ターコイズに恋焦がれ
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アズール、またタコ壺の中に籠ってる。もう……
「ねぇアズール!いい加減出て来てよー。遊びに行こうよー!」
タコ壺を叩きながら声を掛けると
「うるさい!遊びに行きたいんだったら1人で行ってくればいいだろ!?」
僕は勉強で忙しいんだ、と断られる。ムスッと頬を膨らませながら
「だ、だって!ママとおばあちゃんが1人で遊びに行っちゃダメって言うんだもん……!」
だから一緒に来てよー!と再び声を掛ける。本当は1人で行っちゃダメなんて言われたことないけども。
「いつも一緒にいる子達と行けばいいだろ?」
そしたらママにもおばあちゃんにも怒られないで済むだろと、不機嫌そうに言う。
「無理だよ。アンジェラは今日は家族でお出かけって言って陽光の国へ行っちゃったし、クロノとダリアはどっかに行っちゃったんだもん!一緒に遊ぼうって言おうとして、一緒にあそ…くらいまで言ったところでもういなくなってたの!あの2人いっつも気が付くとどこかへふらふらーと泳いで行っちゃうのよ?今日も気がついたらいなくなってたの!」
だから一緒に行こうよー!ねぇ!!とタコ壺を揺さぶりながら声を掛けるが
「やめろよ!僕は忙しいって言ってるだろ、わがまま言うなよ!」
そう言ってまたタコ壺の中に潜り込んでしまう。強情なんだから……。と呟いたら
「それはティアナの方だろ……」
と、疲れたような声が溜息と一緒に返ってきた。
「あ~~~タコちゃんいた~~~」
急に私とアズール以外の声が辺りに響いてきた。誰だろうと、顔を声のした方に向け……
「わっちょっ何、アズール!!」
ようとした瞬間、アズールにタコ壺の奥に押し込まれた。文句を言おうとしたら「いいから壺の中で大人しくしてろ」と少し荒い口調で言われる。なんだって言うのよぉ……。
「おや、今日は壺の中から出ているんですね」
何かあるんですか?そう尋ねてくる声に向かって
「お前達には関係ないだろ!あっち行けよ!」
とアズールが怒ったように声を上げる。誰と話しているんだろうと興味を持って、そっと壺から顔を出してみると
「わ~~~ちっちゃいタコちゃんだ~~~」
私達と同い年くらいの男の子の人魚が2人いた。ウツボの双子みたいだ。お顔がそっくり。
「ティアナ!出てくるなよっ」
アズールがそう言って私のことをまたタコ壺の中へ押し込もうとするがやだ!と拒絶して外に出る。
「こんにちは~、チビダコちゃーん。すっごくちっちゃいねぇ」
ニコニコと笑いながら2人のうちの1人……たれ目が印象的な男の子が声を掛けてきた。チビダコって…。
「失礼ね、私チビダコなんて名前じゃないもん。私にはティアナ!ティアナ・アーシェングロットっていう名前がちゃんとあるの!」
頬を膨らませながら文句を言うと
「アーシェングロット?アズールと同じファミリーネームなんですね」
もう1人の、ツリ目が印象的な男の子が口を開く。
「君、もしかしてアズールの妹ですか?」
と尋ねられてうん、そうだよと答えようとしたら
「関係ないだろ!あっち行けってば!」
と尚、アズールは2人を追い払おうとする。なんでこんなに嫌がるんだろう。
そもそもこの2人は誰だろう。いつもアズールのことをいじめてる、嫌な子達……とは違う気がする。もしかしてアズールの友達、なのかな。もしもそうだったら、アズールに友達が出来たんだったら、嬉しいなぁ。そしたらアズールは、独りぼっちじゃなくなるから。
◇
目を開くと、物心ついた時からずっと見ているスカイブルーの目と視線がぶつかる。
「あぁ、起きたのか……」
アズールが安堵したような顔で呟いた。ここは…寮の私の部屋?ベッドの上に寝かされている私のことを見つめている。アズールを正気に戻すことが出来てからの記憶が曖昧だ。フロイドちゃんに抱っこしてもらって……そのまま寝ちゃったのか。
「アズ……」
起き上がって名前を呼ぼうとした瞬間、アズールの手が私の頬まで伸びて来てそっと撫でられた。
「僕はお前にケガをさせてしまったんですね……」
あぁ、そういえばフロイドちゃんに庇われた時、少し魔法が頬を掠めたっけ。その時ケガしてしまったのか。
呟かれた声は、弱々しく静寂の中にそのまま溶けて消えて行ってしまいそうだ。落ち込んでるのだろうか……?
「ティアナ、ごめんなさい。僕はお前に、沢山酷いことを言ったり、酷いことをしてしまいました」
妹にそんな真似してしまうなんて、兄として最低だと、そう謝罪してくるアズールの表情は見たことないくらい辛そうな顔をしている。いじめられて泣いていた時や、オーバーブロットしてしまった時の顔とはまた違った辛そうな顔だ。
「そうだね。ほんと最低だよ。信じらんない」
うるせぇとかすっこんでろとか黙ってろとか言ってさ、挙句突き飛ばすなんてあんまりじゃん。レオナ先輩が支えてくれてなかったら私、あのまま後ろにひっくり返って下手したら大ケガしてたよなんてぐちぐち言うと、いたたまれなさそうな顔をしてまた、すみません……と消え入りそうな声で謝罪される。
「ほんとさー、私じゃなかったら見捨ててるよあんたみたいなろくでなしの兄」
わざとらしくため息を吐きながら言うと、アズールはやっぱり申し訳なさそうな顔をしている。
「……。アズール、今度の休日ショッピングに行きたい。だから麓の町まで一緒に行ってよ」
「えっ……?」
お願いすると、目を丸くしている。
「だから!今度の休日一緒に出掛けてって言ってんの!」
聞こえなかったの?というと「聞こえましたが…なんで……」と不思議そうな顔をする。
「買い物いっぱいしたいの。誰かさんのせいで、すっごい楽しみにしてた推しのライブ行けなかったからストレス発散も兼ねて」
アンジェラとクロノとダリアはライブ行くって言ってたし、エースちゃん達だってなんか予定あるらしいからアズール付き合ってよ!と言ったらしばらく目をぱちぱちさせた後
「全く、仕方ないですね。あまり無駄遣いはするなよ」
溜息交じりに笑いながら言われて「わかってるってば」と笑い返す。
……ねぇアズール。私ね、あの頃からずっと、アズールと2人で一緒に出掛けたり遊んだりしたかったんだよ。だっていつも、タコ壺の中で必死こいて泣きながら勉強してるアズールのことを見てるの、嫌だったんだもん。いじめてきたやつらを見返してやるって言って、毎日毎日タコ壺の中に籠って外や他を見ようとしないのが、気がかりだったんだもん。……でもそれ以上に、自慢だった。私のお兄ちゃんは、どんなに苦手なことでも必死に努力して、苦手を克服出来るすごい人なんだよって。運動は1ミリも上達しなかったけど。
アズールのことをバカにしてたみんなに、努力してるアズールを見てもらいたかった。多分、そんな心配いらなかったんだろうけど。
「じゃあ、僕はもう寝ますね」
お前も、早く寝るんですよ。明日も学校なんだからと言ってくるのに対してわかってるよと返し、ドアに向かって歩き出すアズールを見送る。
「ティアナ」
ドアの前で名前を呼んで立ち止まられた。何?と尋ねてみると振り返って
「……ユニーク魔法、成功させられたんだな。よく頑張った」
優しく微笑みながら、褒められた。
「でも、これで満足せずにもっと努力し、成功率を上げるように」
すぐにキリっとした顔で釘も刺された。
「たまには素直に褒めてよ」
頬を膨らませながら文句言うと「甘やかしはしない主義なので」と言い放つ。
「……じゃあ、今度こそ寝ます。おやすみなさい」
そういうアズールに「うん、おやすみ」と言い返して部屋から出て行く姿を見送る。
……アズールに、褒めてもらえた。初めてな気がする。
もしもオーバーブロットを止められなかったら、もしもアズールを正気に戻すことが出来ていなかったら、アズールがあのまま、死んじゃってたら……褒めてもらえなかったし、出掛ける約束もできなかった。今みたいに、お話も出来なかった、んだ。
「うぅっ……」
気が付くと、そんな声を漏らしていた。目から雫が零れ出し、ベッドカバーにシミを作る。そのままシーツに顔を埋め、声を押し殺す。早く、泣き止め。明日、目が赤くなっちゃう。そしたらジェイドちゃんにも、フロイドちゃんにも、エースちゃんにも、デュースちゃんにも、グリムちゃんにも、ユウちゃんにも、ジャックちゃんにも笑われちゃう。馬鹿にされちゃう。そんなの、絶対に嫌。早く、早く泣き止まないと……!
「わ~、思った通り。やっぱ泣いてるよ」
突然、私以外の声が聞こえてきた。びくりと肩を震わせ、固まってしまう。
「ティアナってさー、アズールほどじゃないけど泣き虫だよね」
つかつかと近付いてくる足音がする。
「な、泣いてないもん!」
顔を埋めたまま言い返すと
「嘘ヘタクソかよー」
と笑われる。
「嘘吐いてないもん……!」
更に言い返して顔を上げると、想像していたよりもずっと優し気な表情で笑っているフロイドちゃんと目が合う。なんで、そんな顔してんのよ…!いつもみたいな、馬鹿にしたような顔しててよ。そしたらこんな、こんな情けない顔しないで済むのに……!そしたらこんなに……
「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
こんなに情けないとこ見せないで済んだのに。
「はいはい。今日はよく頑張ったね。偉かった偉かった」
そう言いながら優しく背中を撫でられて、縋るように抱き着いて泣き続けてしまう。
「今日、こわかった………」
心の奥底に沈み込ませるつもりだった本音が、水のように溢れ出す。
「アズール、死んじゃうかと思ってすっごく怖かったよぉ……ッ!!」
泣く私のことを、フロイドちゃんは優しく撫でながら「うん」と、また優しく相槌を打つ。
「ジェイド、ちゃんも、フロイドちゃんも、全然帰って来なくて…!すっごい不安だった!!!」
「……うん、ごめん」
謝罪するフロイドちゃんの声は、本当に申し訳なく思っているんだということが伝わってくる。優しく撫でてくる手が、とてもあたたかい。
その後フロイドちゃんは、私が泣き止むまでずっと、何も言わずにただただずっと、優しく抱き締めながら背中を撫で続けてくれた。
「ねぇアズール!いい加減出て来てよー。遊びに行こうよー!」
タコ壺を叩きながら声を掛けると
「うるさい!遊びに行きたいんだったら1人で行ってくればいいだろ!?」
僕は勉強で忙しいんだ、と断られる。ムスッと頬を膨らませながら
「だ、だって!ママとおばあちゃんが1人で遊びに行っちゃダメって言うんだもん……!」
だから一緒に来てよー!と再び声を掛ける。本当は1人で行っちゃダメなんて言われたことないけども。
「いつも一緒にいる子達と行けばいいだろ?」
そしたらママにもおばあちゃんにも怒られないで済むだろと、不機嫌そうに言う。
「無理だよ。アンジェラは今日は家族でお出かけって言って陽光の国へ行っちゃったし、クロノとダリアはどっかに行っちゃったんだもん!一緒に遊ぼうって言おうとして、一緒にあそ…くらいまで言ったところでもういなくなってたの!あの2人いっつも気が付くとどこかへふらふらーと泳いで行っちゃうのよ?今日も気がついたらいなくなってたの!」
だから一緒に行こうよー!ねぇ!!とタコ壺を揺さぶりながら声を掛けるが
「やめろよ!僕は忙しいって言ってるだろ、わがまま言うなよ!」
そう言ってまたタコ壺の中に潜り込んでしまう。強情なんだから……。と呟いたら
「それはティアナの方だろ……」
と、疲れたような声が溜息と一緒に返ってきた。
「あ~~~タコちゃんいた~~~」
急に私とアズール以外の声が辺りに響いてきた。誰だろうと、顔を声のした方に向け……
「わっちょっ何、アズール!!」
ようとした瞬間、アズールにタコ壺の奥に押し込まれた。文句を言おうとしたら「いいから壺の中で大人しくしてろ」と少し荒い口調で言われる。なんだって言うのよぉ……。
「おや、今日は壺の中から出ているんですね」
何かあるんですか?そう尋ねてくる声に向かって
「お前達には関係ないだろ!あっち行けよ!」
とアズールが怒ったように声を上げる。誰と話しているんだろうと興味を持って、そっと壺から顔を出してみると
「わ~~~ちっちゃいタコちゃんだ~~~」
私達と同い年くらいの男の子の人魚が2人いた。ウツボの双子みたいだ。お顔がそっくり。
「ティアナ!出てくるなよっ」
アズールがそう言って私のことをまたタコ壺の中へ押し込もうとするがやだ!と拒絶して外に出る。
「こんにちは~、チビダコちゃーん。すっごくちっちゃいねぇ」
ニコニコと笑いながら2人のうちの1人……たれ目が印象的な男の子が声を掛けてきた。チビダコって…。
「失礼ね、私チビダコなんて名前じゃないもん。私にはティアナ!ティアナ・アーシェングロットっていう名前がちゃんとあるの!」
頬を膨らませながら文句を言うと
「アーシェングロット?アズールと同じファミリーネームなんですね」
もう1人の、ツリ目が印象的な男の子が口を開く。
「君、もしかしてアズールの妹ですか?」
と尋ねられてうん、そうだよと答えようとしたら
「関係ないだろ!あっち行けってば!」
と尚、アズールは2人を追い払おうとする。なんでこんなに嫌がるんだろう。
そもそもこの2人は誰だろう。いつもアズールのことをいじめてる、嫌な子達……とは違う気がする。もしかしてアズールの友達、なのかな。もしもそうだったら、アズールに友達が出来たんだったら、嬉しいなぁ。そしたらアズールは、独りぼっちじゃなくなるから。
◇
目を開くと、物心ついた時からずっと見ているスカイブルーの目と視線がぶつかる。
「あぁ、起きたのか……」
アズールが安堵したような顔で呟いた。ここは…寮の私の部屋?ベッドの上に寝かされている私のことを見つめている。アズールを正気に戻すことが出来てからの記憶が曖昧だ。フロイドちゃんに抱っこしてもらって……そのまま寝ちゃったのか。
「アズ……」
起き上がって名前を呼ぼうとした瞬間、アズールの手が私の頬まで伸びて来てそっと撫でられた。
「僕はお前にケガをさせてしまったんですね……」
あぁ、そういえばフロイドちゃんに庇われた時、少し魔法が頬を掠めたっけ。その時ケガしてしまったのか。
呟かれた声は、弱々しく静寂の中にそのまま溶けて消えて行ってしまいそうだ。落ち込んでるのだろうか……?
「ティアナ、ごめんなさい。僕はお前に、沢山酷いことを言ったり、酷いことをしてしまいました」
妹にそんな真似してしまうなんて、兄として最低だと、そう謝罪してくるアズールの表情は見たことないくらい辛そうな顔をしている。いじめられて泣いていた時や、オーバーブロットしてしまった時の顔とはまた違った辛そうな顔だ。
「そうだね。ほんと最低だよ。信じらんない」
うるせぇとかすっこんでろとか黙ってろとか言ってさ、挙句突き飛ばすなんてあんまりじゃん。レオナ先輩が支えてくれてなかったら私、あのまま後ろにひっくり返って下手したら大ケガしてたよなんてぐちぐち言うと、いたたまれなさそうな顔をしてまた、すみません……と消え入りそうな声で謝罪される。
「ほんとさー、私じゃなかったら見捨ててるよあんたみたいなろくでなしの兄」
わざとらしくため息を吐きながら言うと、アズールはやっぱり申し訳なさそうな顔をしている。
「……。アズール、今度の休日ショッピングに行きたい。だから麓の町まで一緒に行ってよ」
「えっ……?」
お願いすると、目を丸くしている。
「だから!今度の休日一緒に出掛けてって言ってんの!」
聞こえなかったの?というと「聞こえましたが…なんで……」と不思議そうな顔をする。
「買い物いっぱいしたいの。誰かさんのせいで、すっごい楽しみにしてた推しのライブ行けなかったからストレス発散も兼ねて」
アンジェラとクロノとダリアはライブ行くって言ってたし、エースちゃん達だってなんか予定あるらしいからアズール付き合ってよ!と言ったらしばらく目をぱちぱちさせた後
「全く、仕方ないですね。あまり無駄遣いはするなよ」
溜息交じりに笑いながら言われて「わかってるってば」と笑い返す。
……ねぇアズール。私ね、あの頃からずっと、アズールと2人で一緒に出掛けたり遊んだりしたかったんだよ。だっていつも、タコ壺の中で必死こいて泣きながら勉強してるアズールのことを見てるの、嫌だったんだもん。いじめてきたやつらを見返してやるって言って、毎日毎日タコ壺の中に籠って外や他を見ようとしないのが、気がかりだったんだもん。……でもそれ以上に、自慢だった。私のお兄ちゃんは、どんなに苦手なことでも必死に努力して、苦手を克服出来るすごい人なんだよって。運動は1ミリも上達しなかったけど。
アズールのことをバカにしてたみんなに、努力してるアズールを見てもらいたかった。多分、そんな心配いらなかったんだろうけど。
「じゃあ、僕はもう寝ますね」
お前も、早く寝るんですよ。明日も学校なんだからと言ってくるのに対してわかってるよと返し、ドアに向かって歩き出すアズールを見送る。
「ティアナ」
ドアの前で名前を呼んで立ち止まられた。何?と尋ねてみると振り返って
「……ユニーク魔法、成功させられたんだな。よく頑張った」
優しく微笑みながら、褒められた。
「でも、これで満足せずにもっと努力し、成功率を上げるように」
すぐにキリっとした顔で釘も刺された。
「たまには素直に褒めてよ」
頬を膨らませながら文句言うと「甘やかしはしない主義なので」と言い放つ。
「……じゃあ、今度こそ寝ます。おやすみなさい」
そういうアズールに「うん、おやすみ」と言い返して部屋から出て行く姿を見送る。
……アズールに、褒めてもらえた。初めてな気がする。
もしもオーバーブロットを止められなかったら、もしもアズールを正気に戻すことが出来ていなかったら、アズールがあのまま、死んじゃってたら……褒めてもらえなかったし、出掛ける約束もできなかった。今みたいに、お話も出来なかった、んだ。
「うぅっ……」
気が付くと、そんな声を漏らしていた。目から雫が零れ出し、ベッドカバーにシミを作る。そのままシーツに顔を埋め、声を押し殺す。早く、泣き止め。明日、目が赤くなっちゃう。そしたらジェイドちゃんにも、フロイドちゃんにも、エースちゃんにも、デュースちゃんにも、グリムちゃんにも、ユウちゃんにも、ジャックちゃんにも笑われちゃう。馬鹿にされちゃう。そんなの、絶対に嫌。早く、早く泣き止まないと……!
「わ~、思った通り。やっぱ泣いてるよ」
突然、私以外の声が聞こえてきた。びくりと肩を震わせ、固まってしまう。
「ティアナってさー、アズールほどじゃないけど泣き虫だよね」
つかつかと近付いてくる足音がする。
「な、泣いてないもん!」
顔を埋めたまま言い返すと
「嘘ヘタクソかよー」
と笑われる。
「嘘吐いてないもん……!」
更に言い返して顔を上げると、想像していたよりもずっと優し気な表情で笑っているフロイドちゃんと目が合う。なんで、そんな顔してんのよ…!いつもみたいな、馬鹿にしたような顔しててよ。そしたらこんな、こんな情けない顔しないで済むのに……!そしたらこんなに……
「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
こんなに情けないとこ見せないで済んだのに。
「はいはい。今日はよく頑張ったね。偉かった偉かった」
そう言いながら優しく背中を撫でられて、縋るように抱き着いて泣き続けてしまう。
「今日、こわかった………」
心の奥底に沈み込ませるつもりだった本音が、水のように溢れ出す。
「アズール、死んじゃうかと思ってすっごく怖かったよぉ……ッ!!」
泣く私のことを、フロイドちゃんは優しく撫でながら「うん」と、また優しく相槌を打つ。
「ジェイド、ちゃんも、フロイドちゃんも、全然帰って来なくて…!すっごい不安だった!!!」
「……うん、ごめん」
謝罪するフロイドちゃんの声は、本当に申し訳なく思っているんだということが伝わってくる。優しく撫でてくる手が、とてもあたたかい。
その後フロイドちゃんは、私が泣き止むまでずっと、何も言わずにただただずっと、優しく抱き締めながら背中を撫で続けてくれた。
