鳥籠の中夢視る
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朝決まった時間に起きて学校へ行くなんて、意味がわからない。学校なんて行かなくても、わざわざ朝早くに起きなくても、好きな時間に起きて好きなことをすればいいのに。雄英に通っているあの子達からしたらそんな風に思う私の方がきっと、可笑しいのだろうけども。でもそれ以上に
「急がないと遅刻しちまうぞ。早く行こう」
目の前にいるこの轟焦凍と言う人の方が可笑しいと思う。
「どうしてここにいるの」
「学校一緒に行こうと思って迎えに来た」
問いかけてみるとあっさりと返答された。どうして一緒に行かないといけないのかと更に問いかけてみると「目的地同じなんだしいいだろ、早く行くぞ」と言い、私の腕を引きながら歩き出した。
この子はなんなんだろう。昨日もずっと見られていたし、どうしてこんなに私のことを何かと気にするのか。全くわからない。いつかわかる日が来るのかな。
「俺のこと、思い出したか?」
轟君が私のことを見つめながら問いかけてきた。またその話か…。
「思い出したも何も、そもそも私は貴方のことなんて知らないわ」
という私の答えを聞くと微かに残念そうな顔をして「そうか…」と呟き、それきり黙り込んでしまった。
それにしても腕が痛い。逃げないから離して欲しい。そんな思いを抱えたまま、学校へ辿り着いてしまった。
また長い1日の始まりだ。1日だけだと思っていたから耐えられたけれども、これがこの先何日…下手したら何年も続くかもしれないのだと考えると気が遠くなってしまう。ひょっとしてあの人の目的は私への嫌がらせ?あの魔王なら有り得る。
「あっそうだ。これ、渡し忘れてた」
そう言ったかと思うと立ち止まり、鞄から本を取り出して渡して来た。
「USJの時、落としてただろ。目覚ましたら渡そうと思ってたんだ」
大切なんだろ?と言いながら。おずおずとお礼を言いつつ受け取ると「どういたしまして」と、微かに微笑みながら返事をされた。
…なんで、だろう。この笑顔を昔、どこかで見たことがあるような、そんな気がするのは。
◇
教室へ入ると
「おっはよー!!ねぇねぇ綴ちゃん。今日の放課後、女子全員で買い物行くの。だからさ、綴ちゃんも一緒に行こうよ。ついでにこの辺の観光案内?するから!」
透明化の個性を持っていると言っていた子…葉隠さんがテンション高く声を掛けてきた。
「私は行かな…」
「ダメー!女子全員強制参加です!という訳で放課後は私らと買い物だよ」
ピンクの子…芦戸さんが私の言葉を遮り葉隠さんに負けず劣らずテンション高く言う。
「私、勝手に出歩かないように言われているから…」
「それなら大丈夫。もう先に相澤先生とオールマイトと校長先生の許可取ってあるから。だから心置き無く出掛けられるよ」
黒髪でボーイッシュな印象の女の子…耳郎さんがトドメを刺して来た。どうして許可なんて出すのよ。私を監視する目的で雄英へ入れたのでしょう。なのになんでこんなに緩いのよ。
雄英はもっとセキュリティとか諸々ちゃんとした方がいいと思う。体育祭もやるみたいだし、少し呑気すぎない?オール・フォー・ワンのことを甘く見過ぎだと思う。オールマイトならあの人のこと知っているだろうに。思わずそんなことを言いたくなってしまう。
◇
買い物になんて行きたくない。時間が止まればいいのに。そう願えば願うほど、あっという間もなく時間はすぐに経ってしまう。もう放課後だ。
こっそり教室を出ようとしたが右腕を葉隠さん、左腕を芦戸さんに掴まれて「さぁ、買い物だー!」「女子全員集合だー!」と大声を上げられて、逃げることが出来なかった。そのまま腕を引かれて、女子全員との買い物へと連れ出されてしまった。
「今日はね、綴ちゃんに服とか下着とかを買ってあげるようにって言われてるの。それで校長先生がね、お金くれたんだよ。余ったらお茶してもいいよだって。楽しみだね」
そうはしゃいでいる葉隠さんと芦戸さんのことも、当たり前のように私に話しかけてくる他のクラスメイト達のことも、何かと気にかけてくる轟君のことも、きっと私には一生理解出来ないだろう。
どうしてヴィラン側にいた私に、なんの警戒心もなく話しかけてこれるの?関わろうとしてくるの?…このクラスの人達はみんなキラキラと輝いていて、光そのものみたい。眩しくて綺麗で、一緒にいると自分が酷く醜いものの様な気がしてくる。出来る限り、同じ空間にいたくない。1人、何もない真っ暗な闇の中に沈んでしまいたい。
なのに、この人達はみんな、そんなこと許してくれなさそうだ。光なんてもう、浴びたくないのに。
「急がないと遅刻しちまうぞ。早く行こう」
目の前にいるこの轟焦凍と言う人の方が可笑しいと思う。
「どうしてここにいるの」
「学校一緒に行こうと思って迎えに来た」
問いかけてみるとあっさりと返答された。どうして一緒に行かないといけないのかと更に問いかけてみると「目的地同じなんだしいいだろ、早く行くぞ」と言い、私の腕を引きながら歩き出した。
この子はなんなんだろう。昨日もずっと見られていたし、どうしてこんなに私のことを何かと気にするのか。全くわからない。いつかわかる日が来るのかな。
「俺のこと、思い出したか?」
轟君が私のことを見つめながら問いかけてきた。またその話か…。
「思い出したも何も、そもそも私は貴方のことなんて知らないわ」
という私の答えを聞くと微かに残念そうな顔をして「そうか…」と呟き、それきり黙り込んでしまった。
それにしても腕が痛い。逃げないから離して欲しい。そんな思いを抱えたまま、学校へ辿り着いてしまった。
また長い1日の始まりだ。1日だけだと思っていたから耐えられたけれども、これがこの先何日…下手したら何年も続くかもしれないのだと考えると気が遠くなってしまう。ひょっとしてあの人の目的は私への嫌がらせ?あの魔王なら有り得る。
「あっそうだ。これ、渡し忘れてた」
そう言ったかと思うと立ち止まり、鞄から本を取り出して渡して来た。
「USJの時、落としてただろ。目覚ましたら渡そうと思ってたんだ」
大切なんだろ?と言いながら。おずおずとお礼を言いつつ受け取ると「どういたしまして」と、微かに微笑みながら返事をされた。
…なんで、だろう。この笑顔を昔、どこかで見たことがあるような、そんな気がするのは。
◇
教室へ入ると
「おっはよー!!ねぇねぇ綴ちゃん。今日の放課後、女子全員で買い物行くの。だからさ、綴ちゃんも一緒に行こうよ。ついでにこの辺の観光案内?するから!」
透明化の個性を持っていると言っていた子…葉隠さんがテンション高く声を掛けてきた。
「私は行かな…」
「ダメー!女子全員強制参加です!という訳で放課後は私らと買い物だよ」
ピンクの子…芦戸さんが私の言葉を遮り葉隠さんに負けず劣らずテンション高く言う。
「私、勝手に出歩かないように言われているから…」
「それなら大丈夫。もう先に相澤先生とオールマイトと校長先生の許可取ってあるから。だから心置き無く出掛けられるよ」
黒髪でボーイッシュな印象の女の子…耳郎さんがトドメを刺して来た。どうして許可なんて出すのよ。私を監視する目的で雄英へ入れたのでしょう。なのになんでこんなに緩いのよ。
雄英はもっとセキュリティとか諸々ちゃんとした方がいいと思う。体育祭もやるみたいだし、少し呑気すぎない?オール・フォー・ワンのことを甘く見過ぎだと思う。オールマイトならあの人のこと知っているだろうに。思わずそんなことを言いたくなってしまう。
◇
買い物になんて行きたくない。時間が止まればいいのに。そう願えば願うほど、あっという間もなく時間はすぐに経ってしまう。もう放課後だ。
こっそり教室を出ようとしたが右腕を葉隠さん、左腕を芦戸さんに掴まれて「さぁ、買い物だー!」「女子全員集合だー!」と大声を上げられて、逃げることが出来なかった。そのまま腕を引かれて、女子全員との買い物へと連れ出されてしまった。
「今日はね、綴ちゃんに服とか下着とかを買ってあげるようにって言われてるの。それで校長先生がね、お金くれたんだよ。余ったらお茶してもいいよだって。楽しみだね」
そうはしゃいでいる葉隠さんと芦戸さんのことも、当たり前のように私に話しかけてくる他のクラスメイト達のことも、何かと気にかけてくる轟君のことも、きっと私には一生理解出来ないだろう。
どうしてヴィラン側にいた私に、なんの警戒心もなく話しかけてこれるの?関わろうとしてくるの?…このクラスの人達はみんなキラキラと輝いていて、光そのものみたい。眩しくて綺麗で、一緒にいると自分が酷く醜いものの様な気がしてくる。出来る限り、同じ空間にいたくない。1人、何もない真っ暗な闇の中に沈んでしまいたい。
なのに、この人達はみんな、そんなこと許してくれなさそうだ。光なんてもう、浴びたくないのに。
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