1.自由を望む
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1.自由を望む
「さあさ、麗しの踊り子たちをどうぞご満足いただけるまでお楽しみください!!」
座長の挨拶とともに舞台へと足を向けた。出番はすぐだ。一歩一歩と足を踏み出すたびに、足首につけた鈴が鳴る。しゃんしゃんとなる鈴の音は美しいが、私は心の中で悪態を付いていた。
ご満足いただけるまで、って……踊るの私たちなんですけど。
ここは踊りの島だ。踊りが名物で、踊るのは全員女。座長も言うように美しい女が多く目の保養にはなるだろうが、私たちにも体力と言うものがある。どこから湧いて出るのか、虫かごみのようにいる男たち全員が求めるだけ踊っていては裸足の足は擦り切れるだろうし、きらびやかな衣装も汗でべっとり、残念なことになるに違いない。
「ちょっと、オドリコ、ボーっとしてんじゃないわよ!せいぜい私たちのために盛り上げなさいよね」
「……はい、お姉さま方」
女だけ、と言うのは少し面倒で女特有のカーストと言うのがある。私は一番下。だから、文句も罵倒も受けるし、時には暴力だって受ける。ただし、踊り子は露出が多いから見えるところには跡なんて残されない。それが厄介だが、踊り子でいる限りはありがたい。傷物は価値が下がってしまうから。
「今日は白ひげ海賊団が客なんだから、巻き上げるだけ巻き上げなきゃ」
「……白ひげ?」
「この海一、金の巻き上げ買いがある海賊団さ!夜はお相手まで予約が入ってるのよ……って、あなたには関係なかったわね」
バカにした笑みはいつものことだから気にしはしない。気になるのは「白ひげ」と言う言葉。私は文字も読めないし、外の情報には疎いけど、それでも知っている海賊団の名前だ。確か、とてもとても偉大な人だとか。いろんな島を統治して、名前で島を守っていると聞いたことがある。
大きな海賊団はここではお金稼ぎの足にされる。まあ、大きい海賊団だからお金は腐るほどあるし、遊びにこの島に来ていることばかりだからもめることはないし、winwinな関係だけれど私は別にお金目的に大きな海賊団を見ていない。気のいい海賊さんたちは海の向こうの話を聞かせてくれるから私は好きだった。
顔は平凡だけれど、しなやかな足、軟らかい身体。身軽に動けるこの体は、お姉さま方に嫉妬されるほどには有能。嫉妬のせいで、余興しかさせてもらえないのは少し残念だけど、少しでもお金がもらえれば生きていける。何より踊るのは楽しいから別に今の生き方に不満はない。捨てられて、拾われたのがこの環境だっただけだ。
でも、もしも。もしも、願いが叶うなら。
「もっと自由になりたいな」
とんと強めに床を蹴って私は舞台に飛び出した。
「さあさ、麗しの踊り子たちをどうぞご満足いただけるまでお楽しみください!!」
座長の挨拶とともに舞台へと足を向けた。出番はすぐだ。一歩一歩と足を踏み出すたびに、足首につけた鈴が鳴る。しゃんしゃんとなる鈴の音は美しいが、私は心の中で悪態を付いていた。
ご満足いただけるまで、って……踊るの私たちなんですけど。
ここは踊りの島だ。踊りが名物で、踊るのは全員女。座長も言うように美しい女が多く目の保養にはなるだろうが、私たちにも体力と言うものがある。どこから湧いて出るのか、虫かごみのようにいる男たち全員が求めるだけ踊っていては裸足の足は擦り切れるだろうし、きらびやかな衣装も汗でべっとり、残念なことになるに違いない。
「ちょっと、オドリコ、ボーっとしてんじゃないわよ!せいぜい私たちのために盛り上げなさいよね」
「……はい、お姉さま方」
女だけ、と言うのは少し面倒で女特有のカーストと言うのがある。私は一番下。だから、文句も罵倒も受けるし、時には暴力だって受ける。ただし、踊り子は露出が多いから見えるところには跡なんて残されない。それが厄介だが、踊り子でいる限りはありがたい。傷物は価値が下がってしまうから。
「今日は白ひげ海賊団が客なんだから、巻き上げるだけ巻き上げなきゃ」
「……白ひげ?」
「この海一、金の巻き上げ買いがある海賊団さ!夜はお相手まで予約が入ってるのよ……って、あなたには関係なかったわね」
バカにした笑みはいつものことだから気にしはしない。気になるのは「白ひげ」と言う言葉。私は文字も読めないし、外の情報には疎いけど、それでも知っている海賊団の名前だ。確か、とてもとても偉大な人だとか。いろんな島を統治して、名前で島を守っていると聞いたことがある。
大きな海賊団はここではお金稼ぎの足にされる。まあ、大きい海賊団だからお金は腐るほどあるし、遊びにこの島に来ていることばかりだからもめることはないし、winwinな関係だけれど私は別にお金目的に大きな海賊団を見ていない。気のいい海賊さんたちは海の向こうの話を聞かせてくれるから私は好きだった。
顔は平凡だけれど、しなやかな足、軟らかい身体。身軽に動けるこの体は、お姉さま方に嫉妬されるほどには有能。嫉妬のせいで、余興しかさせてもらえないのは少し残念だけど、少しでもお金がもらえれば生きていける。何より踊るのは楽しいから別に今の生き方に不満はない。捨てられて、拾われたのがこの環境だっただけだ。
でも、もしも。もしも、願いが叶うなら。
「もっと自由になりたいな」
とんと強めに床を蹴って私は舞台に飛び出した。
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