鳥籠の中夢視る
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この状況どうすればいいの。個性を使う…なんて無理。文章を書いている間に凍らされてしまう。逃げる?もっと無理。私の体力じゃあっという間に追いつかれる。戦う…そんなの論外。自殺行為にも程がある。こんな見るからに強そうな人となんて戦える訳がない。
男の子がじっと私のことを見つめている。そんな相手のことを私も見つめ返すことしか出来ない。お互い微動だにせず、じっと見つめ合う。辺り一面が静寂に包みこまれる。どれだけの時間が経過したのだろう。…いや、恐らく一分にも満たない時間なのだろう。だけどもとてつもなく長い時間に感じる。居心地悪い。やはりこんな所来たくなかった。拠点としているバーに閉じこもり本を読み耽っていた方が何倍もマシだった。あの人の、死柄木の一緒に来いと言う命令なんて無視すればよかった。こんなに居心地の悪い所へ来るくらいなら、命令を無視されたことに逆上して怒り狂う死柄木に殴られた方が余程マシだった。
「お前、なんでこんなとこにいるんだ」
男の子が沈黙を破り、私に問い掛けてきた。どうしてそんな問いかけをしてくるのだろう。他の人達は皆、問答無用で凍らせたみたいなのに何故私のことは凍らせないのだろう。この人はなんで、私のことを怒ったような顔で見つめながら尋ねてくるのだろう。よくわからない人。
「おい、答えろ」
腕を強くつかまれた。痛い。このまま折られてしまうんじゃないだろうか。痛みに表情が引きつっているであろう私のことなんてお構いなしに、睨みつけてくる。なんなのこの人。
「…離して」
そう抗議しても男の子は離してくれない。それどころか掴む力が強くなった。痕が残ってしまいそうだ。
「答えろっつってんだろ。なんでこんなとこにいるんだ」
いつまでも質問に答えない私に苛立ったのか、少々語気を荒げながら言う。本当になんなんだこの人は。
腕を振り解こうとしてみるが、全く振りほどけそうにない。どうしたものかと考えていると、溜息を吐かれた。そして
「行くぞ」
そう言いながら腕を引かれ、座っていた大きい岩から立たされその場から連れ出された。
「は、離して…!行くってどこへ…」
「ヒーローのとこだ。向こうにイレイザー・ヘッドと13号がいる。もう少ししたら恐らくオールマイトも来る。雄英から応援もな。そうすりゃ誰かしらに保護してもらえるだろ。だから行くぞ」
保護?何を言っているのこの人は。どこまで行っても意味が解らない。
「離して。私は保護なんて望んでない」
そう抗議しても男の子は聞き耳持たず、私の腕を引いたまま歩き続ける。
「大丈夫だ。ヒーローのとこ行けば、もう安全だ」
話が噛み合わない。私の声、聞こえていないの?
「離してって言っているでしょう。私はヒーローに保護してもらいたいなんて思っていないとも言ったわ。同じこと何度も言わせないで」
ヒーローなんて、嫌いだ。関わりたくない。なのに何で今からその嫌いなヒーローが沢山いる所へ行かないといけないの。考えただけで吐き気がする。
腕を振り解こうとしても、やはり振りほどけない。……こんな所を、あの人に、死柄木に見られなんてしたらどうなるだろう。
『綴、忘れんなよ?お前は俺の所有物だ。お前の個性も、嫌、個性だけじゃねぇ。お前の持ってるもんは全部、俺のもんだ。わかったな?』
そう言いながら私の首を締め上げて、私の首に首輪をつけて来たあの人に見られたりなんてしたら。逃げようとした、と誤解されでもしたら。この人に言いくるめられて逃亡しようとしてる、と思われたりなんてしたら。私はせいぜい叩かれて数日間食事を抜かれて部屋に閉じ込められるだけで済むと思う。だけど、この人は確実に殺される。見ず知らずの人の生死なんてどうでもいい。だけども自分のせいで死なれたりなんてしたら寝覚めが悪い。早く何とかしてこの人を振り払わないと…
「すみません、その方は我々の仲間なのでね。勝手に持って行かれては困ります。返していただきますよ」
どうしたら男の子を振り切れるか考えていると、突然黒霧の声が耳に入って来た。かと思うと、男の子から引き離されてワープゲートに通された。
ワープゲートに呑まれる寸前、チラリと男の子の方へ視線を向けると目を見開いて焦った様に、必死な形相で私へと手を伸ばしていた。
どうしてあんなに必死になって向かってこようとしたのだろう。不思議で変なよくわからない人。
男の子がじっと私のことを見つめている。そんな相手のことを私も見つめ返すことしか出来ない。お互い微動だにせず、じっと見つめ合う。辺り一面が静寂に包みこまれる。どれだけの時間が経過したのだろう。…いや、恐らく一分にも満たない時間なのだろう。だけどもとてつもなく長い時間に感じる。居心地悪い。やはりこんな所来たくなかった。拠点としているバーに閉じこもり本を読み耽っていた方が何倍もマシだった。あの人の、死柄木の一緒に来いと言う命令なんて無視すればよかった。こんなに居心地の悪い所へ来るくらいなら、命令を無視されたことに逆上して怒り狂う死柄木に殴られた方が余程マシだった。
「お前、なんでこんなとこにいるんだ」
男の子が沈黙を破り、私に問い掛けてきた。どうしてそんな問いかけをしてくるのだろう。他の人達は皆、問答無用で凍らせたみたいなのに何故私のことは凍らせないのだろう。この人はなんで、私のことを怒ったような顔で見つめながら尋ねてくるのだろう。よくわからない人。
「おい、答えろ」
腕を強くつかまれた。痛い。このまま折られてしまうんじゃないだろうか。痛みに表情が引きつっているであろう私のことなんてお構いなしに、睨みつけてくる。なんなのこの人。
「…離して」
そう抗議しても男の子は離してくれない。それどころか掴む力が強くなった。痕が残ってしまいそうだ。
「答えろっつってんだろ。なんでこんなとこにいるんだ」
いつまでも質問に答えない私に苛立ったのか、少々語気を荒げながら言う。本当になんなんだこの人は。
腕を振り解こうとしてみるが、全く振りほどけそうにない。どうしたものかと考えていると、溜息を吐かれた。そして
「行くぞ」
そう言いながら腕を引かれ、座っていた大きい岩から立たされその場から連れ出された。
「は、離して…!行くってどこへ…」
「ヒーローのとこだ。向こうにイレイザー・ヘッドと13号がいる。もう少ししたら恐らくオールマイトも来る。雄英から応援もな。そうすりゃ誰かしらに保護してもらえるだろ。だから行くぞ」
保護?何を言っているのこの人は。どこまで行っても意味が解らない。
「離して。私は保護なんて望んでない」
そう抗議しても男の子は聞き耳持たず、私の腕を引いたまま歩き続ける。
「大丈夫だ。ヒーローのとこ行けば、もう安全だ」
話が噛み合わない。私の声、聞こえていないの?
「離してって言っているでしょう。私はヒーローに保護してもらいたいなんて思っていないとも言ったわ。同じこと何度も言わせないで」
ヒーローなんて、嫌いだ。関わりたくない。なのに何で今からその嫌いなヒーローが沢山いる所へ行かないといけないの。考えただけで吐き気がする。
腕を振り解こうとしても、やはり振りほどけない。……こんな所を、あの人に、死柄木に見られなんてしたらどうなるだろう。
『綴、忘れんなよ?お前は俺の所有物だ。お前の個性も、嫌、個性だけじゃねぇ。お前の持ってるもんは全部、俺のもんだ。わかったな?』
そう言いながら私の首を締め上げて、私の首に首輪をつけて来たあの人に見られたりなんてしたら。逃げようとした、と誤解されでもしたら。この人に言いくるめられて逃亡しようとしてる、と思われたりなんてしたら。私はせいぜい叩かれて数日間食事を抜かれて部屋に閉じ込められるだけで済むと思う。だけど、この人は確実に殺される。見ず知らずの人の生死なんてどうでもいい。だけども自分のせいで死なれたりなんてしたら寝覚めが悪い。早く何とかしてこの人を振り払わないと…
「すみません、その方は我々の仲間なのでね。勝手に持って行かれては困ります。返していただきますよ」
どうしたら男の子を振り切れるか考えていると、突然黒霧の声が耳に入って来た。かと思うと、男の子から引き離されてワープゲートに通された。
ワープゲートに呑まれる寸前、チラリと男の子の方へ視線を向けると目を見開いて焦った様に、必死な形相で私へと手を伸ばしていた。
どうしてあんなに必死になって向かってこようとしたのだろう。不思議で変なよくわからない人。