晴れと猫
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紫苑が呪術高専に行ってしまった日____
その日はよく晴れていて、俺に向かって手を振る紫苑の姿が光に溶けてしまいそうな錯覚を覚えた。
ちょうどこの時期は俺の飼い主と同じ色をした桜の花が儚げに散っていて。
追いかけたい気持ちを何とか抑える。
俺は紫苑を笑顔で見送ったけど、本当は『行かないで』とすぐにでも言ってしまいそうだった。
でも、紫苑が高専に入学するのは俺たち呪霊の為でもあって……その決断を無下にはしたくなかったんだ。
「……俺も強くならないと。紫苑を守る為にも」
去年の秋、紫苑が夏油に襲われ家に帰ってこなかった日々。
____もうあの時のような無力感と寂しさは味わいたくない。
せめて、俺も紫苑に会えない間は漏瑚達に付き合ってもらって特訓に励むことにしよう。
この世界の全てから大好きな飼い主を守る為に。
紫苑が出ていったドアを見ながら、俺はそう誓った。
__________
紫苑が高専に入学してから一月後。
「____夏油ー、携帯貸して!」
「おや真人、紫苑に連絡するのかい?あれからもう一月たったからねぇ」
一ヶ月もの間、大好きな飼い主に会えなかった俺はそろそろ限界が来ていた。
紫苑も同じように俺のことを思い出してくれてたらいいな。
そう思いながら夏油のスマホを借りメールを送る。
メールの返事はすぐに返ってきて、次の休日には会えるという返事だった。
すると、その返事を見た夏油がおもむろに俺に話しかけてきた。
「真人。久しぶりに紫苑に会うんだろう?なら、私がおすすめのデートスポットを教えてあげよう。
きっと、その方が紫苑も喜ぶと思うよ」
「ふーん?夏油はそういう事に詳しいの?」
「これでもモテる方ではあるからね。聞いて損は無いと思うよ」
おすすめのデートスポットとやらに興味が湧いて、スマホの画面から視線を移す。
夏油の方を見れば、いつもの胡散くさい笑みを浮かべていたから正直話を聞くか迷った。
俺としては夏油から助言を貰うなんてのは癪だけど……花御の後押しもあって、今回は夏油の言うことを聞いてみることにした。
「__他の人間の意見も参考にしていいんじゃないですか?」
「花御はそう思うんだ?でも、もし紫苑が気に入らないようだったら……夏油、どうなるか分かってるよね?」
「おぉ怖い。だけど、満足のいく結果になるよう頑張らせてもらうよ」
そして、夏油や仲間にも手伝ってもらって迎えたデート当日。
紫苑は雰囲気を変えた俺を見るやいなや、薄桃の頬を赤く染めた。
「すごく……格好良いし、素敵だよ!」
夏油のアドバイス通り通りにしたら、紫苑は凄く喜んでくれたみたいで俺も嬉しくなる。
デート中、紫苑との時間を楽しんでいれば。
「初めまして、紫苑君の友達の吉野 順平です……」
水族館で紫苑の友達である順平とかいう奴と出会った。
どうやら順平は俺のことも見えてるみたいで。
順平の紫苑を見る目が気に食わなかったから、挨拶がてら紫苑は俺の物だと忠告する。
まぁ残念ながら、結局そいつにデートを邪魔されたんだけどね。
だけど、紫苑がベッドの上で見せる扇情的な表情は恋人の俺しか知らないわけで。
紫苑にとって、やっぱり俺が一番なんだと優越感に浸った。
「____真人がいるこの世界は、好きかな」
「……そっか。俺も紫苑のことが好きだよ。おやすみ、俺の飼い主____」
いつもより深く愛を確かめ合ったあと、何となく聞いてみた。
時折、紫苑は別世界の人間なんじゃないかと考える。
触れるだけで他の人間には抱かない『愛おしい』という感情が魂から溢れ出てくるのを感じるし、何より紫苑の魂は他の人間とは違っていたから。
でも、俺はそんな紫苑の大好きな世界を壊してしまうかもしれないから。
どうか、その時までゆっくりおやすみ____
そう呟いて、俺は愛しい飼い主のまぶたに口付けをした。
__________
その日はよく晴れていて、俺に向かって手を振る紫苑の姿が光に溶けてしまいそうな錯覚を覚えた。
ちょうどこの時期は俺の飼い主と同じ色をした桜の花が儚げに散っていて。
追いかけたい気持ちを何とか抑える。
俺は紫苑を笑顔で見送ったけど、本当は『行かないで』とすぐにでも言ってしまいそうだった。
でも、紫苑が高専に入学するのは俺たち呪霊の為でもあって……その決断を無下にはしたくなかったんだ。
「……俺も強くならないと。紫苑を守る為にも」
去年の秋、紫苑が夏油に襲われ家に帰ってこなかった日々。
____もうあの時のような無力感と寂しさは味わいたくない。
せめて、俺も紫苑に会えない間は漏瑚達に付き合ってもらって特訓に励むことにしよう。
この世界の全てから大好きな飼い主を守る為に。
紫苑が出ていったドアを見ながら、俺はそう誓った。
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紫苑が高専に入学してから一月後。
「____夏油ー、携帯貸して!」
「おや真人、紫苑に連絡するのかい?あれからもう一月たったからねぇ」
一ヶ月もの間、大好きな飼い主に会えなかった俺はそろそろ限界が来ていた。
紫苑も同じように俺のことを思い出してくれてたらいいな。
そう思いながら夏油のスマホを借りメールを送る。
メールの返事はすぐに返ってきて、次の休日には会えるという返事だった。
すると、その返事を見た夏油がおもむろに俺に話しかけてきた。
「真人。久しぶりに紫苑に会うんだろう?なら、私がおすすめのデートスポットを教えてあげよう。
きっと、その方が紫苑も喜ぶと思うよ」
「ふーん?夏油はそういう事に詳しいの?」
「これでもモテる方ではあるからね。聞いて損は無いと思うよ」
おすすめのデートスポットとやらに興味が湧いて、スマホの画面から視線を移す。
夏油の方を見れば、いつもの胡散くさい笑みを浮かべていたから正直話を聞くか迷った。
俺としては夏油から助言を貰うなんてのは癪だけど……花御の後押しもあって、今回は夏油の言うことを聞いてみることにした。
「__他の人間の意見も参考にしていいんじゃないですか?」
「花御はそう思うんだ?でも、もし紫苑が気に入らないようだったら……夏油、どうなるか分かってるよね?」
「おぉ怖い。だけど、満足のいく結果になるよう頑張らせてもらうよ」
そして、夏油や仲間にも手伝ってもらって迎えたデート当日。
紫苑は雰囲気を変えた俺を見るやいなや、薄桃の頬を赤く染めた。
「すごく……格好良いし、素敵だよ!」
夏油のアドバイス通り通りにしたら、紫苑は凄く喜んでくれたみたいで俺も嬉しくなる。
デート中、紫苑との時間を楽しんでいれば。
「初めまして、紫苑君の友達の吉野 順平です……」
水族館で紫苑の友達である順平とかいう奴と出会った。
どうやら順平は俺のことも見えてるみたいで。
順平の紫苑を見る目が気に食わなかったから、挨拶がてら紫苑は俺の物だと忠告する。
まぁ残念ながら、結局そいつにデートを邪魔されたんだけどね。
だけど、紫苑がベッドの上で見せる扇情的な表情は恋人の俺しか知らないわけで。
紫苑にとって、やっぱり俺が一番なんだと優越感に浸った。
「____真人がいるこの世界は、好きかな」
「……そっか。俺も紫苑のことが好きだよ。おやすみ、俺の飼い主____」
いつもより深く愛を確かめ合ったあと、何となく聞いてみた。
時折、紫苑は別世界の人間なんじゃないかと考える。
触れるだけで他の人間には抱かない『愛おしい』という感情が魂から溢れ出てくるのを感じるし、何より紫苑の魂は他の人間とは違っていたから。
でも、俺はそんな紫苑の大好きな世界を壊してしまうかもしれないから。
どうか、その時までゆっくりおやすみ____
そう呟いて、俺は愛しい飼い主のまぶたに口付けをした。
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