学パロシリーズ
隣のハルタくん
隣のハルタ君はいつもつまらなさそう。授業中は突っ伏していたり窓の外を見ていたりすることが多くて、ノートはほとんど取っていないのに成績はそこそこいいのだからちょっと羨ましい。話したことはほとんどない。けどたまに課題で躓いていると一言二言ヒントのように声をかけられたことはある。
雑談というような会話はしたことがなかったから「ノート取らなくていいの?」となんとも真面目な言葉を投げたら、「いつも真面目に取ってて疲れない?」と逆に返されたのはつい先日だ。彼曰く、「やる時にやればいいんだよ」と。これには私もなるほど思ったので、いいのかどうかは知らないが私もハルタ君に習ってちょっとだけ授業中でも手をぬくようになった。
『クジラ描いて』
そんなこんなで授業中に息抜きがてらノートの隅に落書きをしていたら横から手が伸びて来て、走り書きされたのはそんなこと。ちょっと右上がりで縦長の癖のある文字。驚いて横を向けばちょっとだけ笑ってるハルタ君。
笑うんだ、なんて失礼かな。でも初めて見た。
「上手いね」
「本当?」
リクエストに応えてノートの隅に描いた絵を授業後に見せれば、さっきの素直な笑顔はどこへやら。「うん、地味に上手いからムカつく」なんていい笑顔で言われてすごく理不尽。でも「なんで!?」と思わず食いついてしまったらけたけた笑うからどうやらこれがハルタ君の性格だということが分かった。なんとも捻くれた、ううん……でもなんでか憎めない性格だろう。
「次はパイナップル描いて」
「次はフランスパン」
「んー次は犬」
「次は……」
絵のリクエストはそれから定期的にされて、お陰で私の画力はちょこっとだけ上がったように思う。ノートの隅には沢山の絵が並び、たまに自分の絵柄じゃない絵があるのが擽ったくて思わず笑みがこぼれる。
絵を描くのはいつのまにか授業中じゃなくなった。いつのまにか放課後の時間が恒例になって、それも初めは互いの友達の部活が終わるまでだったのに、今ではお絵かきや雑談を適当な時間まで楽しんだら一緒に帰るようになっていて。
あれ?おかしいな。いつからこんなに仲良くなったんだっけ?
「うーん、今日は何描いてもらおうかなぁー」
椅子を跨ぐように座って背もたれに伏せるように体を預けているハルタ君が少し首を捻って考えている。そんな彼をじいっと見ていたら、ふと顔が上がってバチリと目が合った。そして弧を描く形のいい唇。「決めた」と言うのがとてもゆっくりに聞こえた。
「ねえ、君の好きな人の似顔絵描いてよ」
夕焼けに照らされてる横顔が綺麗でかっこよくて心臓が大きく音を立てた。
隣のハルタ君はいつもつまらなさそう。授業中は突っ伏していたり窓の外を見ていたりすることが多くて、ノートはほとんど取っていないのに成績はそこそこいいのだからちょっと羨ましい。話したことはほとんどない。けどたまに課題で躓いていると一言二言ヒントのように声をかけられたことはある。
雑談というような会話はしたことがなかったから「ノート取らなくていいの?」となんとも真面目な言葉を投げたら、「いつも真面目に取ってて疲れない?」と逆に返されたのはつい先日だ。彼曰く、「やる時にやればいいんだよ」と。これには私もなるほど思ったので、いいのかどうかは知らないが私もハルタ君に習ってちょっとだけ授業中でも手をぬくようになった。
『クジラ描いて』
そんなこんなで授業中に息抜きがてらノートの隅に落書きをしていたら横から手が伸びて来て、走り書きされたのはそんなこと。ちょっと右上がりで縦長の癖のある文字。驚いて横を向けばちょっとだけ笑ってるハルタ君。
笑うんだ、なんて失礼かな。でも初めて見た。
「上手いね」
「本当?」
リクエストに応えてノートの隅に描いた絵を授業後に見せれば、さっきの素直な笑顔はどこへやら。「うん、地味に上手いからムカつく」なんていい笑顔で言われてすごく理不尽。でも「なんで!?」と思わず食いついてしまったらけたけた笑うからどうやらこれがハルタ君の性格だということが分かった。なんとも捻くれた、ううん……でもなんでか憎めない性格だろう。
「次はパイナップル描いて」
「次はフランスパン」
「んー次は犬」
「次は……」
絵のリクエストはそれから定期的にされて、お陰で私の画力はちょこっとだけ上がったように思う。ノートの隅には沢山の絵が並び、たまに自分の絵柄じゃない絵があるのが擽ったくて思わず笑みがこぼれる。
絵を描くのはいつのまにか授業中じゃなくなった。いつのまにか放課後の時間が恒例になって、それも初めは互いの友達の部活が終わるまでだったのに、今ではお絵かきや雑談を適当な時間まで楽しんだら一緒に帰るようになっていて。
あれ?おかしいな。いつからこんなに仲良くなったんだっけ?
「うーん、今日は何描いてもらおうかなぁー」
椅子を跨ぐように座って背もたれに伏せるように体を預けているハルタ君が少し首を捻って考えている。そんな彼をじいっと見ていたら、ふと顔が上がってバチリと目が合った。そして弧を描く形のいい唇。「決めた」と言うのがとてもゆっくりに聞こえた。
「ねえ、君の好きな人の似顔絵描いてよ」
夕焼けに照らされてる横顔が綺麗でかっこよくて心臓が大きく音を立てた。