アサガオ
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昼ご飯を食べ終わり、リカバリーガールの手伝いに戻りながら会場の方はどうなっているのか気になってモニターを見てみると、A組の子達がチアガールの格好をしている姿が目に入って来た。えっえぇぇぇぇぇ…何してんのあの子達…。八百万さんが誰かに怒ってる様子が映ってる。騙されでもしたのかな。そんなことを思いながら見てると、レクリエーションの競技が始まった。必死に借り物競争をしているみんなのことをぼーっとしながら見つめる。みんな楽しそう。いいな。私も、個性があったらあの場に立てていたのかな。
個性があったら、みんなと対等になれたのかな。個性があったら、みんなと一緒にドッジボールしたり、鬼ごっこ出来たりしたのかな。木登りさせて貰えたのかな。ヒーローを目指せたのかな。体育祭に参加させて貰えたのかな。みんなと同じ当たり前を、体験できたのかな。個性があったら、焦凍を支えてあげられたのかな。あぁ、ダメだ、こんなこと考えだしたらダメだ。止められなくなっちゃう。やめないと。でももうやめられない。
どうして私は無個性なの?どうして私だけ家族の中で、クラスの中で、1人だけ無個性なの?私にもエンデヴァ―の…パパの血が、流れてるはずなのにどうして?家族が、友達が、みんなが当たり前に持っているものを、なんで私だけ持ってないの?そんなこと聞いたって誰も答えてなんてくれないってわかってるのに、考えたって仕方ない事だって知ってるのに、一度考え出してしまうとずっと考え続けてしまう。嫌いだ。こんな自分、大っ嫌い。
「アンタ」
突然話しかけられて、驚いて肩をビクッとさせてしまった。「なんですか?」と聞きながらリカバリーガールの方に目を向けると、私のことをじっと見つめながら
「アンタは自分に何が出来るのかしっかりと考えて、その出来ることを責任もってやれる、すごく立派ないい子だね。そんな子を持ててアンタの父親と母親は幸せだろうし、他の兄弟達にとっては自慢の妹だろうね」
ニコニコと笑いながら言う。私みたいな娘を持てて幸せ…
「そう、ですかね…?そうだったら嬉しいです。でも私、無個性だから…だからパパにとっては最低最悪な、失敗作、だと思いますよ。だから、幸せじゃ、ないんじゃないかな…。他の兄弟だって、私のこと自慢になんて思っていないと思いますよ」
別にパパに面と向かってお前は失敗作だ、…そう言われたわけじゃない。いつも焦凍の修行ばかりで、私は二の次だった。けど愛してくれなかったわけじゃない。わがままを聞いてくれたり、イタズラや危ない事をしたら叱ってくれたり、仕事終わりにこっそり私にだけお土産買ってきてくれたり、テストで100点取ったり習字で金賞取ったら頭撫でて「よくやった」って褒めてくれたり。パパはパパなりに不器用なりに、下手くそなりに、沢山の愛情を私にくれてる。でも、けど、やっぱり。どうしても思っちゃうんだ。私は、無個性だから。自分よりも強い個性を持った、オールマイトを超えることの出来る子供が欲しかったパパにとって無個性の私は、失敗作なんだって、思わずにはいられない。
私は焦凍みたいに強くないし、冬姉みたいに気立て良くないし、夏兄みたいに優しくない。意地っ張りで素直じゃなくて、可愛げなくてそのくせプライドだけは人並み以上に高くて。そんな妹のこと、自慢に思ってくれてるのかな。正直自信ない。
『パパ、ママ。どうしてカナは、とーや兄としょーとみたいに火を出せないの?どうして冬姉と夏兄としょーとみたいに氷を出したり出来ないのかな?』
そんな残酷で無神経なことを聞いてしまうような娘のことを、そんなどうしようもない妹のことを、あの人達は自慢に思ってくれるのかな?私みたいな子がいて幸せだって、思ってなんてくれるのかな…。
「アンタ、家族のこと好きかい?」
唐突にそんな質問を投げ掛けられた。
「え…」
「家族のこと。好きかい?」
優しげな口調と表情で、先程と同じ質問を繰り返し尋ねられた。
「…はい、好きです。パパもママも、お兄ちゃん達のこともお姉ちゃんのこともみんな、みんな大好きです」
そう答えると
「それはみんなが強い個性を持ってるから、良い個性を持ってるからだから、好きなのかい?」
そんな疑問を投げ掛けられた。……個性を、持ってるから?
「違います!私がパパやママ、とーや兄に冬姉、夏兄と焦凍のこと好きなのは、大好きなのは個性なんて関係ないです!みんなが私を愛してくれてるから、大切に思ってくれてるからだから、だから私は家族のことが大好きです…!」
そう答えるとリカバリーガールは更に優しげに笑って、
「きっと他の家族も、同じなんじゃないかね」
と言った。
「この話し、したって内緒だよ?アンタが私の手伝いするって決まった日ね、わざわざ電話が掛かって来たんだよ。轟…アンタの父親からね」
えっ…
「パパから?!」
何してんのあの人…!
「あぁ、ビックリしたよ。それでそん時言ってたんだ。『うちの子を頼みます。あの子は真面目で賢くて努力家なとても良い子です。だからきっと、あなたの仕事の手伝いもしっかりとやります。なのでどうか、宜しくお願いします』ってね』
どんな電話?!バカじゃないの恥ずかしい…!
「わざわざそんな電話かけて来るなんて、学生時代の轟からは想像も出来なくてね。思わず笑っちまったよ。そんで聞いてみたんだ。自慢の娘なんだねって。そしたらあいつ、電話越しでもわかる位照れながら『俺には勿体ないくらい良く出来た、自慢の娘だ』って。…そう言っていたよ」
顔が、熱い。沸騰しそうだ。何言ってんのあのバカ親父。何赤の他人に娘自慢してんだ恥ずかしい。私の前では微塵もそんな態度出さないくせに。いつもバカみたいに焦凍焦凍言ってるくせに…!恥ずかしすぎてリカバリーガールの顔見れない。あぁもうほんとどうしてくれんだあのクソ親父。もうやだどんな顔して過ごせばいいかわかんないじゃん。バカバカバカ!!
……今度、葛餅でも作ってみようかなとか思い始めてる、バカで単純な思考回路した自分が、嫌いだ。
個性があったら、みんなと対等になれたのかな。個性があったら、みんなと一緒にドッジボールしたり、鬼ごっこ出来たりしたのかな。木登りさせて貰えたのかな。ヒーローを目指せたのかな。体育祭に参加させて貰えたのかな。みんなと同じ当たり前を、体験できたのかな。個性があったら、焦凍を支えてあげられたのかな。あぁ、ダメだ、こんなこと考えだしたらダメだ。止められなくなっちゃう。やめないと。でももうやめられない。
どうして私は無個性なの?どうして私だけ家族の中で、クラスの中で、1人だけ無個性なの?私にもエンデヴァ―の…パパの血が、流れてるはずなのにどうして?家族が、友達が、みんなが当たり前に持っているものを、なんで私だけ持ってないの?そんなこと聞いたって誰も答えてなんてくれないってわかってるのに、考えたって仕方ない事だって知ってるのに、一度考え出してしまうとずっと考え続けてしまう。嫌いだ。こんな自分、大っ嫌い。
「アンタ」
突然話しかけられて、驚いて肩をビクッとさせてしまった。「なんですか?」と聞きながらリカバリーガールの方に目を向けると、私のことをじっと見つめながら
「アンタは自分に何が出来るのかしっかりと考えて、その出来ることを責任もってやれる、すごく立派ないい子だね。そんな子を持ててアンタの父親と母親は幸せだろうし、他の兄弟達にとっては自慢の妹だろうね」
ニコニコと笑いながら言う。私みたいな娘を持てて幸せ…
「そう、ですかね…?そうだったら嬉しいです。でも私、無個性だから…だからパパにとっては最低最悪な、失敗作、だと思いますよ。だから、幸せじゃ、ないんじゃないかな…。他の兄弟だって、私のこと自慢になんて思っていないと思いますよ」
別にパパに面と向かってお前は失敗作だ、…そう言われたわけじゃない。いつも焦凍の修行ばかりで、私は二の次だった。けど愛してくれなかったわけじゃない。わがままを聞いてくれたり、イタズラや危ない事をしたら叱ってくれたり、仕事終わりにこっそり私にだけお土産買ってきてくれたり、テストで100点取ったり習字で金賞取ったら頭撫でて「よくやった」って褒めてくれたり。パパはパパなりに不器用なりに、下手くそなりに、沢山の愛情を私にくれてる。でも、けど、やっぱり。どうしても思っちゃうんだ。私は、無個性だから。自分よりも強い個性を持った、オールマイトを超えることの出来る子供が欲しかったパパにとって無個性の私は、失敗作なんだって、思わずにはいられない。
私は焦凍みたいに強くないし、冬姉みたいに気立て良くないし、夏兄みたいに優しくない。意地っ張りで素直じゃなくて、可愛げなくてそのくせプライドだけは人並み以上に高くて。そんな妹のこと、自慢に思ってくれてるのかな。正直自信ない。
『パパ、ママ。どうしてカナは、とーや兄としょーとみたいに火を出せないの?どうして冬姉と夏兄としょーとみたいに氷を出したり出来ないのかな?』
そんな残酷で無神経なことを聞いてしまうような娘のことを、そんなどうしようもない妹のことを、あの人達は自慢に思ってくれるのかな?私みたいな子がいて幸せだって、思ってなんてくれるのかな…。
「アンタ、家族のこと好きかい?」
唐突にそんな質問を投げ掛けられた。
「え…」
「家族のこと。好きかい?」
優しげな口調と表情で、先程と同じ質問を繰り返し尋ねられた。
「…はい、好きです。パパもママも、お兄ちゃん達のこともお姉ちゃんのこともみんな、みんな大好きです」
そう答えると
「それはみんなが強い個性を持ってるから、良い個性を持ってるからだから、好きなのかい?」
そんな疑問を投げ掛けられた。……個性を、持ってるから?
「違います!私がパパやママ、とーや兄に冬姉、夏兄と焦凍のこと好きなのは、大好きなのは個性なんて関係ないです!みんなが私を愛してくれてるから、大切に思ってくれてるからだから、だから私は家族のことが大好きです…!」
そう答えるとリカバリーガールは更に優しげに笑って、
「きっと他の家族も、同じなんじゃないかね」
と言った。
「この話し、したって内緒だよ?アンタが私の手伝いするって決まった日ね、わざわざ電話が掛かって来たんだよ。轟…アンタの父親からね」
えっ…
「パパから?!」
何してんのあの人…!
「あぁ、ビックリしたよ。それでそん時言ってたんだ。『うちの子を頼みます。あの子は真面目で賢くて努力家なとても良い子です。だからきっと、あなたの仕事の手伝いもしっかりとやります。なのでどうか、宜しくお願いします』ってね』
どんな電話?!バカじゃないの恥ずかしい…!
「わざわざそんな電話かけて来るなんて、学生時代の轟からは想像も出来なくてね。思わず笑っちまったよ。そんで聞いてみたんだ。自慢の娘なんだねって。そしたらあいつ、電話越しでもわかる位照れながら『俺には勿体ないくらい良く出来た、自慢の娘だ』って。…そう言っていたよ」
顔が、熱い。沸騰しそうだ。何言ってんのあのバカ親父。何赤の他人に娘自慢してんだ恥ずかしい。私の前では微塵もそんな態度出さないくせに。いつもバカみたいに焦凍焦凍言ってるくせに…!恥ずかしすぎてリカバリーガールの顔見れない。あぁもうほんとどうしてくれんだあのクソ親父。もうやだどんな顔して過ごせばいいかわかんないじゃん。バカバカバカ!!
……今度、葛餅でも作ってみようかなとか思い始めてる、バカで単純な思考回路した自分が、嫌いだ。