鳥籠の中夢視る
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脳無を空の遥か彼方へと吹き飛ばしたらしいオールマイトが私達の元へにじり寄って来る。その彼の姿に酷く狼狽し「は…?脳無が吹き飛ばされた…?嘘だろ…」と震えながら呟く死柄木の声が聞こえる中、意識が遠退き始めた。そしてふわりと、身体が宙に浮くような感覚がして、私の意識は完全に途切れた。
◇
――痛い。冷たい。怖い。恐い…!誰か…!誰か助けて!助けて!!
『大丈夫?泣いてるの?』
――誰…?
「あっケガしてる。転んじゃったの?痛い?』
――貴方誰…?
『僕?僕は××っていうんだ。僕のお家ね、ここから近いの。だから一緒に行こう!お母さんに手当てしてもらわなきゃ。足痛いでしょ?おんぶしてあげるね!』
――ふわりと、あたたかくて心地良い…。優しい感じがする。この子…誰…?名前…なんて言ったの…?聞き取れなかった。ねぇ。ねぇ。貴方は誰なの…?どうしてそんなに優しくしてくれるの…?この優しい記憶は夢…?それとも…
◇
目を開くと視界に入って来たのは見覚えのない天井だった。
どこなのここは。死柄木に首を絞められて、朦朧とする意識の中、オールマイトが脳無を倒して私達の方へと寄って来て…それ以降の記憶がない。あの後どうなったのだろう。私は気を失ったの?とりあえずここがどこなのかと理解しないとと思い辺りを見渡してみる。見渡してみて、自分の腕に点滴が繋がっていることに気が付いた。ということはここは病院…?
そう考えていると、扉の開くような音が聞こえてきた。音の方に視線を向けると、
「起きたのか」
そんな声と一緒に、紅白頭の男の子が姿を現した。思わず身構えると、バツが悪そうな顔で
「そこまで警戒しなくても…」
と、ボソッと呟かれた。警戒するに決まってるでしょ。
「……ここはどこ」
疑問に思ったことを聞き出そうと質問を投げ掛けてみた。
「雄英近くの病院だ」
やっぱり病院か。どうして病院にいるの。私の気持ちを知ってか知らずか、
「あの脳ミソヴィランを倒した後、オールマイトがお前のことを助けたんだ」
と説明してきた。
「助けた?」
気を失う前にした、あのふわりとした感覚はオールマイトが私を抱えたからだったのか。それなら合点がいく。けど
「どうして?私はあの人達の仲間なのよ?」
ヒーローであるオールマイトが、ヴィランである私を助けるなんて可笑しいじゃない。意味が分からないわ。そういうと男の子は不快そうに眉間に皺を寄せながら「お前はあいつらの仲間じゃないだろ」という。
「お前はあいつらといたくている訳じゃねぇだろ。生きる為にはあいつらに従うしかねぇ。だから仕方なくあいつらと一緒にいる。そうだろ」
痛いくらいに真っ直ぐ、じっと私のことを見つめながら言う。
「…どうしてそう思うの。そもそも何故貴方は私のことを知っているの」
初対面時からずっと思っていたことをぶつけてみると、驚いたように目を見開かれた。
「俺のこと、覚えてないのか?」
覚えてないのか…?まるで会ったことでもあるかのような口ぶり。不思議な人。首を傾げていると、
「そうか、覚えてねぇのか…」
と、残念そうに呟かれた。けどもすぐに切り替えた様にしながら
「俺の名前は…」
そう男の子が名乗ろうとした瞬間、扉の開く音と「轟少年?今日も来ていたのか」という声と共にオールマイトが入って来た。身体が震えそうになった。
「その少女、目を覚ましたんだね。轟少年、すまないが少々席を外して貰えないかな」
オールマイトに言われると、轟と呼ばれた男の子は渋々と言った様子だったが病室から出て行った。
「目を覚ましたばかりですまない。君に2.3聞きたいことがあるんだ」
じっと私のことを見つめながら話しかけてくる。
「…答えることなんて何もないわ」
下手に答えたりなんてしたら、殺されてしまう。いや、例え何も答えなかったとしてもきっと…。
「オール・フォー・ワン」
その一言に、思わす反応してしまった。身体が震えそうになる。名前を聞くだけで恐怖で支配されそうになる。私のその様子を見逃さなかったらしいオールマイトの目が、鋭くなった。さっきよりも圧が強い。
「その様子を見るに、やはり君奴のことを知っているんだね。もしかして奴の元で育ったのか?」
優し気に穏やかな口調で聞いて来るが、射貫くような視線と圧がすごい。……誤魔化すことは出来なそう。
「…えぇ。私はあの人…オール・フォー・ワンの元で育ったわ」
「あの死柄木という青年も一緒にか」
頷くと「そうか…」と呟かれた。
「根城としている場所は」
「知らない。私、ほとんど外に出たことないの。どこかへ行く時には必ず黒霧の個性を使ってだったし」
「あのワープゲートの個性を使っていた者か」
「えぇ」
この程度のことなら言っても問題ないだろう。そもそも、私の知っていることなんてどれも大したものじゃないのだけど。
「奴の目的は」
「知らないわ。私、あの人に全く信用されていないの。だから貴方達ヒーローや警察の欲しがっている情報は何一つ持っていないわ」
残念だったわね、そう言うとオールマイトは「いや、なんとなくそんな気はしていたさ。奴は他者をあまり信じるタイプではないからね」とのこと。
「あの脳無というヴィランについては何か知っているかい?」
どうやら改造された人間の様なんだが、そう聞かれた。
「知らないわ。改造された人間、ということ以外何も」
「そうか。じゃあ、あの個体の他にもいるのかとか、誰があのような悍ましいものを作り出したかなど、知っていることは何かあるか?」
誰が…か。ドクターのことはまだ知られていないのね。
「知らない。知りたくもないわ、そんな気色悪いこと」
だったら、言わない方が良いだろう。もしも言ったのがバレたら、楽に殺して貰えなくなる。
私は今、ヒーロー側にいる。それはあの人達もわかっているはずだから、確実に殺される。どんな理由があれ、不可抗力であれ、あの人達の元から離れてヒーローのところにいるなんて、あの人達が許すわけない。裏切り者だと認定されるに決まってる。なによりあんなに怒り狂っていた死柄木が許してくれる訳がない。罵倒しながら殺される。どうせ殺されるなら少しでも苦しまずに済む様にしたい。もうこれ以上、苦しみたくない。
「これでわかったでしょ?私が貴方にとって何1つ有益な情報を持っていないって。だからお話はもうこれで終わりにしましょう。逮捕でもなんでもして頂戴」
どうせ逮捕されたところで、黒霧に連れ戻されて殺されるだけだけれども。内心呟く。
「いや。君のことは逮捕しないさ」
逮捕しない?未成年だから?
「君は雄英で保護することが決まった」
は?
「そして警察やヒーロー、雄英の教師達と話し合い、雄英のヒーロー科、A組の生徒として通ってもらうことになった」
言われている言葉の意味が、何1つ理解できない。理解したくもない。
◇
――痛い。冷たい。怖い。恐い…!誰か…!誰か助けて!助けて!!
『大丈夫?泣いてるの?』
――誰…?
「あっケガしてる。転んじゃったの?痛い?』
――貴方誰…?
『僕?僕は××っていうんだ。僕のお家ね、ここから近いの。だから一緒に行こう!お母さんに手当てしてもらわなきゃ。足痛いでしょ?おんぶしてあげるね!』
――ふわりと、あたたかくて心地良い…。優しい感じがする。この子…誰…?名前…なんて言ったの…?聞き取れなかった。ねぇ。ねぇ。貴方は誰なの…?どうしてそんなに優しくしてくれるの…?この優しい記憶は夢…?それとも…
◇
目を開くと視界に入って来たのは見覚えのない天井だった。
どこなのここは。死柄木に首を絞められて、朦朧とする意識の中、オールマイトが脳無を倒して私達の方へと寄って来て…それ以降の記憶がない。あの後どうなったのだろう。私は気を失ったの?とりあえずここがどこなのかと理解しないとと思い辺りを見渡してみる。見渡してみて、自分の腕に点滴が繋がっていることに気が付いた。ということはここは病院…?
そう考えていると、扉の開くような音が聞こえてきた。音の方に視線を向けると、
「起きたのか」
そんな声と一緒に、紅白頭の男の子が姿を現した。思わず身構えると、バツが悪そうな顔で
「そこまで警戒しなくても…」
と、ボソッと呟かれた。警戒するに決まってるでしょ。
「……ここはどこ」
疑問に思ったことを聞き出そうと質問を投げ掛けてみた。
「雄英近くの病院だ」
やっぱり病院か。どうして病院にいるの。私の気持ちを知ってか知らずか、
「あの脳ミソヴィランを倒した後、オールマイトがお前のことを助けたんだ」
と説明してきた。
「助けた?」
気を失う前にした、あのふわりとした感覚はオールマイトが私を抱えたからだったのか。それなら合点がいく。けど
「どうして?私はあの人達の仲間なのよ?」
ヒーローであるオールマイトが、ヴィランである私を助けるなんて可笑しいじゃない。意味が分からないわ。そういうと男の子は不快そうに眉間に皺を寄せながら「お前はあいつらの仲間じゃないだろ」という。
「お前はあいつらといたくている訳じゃねぇだろ。生きる為にはあいつらに従うしかねぇ。だから仕方なくあいつらと一緒にいる。そうだろ」
痛いくらいに真っ直ぐ、じっと私のことを見つめながら言う。
「…どうしてそう思うの。そもそも何故貴方は私のことを知っているの」
初対面時からずっと思っていたことをぶつけてみると、驚いたように目を見開かれた。
「俺のこと、覚えてないのか?」
覚えてないのか…?まるで会ったことでもあるかのような口ぶり。不思議な人。首を傾げていると、
「そうか、覚えてねぇのか…」
と、残念そうに呟かれた。けどもすぐに切り替えた様にしながら
「俺の名前は…」
そう男の子が名乗ろうとした瞬間、扉の開く音と「轟少年?今日も来ていたのか」という声と共にオールマイトが入って来た。身体が震えそうになった。
「その少女、目を覚ましたんだね。轟少年、すまないが少々席を外して貰えないかな」
オールマイトに言われると、轟と呼ばれた男の子は渋々と言った様子だったが病室から出て行った。
「目を覚ましたばかりですまない。君に2.3聞きたいことがあるんだ」
じっと私のことを見つめながら話しかけてくる。
「…答えることなんて何もないわ」
下手に答えたりなんてしたら、殺されてしまう。いや、例え何も答えなかったとしてもきっと…。
「オール・フォー・ワン」
その一言に、思わす反応してしまった。身体が震えそうになる。名前を聞くだけで恐怖で支配されそうになる。私のその様子を見逃さなかったらしいオールマイトの目が、鋭くなった。さっきよりも圧が強い。
「その様子を見るに、やはり君奴のことを知っているんだね。もしかして奴の元で育ったのか?」
優し気に穏やかな口調で聞いて来るが、射貫くような視線と圧がすごい。……誤魔化すことは出来なそう。
「…えぇ。私はあの人…オール・フォー・ワンの元で育ったわ」
「あの死柄木という青年も一緒にか」
頷くと「そうか…」と呟かれた。
「根城としている場所は」
「知らない。私、ほとんど外に出たことないの。どこかへ行く時には必ず黒霧の個性を使ってだったし」
「あのワープゲートの個性を使っていた者か」
「えぇ」
この程度のことなら言っても問題ないだろう。そもそも、私の知っていることなんてどれも大したものじゃないのだけど。
「奴の目的は」
「知らないわ。私、あの人に全く信用されていないの。だから貴方達ヒーローや警察の欲しがっている情報は何一つ持っていないわ」
残念だったわね、そう言うとオールマイトは「いや、なんとなくそんな気はしていたさ。奴は他者をあまり信じるタイプではないからね」とのこと。
「あの脳無というヴィランについては何か知っているかい?」
どうやら改造された人間の様なんだが、そう聞かれた。
「知らないわ。改造された人間、ということ以外何も」
「そうか。じゃあ、あの個体の他にもいるのかとか、誰があのような悍ましいものを作り出したかなど、知っていることは何かあるか?」
誰が…か。ドクターのことはまだ知られていないのね。
「知らない。知りたくもないわ、そんな気色悪いこと」
だったら、言わない方が良いだろう。もしも言ったのがバレたら、楽に殺して貰えなくなる。
私は今、ヒーロー側にいる。それはあの人達もわかっているはずだから、確実に殺される。どんな理由があれ、不可抗力であれ、あの人達の元から離れてヒーローのところにいるなんて、あの人達が許すわけない。裏切り者だと認定されるに決まってる。なによりあんなに怒り狂っていた死柄木が許してくれる訳がない。罵倒しながら殺される。どうせ殺されるなら少しでも苦しまずに済む様にしたい。もうこれ以上、苦しみたくない。
「これでわかったでしょ?私が貴方にとって何1つ有益な情報を持っていないって。だからお話はもうこれで終わりにしましょう。逮捕でもなんでもして頂戴」
どうせ逮捕されたところで、黒霧に連れ戻されて殺されるだけだけれども。内心呟く。
「いや。君のことは逮捕しないさ」
逮捕しない?未成年だから?
「君は雄英で保護することが決まった」
は?
「そして警察やヒーロー、雄英の教師達と話し合い、雄英のヒーロー科、A組の生徒として通ってもらうことになった」
言われている言葉の意味が、何1つ理解できない。理解したくもない。