「あれ、夏菜芽どうしたのー？」

クラスの応援席へ行くと友達が話しかけてきた。

「リカバリーガールにここまででいいよって言われたの。もう怪我人もそんな沢山来ないだろうからって。だから戻って来ちゃった」
「そっか。お疲れ―」

ここ座りなー、と言いながら席を空けてくれたので座らせてもらった。

「今試合どんな感じ？」
「夏菜芽のお兄ちゃんの試合が終わったとこだよ。一瞬で片付いちゃった。アンタのお兄ちゃんほんとすごいね…」

苦笑気味に言われた。焦凍何したんだろ…。パパとのやり取りを思い出すと心配になる。

「次はA組の子とB組の子の試合みたいだよ」

A組の子…誰だろ。そう思いながら眺めてると、上鳴が出てきた。
上鳴が相手の女の子に向かってこの戦いが終わったらお茶でもしないかとか、一瞬で終わるだろうから慰めてあげるとか何とか言ってる。この前話した時とか、さっき食堂で話した時も思ったけどアイツチャラいな。逆に瞬殺されたりして。とか思ってたら本当にその通りになった。あっという間に上鳴の攻撃は相手の子に完封されて即座に倒されてすぐさま上鳴の負けが確定した。
フラグ回収ってこういうののことを言うのかな。

　◇

試合を見ているとあっという間に過ぎるなぁ。4回戦、5回戦と着々と進み決着がついて行く。
みんな夢に向かって必死に戦ってて、すごいな。みんなかなえたい夢に少しでも早く近づくため、必死なんだな。尊敬する。A組の子もB組の子も凄い。…あ。A、B組の子だけじゃないか。緑谷とやってた心操も凄かったしあとあの子。飯田と戦った、サポート科の子…発目さんて子も凄かったな、色んな意味で。完全に対戦相手の飯田を広告塔として利用してて。あの試合飯田の勝ちにはなったけど、ある意味では発目さんの勝ちだった気がする。
実況席で解説してる焦凍のクラスの担任の相澤先生の言う通り商魂たくましい子だった。飯田は…まぁなんか、うん。お疲れって感じ。

「なんかみんなキャラ濃いね…」

ぼーっと考え事してたら隣に座ってる友達に声を掛けられた。

「ね！なんか漫画とかに出てきそうなくらい濃いねみんな」

そう言うと友達は「言えてるー」と笑いながら同意してくれた。

「あっねぇ次の試合あの子だって。この前食堂で夏菜芽が助けて貰ったって言ってた子」
「えっ」

そう言われて視線をスタジアムの方へと向けると、切島が入場して来ていた。
そういえば切島の個性ってどんなのなんだろう。