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短編:ハートの海賊団

うちのキャプテンのクマは酷い。いやベポくんじゃなくて。

すらりと長い足に細身の体。顔もかっこいいのにその目の下にはくっきりとクマがある。あってもかっこいいけど、ないのもかっこいいと思わない?というわけで。

「第一回コンシーラーでキャプテンのクマは消えるか大会!」

なんてくだらない企画!と自分で突っ込みながらそろりとお昼寝中のキャプテンに近づく。胡座をくんで少し顔をうつ向けた状態で船の柵に背を預けて眠っている。うん、寝顔もかっこいい!じゃなくて...。

「失礼しまーす...」

すすっとしゃがみこんで覗き込むようにしながら、クマを消すべく手を伸ばす。
その瞬間ぱちっと開いた目。

「…何してる」
「キャプテンのクマを消そうと思いまして!」

殺さんばかりの視線に馬鹿正直に答えれば沈黙が落ちる。キャプテンは何も言わないが顔にでかでかと「アホか」と書いてある。片手に構えているコンシーラーが虚しい。沈黙に耐えかねてすみませんと立ち上がる。

「おい」

呼び止められ、腕を引かれたせいでバランスを崩す。受け身を取ろうとひねった体はぽすんと温かい何かに包まれて、気づいた時にはあぐらの上に横座り。慌てて退こうとするもキャプテンの刀がそれを防ぐ。私を囲うようにそれを持つキャプテンは目を閉じたままでどうやらこのまま寝るようだ。

「キャプテン」

小さく呼べば片目だけ開けられた。

「俺の睡眠不足を心配するなら大人しくしてろ」

囁くように吹き込まれた低音に私は身体を硬直させて「あいあいきゃぷてん」と返すのだった

…第2回でリベンジです!
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