鳥籠の中夢視る

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ワープゲートを潜り抜けるとそこは、1番最初に来た元の場所へと戻った。てっきり今拠点にしているバーへと戻されるのかと思っていたが、違うのか。早く帰りたい。ここにいたらまたさっきの子が来てしまう。またヒーローに保護してもらえるとか訳のわからないことを言われてしまいそうだ。死柄木のいる所でそんなこと言われたりなんてしたら、後で何をされるか分かったものじゃない。それだけは避けたい。

「戻ったか。1人逃がしたらしい。応援を呼ばれるのも時間の問題だ。ゲームオーバーってとこだな。帰るぞ」

私を見つけるとそう言いながら死柄木が近付いて来た。どうせ帰るならわざわざ呼びつけなくていいじゃないか。

「あぁ、そうだ。帰る前に」

死柄木が何か思い立ったかのようにプールへ視線を向けた。かと思うと、すぐさまそこに隠れていたうちの1人の女の子に向かって手を伸ばしながら

「平和の象徴の矜持を少しでもヘシ折って帰ろう!」

そう言って近づいた。
あの子、可哀想。ヒーローを目指そうなんてバカみたいな夢を抱いてしまったが故に、こんな所で死んでしまうのね。そう思いながら眺めていたが、一向に女の子が崩れていく様子がない。死柄木の5本の指全てがあの子の頭に触れているのに、どうしてだろう。彼の5指に触れられただけで形を保っていられなくなるはずなのに。

「……ほんと、かっこいいぜ。イレイザーヘッド」

死柄木が呟きながら、私の方を向いた。正確に言うと、私の方ではなくて私の後ろで脳無に殺されそうになっている人を見て。
その人は脳無に頭を鷲掴みにされながらも必死な形相で死柄木を見ている。この人が死柄木の個性を消しているのだろうか。あんなにボロボロで、息をするだけでも苦しそうなのに。そんな状態になっても尚、生徒を守ろうとするだなんて。すごいとは思うけれどもやっぱり理解出来ない。どうして他人のためにそこまで必死になれるのだろうか。人なんか助けずに自分を大切にすればいいのに。ヒーローって存在は悉く理解出来ない。
男の人は脳無に叩きつけられ、気を失った。…身近の人がこんな目に遭う姿を見せられたりなんてしたら、この場にいるこの子達はトラウマになってしまうだろう。可哀想に。そんな風に思って眺めていると、死柄木に襲われかけていた女の子と一緒に居たうちの1人が「手ェ離せ!スマーーーッシュッッッ!!!」掛け声を叫びながら死柄木へと向かって行った。スマッシュということはオールマイトの信者だろうか。動きも似ている気がする。まぁ、どうでもいいや。

「黒霧、私先に帰る」
「お待ちください。もう少しで片がつくでしょう。そう長い時間はかからないので我慢してください」

どうして待たなくてはいけないの。あの子が来てしまったらどうするんだ。どうせ帰るのなら先に帰ってもいいじゃないか。……そう言ったところで無駄なだけだから諦めるが。
決着が着くまで本を読んでいよう。そう思いちょうど椅子代わりになりそうなものがあったのでそこに腰を下ろし本を開く。私のその様子を黒霧が呆れたように見ているが気にせず読み進め…ようとしたが、凄まじい突風が起き、私も死柄木も黒霧も引き連れて来ていた人達もみんな吹き飛ばされてしまい、それどころではなくなった。

「もう大丈夫。私が来た」

セリフと共に禍々しいプレッシャーを放ちながらオールマイトが現れた。
その姿に

「コンティニューだ」

嬉しそうにニタァッと笑いながら呟く死柄木がいた。
…帰れるのはまだまだ先みたいだ。早く帰りたい。ヒーローとなんてこれ以上、関わりたくない。
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