Thatch
4番隊は戦うコックの集まりだ。
「食事の支度をしてる4番隊には声をかけるな」と新人は言われるがもっとキツく言っておいた方がいいのではないかと思うほど支度している4番隊は容赦がない。
ああほら、また。
ドスっと鈍い音がして壁に箸が刺さった。つまみ食いをしようとしたエース隊長の手が一瞬発火したところを見るに、狙いは正確。4番隊の実力はかなりのものだ。ちなみに包丁は絶対投げないらしい。「料理人として食材以外には向けられない」というかっこいいが全く相手の心配をしているわけではない回答をもらった事がある。
「ご、ごめんなさい」と冷や汗垂らしながら逃げていくエース隊長。毎回ちゃんと謝るけど懲りずにやるのだから意味がない。呆れつつも笑いを零せば、ぽすんと頭を撫でられた。
「サッチ隊長」
「おう!もうすぐできるからな!」
にかっと明るい笑みを残して隊長は厨房に入る。思わず頬が緩んでしまうのは、サッチ隊長が料理を作るところを見られるからだ。
料理してる隊長が好きです。
そう言ったら驚いたように目を見開かれたのはちょっと前の話。その反応を見て誤解させる言い方だと気付き、慌てて弁解したのはいい思い出だ。
『料理をしてる時「は」かっこいいなあって思って!!』
『料理してる時だけかよ!!?』
「いつでもかっこいいだろー?」と口を尖らせて不貞腐れる隊長に笑ったのは秘密だ。
それから「邪魔をしないから見ててもいいか」と頼んだら「あー...いいぜ」と頬をかきながら許可してくれてから、キッチンに一番近い席が私の定位置。
隊員に配膳の指示を出しながら大きなフライパンで手際よく野菜や肉を炒めていく彼の背中は大きくて、たまに見える横顔は真剣で。かっこいいが散りばめられたような動きや表情の中でも一番好きなのが。
「よっし!お待ちどうさん!!」
ごとり、と大きな皿を置くその大きな手。
彼は「綺麗な手じゃねェぜ?」と困ったように笑うけれど、その手で温かくて愛情のこもった料理を作っているのだと思うと、すごく優しくて、綺麗な手に思えるのだ。
『野郎ども!!飯だぞーーー!!』
4番隊が叫べば凄い勢いで開く食堂のドア。お腹を空かせた家族は飛びつくように食事を始める。うまい、うまいと笑顔が咲くのを見て、私も美味しい食事にありつこうと腰をあげると、ぽすり。
「お前はこれな」
頭を撫でられ椅子に戻された私の前に、ことりと置かれたワンプレート。
黄色い綺麗なオムライス。私の大好物。
明らかに1人分として作られたそれに驚いて顔を上げれば、向日葵のような笑顔を浮かべたサッチ隊長は楽しげにケチャップでハートを描いてくれて。
「料理してる俺だけって言うのも悔しいしな」
まずは胃袋キャッチ、なんて笑顔でウインクを飛ばしてくる隊長に私は頬を染めるしかなかった。
「食事の支度をしてる4番隊には声をかけるな」と新人は言われるがもっとキツく言っておいた方がいいのではないかと思うほど支度している4番隊は容赦がない。
ああほら、また。
ドスっと鈍い音がして壁に箸が刺さった。つまみ食いをしようとしたエース隊長の手が一瞬発火したところを見るに、狙いは正確。4番隊の実力はかなりのものだ。ちなみに包丁は絶対投げないらしい。「料理人として食材以外には向けられない」というかっこいいが全く相手の心配をしているわけではない回答をもらった事がある。
「ご、ごめんなさい」と冷や汗垂らしながら逃げていくエース隊長。毎回ちゃんと謝るけど懲りずにやるのだから意味がない。呆れつつも笑いを零せば、ぽすんと頭を撫でられた。
「サッチ隊長」
「おう!もうすぐできるからな!」
にかっと明るい笑みを残して隊長は厨房に入る。思わず頬が緩んでしまうのは、サッチ隊長が料理を作るところを見られるからだ。
料理してる隊長が好きです。
そう言ったら驚いたように目を見開かれたのはちょっと前の話。その反応を見て誤解させる言い方だと気付き、慌てて弁解したのはいい思い出だ。
『料理をしてる時「は」かっこいいなあって思って!!』
『料理してる時だけかよ!!?』
「いつでもかっこいいだろー?」と口を尖らせて不貞腐れる隊長に笑ったのは秘密だ。
それから「邪魔をしないから見ててもいいか」と頼んだら「あー...いいぜ」と頬をかきながら許可してくれてから、キッチンに一番近い席が私の定位置。
隊員に配膳の指示を出しながら大きなフライパンで手際よく野菜や肉を炒めていく彼の背中は大きくて、たまに見える横顔は真剣で。かっこいいが散りばめられたような動きや表情の中でも一番好きなのが。
「よっし!お待ちどうさん!!」
ごとり、と大きな皿を置くその大きな手。
彼は「綺麗な手じゃねェぜ?」と困ったように笑うけれど、その手で温かくて愛情のこもった料理を作っているのだと思うと、すごく優しくて、綺麗な手に思えるのだ。
『野郎ども!!飯だぞーーー!!』
4番隊が叫べば凄い勢いで開く食堂のドア。お腹を空かせた家族は飛びつくように食事を始める。うまい、うまいと笑顔が咲くのを見て、私も美味しい食事にありつこうと腰をあげると、ぽすり。
「お前はこれな」
頭を撫でられ椅子に戻された私の前に、ことりと置かれたワンプレート。
黄色い綺麗なオムライス。私の大好物。
明らかに1人分として作られたそれに驚いて顔を上げれば、向日葵のような笑顔を浮かべたサッチ隊長は楽しげにケチャップでハートを描いてくれて。
「料理してる俺だけって言うのも悔しいしな」
まずは胃袋キャッチ、なんて笑顔でウインクを飛ばしてくる隊長に私は頬を染めるしかなかった。