れれば、寮に戻れるんだな」
と、ユニーク魔法の説明をする。な、何その魔法……!そんなの、
「そんなの……商売になりすぎる!!!!」
「今んなこと言ってる場合じゃねぇだろ、この強欲兄妹」
カリム先輩のユニーク魔法の詳細を聞いて思わず出た感想が、思い切りアズールと被った。そしてフロイドちゃんに呆れたようにつっこまれた。
「なんやかんや似た者兄妹なんだゾ……」
「血筋を感じたね……」
グリムちゃんとユウちゃんには若干引かれた。いや、なんでみんなこんなすごい魔法のこと聞いといてそんな冷静で居られるの。アズールも言ってたけどこんなの、水が整備されてない国だと英雄になれるよ!そしたらもう一生働かなくていいくらい稼げるよ。そしたら推しのグッズも買いたい放題じゃんいいな……!!
「下世話な2人のことは置いておいて……」
げ、下世話って!さらっと酷いこと言うじゃんジェイドちゃん。
「カリムさん。では、お願いします」
睨む私のことなんて一切気にもせずカリム先輩に話し掛ける。それに対してカリム先輩も元気にわかったと返事をし、詠唱を唱えてユニーク魔法を使うとあっという間に干からびていた川に水が満ちて行った。
川が凍る前にとジェイドちゃんとフロイドちゃんが元の人魚の姿に戻り残りの私達は2人に掴まり、ジャミル先輩を正気に戻すべくスカラビア寮を目指す。
それにしても…まさか自分がオーバーブロットの現場に2度も居合わせることになるなんて夢にも思わなかったな……。もう2度とこんな体験したくない。
「イッタ…く、ない…?あれ……」
なんでだろ、あれだけの勢いで地面に叩きつけられたら痛みが絶対来るはず…
「あの…ティアナ…お、降りて貰っていい、かな……?内臓が潰れそう…もしくは胃の中身が全部出そう……」
「へ?」
下からユウちゃんの苦しそうな声が聞こえてくる。なんでだろうと思いながら声の方を見てみると、ユウちゃんが私の下敷きになっている。…………。って!!
「わぁぁぁ!!!ごめん、ユウちゃん!!!
どうやら着地の拍子にユウちゃんを下に敷いてしまっていたらしい。慌てて退きながら平謝りする。
「だ、大丈夫…。色んな身体機能がダメになるかと思ったけど、辛うじて生きてる……。ティアナも、ケガしてないみたいで良かったよ…」
地面に叩きつけられても痛くなかったのは、ユウちゃんがクッションになってくれたからだったのね…。あんなに偉そうに守るみたいなこと言ってたくせに申し訳なさすぎる。ごめんね!!ともう1度謝罪しつつユウちゃんに手を貸して立つのを手伝う。アズールもジェイドちゃんもフロイドちゃんもグリムちゃんもカリム先輩もみんななんとか無事らしい。
それにしても寒い。人魚である私達や毛むくじゃらなグリムちゃんはまだしも、ただの人間であるユウちゃんとカリム先輩はまずいだろうというアズールの言葉にヒヤッとする。チラッとユウちゃんのことを見てみると顔と唇を真っ青にして、歯もガチガチと音をさせている。って、これヤバイ…!
「ユウちゃんこれ!私の上着着ときな!」
焦りながら自分の寮服の上着を渡す。私の上着だとユウちゃんには小さいかもしれないけど着ないよりはマシだろう。
「えっ…いやいや、大丈夫大丈夫…ま、まだイケるよ~……」
ア、アハハハハハハ………なんて焦点の合わない目で言うユウちゃんは誰がどう見たって大丈夫じゃない。良いから着て!!と声を荒げつつ半ば強制的に上着を着せる。
「た、対価……」
払えるもの、何も、ない……と言ってくる。
「なんにもいらないから!あっじゃあそれさっき下敷きにしちゃったお詫びだと思って着といて」
そう言い返して無理矢理納得させて着させる。
「こ、こういうのって普通逆なんじゃ……」
「?何が?」
ユウちゃんがボソッと何か言ってて意味が分からなくて首を傾げると「なんでもない……」と返ってくる。なんか落ち込んでる?まぁ、いっか。ていうかそんなことより…
「どこここ…一体どこまで吹っ飛ばされたの…」
「スカラビアのある次元の果てまで飛ばされたっぽいー」
ヤベェよね、とフロイドちゃんが言う。次元の果て……?な、なにそれ…こわ……。にしても
「フロイドちゃんのその声落ち着かない……」
アズールと契約してユニーク魔法を渡し、その対価として声を交換したらしいけど、その声がなんか、おじさんみたいにめちゃくちゃ低くなってて気になりすぎる。
「そうですね…契約書を破いて破棄しましょう」
「えぇー…結構気に入ってたのにぃ……」
き、気に入ってたんだ…。フロイドちゃん、どちらかというと声高いほうだから低い声に憧れてる…のかな…?けどやっぱ私は普段通りの声の方が好きだなぁ。
「う、うぅ……っ。うう、ジャミル……信じてたのに……」
不意にカリム先輩の声が響く。
「あれ。ラッコちゃん泣いてんの?涙凍るよ」
忠告するフロイドちゃんをよそにカリム先輩は泣き続ける。
「俺のせいだ……!知らないうちに、ジャミルのことを追い詰めちまってた。ジャミルは、本当はあんなことするようなヤツじゃない!いつも俺を助けてくれて、頼りになるいいヤツで……ッ」
……こんなとこまで飛ばされておいてもなお、まだそんなこと言うのかこの人。お人好しもここまでくると……
「カリム先輩のそういうところが、ジャミル先輩のことを追い詰めたんじゃないですか?」
ユウちゃんがそう言うと、カリム先輩は驚いたようで
「え……?」
と、涙を浮かべたままきょとんとした顔で固まる。が、そんな先輩の様子なんて気にせず
「そもそも。いいヤツは友達のことをこんなところに飛ばさないし、人を操ってハメようともしないし貶めて学園から追い出そうともしません」
先輩、もう少し現実を見つめてしっかりと考えるべきだと思いますよ?と、先輩のことをじっと見つめながら淡々と自分の意見を述べた。わっわー……
「で、でた。ユウのキツイツッコミ」
今のはキツイとかのレベル軽く超えてた気がするよ。
「あー、でも俺も小エビちゃんと同意見。ラッコちゃん、イイコ過ぎるっていうか……。なんつーか、ウザイ」
あっこっちにもキツイのいた。
「そうですねぇ。もし僕があんな裏切り方をされたら……持ちゆる限りの語彙の限りに罵って精神的に追い詰め、縛って海に沈めますよ」
こっちはキツイ…どころか物騒!
「それを自分のせいだなんて、いいヤツを通り越してちょっと気持ち悪いです」
だ、大丈夫……?カリム先輩、余計泣かない………?
「気持ち悪……いや、でも。ジャミルは絶対に俺を裏切ったりしないはず……」
あっ大丈夫そうだ。てかこの人もこの人でまだ言うか。
「いや、めっちゃ裏切ってるじゃん。しかもラッコちゃんに罪を擦り付けて追い出そうとしてたとか、マジでサイテーじゃん」
フロイドちゃんがいつもの調子でニヤニヤしながら言う。
「卑劣さのレベルで言えば、アズールと比べても見劣りしません。自信を持って『裏切者!』と罵っていいと思いますよ」
同じくジェイドちゃんもにこにこと続ける。どんな自信よ。
「カリムさんの他人を信じ切った良い子ちゃん発言は、僕やジャミルさんのようにひねくれた……いえ、計算で生きてる人種からすればチクチクと嫌味を言われている気にすらなります。小さい頃からずっとそうやってジャミルさんを追い詰めてきたんですね、貴方」
アズール……自分で言っちゃったよ、計算で生きてるって……。それ、認めていいの……?なんて思いつつ、アズールとジェイドちゃんがカリム先輩に話す様子を眺める。
「……そうか。ジャミルは、悪いヤツ……なのか」
2人の話を聞いて、考えを改めたらしいカリム先輩が私達に確認するように尋ねると、
「めちゃくちゃ悪いヤツです」
とユウちゃんが答えた。
「それなら、早く帰らなくちゃ。アイツを殴って、「裏切者!」って言ってやらないと」
するとどうやらカリム先輩に届いたらしい。声高々に、ジャミル先輩を殴ると宣言した。
「一発じゃ足りねぇんだゾ!更にオアシスまで10往復行進させてやるんだゾ」
グリムちゃんも随分怒りが溜まっているらしい。まぁそりゃ、当然と言えば当然か。
「そうですね。それに、早くジャミルさんを正気に戻さければ、彼自身の命も危ない。彼の魔力が尽きる前に戻らなければ」
アズールが真剣な顔で言う。でも、早く帰る方法なんてないじゃん。箒だってないし……てか、仮にあったとしても私もアズールもジェイドちゃんもフロイドちゃんも揃って飛行術大の苦手だし、ユウちゃんは飛べないからどっちにしても無理だけど…。フロイドちゃんが早歩きでもするのとか言ってるが、そんなの帰るまでに何日かかるかわかったもんじゃない。着くころにはジャミル先輩どころか学園そのものが跡形もなくなってしまっているかもしれない。
「せめて川とかあったらよかったのに…」
「ええ、そうだったら泳いで戻れたのですがね……。周辺の川はどこも干上がってるようですね」
私が嘆くとジェイドちゃんも同調してきた。
「川?水が欲しいのか?」
カリム先輩が首を傾げながら尋ねてくる。
「ええ。フロイドとジェイドが本来の姿に戻れば箒以上に速度が出るはずです。しかし、乾いた川を元に戻すなんて僕らには不可能……」
アズールが不可能だって言うなんて……。この状況ひょっとして私が考えている以上にヤバイ?一体どうすれば……
「俺、出来るぞ」
えっ
「えええええええええええ!?」
あまりにもあっさりと、あっけらかんとしながら笑って言い切るカリム先輩に思わず驚き声を上げると、アズールとジェイドちゃんとフロイドちゃんも同時に声を上げた。
「そういえば、ユニーク魔法!」
その手があったか!とでも言いたそうな顔で言うユウちゃんに「おう!」と返事をし、
「俺のユニーク魔法『枯れない恵(オアシス・メイカー)』は少しの魔力でいくらでも水が出せるんだ。川が作れれば、寮に戻れるんだな」
と、ユニーク魔法の説明をする。な、何その魔法……!そんなの、
「そんなの……商売になりすぎる!!!!」
「今んなこと言ってる場合じゃねぇだろ、この強欲兄妹」
カリム先輩のユニーク魔法の詳細を聞いて思わず出た感想が、思い切りアズールと被った。そしてフロイドちゃんに呆れたようにつっこまれた。
「なんやかんや似た者兄妹なんだゾ……」
「血筋を感じたね……」
グリムちゃんとユウちゃんには若干引かれた。いや、なんでみんなこんなすごい魔法のこと聞いといてそんな冷静で居られるの。アズールも言ってたけどこんなの、水が整備されてない国だと英雄になれるよ!そしたらもう一生働かなくていいくらい稼げるよ。そしたら推しのグッズも買いたい放題じゃんいいな……!!
「下世話な2人のことは置いておいて……」
げ、下世話って!さらっと酷いこと言うじゃんジェイドちゃん。
「カリムさん。では、お願いします」
睨む私のことなんて一切気にもせずカリム先輩に話し掛ける。それに対してカリム先輩も元気にわかったと返事をし、詠唱を唱えてユニーク魔法を使うとあっという間に干からびていた川に水が満ちて行った。
川が凍る前にとジェイドちゃんとフロイドちゃんが元の人魚の姿に戻り残りの私達は2人に掴まり、ジャミル先輩を正気に戻すべくスカラビア寮を目指す。
それにしても…まさか自分がオーバーブロットの現場に2度も居合わせることになるなんて夢にも思わなかったな……。もう2度とこんな体験したくない。
