万有引力には逆らえない
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血だらけで、地面に投げ出されたルーナは意識を保つのもやっとだという様子で。早く保健室へと連れて行かないと思いながら駆け寄ると
「マッシュ、くん」
息も絶え絶えといった必死な様子でマッシュの名前を呼ぶ。それに対してマッシュは
「…何。仇取ってって話なら任せて。そんな目に遭わせて来た人の名前教えてくれたら僕が倒すよ、グーパンで」
と返す。いつも通り無表情で淡々としているが、その目は怒りに満ち溢れているようだ。…いや、それはマッシュだけじゃないか。拳を合わせながら言うマッシュに対しルーナは焦った様子で
「仇取って欲しいじゃ、ない、の。カルパッチョ・ローヤンって生、徒…」
と、1人の生徒の名前を呟く。カルパッチョ・ローヤン……確か、内部進学1位通過のオルカ寮生だったか。
「その人を倒せばいいんだねわかった」
「ち、がう…!」
大方、マッシュには敵わないだろうから関わらないようにと、そう伝えようとしているのだろう。だが、マッシュや俺達にそんな考え、有るわけがない。友人がこんなに傷つけられて、黙ってられるわけないだろ。地面に這いつくばりながら必死にマッシュに何かを訴えようとしているルーナをそっと抱き上げ、
「大丈夫だ。お前はもう休んでいい。あとは俺達に任せろ」
なるべく落ち着いたトーンで知らせると、安心したように静かに眠り始めた。
「ランス君…!ルーナちゃんのケガの具合は!?」
フィンが今にも泣きだしそうな顔で俺に尋ねてくる。
「沢山斬りつけられたようだが、見たところ傷の深さは大したことない。少し休ませて手当てすれば大丈夫だろう」
だから今すぐ保健室へ連れて行ってやらないとな。そう伝えると
「クソッ…!やっぱ一緒に行動するべきだった…!」
ドットが苦々し気に顔を歪ませながら悔しそうに漏らす。その言葉にフィンも眉間に皺を寄せている。やはり、俺達は全員同じ思いのようだ。
俺達全員の目的に、試験突破ともう1つ。カルパッチョ・ローヤンという生徒を倒すということが追加された。
◇
「あんたもう完全に保健室の常連よね」
高等部に入ってから何度目になるんだって聞きたいくらいよと、エマがため息つきながら話し掛けてきた。
「起き抜けに小言は勘弁してよ…」
「じゃあ保健室の常連もそろそろやめてよね」
心配するこっちの身にもなりなさいよと言われ、ぐうの音も出ない。ごめん…と消え入りそうに言うと
「まぁ今回は試験だから仕方ないけれども」
と返ってきた。あっ!
「試験!!そうだよエマ試験!!早くマッシュ君に言わないと、カルパッチョ君に関わっちゃダメって!!ボコボコにされちゃ…」
「あー…それは大丈夫よ」
起き上がりながら焦っている私を見て、エマが止める。何が!というと
「カルパッチョって生徒、あんたの友達に頭かち割られて戦闘不能になったから」
ほら、あそこで寝てるわよと、エマが指差す方に目を向けてみると虫の息になったカルパッチョ君が寝かされていた。……えっ
「えぇぇぇぇ!!はっ?!なんっ、えっ??!!」
目の前に広がる光景が信じられなくて思わず叫び声を上げると
「ちょっと。保健室で叫ぶんじゃないわよ」
と軽く小突かれた。慌てて口を押えごめんと呟く。
「……ね、ねぇ、何があったのあれ……?誰がやったの……?」
「あんたの友達のマッシュ・バーンデッドって子」
あの子無茶苦茶ね…意味が分からないわ…ていうか怖い…と遠い目をしながら呟くエマの言葉に思わず顔が引きつる。
「マッシュ君一体何したの…」
「鉄で出来た杖をラケットみたいにして、テニスのラリーみたいな感じでカルパッチョって子の女神像破壊して、そのままラケットであの子の頭かち割ってたわ」
「は…?あの、説明聞いても意味が分からないんだけど…」
「私だって分からないわよ…」
自分の見た光景が何も理解できないの…と、頭を抱えているエマを見て、マッシュ君がまたとんでもないことをしでかしたということだけは理解できた。
「……けど。あの子、すごく良い子ね」
不意にエマが笑い、言う。
「えっ…」
「あのマッシュって子。あの子、カルパッチョ君がレインの弟のフィン君を侮辱したことや、あんたのことズタボロにしたことをすごく怒っていたの。あんたが友達でいたがってる理由がよくわかったわ。他の3人もあんたが傷つけられてすごく怒っていたの。みんなすごく優しくて良い子ね」
本当に友達に恵まれたのねと、微笑まれる。…みんな、怒ってくれたんだ。
「うん。みんなね、すっごく良い友達なの」
私にはもったいないくらい、すごく良い友達。恥ずかしいから絶対に本人たちには言わないし言えないけども。
「あっ。ところでエマ。みんなは次の試験に突破すること出来たの?」
「ええ。全員してたわよ。あと、マカロンもね」
次の試験内容は一対一のトーナメントバトルでマッシュ君とマカロンのバトルみたいよと言われてヒヤッとする。カルパッチョ君の次はマカロン先輩…。一難去ってまた一難とは正しくこのことか。
「エマ、ありがとう。ちょっとマッシュ君達のところへ行って来るわ」
そう伝えると
「はいはい。ちゃんとあの子達にお礼言いなさいよ」
と小言と共に送り出された。
◇
エマに見送られて、マッシュ君達の控室に来た。の、だけども…
「何故トレーニングをするのか?ですか…。始まりはじいちゃんに言われたからでした。最初は重いし疲れるしすごく嫌でした。でも嫌々やっているうちに持てる重りが増えて来て、今では胸を張って言うことが出来ます。僕が筋トレする理由…それは…そこにダンベルがあるから…ですかね」
来なければ良かったな…と、後悔している。何をしているのあの子達…。マッシュ君が何か語ってる後ろで、ドット君がバイオリンを弾いている。なんだかドキュメンタリー番組の曲みたい。意外と上手い。あの子ってギャップ激しいわね。ハーブティーとかもそうだけど。なんて思いながら眺めていると
「何故重たい女であり続けるのか?最初は全然重たくなかったんですよ私……。でも次第に相手の行動に一喜一憂するようになって…そんな私が重たい女であり続ける理由があるとすればそれは……。そこに好きな人がいるから…ですかね」
なんかいきなり2人目が始まった。なんなのこの人達。フィン君大丈夫…じゃなさそうね。みんなのことをドン引きしながら見ている。すごく帰りたさそう。私も今すぐここから立ち去りたい。けど、この場にフィン君を1人取り残して去るのは気が引ける。仕方ない…。
「何しているの、みんな」
随分楽しそうねと声を掛けると、全員一斉に私の方を見た。
「ルーナちゃん!目覚めたんですね、よかったあぁぁぁ!!」
目が合うとレモンちゃんが駆け寄ってきて思い切り抱き締められる。
「えぇ。また心配かけてしまって、ごめんなさい…」
俯きながら謝罪すると
「謝らないでください!今回は絶対にルーナちゃん悪くありません!」
と言われる。
「レモンちゃんの言う通りだよ!寧ろ、僕の方こそごめん。ルーナちゃんの足引っ張っちゃったから、あんな目に遭わせちゃった…」
俯きながら身体を震わせて泣きそうな顔でフィン君が言う。カルパッチョ君から守ろうとしていたこと、知られてしまったのかな。いらない気を、使わせてしまっただろうか。
「フィン君は何も悪くないわ。どうか気に病まないで。私が悪いの。私が勝手に大ケガしただけよ」
だからお願い、謝ったりしないでと、そう伝えると
「でも…」
とまだ、納得出来ていないみたいだ。
「……じゃあ、次はフィン君が私のことを助けてね」
笑顔で言うと、フィン君は
「えっ」
と驚いたように声を上げて目を見開いた。でもすぐに
「うん!今度は僕が、ルーナちゃんをたすける!」
そう笑って力強く言われた。私も笑って「うん!」と答えた。その私とフィン君のことを、マッシュ君とレモンちゃん、ドット君が優しく笑いながら見ていた。
……本当、私は友人にとても恵まれているな。
「マッシュ、くん」
息も絶え絶えといった必死な様子でマッシュの名前を呼ぶ。それに対してマッシュは
「…何。仇取ってって話なら任せて。そんな目に遭わせて来た人の名前教えてくれたら僕が倒すよ、グーパンで」
と返す。いつも通り無表情で淡々としているが、その目は怒りに満ち溢れているようだ。…いや、それはマッシュだけじゃないか。拳を合わせながら言うマッシュに対しルーナは焦った様子で
「仇取って欲しいじゃ、ない、の。カルパッチョ・ローヤンって生、徒…」
と、1人の生徒の名前を呟く。カルパッチョ・ローヤン……確か、内部進学1位通過のオルカ寮生だったか。
「その人を倒せばいいんだねわかった」
「ち、がう…!」
大方、マッシュには敵わないだろうから関わらないようにと、そう伝えようとしているのだろう。だが、マッシュや俺達にそんな考え、有るわけがない。友人がこんなに傷つけられて、黙ってられるわけないだろ。地面に這いつくばりながら必死にマッシュに何かを訴えようとしているルーナをそっと抱き上げ、
「大丈夫だ。お前はもう休んでいい。あとは俺達に任せろ」
なるべく落ち着いたトーンで知らせると、安心したように静かに眠り始めた。
「ランス君…!ルーナちゃんのケガの具合は!?」
フィンが今にも泣きだしそうな顔で俺に尋ねてくる。
「沢山斬りつけられたようだが、見たところ傷の深さは大したことない。少し休ませて手当てすれば大丈夫だろう」
だから今すぐ保健室へ連れて行ってやらないとな。そう伝えると
「クソッ…!やっぱ一緒に行動するべきだった…!」
ドットが苦々し気に顔を歪ませながら悔しそうに漏らす。その言葉にフィンも眉間に皺を寄せている。やはり、俺達は全員同じ思いのようだ。
俺達全員の目的に、試験突破ともう1つ。カルパッチョ・ローヤンという生徒を倒すということが追加された。
◇
「あんたもう完全に保健室の常連よね」
高等部に入ってから何度目になるんだって聞きたいくらいよと、エマがため息つきながら話し掛けてきた。
「起き抜けに小言は勘弁してよ…」
「じゃあ保健室の常連もそろそろやめてよね」
心配するこっちの身にもなりなさいよと言われ、ぐうの音も出ない。ごめん…と消え入りそうに言うと
「まぁ今回は試験だから仕方ないけれども」
と返ってきた。あっ!
「試験!!そうだよエマ試験!!早くマッシュ君に言わないと、カルパッチョ君に関わっちゃダメって!!ボコボコにされちゃ…」
「あー…それは大丈夫よ」
起き上がりながら焦っている私を見て、エマが止める。何が!というと
「カルパッチョって生徒、あんたの友達に頭かち割られて戦闘不能になったから」
ほら、あそこで寝てるわよと、エマが指差す方に目を向けてみると虫の息になったカルパッチョ君が寝かされていた。……えっ
「えぇぇぇぇ!!はっ?!なんっ、えっ??!!」
目の前に広がる光景が信じられなくて思わず叫び声を上げると
「ちょっと。保健室で叫ぶんじゃないわよ」
と軽く小突かれた。慌てて口を押えごめんと呟く。
「……ね、ねぇ、何があったのあれ……?誰がやったの……?」
「あんたの友達のマッシュ・バーンデッドって子」
あの子無茶苦茶ね…意味が分からないわ…ていうか怖い…と遠い目をしながら呟くエマの言葉に思わず顔が引きつる。
「マッシュ君一体何したの…」
「鉄で出来た杖をラケットみたいにして、テニスのラリーみたいな感じでカルパッチョって子の女神像破壊して、そのままラケットであの子の頭かち割ってたわ」
「は…?あの、説明聞いても意味が分からないんだけど…」
「私だって分からないわよ…」
自分の見た光景が何も理解できないの…と、頭を抱えているエマを見て、マッシュ君がまたとんでもないことをしでかしたということだけは理解できた。
「……けど。あの子、すごく良い子ね」
不意にエマが笑い、言う。
「えっ…」
「あのマッシュって子。あの子、カルパッチョ君がレインの弟のフィン君を侮辱したことや、あんたのことズタボロにしたことをすごく怒っていたの。あんたが友達でいたがってる理由がよくわかったわ。他の3人もあんたが傷つけられてすごく怒っていたの。みんなすごく優しくて良い子ね」
本当に友達に恵まれたのねと、微笑まれる。…みんな、怒ってくれたんだ。
「うん。みんなね、すっごく良い友達なの」
私にはもったいないくらい、すごく良い友達。恥ずかしいから絶対に本人たちには言わないし言えないけども。
「あっ。ところでエマ。みんなは次の試験に突破すること出来たの?」
「ええ。全員してたわよ。あと、マカロンもね」
次の試験内容は一対一のトーナメントバトルでマッシュ君とマカロンのバトルみたいよと言われてヒヤッとする。カルパッチョ君の次はマカロン先輩…。一難去ってまた一難とは正しくこのことか。
「エマ、ありがとう。ちょっとマッシュ君達のところへ行って来るわ」
そう伝えると
「はいはい。ちゃんとあの子達にお礼言いなさいよ」
と小言と共に送り出された。
◇
エマに見送られて、マッシュ君達の控室に来た。の、だけども…
「何故トレーニングをするのか?ですか…。始まりはじいちゃんに言われたからでした。最初は重いし疲れるしすごく嫌でした。でも嫌々やっているうちに持てる重りが増えて来て、今では胸を張って言うことが出来ます。僕が筋トレする理由…それは…そこにダンベルがあるから…ですかね」
来なければ良かったな…と、後悔している。何をしているのあの子達…。マッシュ君が何か語ってる後ろで、ドット君がバイオリンを弾いている。なんだかドキュメンタリー番組の曲みたい。意外と上手い。あの子ってギャップ激しいわね。ハーブティーとかもそうだけど。なんて思いながら眺めていると
「何故重たい女であり続けるのか?最初は全然重たくなかったんですよ私……。でも次第に相手の行動に一喜一憂するようになって…そんな私が重たい女であり続ける理由があるとすればそれは……。そこに好きな人がいるから…ですかね」
なんかいきなり2人目が始まった。なんなのこの人達。フィン君大丈夫…じゃなさそうね。みんなのことをドン引きしながら見ている。すごく帰りたさそう。私も今すぐここから立ち去りたい。けど、この場にフィン君を1人取り残して去るのは気が引ける。仕方ない…。
「何しているの、みんな」
随分楽しそうねと声を掛けると、全員一斉に私の方を見た。
「ルーナちゃん!目覚めたんですね、よかったあぁぁぁ!!」
目が合うとレモンちゃんが駆け寄ってきて思い切り抱き締められる。
「えぇ。また心配かけてしまって、ごめんなさい…」
俯きながら謝罪すると
「謝らないでください!今回は絶対にルーナちゃん悪くありません!」
と言われる。
「レモンちゃんの言う通りだよ!寧ろ、僕の方こそごめん。ルーナちゃんの足引っ張っちゃったから、あんな目に遭わせちゃった…」
俯きながら身体を震わせて泣きそうな顔でフィン君が言う。カルパッチョ君から守ろうとしていたこと、知られてしまったのかな。いらない気を、使わせてしまっただろうか。
「フィン君は何も悪くないわ。どうか気に病まないで。私が悪いの。私が勝手に大ケガしただけよ」
だからお願い、謝ったりしないでと、そう伝えると
「でも…」
とまだ、納得出来ていないみたいだ。
「……じゃあ、次はフィン君が私のことを助けてね」
笑顔で言うと、フィン君は
「えっ」
と驚いたように声を上げて目を見開いた。でもすぐに
「うん!今度は僕が、ルーナちゃんをたすける!」
そう笑って力強く言われた。私も笑って「うん!」と答えた。その私とフィン君のことを、マッシュ君とレモンちゃん、ドット君が優しく笑いながら見ていた。
……本当、私は友人にとても恵まれているな。
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