アサガオ
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学校が終わって家へ帰ると、
「だからダメだと言ってるだろ!!!」
扉を開けた瞬間親父の怒鳴り声が聞こえてきた。何事かと思っていると
「なんでダメなの?!いいじゃん別に!パパってなんでいつもそうなの?!」
続いて夏菜芽の叫び声が聞こえてきた。親子喧嘩をしてるのか。珍しいなと思いながら家の中に入り、居間へ行くと俺に気が付いた姉さんが苦笑気味に「焦凍…お帰り」と言って来たのでただいまと返事をしつつ何があったのかと聞くと、
「もうすぐ雄英体育祭でしょ?カナがね、出場するって言ったらお父さんが…」
そこまで聞いてすべて理解した。夏菜芽が体育祭に出ると言ったのを聞き、親父が反対して今に至るのだろう。
「何度も同じことを言わせるな!夏菜芽、お前は無個性なんだ。そんな子を出場なんてさせられる訳ないだろう!わかってくれ!!」
「わかんないよ!なんでダメなの?!別に無個性の生徒が出場しちゃダメなんてルールないんだからさ!!体育祭は学校行事だよ?!予選で敗退するかもしれないけど出場だけでもさせてよ!!!」
親父と夏菜芽の口論は収まる気配を見せない。それどころか悪化する一方だ。そんな様子を見兼ねてか、姉さんが溜息を吐いて居間を出て2人のいる部屋へと向かって行った。
◇
「焦凍、ちょっといい?」
夕食を食べ終え、部屋で課題をしていると扉の前から夏菜芽の声が聞こえてきた。
「どうした?」
そう返事をすると夏菜芽が部屋に入ってきた。
「あの、さ…。私、今日、パパと喧嘩しちゃったの…」
歯切れ悪く言う夏菜芽に「知ってる」と答えると「あ、うん…そうだよね、帰ってきてたもんね…」などと1人でブツブツと言っている。夏菜芽のそんな態度に首を傾げていると意を決したように
「ねぇ、焦凍。パパと口利くの嫌だとは思うけどさ、その…パパを説得するの、手伝ってくれない?」
服の裾をぎゅっと掴み、俯きながら言った。説得…というのは恐らく、体育祭に出場させて貰える様に、ということだろう。……体育祭に出たいという夏菜芽の気持ちはよくわかる。だけど、
「悪い、今回ばっかりは…俺もアイツと同じ意見だ」
雄英の体育祭は、個性の使用が大前提だ。俺みたいな強力な個性を持った奴が沢山いる。それだけじゃない。危険な障害物だって沢山あるんだ。そんなあぶねぇとこに、無個性の夏菜芽を放り込むなんて絶対に嫌だ。怪我で済むわけがねぇ。普段だったら俺が守ってやれる。けど体育祭となっちゃそういう訳にもいかねぇ。
「夏菜芽、頼む。体育祭は諦めてくれ」
俺の返事を聞くと、夏菜芽はじっと無言で俺のことを見つめて来た。お母さんにそっくりのその目に見つめられるのが耐えられず、目を逸らしてしまった。
夏菜芽はしばらく無言だったが、不意に口を開いて
「…わかったよ、パパだけじゃなくて冬姉にも夏兄にも、ママにもダメって言われたし。そんでもって焦凍にまで反対されたらそりゃ、諦めるしかないよね」
課題やってたんでしょ?ごめん、邪魔して。じゃ、おやすみ。そう言って夏菜芽は部屋から出て行ってしまった。
「……俺の方こそ、ごめんな」
その場にはもういない夏菜芽に、小声で謝罪した。俺の謝罪は、その場に虚しく響き渡って消えた。
「だからダメだと言ってるだろ!!!」
扉を開けた瞬間親父の怒鳴り声が聞こえてきた。何事かと思っていると
「なんでダメなの?!いいじゃん別に!パパってなんでいつもそうなの?!」
続いて夏菜芽の叫び声が聞こえてきた。親子喧嘩をしてるのか。珍しいなと思いながら家の中に入り、居間へ行くと俺に気が付いた姉さんが苦笑気味に「焦凍…お帰り」と言って来たのでただいまと返事をしつつ何があったのかと聞くと、
「もうすぐ雄英体育祭でしょ?カナがね、出場するって言ったらお父さんが…」
そこまで聞いてすべて理解した。夏菜芽が体育祭に出ると言ったのを聞き、親父が反対して今に至るのだろう。
「何度も同じことを言わせるな!夏菜芽、お前は無個性なんだ。そんな子を出場なんてさせられる訳ないだろう!わかってくれ!!」
「わかんないよ!なんでダメなの?!別に無個性の生徒が出場しちゃダメなんてルールないんだからさ!!体育祭は学校行事だよ?!予選で敗退するかもしれないけど出場だけでもさせてよ!!!」
親父と夏菜芽の口論は収まる気配を見せない。それどころか悪化する一方だ。そんな様子を見兼ねてか、姉さんが溜息を吐いて居間を出て2人のいる部屋へと向かって行った。
◇
「焦凍、ちょっといい?」
夕食を食べ終え、部屋で課題をしていると扉の前から夏菜芽の声が聞こえてきた。
「どうした?」
そう返事をすると夏菜芽が部屋に入ってきた。
「あの、さ…。私、今日、パパと喧嘩しちゃったの…」
歯切れ悪く言う夏菜芽に「知ってる」と答えると「あ、うん…そうだよね、帰ってきてたもんね…」などと1人でブツブツと言っている。夏菜芽のそんな態度に首を傾げていると意を決したように
「ねぇ、焦凍。パパと口利くの嫌だとは思うけどさ、その…パパを説得するの、手伝ってくれない?」
服の裾をぎゅっと掴み、俯きながら言った。説得…というのは恐らく、体育祭に出場させて貰える様に、ということだろう。……体育祭に出たいという夏菜芽の気持ちはよくわかる。だけど、
「悪い、今回ばっかりは…俺もアイツと同じ意見だ」
雄英の体育祭は、個性の使用が大前提だ。俺みたいな強力な個性を持った奴が沢山いる。それだけじゃない。危険な障害物だって沢山あるんだ。そんなあぶねぇとこに、無個性の夏菜芽を放り込むなんて絶対に嫌だ。怪我で済むわけがねぇ。普段だったら俺が守ってやれる。けど体育祭となっちゃそういう訳にもいかねぇ。
「夏菜芽、頼む。体育祭は諦めてくれ」
俺の返事を聞くと、夏菜芽はじっと無言で俺のことを見つめて来た。お母さんにそっくりのその目に見つめられるのが耐えられず、目を逸らしてしまった。
夏菜芽はしばらく無言だったが、不意に口を開いて
「…わかったよ、パパだけじゃなくて冬姉にも夏兄にも、ママにもダメって言われたし。そんでもって焦凍にまで反対されたらそりゃ、諦めるしかないよね」
課題やってたんでしょ?ごめん、邪魔して。じゃ、おやすみ。そう言って夏菜芽は部屋から出て行ってしまった。
「……俺の方こそ、ごめんな」
その場にはもういない夏菜芽に、小声で謝罪した。俺の謝罪は、その場に虚しく響き渡って消えた。