万有引力には逆らえない
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レアン寮の生徒の級硬貨狩りが本格的になっているらしい。オルカ寮の監督生であるマーガレット・マカロン先輩に
「貴女は強い子だから大丈夫だとは思うけれども、用心しておくことには越したことがないからね。油断しちゃダメよ」
と釘を刺されたのは昨日のこと。マカロン先輩に強いと言われたのは結構嬉しい。それにしても…
「なんなんだろうね、魔力が奪われるって」
ここ数日、どういう訳か体調の優れない生徒が多いみたいだ。何者かに魔力を奪われている…とかなんとか。そのことについてカルパッチョ君に聞いてみると
「雑魚が雑魚にやられたってだけの話でしょ。興味ない」
とのこと。彼らしい辛辣な物言いだな…。
「誰かの固有魔法かな?」
「興味ないってば。雑魚連中のことなんて」
面倒臭そうに言われてしまった。カルパッチョ君て自分の興味ないことにはとことん冷めてるよな…。
「そんなに気になるなら姉貴に聞けば」
君の姉貴そういう事詳しいんでしょ、と言われ思わず眉間に皺が寄る。
「エマに聞いたってなんにもならないわよ」
そもそも、あの性悪が私の質問にまともに答える訳ないじゃないというと、「いや僕君の姉貴と会った事ないから性悪とか言われてもわかんないよ」と返答された。
「えっ会ったことなかったっけ」
「ないよ。学年も寮も違ったら接点なんて早々ないでしょ」
そう言われて確かに…と思ったところで次の疑問。
「じゃあカルパッチョ君、どうしてエマがそういう情報に詳しいって知ってるの?」
「そりゃ君の話聞いてたらなんとなくわかるよ」
私の話…?エマのこと話したりしたことなんてあったっけ…?というと「えっ…」と驚いたような声が。
「君よく姉貴の話するじゃん」
私がエマの話をよくする…?
「嘘でしょ…悪趣味なこと言わないでよ…」
「悪趣味ではないでしょ。てか嘘じゃないし」
何の得があるの、そんな嘘吐いて。と呆れたように言われた。
「私からしたら充分悪趣味よ、エマの話なんてわざわざしたりなんてする訳ないじゃない」
そういうと「…まぁもういいよ」と、やはり面倒臭そうに言われた。未だに何か言いたげな様子ではあるが。どうしたんだろうと首を傾げていると、授業が始まった。
◇
あと2枚…あと2枚銀の級硬貨を手に入れればやっと金の級硬貨1枚を手に入れることが出来る…!どうしよう、思っていたよりも集まるペースが遅い。未だに金の級硬貨を1枚も手に入れることが出来ていないなんて。マッシュ君に負けたのが完全に計算外だったな…。あれさえなかったら金の級硬貨1枚は手に入っていたハズなのに…!悔しい…!あの日賭けを挑んだりなんてしなければ…
『じゃあそんな教えをした君のお母さんはすごく良い人で、その良い人の娘である君もやっぱり良い人だね』
『僕はポンコツだから、みんなに迷惑ばっかりかけて。……困ってる時に助けてくれる友達が沢山いて、幸せ者だ』
…挑んでなかったら、お母さんのことあんな風にいって貰えることもなかったし、マッシュ君達と友達になれることもなかったし、ランス君と接点を持つことも出来なかったんだろうな。
級硬貨と引き換えに、級硬貨なんかよりもずっと大切なものを5つも手に入れることが出来たって考えたら安いものだね、級硬貨の1枚2枚なんて。
「ルーナちゃん!!やっと見つけました!!」
中庭で級硬貨を数えていると、レモンちゃんの私を呼ぶ声が聞こえてきた。レモンちゃんの声の方に目を向けてみると、何やら慌てた様子で走ってきていた。
「どうしたの?そんなに急いで」
と尋ねると「どうしてもルーナちゃんに渡したいものがありまして!」とのこと。渡したいものとは何だろうと思っていると、紫の目で水色の身体をした、猫の様な片耳に土星のピアスを着けたマスコットを渡された。首を傾げていると、
「これ!お守りです!」
「お守り?」
「はい。最近、何かと物騒ですから…。私が作った、ラルナちゃんです」
ら、ラルナちゃん…?わざわざ作ってくれたんだ…。
「ありがとう、大切にするね」
そういうと嬉しそうに笑いながら
「はい!ぜひ、ランス君だと思って大切にしてあげて下さいね」
と言われた。…え?…は?えっ???!!!
「な、ななな、なんでランス君が出てくるの?!」
思わず大きな声を出してしまった。慌てふためく私を見るとレモンちゃんはきょとんとしながら
「だってルーナちゃん、好きでしょ?ランス君のこと」
「なっな、な、なんで知ってるの?!私、ランス君のこと好きだってレモンちゃんに話したことあったっけ?!」
レモンちゃんにどころか、誰にも言った記憶がない。小学生の頃からずっと、ずっとランス君が好きだってことは誰にも1度も言ったことなんてない。なのに、なんで…!
「いや、言われてないですけど…わかりますよ、ルーナちゃんのこと見てたら」
そう苦笑気味に言われてしまった。
「えっ…そ、そう…?」
「はい。だってルーナちゃん、ランス君と話している時すごく可愛いですもん。あぁ、すっごくすっごく、ランス君のことが大好きなんだなーって見ていてよーく伝わってきますよ」
微笑ましそうに言われて、なんだかすごく恥ずかしくなってきた。
「……レモンちゃんて、鋭いんだね」
まさか出会って数日で気付かれるとは思わなかったわ、と呟くと「えっ」と驚いたような声を出された。不思議に思って首を傾げていると、
「あの…言いにくいんですけども、私が鋭いというかその、…ルーナちゃんが凄く、わかりやすい、っていう方が正しいと思いますよ?」
と、返答された。え…
「わ、私、そんなにわかりやすい…?」
「はい。私もフィン君もドット君も、割とすぐに気が付きましたし。ルーナちゃんがランス君のことを好きだってこと」
は、はいっ?!
「嘘?!」
「本当です」
レモンちゃんがピシッと言い切った。そ、そんなに言い切られてしまうほどわかりやすいの私…?!なんかちょっとショック…。
「聞いてもいいですか?ルーナちゃんがどうしてランス君のことを好きになったのかって理由を」
目をキラキラとさせながらレモンちゃんが尋ねてくる。恋バナがしたいのかな。
「私ね、小学生の頃いじめられっ子だったの。妾の娘だからってことで、ひどいことされたり言われたり…」
本を破かれたり、後ろから突き飛ばされたり、ゴミを頭から被されたり、悪口を言われたり…。本当、色々されたな…。
「その度に、毎日毎日泣いてたの」
「あぁ…そういえばランス君が言ってましたね。ルーナちゃんがいじめられっ子の泣き虫だって…」
「うん」
やり返したりも、言い返したりも出来ずにずっと泣いていたっけ。
「そんなことが続いてたある日ね、助けてくれたの」
「ランス君がですか?」
そう目をキラキラとさせながら聞いてくるレモンちゃんに「うん」と言って頷くと更に目を輝かせてはしゃぎながら声を上げている。
…本当、かっこよかったな。重力魔法でいじめっ子達を倒すランス君。この前の合同授業の時に森サソリを倒して助けてくれた時と同じように。
「でね、その時にランス君に言われたの。『ないてばっかりじゃなんにもならねぇだろ。だからやり返せ』って」
「なんか想像できます。すごくぶっきら棒に言っているのが」
レモンちゃんが苦笑しながら言う。
「そうなの!ぶっきら棒にちょっと冷たい感じでね、言って来たの。酷いよね。泣いてる女の子に向かって。もう少し寄り添ってくれてもいいのにって思ったよ」
と文句を言うと「でもランス君らしいですね」と、ふふっと笑いながら言われた。
「そうだね、すっごくランス君らしいね。…そんなランス君に向かって泣きながら言ったの。やり返したりなんてしたらもっといじめられちゃうもんって。そしたらあの人、なんて言ったと思う?」
尋ねてみると「えー…なんでしょう…なんて言われたんですか?」早く聞きたい!とでも言いたげで勢いよく詰め寄りながら聞き返してきた。
「『その時はまた、俺が助けてやる』って。私のことを真っ直ぐと見つめながらそう言ったの」
その後、ランス君の家まで連れて行ってくれてそれでランス君の妹のアンナちゃんが丁寧に手当てしてくれたことを思い出し、笑みが漏れる。…アンナちゃん、本当に優しくてかわいくて良い子だったな。あんな妹ちゃんいたらそりゃシスコンにもなっちゃうよね。ランス君のあれはさすがにちょっとどうかと思うけども。
「それはもう好きになりますね!無理です好きになるなっていう方が!」
キャーキャーと手をぶん回しながらはしゃいだようにレモンちゃんが言う。女の子友達と恋バナするのってこんな感じなんだ。なんだかすごく、楽しい。女の子…というか友達がそもそも今までいなかったからなんか…初めてイーストンに入学して良かったなって思えている気がする。
「うん、だよね!あの時はランス君が王子様みたいに見えたよ」
というと「ランス君イケメンですしね」と言われた。
「『残念な』って付くけどね」
「そうですね。あのシスコンっぷりは本当に残念ですよね」
という会話をして、2人で笑いあう。…ランス君の残念なところはあのシスコンっぷり以外にもあるんだけれどもまぁ本人の名誉のために黙っておいてあげよう。
「その日からですか?」
レモンちゃんが未だに笑いながら質問してきた。
「何が?」
「ランス君を見るたびに気絶するようになってしまったのは」
少し意地悪気味に、そしてからかう様に聞かれる。
「ま、前まで!前まではね!今はもうさすがに大丈夫だよ。もう慣れた!ランス君の顔を見たくらいで気絶したりなんてしない…」
「俺がなんだって?」
背後から突然声が聞こえてきた。思わず固まってしまう。
恐る恐る、ゆっくりと振り返るとそこには…!
「お前ら俺の悪口でも言ってたのか」
するとそこには、目の前にドアップでランス・クラウンの顔があった。うわイケメン…!な、なん…!
「ラ、ララ、ラン、ラ、ラララララ…!」
あっやばい、なんか気が遠くなってきた…。も、もしかしてこれが俗にいう、フラグ回収ってやつ…?
なんか遠くから「ルーナちゃぁぁぁぁぁぁぁん???!!!」というレモンちゃんの絶叫と、ランス君の「うわ…」とでも言いたげな、面倒臭い…とでも言いたげな表情が、薄れ行く意識の中聞こえたり見えたりした気がする。
「貴女は強い子だから大丈夫だとは思うけれども、用心しておくことには越したことがないからね。油断しちゃダメよ」
と釘を刺されたのは昨日のこと。マカロン先輩に強いと言われたのは結構嬉しい。それにしても…
「なんなんだろうね、魔力が奪われるって」
ここ数日、どういう訳か体調の優れない生徒が多いみたいだ。何者かに魔力を奪われている…とかなんとか。そのことについてカルパッチョ君に聞いてみると
「雑魚が雑魚にやられたってだけの話でしょ。興味ない」
とのこと。彼らしい辛辣な物言いだな…。
「誰かの固有魔法かな?」
「興味ないってば。雑魚連中のことなんて」
面倒臭そうに言われてしまった。カルパッチョ君て自分の興味ないことにはとことん冷めてるよな…。
「そんなに気になるなら姉貴に聞けば」
君の姉貴そういう事詳しいんでしょ、と言われ思わず眉間に皺が寄る。
「エマに聞いたってなんにもならないわよ」
そもそも、あの性悪が私の質問にまともに答える訳ないじゃないというと、「いや僕君の姉貴と会った事ないから性悪とか言われてもわかんないよ」と返答された。
「えっ会ったことなかったっけ」
「ないよ。学年も寮も違ったら接点なんて早々ないでしょ」
そう言われて確かに…と思ったところで次の疑問。
「じゃあカルパッチョ君、どうしてエマがそういう情報に詳しいって知ってるの?」
「そりゃ君の話聞いてたらなんとなくわかるよ」
私の話…?エマのこと話したりしたことなんてあったっけ…?というと「えっ…」と驚いたような声が。
「君よく姉貴の話するじゃん」
私がエマの話をよくする…?
「嘘でしょ…悪趣味なこと言わないでよ…」
「悪趣味ではないでしょ。てか嘘じゃないし」
何の得があるの、そんな嘘吐いて。と呆れたように言われた。
「私からしたら充分悪趣味よ、エマの話なんてわざわざしたりなんてする訳ないじゃない」
そういうと「…まぁもういいよ」と、やはり面倒臭そうに言われた。未だに何か言いたげな様子ではあるが。どうしたんだろうと首を傾げていると、授業が始まった。
◇
あと2枚…あと2枚銀の級硬貨を手に入れればやっと金の級硬貨1枚を手に入れることが出来る…!どうしよう、思っていたよりも集まるペースが遅い。未だに金の級硬貨を1枚も手に入れることが出来ていないなんて。マッシュ君に負けたのが完全に計算外だったな…。あれさえなかったら金の級硬貨1枚は手に入っていたハズなのに…!悔しい…!あの日賭けを挑んだりなんてしなければ…
『じゃあそんな教えをした君のお母さんはすごく良い人で、その良い人の娘である君もやっぱり良い人だね』
『僕はポンコツだから、みんなに迷惑ばっかりかけて。……困ってる時に助けてくれる友達が沢山いて、幸せ者だ』
…挑んでなかったら、お母さんのことあんな風にいって貰えることもなかったし、マッシュ君達と友達になれることもなかったし、ランス君と接点を持つことも出来なかったんだろうな。
級硬貨と引き換えに、級硬貨なんかよりもずっと大切なものを5つも手に入れることが出来たって考えたら安いものだね、級硬貨の1枚2枚なんて。
「ルーナちゃん!!やっと見つけました!!」
中庭で級硬貨を数えていると、レモンちゃんの私を呼ぶ声が聞こえてきた。レモンちゃんの声の方に目を向けてみると、何やら慌てた様子で走ってきていた。
「どうしたの?そんなに急いで」
と尋ねると「どうしてもルーナちゃんに渡したいものがありまして!」とのこと。渡したいものとは何だろうと思っていると、紫の目で水色の身体をした、猫の様な片耳に土星のピアスを着けたマスコットを渡された。首を傾げていると、
「これ!お守りです!」
「お守り?」
「はい。最近、何かと物騒ですから…。私が作った、ラルナちゃんです」
ら、ラルナちゃん…?わざわざ作ってくれたんだ…。
「ありがとう、大切にするね」
そういうと嬉しそうに笑いながら
「はい!ぜひ、ランス君だと思って大切にしてあげて下さいね」
と言われた。…え?…は?えっ???!!!
「な、ななな、なんでランス君が出てくるの?!」
思わず大きな声を出してしまった。慌てふためく私を見るとレモンちゃんはきょとんとしながら
「だってルーナちゃん、好きでしょ?ランス君のこと」
「なっな、な、なんで知ってるの?!私、ランス君のこと好きだってレモンちゃんに話したことあったっけ?!」
レモンちゃんにどころか、誰にも言った記憶がない。小学生の頃からずっと、ずっとランス君が好きだってことは誰にも1度も言ったことなんてない。なのに、なんで…!
「いや、言われてないですけど…わかりますよ、ルーナちゃんのこと見てたら」
そう苦笑気味に言われてしまった。
「えっ…そ、そう…?」
「はい。だってルーナちゃん、ランス君と話している時すごく可愛いですもん。あぁ、すっごくすっごく、ランス君のことが大好きなんだなーって見ていてよーく伝わってきますよ」
微笑ましそうに言われて、なんだかすごく恥ずかしくなってきた。
「……レモンちゃんて、鋭いんだね」
まさか出会って数日で気付かれるとは思わなかったわ、と呟くと「えっ」と驚いたような声を出された。不思議に思って首を傾げていると、
「あの…言いにくいんですけども、私が鋭いというかその、…ルーナちゃんが凄く、わかりやすい、っていう方が正しいと思いますよ?」
と、返答された。え…
「わ、私、そんなにわかりやすい…?」
「はい。私もフィン君もドット君も、割とすぐに気が付きましたし。ルーナちゃんがランス君のことを好きだってこと」
は、はいっ?!
「嘘?!」
「本当です」
レモンちゃんがピシッと言い切った。そ、そんなに言い切られてしまうほどわかりやすいの私…?!なんかちょっとショック…。
「聞いてもいいですか?ルーナちゃんがどうしてランス君のことを好きになったのかって理由を」
目をキラキラとさせながらレモンちゃんが尋ねてくる。恋バナがしたいのかな。
「私ね、小学生の頃いじめられっ子だったの。妾の娘だからってことで、ひどいことされたり言われたり…」
本を破かれたり、後ろから突き飛ばされたり、ゴミを頭から被されたり、悪口を言われたり…。本当、色々されたな…。
「その度に、毎日毎日泣いてたの」
「あぁ…そういえばランス君が言ってましたね。ルーナちゃんがいじめられっ子の泣き虫だって…」
「うん」
やり返したりも、言い返したりも出来ずにずっと泣いていたっけ。
「そんなことが続いてたある日ね、助けてくれたの」
「ランス君がですか?」
そう目をキラキラとさせながら聞いてくるレモンちゃんに「うん」と言って頷くと更に目を輝かせてはしゃぎながら声を上げている。
…本当、かっこよかったな。重力魔法でいじめっ子達を倒すランス君。この前の合同授業の時に森サソリを倒して助けてくれた時と同じように。
「でね、その時にランス君に言われたの。『ないてばっかりじゃなんにもならねぇだろ。だからやり返せ』って」
「なんか想像できます。すごくぶっきら棒に言っているのが」
レモンちゃんが苦笑しながら言う。
「そうなの!ぶっきら棒にちょっと冷たい感じでね、言って来たの。酷いよね。泣いてる女の子に向かって。もう少し寄り添ってくれてもいいのにって思ったよ」
と文句を言うと「でもランス君らしいですね」と、ふふっと笑いながら言われた。
「そうだね、すっごくランス君らしいね。…そんなランス君に向かって泣きながら言ったの。やり返したりなんてしたらもっといじめられちゃうもんって。そしたらあの人、なんて言ったと思う?」
尋ねてみると「えー…なんでしょう…なんて言われたんですか?」早く聞きたい!とでも言いたげで勢いよく詰め寄りながら聞き返してきた。
「『その時はまた、俺が助けてやる』って。私のことを真っ直ぐと見つめながらそう言ったの」
その後、ランス君の家まで連れて行ってくれてそれでランス君の妹のアンナちゃんが丁寧に手当てしてくれたことを思い出し、笑みが漏れる。…アンナちゃん、本当に優しくてかわいくて良い子だったな。あんな妹ちゃんいたらそりゃシスコンにもなっちゃうよね。ランス君のあれはさすがにちょっとどうかと思うけども。
「それはもう好きになりますね!無理です好きになるなっていう方が!」
キャーキャーと手をぶん回しながらはしゃいだようにレモンちゃんが言う。女の子友達と恋バナするのってこんな感じなんだ。なんだかすごく、楽しい。女の子…というか友達がそもそも今までいなかったからなんか…初めてイーストンに入学して良かったなって思えている気がする。
「うん、だよね!あの時はランス君が王子様みたいに見えたよ」
というと「ランス君イケメンですしね」と言われた。
「『残念な』って付くけどね」
「そうですね。あのシスコンっぷりは本当に残念ですよね」
という会話をして、2人で笑いあう。…ランス君の残念なところはあのシスコンっぷり以外にもあるんだけれどもまぁ本人の名誉のために黙っておいてあげよう。
「その日からですか?」
レモンちゃんが未だに笑いながら質問してきた。
「何が?」
「ランス君を見るたびに気絶するようになってしまったのは」
少し意地悪気味に、そしてからかう様に聞かれる。
「ま、前まで!前まではね!今はもうさすがに大丈夫だよ。もう慣れた!ランス君の顔を見たくらいで気絶したりなんてしない…」
「俺がなんだって?」
背後から突然声が聞こえてきた。思わず固まってしまう。
恐る恐る、ゆっくりと振り返るとそこには…!
「お前ら俺の悪口でも言ってたのか」
するとそこには、目の前にドアップでランス・クラウンの顔があった。うわイケメン…!な、なん…!
「ラ、ララ、ラン、ラ、ラララララ…!」
あっやばい、なんか気が遠くなってきた…。も、もしかしてこれが俗にいう、フラグ回収ってやつ…?
なんか遠くから「ルーナちゃぁぁぁぁぁぁぁん???!!!」というレモンちゃんの絶叫と、ランス君の「うわ…」とでも言いたげな、面倒臭い…とでも言いたげな表情が、薄れ行く意識の中聞こえたり見えたりした気がする。