転生勇姫・SS

「突然だが俺に猫耳と尻尾が生えちまった!」
「本当に突然だな貴様!?」
「いや、テーブルの上に置いてあったうまそうなジュースを拝借したらさ、こう、ポンと」
「一国の姫、不用心過ぎではないか……?」
「そしたらマージェス王子が慌てて来て」
「もう嫌な予感しかせぬが」
「俺が飲んだのは王子が作った、伝説の大魔法使いクーソザッツってヤツの魔法薬だって……」
「大魔法使いクーソザッツだと!?」
「なに、知っているのかマオたん?」
「その名、前世で聞いたことがあるぞ……人間の大魔法使い、クーソザッツ・ドウニュー……」
「クソ雑導入がなんだって?」
「我々の時代でも既に故人なのだがダークマージが唯一尊敬していた人間で、数々の魔法薬のレシピを残したという優れた魔法使いだ」
「へえ」
「確か魔法薬の名は『ナカミイレカワール』に『セイベツ・カワール』『スナオニナール』……恐らく貴様が飲んだのは『ネコミミハエール』か姉妹品の『ケモミミハエール』だろう」
「待ってツッコミが追いつかない」
「猛毒とか命を奪うようなものではないが、とにかくくだらん効果が多いことで有名らしい」
「なるほどクソ雑導入」
「とりあえず害はないから安心しろ。そのうち元に戻るだろう」
「つくづく何かに便利そうな薬だな」
「役には立たんがな」
「そうかニャ?」
「!?」
「いやほら、せっかく可愛い猫耳が生えたから、ちょっとあざとく可愛こぶりっこしてみようかと思って」
「な、な、貴様っ……」
「可愛いかニャ?」
「か、か、可愛くなどっ……」
「お顔が真っ赤だにゃー。もしかしてマオたん、猫耳萌えってやつかにゃん?」
「ふぐおおおおお貴様あああああ!」
「そ、そんなに怒るなよう。冗談だって」
「じょ、冗談か、まったく……だいたいこの我が、中身おっさんの猫耳なんぞに魅了される訳がなかろう!」
「だよな。俺の実態知ってりゃな」
「そうだ!」
「あっ、しっぽでスカートがめくれ上がっちまう!」
「ぐおお!?」
「いやーん、まいっちんぐぅ……なんちて?」
「…………やはり貴様、おっさんだな……」
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