アサガオ
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「君の!力じゃないか!!」
緑谷のその言葉を、焦凍はどんな思いで聞いて、どんな風に受け取ったんだろう。
◇
準決勝の1回戦は焦凍と緑谷の試合だ。
「夏菜芽、次お兄ちゃんの出番だね!」
「えっ…うん、そう、だね…」
友達の言葉に歯切れ悪く答える。そんな私の様子に首を傾げながら不思議そうな顔で「どうしたの?なんか心配事?」と聞いてきたので慌てて「なんでもない!!」と答える。
焦凍の応援はもちろんするけど、さっきのパパとのやり取りを思い出すとどうしても素直に応援しようという気持ちになれない。
もやもやが収まらないまま、2人の試合が始まってしまった。
◇
緑谷と焦凍のバトルは、焦凍の勝利で幕を下ろした。周りのみんながざわざわと騒ぐ中、私は呆然と試合の様子を見つめることしか出来ない。
「夏菜芽…!」
隣に座る友達が大きな声で私のことを呼ぶ。その声にハッとし、
「なっ、何…?」
と返事をするのがやっとだった。
「大丈夫…?泣いてるけど…」
遠慮がちに言う友達の言葉で、初めて自分が涙を流しぼろぼろと泣いていることに気が付いた。
「えっ…あっや、やだどうしたんだろ私…!ごめん、なんでも、何でもない…!ごめん、気にしないで…!」
と言いながら涙を拭うけれども、拭おうとすればするほど、余計涙が零れてきて止まらなくなってどうしようもなくなる。友達がおろおろとしながら
「ちょっ!大丈夫じゃない、大丈夫じゃない!!絶対に大丈夫じゃない!!泣くな泣くなー!!」
って言いながらハンカチで涙を拭いてくれて、頭を撫でられた。
「頭撫でないでー!!」
そう言うとまた、涙が溢れてきて鼻水まで出て来た。そんな私のことを友達が苦笑しながら見ている。
「ごめんごめん、ほら顔洗いに行くよ」
と言って、私の腕を引く。
「…1人で行く」
「…わかった。じゃあそこまで送らせて」
スタジアムの出口を指差しながら言う友達に頷くと、「じゃあ行こう」と笑って私の腕を引きながら出口まで足を進め始めた。
…本当、私にはもったいないくらい優しい友達。
◇
焦凍が左側…パパから受け継いだ、炎の個性を使った。その事実が、信じられない。けど、水の冷たさで現実だということを思い知る。思い知ってまた、涙が出て来る。
焦凍が、左側を使って、楽しそうに戦ってた。
『君の!力じゃないか!!』
そうだよ。あの炎も、焦凍の力なんだ。パパのものじゃない。
そんな言葉を掛けてくれる人に、そんな当たり前のことを言ってくれる人に、出会えたんだ。
良かった…良かったね、焦凍。緑谷、ありがとう。ちゃんと、轟焦凍を見てくれて、ありがとう。早く泣き止まないと。
◇
…よしっ。涙やっと止まった。目、赤くなってないかな…?多分大丈夫だと思うことにしよう。顔洗ったらすっきりした。
さてと、早く顔拭いてスタジアムに…あれ、ハンカチなくない?ポケットに入れたはずなのに…えっ嘘ない!ハンカチない!!あれなんで?!絶対にポケットに入れたはずなのに…!あれ?!噓でしょどっか落とした?!どうしよう、あのハンカチパパが誕生日にって買ってくれたやつなのに…!お気に入りなのに…!
「おいそこのクソチビ」
クソチビ?!
「誰がクソチビよ失礼ね!」
文句を言いながら振り返ると、色素の薄い爆発したような頭に、眼付きの悪い少年—…
「あれ、あんた…爆豪…?」
多分1番の優勝候補者と言っても過言ではないであろう人、爆豪勝己が立っていた。
「あ?オメェ…半分野郎の妹か?」
は、半分野郎…?誰それ…と聞くと「轟」と返された。た、確かに焦凍右と左で色違いだけども…!ていうか
「なんで私のこと知ってるの?初めて会うと思うんだけど…」
「クソ髪達が言っとった。デクが落としたノート拾って届けに来た奴が半分野郎の妹で赤毛に三つ編みしたクソチビだったって」
「クソ髪…?デク…?てかクソチビってやめてよ!」
「あ?クソチビをクソチビっつっただけだろ。クソ髪ってのは切島でデクっつーのはいず…緑谷だ」
なんなのコイツ。思ってた以上に失礼な奴。パパとなんとなく似てるなって思ってたけど全然似てない。パパは人に嫌なあだ名付けたりなんてしないもん。パパの方が全然良い。パパはちょっとあれなとこが人より多いってだけで悪い人じゃないもん。
どんなネーミングセンスよ、クソ髪って。あんたと切島の髪型大差ないと思うんだけど。…あれ、そういえば今コイツ緑谷のこと一瞬『出久』って名前で呼ぼうとした?ひょっとして仲いいのかな?一ミリたりとも気合わなそうだけど。
ていうか
「なんか用?私ちょっと探し物しなきゃいけないから用件あるならなるべく手短にして貰いたいんだけど…」
ハンカチ探しに行かないと。見つからなかったらどうしよう…。ごめんパパ…。そう思いながら尋ねると「そうかよ。俺だって長々話すほど暇じゃねぇわ」と返しながら、ポケットからハンカチを取り出した。って、これ…!
「さっきオメェのポッケから落ちたぞ」
何度も呼んでんのに全然気づかねぇでよ、と文句を言われた。わ、わざわざ追いかけて来てくれたんだ…。
「ごめん!ありがとう!!このハンカチ宝物だからなくしたのかと思って焦ったよ」
とお礼を言うとチッと舌打ちをしながら「気ぃつけろよな」とぶっきらぼうにハンカチを渡して、ぶっきらぼうに言い放ち、さっさと去って行った。
爆豪ってもしかして、案外親切な人だったりするのかな?引くほど失礼なあだ名付けたりしてたし引くほど口悪かったけど。
また今度改めてお礼を言いに行こう。そしてクソチビっつってきたことは謝らせる。
緑谷のその言葉を、焦凍はどんな思いで聞いて、どんな風に受け取ったんだろう。
◇
準決勝の1回戦は焦凍と緑谷の試合だ。
「夏菜芽、次お兄ちゃんの出番だね!」
「えっ…うん、そう、だね…」
友達の言葉に歯切れ悪く答える。そんな私の様子に首を傾げながら不思議そうな顔で「どうしたの?なんか心配事?」と聞いてきたので慌てて「なんでもない!!」と答える。
焦凍の応援はもちろんするけど、さっきのパパとのやり取りを思い出すとどうしても素直に応援しようという気持ちになれない。
もやもやが収まらないまま、2人の試合が始まってしまった。
◇
緑谷と焦凍のバトルは、焦凍の勝利で幕を下ろした。周りのみんながざわざわと騒ぐ中、私は呆然と試合の様子を見つめることしか出来ない。
「夏菜芽…!」
隣に座る友達が大きな声で私のことを呼ぶ。その声にハッとし、
「なっ、何…?」
と返事をするのがやっとだった。
「大丈夫…?泣いてるけど…」
遠慮がちに言う友達の言葉で、初めて自分が涙を流しぼろぼろと泣いていることに気が付いた。
「えっ…あっや、やだどうしたんだろ私…!ごめん、なんでも、何でもない…!ごめん、気にしないで…!」
と言いながら涙を拭うけれども、拭おうとすればするほど、余計涙が零れてきて止まらなくなってどうしようもなくなる。友達がおろおろとしながら
「ちょっ!大丈夫じゃない、大丈夫じゃない!!絶対に大丈夫じゃない!!泣くな泣くなー!!」
って言いながらハンカチで涙を拭いてくれて、頭を撫でられた。
「頭撫でないでー!!」
そう言うとまた、涙が溢れてきて鼻水まで出て来た。そんな私のことを友達が苦笑しながら見ている。
「ごめんごめん、ほら顔洗いに行くよ」
と言って、私の腕を引く。
「…1人で行く」
「…わかった。じゃあそこまで送らせて」
スタジアムの出口を指差しながら言う友達に頷くと、「じゃあ行こう」と笑って私の腕を引きながら出口まで足を進め始めた。
…本当、私にはもったいないくらい優しい友達。
◇
焦凍が左側…パパから受け継いだ、炎の個性を使った。その事実が、信じられない。けど、水の冷たさで現実だということを思い知る。思い知ってまた、涙が出て来る。
焦凍が、左側を使って、楽しそうに戦ってた。
『君の!力じゃないか!!』
そうだよ。あの炎も、焦凍の力なんだ。パパのものじゃない。
そんな言葉を掛けてくれる人に、そんな当たり前のことを言ってくれる人に、出会えたんだ。
良かった…良かったね、焦凍。緑谷、ありがとう。ちゃんと、轟焦凍を見てくれて、ありがとう。早く泣き止まないと。
◇
…よしっ。涙やっと止まった。目、赤くなってないかな…?多分大丈夫だと思うことにしよう。顔洗ったらすっきりした。
さてと、早く顔拭いてスタジアムに…あれ、ハンカチなくない?ポケットに入れたはずなのに…えっ嘘ない!ハンカチない!!あれなんで?!絶対にポケットに入れたはずなのに…!あれ?!噓でしょどっか落とした?!どうしよう、あのハンカチパパが誕生日にって買ってくれたやつなのに…!お気に入りなのに…!
「おいそこのクソチビ」
クソチビ?!
「誰がクソチビよ失礼ね!」
文句を言いながら振り返ると、色素の薄い爆発したような頭に、眼付きの悪い少年—…
「あれ、あんた…爆豪…?」
多分1番の優勝候補者と言っても過言ではないであろう人、爆豪勝己が立っていた。
「あ?オメェ…半分野郎の妹か?」
は、半分野郎…?誰それ…と聞くと「轟」と返された。た、確かに焦凍右と左で色違いだけども…!ていうか
「なんで私のこと知ってるの?初めて会うと思うんだけど…」
「クソ髪達が言っとった。デクが落としたノート拾って届けに来た奴が半分野郎の妹で赤毛に三つ編みしたクソチビだったって」
「クソ髪…?デク…?てかクソチビってやめてよ!」
「あ?クソチビをクソチビっつっただけだろ。クソ髪ってのは切島でデクっつーのはいず…緑谷だ」
なんなのコイツ。思ってた以上に失礼な奴。パパとなんとなく似てるなって思ってたけど全然似てない。パパは人に嫌なあだ名付けたりなんてしないもん。パパの方が全然良い。パパはちょっとあれなとこが人より多いってだけで悪い人じゃないもん。
どんなネーミングセンスよ、クソ髪って。あんたと切島の髪型大差ないと思うんだけど。…あれ、そういえば今コイツ緑谷のこと一瞬『出久』って名前で呼ぼうとした?ひょっとして仲いいのかな?一ミリたりとも気合わなそうだけど。
ていうか
「なんか用?私ちょっと探し物しなきゃいけないから用件あるならなるべく手短にして貰いたいんだけど…」
ハンカチ探しに行かないと。見つからなかったらどうしよう…。ごめんパパ…。そう思いながら尋ねると「そうかよ。俺だって長々話すほど暇じゃねぇわ」と返しながら、ポケットからハンカチを取り出した。って、これ…!
「さっきオメェのポッケから落ちたぞ」
何度も呼んでんのに全然気づかねぇでよ、と文句を言われた。わ、わざわざ追いかけて来てくれたんだ…。
「ごめん!ありがとう!!このハンカチ宝物だからなくしたのかと思って焦ったよ」
とお礼を言うとチッと舌打ちをしながら「気ぃつけろよな」とぶっきらぼうにハンカチを渡して、ぶっきらぼうに言い放ち、さっさと去って行った。
爆豪ってもしかして、案外親切な人だったりするのかな?引くほど失礼なあだ名付けたりしてたし引くほど口悪かったけど。
また今度改めてお礼を言いに行こう。そしてクソチビっつってきたことは謝らせる。