アサガオ
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「カナ!カナー!!大変大変!!しょ、焦凍がお母さんのお見舞い行くって!!」
焦凍と話していた冬姉が私を見ると、すごく驚いたような焦ったような顔で話しかけてきた。
「うん、だから今から一緒に行くとこだよ」
そう返答すると「えっ聞いてない!!」と冬姉はまた驚いたように言う。
「焦凍、冬姉にママに会いに行くことにしたって言ってなかったの?」
「今言ったぞ?」
いや、そういうのって事前に知らせておくべきことじゃないの?焦凍らしいといえばらしいけど…。冬姉と顔を見合わせて苦笑し合う。
「2人共、気をつけて行って来てね」
冬姉が少し泣きそうな、嬉しそうな顔で言ってくれた。その笑顔に釣られて私と焦凍も笑顔で「うん!」と返事をし、家を出た。
◇
「その花綺麗だな」
お花屋さんで買った花束を見ながら焦凍が言う。
「あぁ、これ?リンドウって言うんだよ。ママが好きなんだって」
「お母さんが?そうなのか…夏菜芽はお母さんの好きな花とかちゃんと知ってるんだな…」
俺は、何も知らねぇや…と、少ししゅんとした様子で呟く。
「そんなに落ち込まなくても…」
思わず呆れたように言うと、「落ち込むって…本当、何もかもお前に押し付けちまってたんだなって、情けねぇ…」と、更にしゅんとしてしまった。
「押し付けられたなんて思ってないよ!なんで焦凍っていつもそう暗くなるかなー!私は、自分がママに会いたいからお見舞いに行ってんの!そこ間違えないでくれない?」
焦凍のほっぺをムニッと引っ張りながら文句を言う。
「ひひゃっ!ひ、ひっひゃひゅひゃひょ…!」
と、(多分)抗議の声が聞こえたが「やだー!焦凍が勘違い正すまでやめないー!!」と言って引っ張り続ける。
「ひゃひゃひゃ!ひゃひゅひょ!!」
「えっ?何ー?何言ってんのかわかんないー」
焦凍が抗議してくるが無視して引っ張り続ける。なんかちょっと楽しくなってきた。
「ひゃひゅひゃっひゃ」
悪かったって言ってる気がする。仕方ないなー、許してあげましょー。そう言いながらほっぺを離すと焦凍はちょっと疲れたような顔をしている。久しぶりにからかえて楽しかったな。満足!
「ママがリンドウ好きってね、パパから教えてもらったんだ」
「親父に?」
パパから教えてもらったというと、焦凍は目を見開いた。
「うん。10年くらい前にさ、パパとオールマイトが対談した時あったじゃん?」
あのほら、私がオールマイトに会いたいって言って連れて行ってもらった時!というと
「あぁ…あったな。夏菜芽が親父の足にしがみついて泣き喚きながら連れてけって言うから親父が根負けして連れてったんだよな」
と付け足してきた。
「そこはわざわざ言わないでよ!」
「可愛かったよな、あの頃のお前は。俺のほっぺ今みたいに引っ張ったりしてこなくて」
ちょっと拗ね気味に言われた。あれ、さっきのことかなり根に持ってる?まぁいいや。
「あの日の帰り道にね、お花屋さんがあってそれで店先にリンドウが置いてあったの。でそれ見て私があれ綺麗だねーって言ったら『母さんも好きな花だ』って教えてくれたの」
と言うことを説明すると「そうなのか…」とぼそっと呟き、
「アイツがお母さんの好きな花知ってるなんてびっくりした…」
と、本気で驚いたような顔をして言った。そんな焦凍に思わず声を上げて笑ってしまうと、「そこまで笑うほど面白ぇこと言ったか俺…?」とめちゃくちゃ不思議そうな顔をされた。
…焦凍も冬姉も夏兄も知らないけれども、パパは何度かママに会いに行っている。毎回必ずママの好きなリンドウの花を持って。お医者さんに止められてるから、直接は会ってないみたいだけども。…いつか、パパとママも会える日が来たらいいな。
◇
「焦凍、入るよ?」
ママの病室の前まで着いて、焦凍に声をかけると「お、おう…」と少し緊張した様子で頷かれた。そんな片割れのことを尻目にしつつドアを叩くと「はい」という返事が聞こえた。
「ママ、私!夏菜芽!」
「あら、また来てくれたの?ありがとう、夏菜芽。入ってきて」
嬉しそうな優しげな声が返ってきた。チラッと焦凍の方を見ると、さっきよりももっと緊張したみたいな顔をしてる。
「大丈夫?」と小声で尋ねるとやっぱり「お、おう…!」との返事。ほ、ほんとに大丈夫かな…と心配に思いつつも一呼吸して、ドアを開けて病室に入った。
「いらっしゃい、夏菜芽…あっ」
私の方を笑顔で振り向いたママの目に、後ろにいた焦凍の姿が入ったみたいで驚いたような顔をする。焦凍は困ったような顔をしてママから目を逸らしている。
「焦凍…会いに来てくれたの…?」
ママが今にも泣き出しそうな顔で言う。焦凍はというと困ったような表情のまま「うん…」と返事をする。まだ躊躇っているのか、ママの方へ行こうとしない。もう…。
「ほら、早く行きなよ!」
小声で言いながら焦凍の背中を軽く押してママの方へと行かせる。
「焦凍…!ありがとう、ありがとうね、来てくれて!!」
ママが嬉しそうに泣きながら焦凍を抱き締めて言う。そんなママの態度に焦凍は驚いたように目を見開きつつも、すごく嬉しそうに、照れ臭そうにしている。
2人のそんな様子を見ていたら、目頭が熱くなって来た。慌てて2人に見られないように後ろを振り向いて「私なんか飲み物買ってくる!!」と宣言して2人の返事も聞かずに病室を出た。
そして病室を出て、1人になってからこっそり泣いた。
焦凍と話していた冬姉が私を見ると、すごく驚いたような焦ったような顔で話しかけてきた。
「うん、だから今から一緒に行くとこだよ」
そう返答すると「えっ聞いてない!!」と冬姉はまた驚いたように言う。
「焦凍、冬姉にママに会いに行くことにしたって言ってなかったの?」
「今言ったぞ?」
いや、そういうのって事前に知らせておくべきことじゃないの?焦凍らしいといえばらしいけど…。冬姉と顔を見合わせて苦笑し合う。
「2人共、気をつけて行って来てね」
冬姉が少し泣きそうな、嬉しそうな顔で言ってくれた。その笑顔に釣られて私と焦凍も笑顔で「うん!」と返事をし、家を出た。
◇
「その花綺麗だな」
お花屋さんで買った花束を見ながら焦凍が言う。
「あぁ、これ?リンドウって言うんだよ。ママが好きなんだって」
「お母さんが?そうなのか…夏菜芽はお母さんの好きな花とかちゃんと知ってるんだな…」
俺は、何も知らねぇや…と、少ししゅんとした様子で呟く。
「そんなに落ち込まなくても…」
思わず呆れたように言うと、「落ち込むって…本当、何もかもお前に押し付けちまってたんだなって、情けねぇ…」と、更にしゅんとしてしまった。
「押し付けられたなんて思ってないよ!なんで焦凍っていつもそう暗くなるかなー!私は、自分がママに会いたいからお見舞いに行ってんの!そこ間違えないでくれない?」
焦凍のほっぺをムニッと引っ張りながら文句を言う。
「ひひゃっ!ひ、ひっひゃひゅひゃひょ…!」
と、(多分)抗議の声が聞こえたが「やだー!焦凍が勘違い正すまでやめないー!!」と言って引っ張り続ける。
「ひゃひゃひゃ!ひゃひゅひょ!!」
「えっ?何ー?何言ってんのかわかんないー」
焦凍が抗議してくるが無視して引っ張り続ける。なんかちょっと楽しくなってきた。
「ひゃひゅひゃっひゃ」
悪かったって言ってる気がする。仕方ないなー、許してあげましょー。そう言いながらほっぺを離すと焦凍はちょっと疲れたような顔をしている。久しぶりにからかえて楽しかったな。満足!
「ママがリンドウ好きってね、パパから教えてもらったんだ」
「親父に?」
パパから教えてもらったというと、焦凍は目を見開いた。
「うん。10年くらい前にさ、パパとオールマイトが対談した時あったじゃん?」
あのほら、私がオールマイトに会いたいって言って連れて行ってもらった時!というと
「あぁ…あったな。夏菜芽が親父の足にしがみついて泣き喚きながら連れてけって言うから親父が根負けして連れてったんだよな」
と付け足してきた。
「そこはわざわざ言わないでよ!」
「可愛かったよな、あの頃のお前は。俺のほっぺ今みたいに引っ張ったりしてこなくて」
ちょっと拗ね気味に言われた。あれ、さっきのことかなり根に持ってる?まぁいいや。
「あの日の帰り道にね、お花屋さんがあってそれで店先にリンドウが置いてあったの。でそれ見て私があれ綺麗だねーって言ったら『母さんも好きな花だ』って教えてくれたの」
と言うことを説明すると「そうなのか…」とぼそっと呟き、
「アイツがお母さんの好きな花知ってるなんてびっくりした…」
と、本気で驚いたような顔をして言った。そんな焦凍に思わず声を上げて笑ってしまうと、「そこまで笑うほど面白ぇこと言ったか俺…?」とめちゃくちゃ不思議そうな顔をされた。
…焦凍も冬姉も夏兄も知らないけれども、パパは何度かママに会いに行っている。毎回必ずママの好きなリンドウの花を持って。お医者さんに止められてるから、直接は会ってないみたいだけども。…いつか、パパとママも会える日が来たらいいな。
◇
「焦凍、入るよ?」
ママの病室の前まで着いて、焦凍に声をかけると「お、おう…」と少し緊張した様子で頷かれた。そんな片割れのことを尻目にしつつドアを叩くと「はい」という返事が聞こえた。
「ママ、私!夏菜芽!」
「あら、また来てくれたの?ありがとう、夏菜芽。入ってきて」
嬉しそうな優しげな声が返ってきた。チラッと焦凍の方を見ると、さっきよりももっと緊張したみたいな顔をしてる。
「大丈夫?」と小声で尋ねるとやっぱり「お、おう…!」との返事。ほ、ほんとに大丈夫かな…と心配に思いつつも一呼吸して、ドアを開けて病室に入った。
「いらっしゃい、夏菜芽…あっ」
私の方を笑顔で振り向いたママの目に、後ろにいた焦凍の姿が入ったみたいで驚いたような顔をする。焦凍は困ったような顔をしてママから目を逸らしている。
「焦凍…会いに来てくれたの…?」
ママが今にも泣き出しそうな顔で言う。焦凍はというと困ったような表情のまま「うん…」と返事をする。まだ躊躇っているのか、ママの方へ行こうとしない。もう…。
「ほら、早く行きなよ!」
小声で言いながら焦凍の背中を軽く押してママの方へと行かせる。
「焦凍…!ありがとう、ありがとうね、来てくれて!!」
ママが嬉しそうに泣きながら焦凍を抱き締めて言う。そんなママの態度に焦凍は驚いたように目を見開きつつも、すごく嬉しそうに、照れ臭そうにしている。
2人のそんな様子を見ていたら、目頭が熱くなって来た。慌てて2人に見られないように後ろを振り向いて「私なんか飲み物買ってくる!!」と宣言して2人の返事も聞かずに病室を出た。
そして病室を出て、1人になってからこっそり泣いた。