ターコイズに恋焦がれ
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アズールとユウちゃんの勝負は、ユウちゃんの勝利ということで幕を閉じたそう。そもそも写真を持ってこれなかったとしても、レオナ先輩のユニーク魔法で契約書が砂になってしまったからどっちにしてもアズールの勝ちという結果は消えていたような気がするけども。あと、アズールは昔の姿……丸々と太っていた本人にとっての黒歴史がオーバーブロット時にあの場にいた全員にバレてしまったらしい。
そしてユウちゃんに取って来させたその写真は後日、アトランティカ記念博物館へアズール自身で返しに行く、ということになったそう。そのためモストロ・ラウンジの研修旅行という形で貸し切りにするらしい。ユウちゃんやグリムちゃん、エースちゃんとデュースちゃんとジャックちゃんも一緒に行くらしい。ジャックちゃんも来るなんてなんか意外だなぁ。みんななんやかんや楽しみな様子。
「アトランティカ記念博物館にもなんかウメェ食いモンあるのか!?」
と目をキラキラ輝かせてグリムちゃんが言う。この子そればっかだなぁ…。さすがに呆れる。でも私も結構楽しみかも。
「人魚姫の髪梳き……ってこれ、どう見てもフォークじゃね?」
博物館のパンフレットを眺めていたエースちゃんがそんな感想を言う。
「あぁ、それ?やっぱフォークみたいに見えるよね。人間の王子様に恋した人魚姫がね、そのフォークみたいな髪梳きを使って髪を整えてたんだって」
そういえばエレメンタリースクールの時にそのお姫様の真似をしてフォークで髪を梳かしたら引っかかっちゃって大泣きしてた子とかいたなぁと思い出しながら呟くと「えっバカじゃねぇのそいつ」とエースちゃんが言い放った。あまりにもドストレートな物言いに思わず吹き出した。アンジェラ達に話したら手叩いて爆笑しそう。今すぐ3人に言いたいなぁ。はーあ、エレメンタリースクールとかミドルスクールの頃とかだったら一緒になって笑うことが出来たのになぁ。……3人共、今頃キャッキャやってんのかなぁ。この前のライブも一緒に行きたかったなぁ。最近、一緒にショッピングとか行けてないし遊んだりも出来てないし、通話とかも全く出来てない。てか、通話したりしても共通の話題も見つからなくなってきたし、なんとなく距離が出来てきてしまった気がする。……今まではそんなこと、なかったのになぁ……。
「ティアナ?どうかしたのか?」
急に黙り込んだ私を不思議に思ったのか、デュースちゃんが首を傾げながら声を掛けてきた。ヤバッと思い慌ててなんでもない!と答えた。アトランティカ記念博物館楽しみだねぇと明るく言い、ごちゃごちゃと考えるのをやめることにした。
◇
アトランティカ記念博物館に来るのは何年ぶりだろう。10年ぶりかな。エレメンタリースクールの遠足以来か。あの頃は正直あんまり楽しいって思えなかったけど、久しぶりに来ると懐かしさもあってかなんか良いなぁ。
「ティアナは人魚の姿なんだね」
1人で展示品を眺めていると、ユウちゃんがやって来て声を掛けてきた。
「うん。海の中だとこっちのが楽だからね」
この辺あんまりタコの人魚いないから目立つけどと苦笑しながら言う。
「アズール先輩も同じようなこと言ってた」
こっそり写真を返しに来たのに、周りに変に印象に残っちゃう可能性があるから人魚の姿では来なかったって言ってたよとのこと。
「それはただの言い訳だよ」
アズール、太ってた頃のこと未だに気にしててタコ形態の自分のことあんまり好きじゃないみたいだからさというと、ユウちゃんは納得したように「あぁ、なるほど……」と苦笑した。
「ティアナが自分に教えようとしてくれてたアズール先輩の弱点てやっぱ、あのことだったの?」
昔、太ってったっていう…と声を潜めながら尋ねられる。
「…うん。アズール、昔太ってたことを誰かに知られるの怖がってたから」
だからそのことで脅せばオンボロ寮を取られないで済むよ。そうユウちゃんに言うつもりだったんだと、伝える。
ユウちゃんだったら、他の誰かに言わないでってお願いしたら絶対にその約束は守ってくれるだろうと、そう確信していたから。でも、良かっ…
「そっか。ならよかった。ティアナにアズール先輩の弱点教えて貰わなくて」
え……
「なんで……?」
優しく笑って言うユウちゃんの言葉の意味を理解することが出来ず、思わず聞き返してしまう。
「だって、ティアナにアズール先輩のことを、大好きなお兄ちゃんのことを、裏切らせるようなことさせないで済んだんだもん」
と、真っ直ぐ私のことを見つめながら言い切った。…………は?
「はっちょっあっ!?な、何言って…だ、はっハァ!?」
今コイツとんでもないこと言いやがった!
「どうしたの、ティアナ。そんなにテンパって」
ケラケラ笑いやがって腹立つこの野郎……!
「私がアズールのこと大好きなんて……!」
何言ってんのさ!やっとの思いで言語化に成功する。
「えっ?違うの?」
文句言うときょとん、と不思議そうな顔で聞かれる。この子、どこからが計算でどこまでが素なんだろう。
「……他の人には、言わないでよ?」
ユウちゃんの言う通り。私は、アズールのことが大好きだよ。そう耳元で囁くように呟くと、嬉しそうに笑われた。
◇
アトランティカ記念博物館から帰ると、大忙しだ。
アズールがモストロ・ラウンジのポイントカードを作ったからかラウンジは大盛況だ。それはものすごくいいことなんだけども、忙しすぎて頭がパンクしそう。正直サボりたい。てか、どいつもこいつも懲りないな……。願い聞いてくれるってアズールが言ってんだぞ。裏があるかもとか考えないわけ?案の定エースちゃんとデュースちゃんとグリムちゃんも沢山注文している。呆れながら眺めていると、ユウちゃんとジャックちゃんと目が合った。2人も私と同じ感想を持っているらしい。3人で苦笑しあってしまう。
「ティアナー、何サボってんだよー」
仕事してねぇってアズールにチクんぞと言いながらフロイドちゃんに頭を軽く小突かれた。
「痛いじゃん!叩かないでよ!」
と文句言ったら
「サボってるお前が悪い。ほら早くオーダー取って!」
混んでんだからさばききれなくなるだろと言われハッとする。た、確かに呑気に笑いあってる場合じゃなかった……。慌てて近くの席の人達のオーダーを取り始めることにした。
◇
「あー……つっかれたー……今日はもう一歩も動きたくねぇ……」
フロイドちゃんのぼやきが辺りに木霊する。
「ほんっと…私も疲れた……」
ポイントカードだけでここまで混むようになるとかある?もう今日は部屋戻ったらさっさとお風呂入って寝よう。魔法薬学の課題終わってないけどそれは明日の朝早く起きて片付ければいいよね。
「いやーマジで大繁盛してたなー」
イソギンチャク取れた後で良かったーと、ワザとらしく大きな声でエースちゃんが言う。ムカつくわ~。でもなんか今日は疲れすぎてて言い返したりする気力ないや。それはフロイドちゃんも同じらしく「うっわ~、カニちゃんウッゼ~……」と言ってはいるけれども絞める気はないらしい。
「ほんと、大変そうだったな。お疲れ。どの料理も美味しかったよ」
「あぁ、すげぇ美味かった。また来たいな」
そう優しく声を掛けてくるデュースちゃんとジャックちゃんのことが大好きになりそうだ。そんな2人に向かって
「いつでもお待ちしておりますよ」
と、ニコニコと笑いながらアズールとジェイドちゃんが言っている。2人共こう見ると人当りよさそうに見えるよな。揃いも揃って優等生の皮を被るのが上手いだけある。顧客ゲットかな?
「俺様もまた来てやってもいいんだゾ!子分ともな!」
ぴょんぴょんと跳ねながら笑っているグリムちゃんに
「そうだねー、また来ようねー」
と、ユウちゃんも笑いながら相槌を打っている。グリムちゃん、すっかりユウちゃんのこと大好きになったよなぁ。まぁたった2人きりの寮だし、当然と言えば当然か。
「皆さん、名残惜しいですが…締め作業も終わりましたのでそろそろ解散としましょう」
アズールがそう言うと、みんな「はーい」と返事をしてそそくさと帰り支度を始める。
「ティアナ、今日はありがとう。また明日ね」
支度を終えたらしいユウちゃんがわざわざ私に挨拶をしに来てくれた。そしてそのまま手を振ってラウンジから出て行こうとする。……ただで帰してたまるか。
「ユウちゃんちょっと待って。忘れ物してるよ」
と声を掛けると「えっ」と言って私の所まで戻って来て
「忘れ物?ごめん何か預けてたっけ……」
そういって頭を掻くユウちゃんのネクタイを掴んで引っ張り、ユウちゃんの頬を私の唇に寄せてチュッとリップ音を響かせながら、キスをする。
「えっ……」
と、ユウちゃんもエースちゃん達もみんな困惑の声を上げて辺りは一瞬静まり返った。が、すぐに
「はっえっはっ!?ティアナ!?」
「おまっいまっちょっな、何したっ!?」
「お、お前、気軽に男にキスとかするなよ…!」
エースちゃんとデュースちゃんとジャックちゃんが声を上げながら詰め寄ってきた。やばウケる―。と言って笑ったら「ウケるじゃねぇ!」と怒られた。
「お、おい、子分が真っ赤になったまま微動だにしねぇんだゾ!ティアナひょっとしてこいつに向かってユニーク魔法使ったのか!?」
ヒデェんだゾ!といってくるグリムちゃんに「んなわけないでしょ」とつっこむ。いつそんなタイミングがあったのよ。そもそも使う必要性どこよ。
「わっあっはっ……」
黙り込んでいたユウちゃんが口を動かしてよくわからない声を発し始めた。
「何ぃ、どうしたのユウちゃーん」
ニヤニヤと笑いながら声を掛けると、また顔が赤くなった。楽しいなぁ。
「……ティアナ、ジャックも言ってたけど、女の子が気軽に男に向かってキスするのはやめた方がいいよ……それも彼氏でも何でもない、友達に向かって……」
勘違いされても文句言えないよと、顔を両手で覆いながら苦言を呈してくる。わぁ、ユウちゃん耳まで真っ赤~。
「大丈夫、ちゃんと人は選んでるから」
笑いながらそう返すと顔をあげて「あのねぇ……」と、何か言いたげな顔をされる。
「お礼だよ、お礼~。あと、アトランティカ記念博物館の時のお返し」
そう笑って耳打ちすると、ユウちゃんは溜息を吐いた。そして
「そりゃどーも」
と、諦めたような顔で笑ってお礼を言ってきた。どういたしまして!と言い返して笑う。
「どういたしまして……じゃないだろ、何他人に気軽にキスしてるんだお前は!」
不意に怒鳴り声が聞こえてきたかと思うと、スパン!という音と共に頭に衝撃が来た。アズールに思い切り叩かれたらしい。
「イッタ!何すんのよこの暴力兄貴!!!」
そう怒鳴り返すと
「誰が暴力兄貴だこの愚妹!!!」
と返ってくる。
「あんた以外にいるわけないでしょ!なに、目だけじゃなくて頭も悪いワケ!?」
「ハァ!?視力はともかく、頭の出来は僕の方が上だろうが!」
「その返しのどこに上要素があるっていうのよ!!」
ギャーギャーと言い合いを始めると
「2人共、兄妹喧嘩はそこまでです」
みっともないですよ?とクスクスと笑いながらジェイドちゃんが間に入ってきた。
「せっかくならもう少しやらせときゃよかったのに。そしたらもっと面白くなりそうだったのにぃー」
とフロイドちゃんが笑いながら言う。私達の喧嘩はエンタメ扱いかよ!
「アーシェングロット家の兄妹喧嘩って意外と普通の兄妹喧嘩なんだな」
なんかもっとおどろおどろしいの想像してた……とエースちゃんが呟くと「わかる………」と、ジェイドちゃんとフロイドちゃん以外のみんなが声をそろえて同意した。
「どういう意味よ!(ですか!)」
と、私とアズールの声が同時に響き渡る。すると、みんな一斉に声を上げて笑い出した。そんなみんなに釣られて、私とアズールも一緒になって笑った。……なんやかんや、ナイトレイブンカレッジでの生活も楽しいな。そんな風に思った1日であった。
そしてユウちゃんに取って来させたその写真は後日、アトランティカ記念博物館へアズール自身で返しに行く、ということになったそう。そのためモストロ・ラウンジの研修旅行という形で貸し切りにするらしい。ユウちゃんやグリムちゃん、エースちゃんとデュースちゃんとジャックちゃんも一緒に行くらしい。ジャックちゃんも来るなんてなんか意外だなぁ。みんななんやかんや楽しみな様子。
「アトランティカ記念博物館にもなんかウメェ食いモンあるのか!?」
と目をキラキラ輝かせてグリムちゃんが言う。この子そればっかだなぁ…。さすがに呆れる。でも私も結構楽しみかも。
「人魚姫の髪梳き……ってこれ、どう見てもフォークじゃね?」
博物館のパンフレットを眺めていたエースちゃんがそんな感想を言う。
「あぁ、それ?やっぱフォークみたいに見えるよね。人間の王子様に恋した人魚姫がね、そのフォークみたいな髪梳きを使って髪を整えてたんだって」
そういえばエレメンタリースクールの時にそのお姫様の真似をしてフォークで髪を梳かしたら引っかかっちゃって大泣きしてた子とかいたなぁと思い出しながら呟くと「えっバカじゃねぇのそいつ」とエースちゃんが言い放った。あまりにもドストレートな物言いに思わず吹き出した。アンジェラ達に話したら手叩いて爆笑しそう。今すぐ3人に言いたいなぁ。はーあ、エレメンタリースクールとかミドルスクールの頃とかだったら一緒になって笑うことが出来たのになぁ。……3人共、今頃キャッキャやってんのかなぁ。この前のライブも一緒に行きたかったなぁ。最近、一緒にショッピングとか行けてないし遊んだりも出来てないし、通話とかも全く出来てない。てか、通話したりしても共通の話題も見つからなくなってきたし、なんとなく距離が出来てきてしまった気がする。……今まではそんなこと、なかったのになぁ……。
「ティアナ?どうかしたのか?」
急に黙り込んだ私を不思議に思ったのか、デュースちゃんが首を傾げながら声を掛けてきた。ヤバッと思い慌ててなんでもない!と答えた。アトランティカ記念博物館楽しみだねぇと明るく言い、ごちゃごちゃと考えるのをやめることにした。
◇
アトランティカ記念博物館に来るのは何年ぶりだろう。10年ぶりかな。エレメンタリースクールの遠足以来か。あの頃は正直あんまり楽しいって思えなかったけど、久しぶりに来ると懐かしさもあってかなんか良いなぁ。
「ティアナは人魚の姿なんだね」
1人で展示品を眺めていると、ユウちゃんがやって来て声を掛けてきた。
「うん。海の中だとこっちのが楽だからね」
この辺あんまりタコの人魚いないから目立つけどと苦笑しながら言う。
「アズール先輩も同じようなこと言ってた」
こっそり写真を返しに来たのに、周りに変に印象に残っちゃう可能性があるから人魚の姿では来なかったって言ってたよとのこと。
「それはただの言い訳だよ」
アズール、太ってた頃のこと未だに気にしててタコ形態の自分のことあんまり好きじゃないみたいだからさというと、ユウちゃんは納得したように「あぁ、なるほど……」と苦笑した。
「ティアナが自分に教えようとしてくれてたアズール先輩の弱点てやっぱ、あのことだったの?」
昔、太ってったっていう…と声を潜めながら尋ねられる。
「…うん。アズール、昔太ってたことを誰かに知られるの怖がってたから」
だからそのことで脅せばオンボロ寮を取られないで済むよ。そうユウちゃんに言うつもりだったんだと、伝える。
ユウちゃんだったら、他の誰かに言わないでってお願いしたら絶対にその約束は守ってくれるだろうと、そう確信していたから。でも、良かっ…
「そっか。ならよかった。ティアナにアズール先輩の弱点教えて貰わなくて」
え……
「なんで……?」
優しく笑って言うユウちゃんの言葉の意味を理解することが出来ず、思わず聞き返してしまう。
「だって、ティアナにアズール先輩のことを、大好きなお兄ちゃんのことを、裏切らせるようなことさせないで済んだんだもん」
と、真っ直ぐ私のことを見つめながら言い切った。…………は?
「はっちょっあっ!?な、何言って…だ、はっハァ!?」
今コイツとんでもないこと言いやがった!
「どうしたの、ティアナ。そんなにテンパって」
ケラケラ笑いやがって腹立つこの野郎……!
「私がアズールのこと大好きなんて……!」
何言ってんのさ!やっとの思いで言語化に成功する。
「えっ?違うの?」
文句言うときょとん、と不思議そうな顔で聞かれる。この子、どこからが計算でどこまでが素なんだろう。
「……他の人には、言わないでよ?」
ユウちゃんの言う通り。私は、アズールのことが大好きだよ。そう耳元で囁くように呟くと、嬉しそうに笑われた。
◇
アトランティカ記念博物館から帰ると、大忙しだ。
アズールがモストロ・ラウンジのポイントカードを作ったからかラウンジは大盛況だ。それはものすごくいいことなんだけども、忙しすぎて頭がパンクしそう。正直サボりたい。てか、どいつもこいつも懲りないな……。願い聞いてくれるってアズールが言ってんだぞ。裏があるかもとか考えないわけ?案の定エースちゃんとデュースちゃんとグリムちゃんも沢山注文している。呆れながら眺めていると、ユウちゃんとジャックちゃんと目が合った。2人も私と同じ感想を持っているらしい。3人で苦笑しあってしまう。
「ティアナー、何サボってんだよー」
仕事してねぇってアズールにチクんぞと言いながらフロイドちゃんに頭を軽く小突かれた。
「痛いじゃん!叩かないでよ!」
と文句言ったら
「サボってるお前が悪い。ほら早くオーダー取って!」
混んでんだからさばききれなくなるだろと言われハッとする。た、確かに呑気に笑いあってる場合じゃなかった……。慌てて近くの席の人達のオーダーを取り始めることにした。
◇
「あー……つっかれたー……今日はもう一歩も動きたくねぇ……」
フロイドちゃんのぼやきが辺りに木霊する。
「ほんっと…私も疲れた……」
ポイントカードだけでここまで混むようになるとかある?もう今日は部屋戻ったらさっさとお風呂入って寝よう。魔法薬学の課題終わってないけどそれは明日の朝早く起きて片付ければいいよね。
「いやーマジで大繁盛してたなー」
イソギンチャク取れた後で良かったーと、ワザとらしく大きな声でエースちゃんが言う。ムカつくわ~。でもなんか今日は疲れすぎてて言い返したりする気力ないや。それはフロイドちゃんも同じらしく「うっわ~、カニちゃんウッゼ~……」と言ってはいるけれども絞める気はないらしい。
「ほんと、大変そうだったな。お疲れ。どの料理も美味しかったよ」
「あぁ、すげぇ美味かった。また来たいな」
そう優しく声を掛けてくるデュースちゃんとジャックちゃんのことが大好きになりそうだ。そんな2人に向かって
「いつでもお待ちしておりますよ」
と、ニコニコと笑いながらアズールとジェイドちゃんが言っている。2人共こう見ると人当りよさそうに見えるよな。揃いも揃って優等生の皮を被るのが上手いだけある。顧客ゲットかな?
「俺様もまた来てやってもいいんだゾ!子分ともな!」
ぴょんぴょんと跳ねながら笑っているグリムちゃんに
「そうだねー、また来ようねー」
と、ユウちゃんも笑いながら相槌を打っている。グリムちゃん、すっかりユウちゃんのこと大好きになったよなぁ。まぁたった2人きりの寮だし、当然と言えば当然か。
「皆さん、名残惜しいですが…締め作業も終わりましたのでそろそろ解散としましょう」
アズールがそう言うと、みんな「はーい」と返事をしてそそくさと帰り支度を始める。
「ティアナ、今日はありがとう。また明日ね」
支度を終えたらしいユウちゃんがわざわざ私に挨拶をしに来てくれた。そしてそのまま手を振ってラウンジから出て行こうとする。……ただで帰してたまるか。
「ユウちゃんちょっと待って。忘れ物してるよ」
と声を掛けると「えっ」と言って私の所まで戻って来て
「忘れ物?ごめん何か預けてたっけ……」
そういって頭を掻くユウちゃんのネクタイを掴んで引っ張り、ユウちゃんの頬を私の唇に寄せてチュッとリップ音を響かせながら、キスをする。
「えっ……」
と、ユウちゃんもエースちゃん達もみんな困惑の声を上げて辺りは一瞬静まり返った。が、すぐに
「はっえっはっ!?ティアナ!?」
「おまっいまっちょっな、何したっ!?」
「お、お前、気軽に男にキスとかするなよ…!」
エースちゃんとデュースちゃんとジャックちゃんが声を上げながら詰め寄ってきた。やばウケる―。と言って笑ったら「ウケるじゃねぇ!」と怒られた。
「お、おい、子分が真っ赤になったまま微動だにしねぇんだゾ!ティアナひょっとしてこいつに向かってユニーク魔法使ったのか!?」
ヒデェんだゾ!といってくるグリムちゃんに「んなわけないでしょ」とつっこむ。いつそんなタイミングがあったのよ。そもそも使う必要性どこよ。
「わっあっはっ……」
黙り込んでいたユウちゃんが口を動かしてよくわからない声を発し始めた。
「何ぃ、どうしたのユウちゃーん」
ニヤニヤと笑いながら声を掛けると、また顔が赤くなった。楽しいなぁ。
「……ティアナ、ジャックも言ってたけど、女の子が気軽に男に向かってキスするのはやめた方がいいよ……それも彼氏でも何でもない、友達に向かって……」
勘違いされても文句言えないよと、顔を両手で覆いながら苦言を呈してくる。わぁ、ユウちゃん耳まで真っ赤~。
「大丈夫、ちゃんと人は選んでるから」
笑いながらそう返すと顔をあげて「あのねぇ……」と、何か言いたげな顔をされる。
「お礼だよ、お礼~。あと、アトランティカ記念博物館の時のお返し」
そう笑って耳打ちすると、ユウちゃんは溜息を吐いた。そして
「そりゃどーも」
と、諦めたような顔で笑ってお礼を言ってきた。どういたしまして!と言い返して笑う。
「どういたしまして……じゃないだろ、何他人に気軽にキスしてるんだお前は!」
不意に怒鳴り声が聞こえてきたかと思うと、スパン!という音と共に頭に衝撃が来た。アズールに思い切り叩かれたらしい。
「イッタ!何すんのよこの暴力兄貴!!!」
そう怒鳴り返すと
「誰が暴力兄貴だこの愚妹!!!」
と返ってくる。
「あんた以外にいるわけないでしょ!なに、目だけじゃなくて頭も悪いワケ!?」
「ハァ!?視力はともかく、頭の出来は僕の方が上だろうが!」
「その返しのどこに上要素があるっていうのよ!!」
ギャーギャーと言い合いを始めると
「2人共、兄妹喧嘩はそこまでです」
みっともないですよ?とクスクスと笑いながらジェイドちゃんが間に入ってきた。
「せっかくならもう少しやらせときゃよかったのに。そしたらもっと面白くなりそうだったのにぃー」
とフロイドちゃんが笑いながら言う。私達の喧嘩はエンタメ扱いかよ!
「アーシェングロット家の兄妹喧嘩って意外と普通の兄妹喧嘩なんだな」
なんかもっとおどろおどろしいの想像してた……とエースちゃんが呟くと「わかる………」と、ジェイドちゃんとフロイドちゃん以外のみんなが声をそろえて同意した。
「どういう意味よ!(ですか!)」
と、私とアズールの声が同時に響き渡る。すると、みんな一斉に声を上げて笑い出した。そんなみんなに釣られて、私とアズールも一緒になって笑った。……なんやかんや、ナイトレイブンカレッジでの生活も楽しいな。そんな風に思った1日であった。
