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ss 好意

「本当に愛してると相手からの好意なんてどうでもいいもんだ」

ふうっと煙を吐いて「っと、いい男は思うんだとよ」と付け足すように言う彼はくつくつと喉を鳴らした。それから私の頬を撫でると煙管をしまって船内へと戻っていくから私はため息を溢す。

この船一と言ってもいいぐらい美男の彼は間違いなくいい男で、いい男はそう思う、そう言われてしまってはいくら好意を向けられたって答えられないじゃないか、なんてただの八つ当たりだ。

普段人を揶揄うような目は私の前では優しく緩み、他よりささやかなスキンシップが多いのは自惚れではないはずで。

「好きです」

いらないと思われていても伝えたいと思うのだから仕方がない。「イゾウさんはいい男ですから」と自嘲しつつ暗に答えは要らないと伝えれば、一瞬の間のあと聞こえてきたのは可笑しそうな笑い声。え、と顔を上げればイゾウさんは笑いすぎて浮かんだ涙を指で拭っていた。
「海賊にいい男なんていると思うのかい?」
ひとしきり笑った後、ふと伸ばされた手に引き寄せられて頬に燃えるような温度が落とされた。目を見開けば赤がゆるりと弧を描く。

「ん?」と小首を傾げられて、私は泣きそうになりながら首を横に振ったのだった。
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