Marco
「セクシー…」
「うるせェよい」
げしっと軽く腰を蹴られたが、加減してくれているので対して痛くもない。調子に乗って「この美脚で蹴られるなんて、敵もある意味ご褒美では?」と懲りずに真顔で抜かせば「本気で蹴り飛ばすよい」と睨まれたので両手を上げて降参した。流石に一番隊隊長の本気の蹴りは恐ろしい。けれども本当に綺麗なので目が離せず、もちろん隊長がその視線に気づかないなんてことはないのでため息をこぼされて。
不死鳥になった時の青い羽が美しいのは有名だが、マルコ隊長の身体はそうでなくとも均等が取れていて美しい。冒頭でも言ったように主に腰から足にかけてが際立って綺麗で端的に言ってしまえばやはり。
「セクシー」
「…あのなァ」
懲りない私に腕組みをして見下ろしてくる隊長は、思いの他なで肩だという事はずっと前から知っている。リュックとか落ちそうだな、と思いつつそのまま視線を少し下にすれば大きく彫られた誇りと均等に割れた腹筋が。惹かれるままにそろっと手を伸ばせばべしっと叩き落とされて。
「金取るよい」
「いくらですか?」
「財布をしまえ」
顔にでかでかとアホか、と書かれているがアホで結構、金ならいくらでも出すと言い切れば、二度目のため息と共に突然腕を掴まれた。
「…何ですか?」
「いつまで言わねェつもりだい?」
あんな目を向けといてなァ、と挑発的な笑みを向けられて、私の背を冷たい汗が流れた。
この男はもうとうに分かっているのだ。私が揶揄うように言う言葉に滲ませた感情を。だけどこれは大人の駆け引き。私だって分かっている事を分かっていて言っているのだから負けるわけにはいかない。
「俺に言わねェといけねェ事があるんじゃないかい?」
「それはお互い様では?」
「金で男を買うなんて虚しいだろい?」
「いい女を逃すのと同じぐらいかと」
精一杯の言葉遊び。勝てる可能性はごく僅か。だってほら、私の方は余裕がないのに目の前の彼は今だって色気たっぷりに笑っていて。
掴まれていた腕を引かれた。隊長の力に敵うわけもなく、引かれるままその逞しい体に囚われた。そして抵抗するまもなく耳元に口を寄せられて。
「さっさと落ちて来な」
囁かれかっと顔が熱くなる。でも熱い吐息は良い意味でも私を酔わせてくれたから、敗北を認めそうな私を留めてくれて。
間髪入れずにぐっと隊長のシャツを引き、身長差を埋めるように背伸びをした。
「好きです。貴方が渡せるだけ全部、私に下さい!」
初めてのキスは勢いあまって少しズレたがそんな事気にするものか。顔は真っ赤だろうし、隊長は笑っているし、きっと私は側から見れば滑稽で、格好などついていない。だけど、思いのままに力一杯叫べば。
「上等だねい」
もう一度、今度はしっかり合わさった唇は隊長からだったから、勝負は引き分けにしてもらおう。
「うるせェよい」
げしっと軽く腰を蹴られたが、加減してくれているので対して痛くもない。調子に乗って「この美脚で蹴られるなんて、敵もある意味ご褒美では?」と懲りずに真顔で抜かせば「本気で蹴り飛ばすよい」と睨まれたので両手を上げて降参した。流石に一番隊隊長の本気の蹴りは恐ろしい。けれども本当に綺麗なので目が離せず、もちろん隊長がその視線に気づかないなんてことはないのでため息をこぼされて。
不死鳥になった時の青い羽が美しいのは有名だが、マルコ隊長の身体はそうでなくとも均等が取れていて美しい。冒頭でも言ったように主に腰から足にかけてが際立って綺麗で端的に言ってしまえばやはり。
「セクシー」
「…あのなァ」
懲りない私に腕組みをして見下ろしてくる隊長は、思いの他なで肩だという事はずっと前から知っている。リュックとか落ちそうだな、と思いつつそのまま視線を少し下にすれば大きく彫られた誇りと均等に割れた腹筋が。惹かれるままにそろっと手を伸ばせばべしっと叩き落とされて。
「金取るよい」
「いくらですか?」
「財布をしまえ」
顔にでかでかとアホか、と書かれているがアホで結構、金ならいくらでも出すと言い切れば、二度目のため息と共に突然腕を掴まれた。
「…何ですか?」
「いつまで言わねェつもりだい?」
あんな目を向けといてなァ、と挑発的な笑みを向けられて、私の背を冷たい汗が流れた。
この男はもうとうに分かっているのだ。私が揶揄うように言う言葉に滲ませた感情を。だけどこれは大人の駆け引き。私だって分かっている事を分かっていて言っているのだから負けるわけにはいかない。
「俺に言わねェといけねェ事があるんじゃないかい?」
「それはお互い様では?」
「金で男を買うなんて虚しいだろい?」
「いい女を逃すのと同じぐらいかと」
精一杯の言葉遊び。勝てる可能性はごく僅か。だってほら、私の方は余裕がないのに目の前の彼は今だって色気たっぷりに笑っていて。
掴まれていた腕を引かれた。隊長の力に敵うわけもなく、引かれるままその逞しい体に囚われた。そして抵抗するまもなく耳元に口を寄せられて。
「さっさと落ちて来な」
囁かれかっと顔が熱くなる。でも熱い吐息は良い意味でも私を酔わせてくれたから、敗北を認めそうな私を留めてくれて。
間髪入れずにぐっと隊長のシャツを引き、身長差を埋めるように背伸びをした。
「好きです。貴方が渡せるだけ全部、私に下さい!」
初めてのキスは勢いあまって少しズレたがそんな事気にするものか。顔は真っ赤だろうし、隊長は笑っているし、きっと私は側から見れば滑稽で、格好などついていない。だけど、思いのままに力一杯叫べば。
「上等だねい」
もう一度、今度はしっかり合わさった唇は隊長からだったから、勝負は引き分けにしてもらおう。