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Shanks

魅力の話

真っ赤な赤が楽しげに揺れるのがいっとう好きだ。

航海士としてかの有名な四皇の一人の船に乗ったのはいつだったか、もう忘れてしまったけど乗った理由はその鮮烈な赤に魅せられたから。よくも考えず、ただ海が好きなだけの町の小娘が、ふらりと気まぐれで立ち寄っただけの海賊に「船に乗せてくれ」と言ったのはさぞ可笑しかったことだろう。その証拠に惚れ込んだ赤には遠慮なく大声で笑われた。でも涙を浮かべながら「いいぞ、乗れよ!!」と言ってくれたから私はこの船にいる。

宴の途中、無粋にも現れた敵船に宴のノリのまま皆立ち上がる。

航海術は持てど、闘う術は持たない私は邪魔にならないよう即刻船内へ戻るべきだけど、いっとう好きな赤がみたいという欲求に動けずにいれば、目の前で黒いマントがはためいた。

肩越しに振り返った赤。にいっと子どものように笑う口元とは対称に、目は強くて、鋭くて。

「熱烈な視線には応えなきゃなァ」

剣を握った腕は力強く。ゆっくりとした動作で抜かれたのに、次の瞬間にはふわりと風が舞って。

敵の中心で赤が踊る。たった一撃なのに、その時間はコマ送りのように見えた。

島だ、宴だと楽しげな赤も魅力的なのだけれど、やっぱり海賊だからなのか戦っている時が1番生き生きしていて、その鮮烈な赤が1番美しい。

「お頭」

やっぱり綺麗ですね、という言葉を遮ったのは予想もしていなかったあまりに直球な褒め言葉。

「俺はその目の方が綺麗だと思うぞ」

面を食らった私を、機嫌がいい赤が笑った。
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