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Smoker

お風呂上がりのスモーカーさんは少し幼い。強面の顔がお湯で温まっても緩むことはないが、きっちり固められた白い髪が水で解けて短く刈り上げられた横髪に少し影を落とすように降りている。

「......何見てやがる」
「えー。水も滴るいい男だなって」

意外にも彼は水をきっちり拭き取って上がってくるから、水は滴っていないのだけれどまあその辺は適当だ。
しっとりと湿った髪を見られるのはその短い髪が乾いてしまう少しの間だけれどそれを見られるのは間違いなく私だけだろうと思うと優越感で頬が緩む。彼はといえば一瞬驚いた顔をしたがすぐにため息を吐いてソファーに座った。

「上着ないと風邪ひきますよ」

タオルを肩にかけただけで葉巻を咥え始めるものだから軽く小言を飛ばせば目線で呼ばれて。
なんだと近づけばぐいっと腰を引かれた。
ぽすんと足の間に座らされ後ろから抱き込むように腕が回される。服越しに彼の肌が背中に触れているのが分かった。
風呂上がりで少し高い体温。葉巻の匂いは子どもらしくはないが、少しだけ甘えるような体制に思わずくすり。

「甘えたですか?」
「たまにはいいだろう」

ほうっと葉巻の煙を吐き出して、首筋に顔を寄せられた。くすぐったくて身をよじればそれすらも許さないと言わんばかりに回されている腕の力が強まった。
そのままたわいもない話をすれば彼は相槌を適当に打ちながら聞いてくれた。回された腕も寄せられた顔もそのままだ。相槌は適当だが彼は私の話をよく聞いている。たまあにわざと男性の名前を出すと不機嫌そうに吐き出される煙が面白い。わざとだとバレると咎めるように腹の肉を掴まれるからたまにしかやらないけど。

そのうちに葉巻が短くなり灰皿にじゅっと押し付けるのを合図かのように話は途切れ、早急に抱き上げられた。慌ててソファーにかけられていた彼のTシャツを手に取った。彼が真っ直ぐに向かうのは寝室だ。

ふかふかのベッドに信じられないほど丁寧に私を下ろすくせに、自分はどうでもいいと言わんばかりに雑にベッドに上がる彼。
そのまま私を引っ張ってベッドに倒れこもうとするからちょっと待ってと持ってきたTシャツを着せた。ちょっと雑だがずぼっと首を通してあげればあとはしぶしぶながら着てくれるのは知っている。

黒の無地のTシャツはこれほどなく彼をかっこよく見せると思う。制服もいいけれど薄い生地はおおっぴらに体を見せるよりも、魅力的な体つきをより魅力的に見せるのだ。
まあ、見惚れる間も無くベッドに寝かされるのだけれど。
腰を引かれてベッドに転がされた。いつものようにころんと横向きになれば首の下と腰に抱き込むように回される腕。そして背中には愛おしい体温。

すりっと首筋にまた顔を寄せられた。短い髪が首を掠めてくすぐったい。後ろ手にそれにそっと触れればもうそれは乾いていて。

「おやすみなさい」
「あァ、おやすみ」

首筋に落とされた吐息に私は目を閉じた。
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