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繋がるキャロル



「遅いよ、ポーランド~!」

「ごめんだし、パルシュキ大量に作っててな、ほらこれやるんよ」

「あら、ありがとう!それじゃあ全員揃ったところで、行きましょうか」

2017年の暮れ、ポーランドはワルシャワとマゾフシェとともに首都の旧市街へと来ていた。午後3時には地平線へと消えた太陽に変わって歴史ある通りを彩ったのは、色とりどりのイルミネーションだ。街の至る所に取り付けられた白、青、金の電球に、カラフルな光がかたどるプレゼント・ボックスや本。通りの両脇に立つ古い柱は桃色のアクセントが入った黄金へと変身している。有名なクリスマスキャロルが絶え間なく聞こえてきた。

「やっぱりポーランドが作るパルシュキが一番美味しいや」

そう呟くワルシャワは相変わらず少年ヤング・ティーンの見た目だが、大人びた濃紺のダウンにダークジーンズと若者らしい出で立ちだ。彼の左を歩くマゾフシェは茶色のダッフルコート、赤いマフラー、焦げ茶のブーツと暖かな服装をしている。ただ一人仕事から帰ってきてから着替える余裕のなかったポーランドは、上下黒のスーツの上から薄いピンクのジャケットを羽織っただけという奇妙な格好になっている。

「ああ、寒っ」

ポーランドが呟くと、ワルシャワとマゾフシェが彼の両側からぴったりと寄り添った。

「これなら暖かいでしょ?」

マゾフシェが見上げて言った。ポーランドは大きく頷き、二人をきつく抱き締めた。まじでお前らあったかいんよ、ポーランドルール発動でずっと俺と一緒にいろし!と叫んだポーランドに二人は微笑んだ。

「ええ、喜んで!」

「何百年たっても、貴方と一緒にいられますように!」

それぞれ口にすると、三人はイルミネーションで作られた大きなフォトフレームの前に着いた。そこには記念撮影をしようと多くの人々が列を作っていたが、ポーランド達を見ると誰もが感激して前を譲った。一人ひとりに礼を云いながら進んでいくと、列の一番前にワルシャワの友人がいることに気がついた。

「あら皆さん、こんばんは!良かったらお写真お撮りしましょうか?」

黒髪のボブカットが印象的なサクラは、ワルシャワでも有名な日本料理店でバイトをする日本生まれの学生だ。今はワルシャワ大学で経済学を専攻しているとかで、社会経験と日本語の実践を兼ねて始めたバイト先でワルシャワと出会ったのだ。その後ウクライナとポーランドの仲直りにも大きな役割を果たすなどポーランド達とも友好関係を築いている。

「うん、お願いするし。俺が超カッコよく映るように頼むんよ」

「カッコよく、ですね。了解しました」

サクラにカメラを手渡すと三人はフォトフレームの向こう側へと回った。ポーランドを中心にして、互いにぴったりと身を寄せ合う。その時、サクラが撮影方法を写真から動画へと切り替えた。楽しげな人々の笑い声が混じるクリスマス・キャロルが入るように。

「皆さん、来年で独立100周年おめでとうございます!! これからもポーランド共和国の繁栄を願って」


Wesołych Świąt Bożego Narodzenia!!
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