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Beckman

 うちの副船長は聡明だ。私のちっちゃくて腐った頭じゃ到底勝てない。勝てるとすれば!

「副船長今日もかっこいいです!」

 頭脳を使わない直球勝負。豪速球のストレート...ストライクは取ったことないけど。今日だって片手を軽くあげて「ああ。おはよう」とそれだけで。
 でも返事をしてくれるだけですごく嬉しくて私も満面の笑みで挨拶を返してしまうからダメなのだけれど。

 ふうっと甲板でため息をついていたらお頭が協力してやろうかなんて言ってきて。

「本当ですか?」
「あァ。ちょっとこっちきてみろ」

 手招きされて近づけば正面から抱き込むように肩を抱かれてー

「いってェ!」
「え?」

  お頭が急によろめき額を抑えて涙目に。状況が分からずぽかんとしていればお頭は離れたはずなのに肩に温かさを感じて。

「おいベック!痛ェだろう!」
「ふざけすぎだ」

 嘘でしょうと思うもの強いタバコの匂いが嘘ではないと言っている。確かめるように見上げれば目があった。

「副船長...?」

 確かめるようにそう呼べば、ぽすんと一回頭を撫でられて。

「他になびくなよ?」

 ニヤッと笑った顔がかっこいいどころか色気が凄まじくて。おそらく真っ赤であろう顔のまま「はい!!」と大きく返事をした。

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